長期レビュー
ティファール「ホーム&バゲット」 その1
■実はみんな、ホームベーカリー使ってバゲットを作りたいと思っていた!?
ティファール「ホーム&バゲット」 |
本誌のレビューでホームベーカリーを体験して以来、自分でも1台購入するほどパン焼きにハマってしまった。パン屋さんには申し訳ないが、その後一度も食パンを購入していない。食パンが必要なときは、前夜に材料を入れ、焼き上がり時間をセットして就寝。パンの焼ける香ばしい香りで目覚めるという贅沢を味わっている。
基本的に自分は材料を入れるだけで、当然のことながらあとは全部機械にお任せ。数時間後、焼きたてのおいしいパンができており、そのおいしさたるや、誰にプレゼントしても喜ばれるほどなのだ。これを体験してしまうともう後戻りはできない。
ホームベーカリーで作る「メロンパン」もかなり周りを驚かせ、かつかなり好評だったが、フランスパン風の食パンを焼いたときにも相当珍しがられた。そして「これ、フランスパンの形(棒状のバゲットの意)にはできないの?」と必ず言われるのである。1斤用のパンケースの中で作るのだから、物理的に考えてもあんな棒状になるわけがない(笑)
「捏ねる、発酵する、焼くの全行程を食パン用のパンケースでやるので、見た目は食パンになっちゃうんだよね」と説明。すると「食パンの形をしていると、真ん中はあの耳から遠くなっちゃうよね」「あの形がいいんだよね」という意見に集約されてゆく。
食パンがおいしいのもいいが、さらにバゲットがバゲットらしく作れると、お酒のテーブルが華やかになってより便利だろう。柔らかい食パンよりバゲットが好き、という方もいるに違いない。ゆえに、焼く直前に取り出してオーブンで焼けたら違うんだろうな、どうしてできないのかな、生地だけでも出来たらいいのに、などと考えたものだ。
パン作りができるオーブンのレシピ集などを見てみると、バゲットの生地作りはかなりデリケートで、通常より時間がかかることが分かった。あるレシピには、一次発酵で2時間30分、その後20分生地を休ませたあと、成形してさらに40分発酵させるとある。しかも焼き上げに30分必要なので、マニュアル作業ならどう考えも4時間コースだ。
だからか、検索してみると、なんとかホームベーカリーでフランスパンの生地が作れないものかと質問している人の姿がチラホラ見受けられた。意外とみんなホームベーカリーを駆使して手を抜きつつも、“棒状のバゲット”が作れないかと頭を悩ませているようなのだ。
■中が見えるファミリータイプのホームベーカリー
そんなとき登場したのが、ティファールのホームベーカリー「ホーム&バゲット」である。ティファールといえば、取っ手の取れる鍋や加工フライパンで有名な調理器具メーカーである。筆者は電気ケトルを愛用しているが、そのティファールがホームベーカリーとは意外だった。
メーカー | ティファール |
製品名 | ホーム&バゲット |
希望小売価格 | 31,500円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 24,900円 |
しかし、考えてみればティファールはフランス発祥の家電メーカーだ。バゲットは“フランスパン”を細長く焼いたもの。つまり、ティファールがバゲットをおいしく焼けるホームベーカリーを出すのは必然かもしれない。
「ホーム&バゲット」の本体のサイズは260×400×320mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約6,780g。一般的な1斤用ホームベーカリーに比べると大きさは約2倍で、そのフォルムは大きな炊飯器といったイメージだ。本体のほかに、パンケース、羽根(2枚)、バゲット用のラック、バゲットトレイ2個、計量スプーン(大さじ、小さじ)、計量カップ(最大300ml)、シリコン製ブラシ、羽根取り出しフック、取扱説明書、レシピ集が付属する。
正面の様子 | 背面の様子 | 右側面。通気孔が見える |
左側面 | 上から見た様子 | メニュー一覧と操作パネル |
まずパッと見て特徴的なのは、上から中が覗ける着脱可能な「窓付きふた」だろう。何が行なわれているのか、焼き色がどうなっているのか、この窓を通してすべて確認できる仕組みなのだ。ふたを開けたらいきなりパンケースという構造なので、パナソニックのホームベーカリーのような、ドライイーストやナッツ用の容器はついていない。
本体には操作パネルがついており、パネルの周りをボタンが囲んでいる。左から「メニュー選択ボタン」「サイズ選択ボタン」「予約タイマーの時間設定ボタン」「焼き色選択ボタン」「スタートボタン」となっている。よく見ると電源スイッチがない。焼き上げ後、完全に電源をオフにするときは、プラグを抜く仕様だ。
選択できるメニューは基本の「食パン」、フランスパン風の食パンができる「フレンチスタイル」、チーズ食パンなどが作れる「アレンジ」、ブリオッシュが焼ける「スイート」、とにかく短時間で食パンを焼きたいときの「早焼き」、全粒粉パンなどができる「ヘルスサポート」、米粉などを使い、小麦アレルギーの方でも食べられるパンが焼ける「グルテンフリー」、中で棒状のバゲットが焼ける「バゲット」、ペストリーが作れる「ペストリー」、生地を焼くだけの「パン焼き」、ベーキングパウダーを使用したケーキが焼ける「ケーキ」、そのほか「ジャム」「うどん・パスタ」「パン生地」の14種類。見るからに個性的だ。
14種類のメニューから選択する | 操作パネル。名称やアイコンがついているのでわかりやすい | 窓付きふたを開けたところ |
付属の計量スプーンはそれぞれ大さじ、小さじになっている | ふたは取り外せる。庫内には電熱線が2本の「ダブルヒーティング」構造 |
メニューボタンではこれらを1~14までのメニュー番号で指定する。タイマーは焼き上げ時間指定ではないが、最大15時間後まで設定できる。焼き色は薄め、普通、濃いめの3つからから選べ、サイズはなんと1斤、1.5斤、2斤が選択可能だ。ホームベーカリーが気になっているけれども、ちょっと手が出せないと思っている人の中には、一度に焼けるパンの量の問題もあるようで、「家族がいるから1斤じゃ全然足りない。同時に2斤焼けないの?」と聞かれたこともあったが、「ホーム&バゲット」なら安心というわけだ。
操作パネルの様子を、メニュー選択ボタン、サイズ選択ボタン、焼き色選択ボタン、予約タイマーの時間設定ボタン、スタートボタンの順に紹介 |
付属のレシピブック | レシピブックには、39種類のパン、6種類のケーキ、2種類のジャム、3種類の麺、3種類のパン生地などが紹介されている | 付属の計量カップの目盛り |
■最速で1斤がわずか1時間35分で完成。付属のラックでバゲットが合計8本も焼ける!
さらに「ホーム&バゲット」の機能を特徴づけるのが、「食パン」「早焼き」「バゲット」の3メニューである。
「食パン」は2斤まで焼けるというメリットがあるが、実は焼き上げまでの速さも魅力。1斤分が通常の焼き上げで2時間36分、2斤分でも2時間46分しかかからないのだ。これが「早焼き」になると、1斤が1時間35分、1.5斤が1時間40分、2斤でもなんと1時間45分というスピード調理である。
そして最大の特徴、それが「バゲット」だ。2斤焼けるスペースを上手に利用し、ホームベーカリー内でバゲットを焼いてしまおうという画期的な機能なのだ。
2斤用と大きいため、パンケースには羽根が2つついている | 本体以外の付属品。ラックとバゲットトレイは珍しいが、ブラシも珍しい。針金のようなものは、パンに羽根が埋まってしまったときのための「羽根取り出しフック」である | ラックにバゲットトレイをセットした状態 |
生地作りまで本体で行なって、その後一度取り出して形を作り、焼き上げは専用のバゲットトレイを使う。20cm弱のバゲットが一度に4本焼けるが、1回のコースで2度焼きできるので、一度焼けたバゲットをラックから下ろし、用意しておいた(待たせておいた)生地を新たに乗せてセットすれば、合計8本まで焼ける。別途オーブンを準備しなくてもいいうえに、焼き上げまでお任せできるというわけだ。
バゲット成形の様子は本誌の記事「ティファール、フレンチバゲットが焼ける2斤タイプのホームベーカリー」ですでに紹介されている通り。このように成形だけはさすがに人の手に委ねられるため、これまですべて機械任せだった人間がこれをどう思うかが重要なポイントになってくる。
成形して、1回4本、合計8本。果たして「次も作ろう!」と思えるだろうか? その前に、調理時間が短い食パンはどんな仕上がりなのだろう? 2斤用のパンケースで1斤焼くわけだから、平べったくなったりしないのか? とあれこれ疑問が沸いてきた。
そんなわけで、このレビューでは食パンとバゲットにターゲットを絞り、その使用感をお届けしようと思う。まず次回は食パン関連のレポートをお届けする。
2010年5月10日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)