長期レビュー

ティファールホーム&バゲット その2

~みっしりと詰まった、食べ応えのある欧風食パン
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



ティファール「ホーム&バゲット」

 2回目となる今回はホーム&バゲットで焼いた食パンの紹介しよう。製品の特徴をまとめた第1回目はこちらから

 ホーム&バゲットでのパン作りは、水や小麦粉をパンケースに入れて本体にセットしたらスタートボタンを押すという手順になる。食パンなら、あとは焼けるのを待つだけ。バゲットの場合は生地ができた時点で一旦取り出し、成形してから再度トレイごとホームベーカリーに戻して焼くという流れだ。

 ホームベーカリーを使うのはパナソニックのものに続いて2台目だったが、その仕上がりの違いに驚かされた。

早焼き食パン1斤焼いてみた(所要時間 1時間35分)

 1斤が1時間35分で焼けるという早さがホーム&バゲットの特長の1つ。というわけで、いきなり早焼きで1斤焼いてみることにした。

 強力粉は320g使用する。筆者が所有するパナソニックのホームベーカリー「SD-BM102」(以下、SD-BM102)のレシピよりやや多い。「1斤がちょっと大きいのだろうか?」と思いながら、水、砂糖、塩、バター、スキムミルク、小麦粉、ドライイーストの順でパンケースに材料を入れた。

 このとき、パンケース内の羽根を向かい合わせにしておくと効率良く混ぜられる。また、ドライイーストは専用容器などはないので、材料をパンケースに入れる際は、液体→固体の順で入れ、ドライイーストが液体、砂糖、塩と混ざらないように、最後に小麦粉の上に乗せておくのがコツだそうだ。

1斤分の材料小麦粉とドライイースト以外のものを先に入れる液体の後に小麦粉をいれ、最後にドライイーストを乗せる

 パンケースを本体にセットして蓋をしたら、メニューの「5 早焼き」を選択。焼き色は「標準」でスタートボタンを押すと、羽根が回転しはじめ、材料が混ざっていく。さらに発酵し、こんがり色づいていく様子まで窓越しに見ることができた。上から全工程が見えるのは非常に面白い体験である。

 1時間35分後、パンケースの中央付近でこんもりとパンが焼けていた。やはり2斤用のケースで1斤を焼くわけなので、形としてはかなり“自然に任せた感じ”になるのだろう。

「早焼き」を選んでスタートボタンを押す蓋の上から、材料が混ざり、捏ねられる様子が見られる2枚の羽根の境に粉が残って心配になった
発酵が進み、焼き工程に入ったパン生地完成した1斤分の早焼き食パンパンを取り出した後のケースの様子

 取り出してみると、ゴロンとしてちょっと無骨な仕上がりだ。カットしてみると、耳がしっかりと厚く、パンの内相部分(白い部分)もギュッと詰まった感じである。食べてみるとかなりの食べ応え! しっかり食べているという感じがする。普段食べている「SD-BM102」がふわふわの仕上がりなので、こうも仕上がりが違うのかと驚いた。

 捏ねている途中、羽根の間に粉が残っていたのが心配だったが、最終的には綺麗になくなっていた。ただパンの裏を見ると粉が少々ついていたので、最後まで残っていたらしいことが確認された。

上から見た食パン。四角く綺麗な形に……というわけにはいかないようだ裏側の様子。かなり濃密な印象。下のほうには羽根の間に溜まった生地の跡が確認できる食パンの断面。ぎゅっと詰まった感じが伝わるだろうか

「早焼き」のメニューの選択から焼き上がりまで。上から見えるのは楽しい!

パナソニックのホームベーカリーと焼き比べ

 1斤分を早焼きしてみて、その仕上がりの“男らしさ”(?)に驚いた筆者。そこで、パナソニックのホームベーカーリー「SD-BM102」とホーム&バゲット、それぞれ付属の基本レシピで1斤ずつ焼いて比べてみることにした。

 すると、それぞれの個性の違いがハッキリと出た。「SD-BM102」は非常にふっくらしているのに対して、ホーム&バゲットはどっしりしているのだ。それは内相の断面に見られる気泡の大きさからも分かる。

左がホーム&バゲット、右が「SD-BM102」。いずれも同日に同じ粉と水で焼いている膨らみ方にもかなり差がでた外皮の違い
断面比較。気泡の大きさに違いが見られる仕上がりの違いは非常に興味深い

 食べてみても見た目通りで、「SD-BM102」はふわふわ。ホーム&バゲットは耳がしっかりしており、腹持ちも良さそう。逆に言えば重たい。はて、これはどう判断したらいいのか。「SD-BM102」の柔らかさに慣れてしまっているし、そんなパンを作るべく好みの配合を作ったりしていたため、「失敗したわけではないよね?」と困ってしまった。

 そこで味にうるさい数名の女友だち食べ比べてもらったところ、ヨーロッパのパンを口にする機会の多い知人が「これは耳がおいしい! あちらのパンて感じだね!」と言ったのだ。「パンの耳はしっかりしてなきゃイヤ」というその知人は、「SD-BM102」のパンは相変わらず柔らかくておいしいとしながら、ホーム&バゲットも絶賛。別の知人も「これはこれですごくおいしい。どっちがいいかは完全に好みだよね」と言う。

 知人によれば、外国の方の中には「日本のパンは柔らかすぎて食べた気がしない」という方もいらっしゃるらしい。そういえば日本では「外はサクサク、中はふわふわもちもち」というのが好まれる傾向にあるような気がする。日本人の好みを追求した国産の「SD-BM102」と、ヨーロッパにルーツを持つホーム&バゲットということで、仕上がりには文化の違いが反映されているのかもしれないと感じた。


映像ではちょっとわかりにくいかもしれないが、ホーム&バゲットのパンの内相にはしっかりした弾力がある

「SD-BM102」の材料配合で1斤分焼いてみた

 ホーム&バゲットと「SD-BM102」の仕上がりの違いに感動すら覚えた筆者。しかしその差は果たして機械の違いだけだろうか? もともとホーム&バゲットは「SD-BM102」よりも小麦粉を多く使う。となれば材料の分量の差もあるかもしれないと思い、「SD-BM102」のレシピで作ってみることにした。言うなれば、筆者のお気に入り配合での実験である。

 いつもの通りの材料(スキムミルクとバター増量!)を1斤分用意し、ホーム&バゲットのパンケースの中へ。メニューで普通の食パンを選んで焼いてみた。すると、比較的パンケース全体に広がった食パンができあがったが、早焼き、通常の食パン、いずれの1斤分とも違う。小麦粉の量が少ないので、生地が柔らかかったのかもしれない。

焼き上がった直後を上から見た様子。比較的パンケース全体に広がっている取り出した食パン。高さがないパンの裏側。こちらも羽根の間に溜まった生地の跡が確認できる
内相は粗めで、蒸しパンのような弾力をもつ

 カットしてみると気泡が大きい! しっとりぷるぷるしていて、例えるならば蒸しパンのような弾力だ。ホーム&バゲットのレシピで作ったパンはどっしり系という印象だったが、レシピを変えると焼きあがりが明らかに違う。「SD-BM102」で焼いたときともまた違った食感で、耳はしっかりして香ばしく、パンそのものの甘さも際立っているようだ。材料の分量を変えるなどしてアレンジすれば、また新しい味に出会えることが分かった。

 1つ共通して言えるのは、“ホーム&バゲットのパンは耳がしっかりしている”ということだ。

予約で食パン1.5斤を焼いてみた(予約タイマー12時間)

 これまで1斤単位で焼いていたわけだが、ホーム&バゲットは1.5斤、2斤焼きが選べるなと、ファミリーサイズであるのも大きな売りだ。1斤分だけだと生地の塊がそのまま膨らんだような形になったが、1.5斤にするとどれだけ大きくなるのだろうか。予約タイマーで焼いてみることにした。

 ホーム&バゲットの予約は焼き上がり時間を直接指定するのではなく、最大15時間までで、今から何時間後、という指定方法になる。そこで寝る前に材料を入れてから12時間後でスタートボタンを押してみた。

 パナソニックのホームベーカリーでタイマー設定をすると、すぐ捏ね始めてから休憩に入るのに対し、ホーム&バゲットはスイッチを押してもうんともすんともいわない。壊れているのかと不安になったが、設定時間に合わせて動き出すようだ。

 焼き上がったパンは、高さこそあまりないが、きめが細かく、ぎっしり詰まったスクエアタイプで、食パンらしい形になってくれた。

サイズは1.5斤、焼き上がりは12時間後12時間後に焼き上がった1.5斤分の食パン1.5斤分とはいえ、1斤分から比較すると倍くらいに感じる
カットしてみると食パンらしい形にこの日の食パンは、内相のきめも1斤のときよりはソフトな印象だった

2斤分の食パンを焼いてみた(所要時間 2時間46分)

 今回最後のお試しは2斤焼きだ。1.5斤の食パンと比べると小麦粉は120g違うのだが、見た目のサイズにあまり違いがないようにも見えた。形としては1.5斤のほうがバランスが取れていたようにも思うが、膨らみ方は水温や気温に左右されたりもするので、あまり気にしないほうがいいかもしれない。食感は早焼きの1斤よりややソフトだが、耳は相変わらずしっかりしている。

 焼き時間は2時間46分で、これはかなり早い……というか、従来のホームベーカリーなら早焼きに相当するスピードではないだろうか。さすがに炊飯器でお米を炊く感覚というわけにはいかないが、2倍の食パンを半分近い時間で焼けるのだから、重宝するご家庭も多いだろう。

2斤分ならパンケース8分目くらいホーム&バゲットの2斤香ばしく、しっかりとした食パンになった

焼けたパンをぐるりとチェック!

 今回レーズンやナッツ類は入れていないが、具材入りにも対応しているので安心してほしい。途中で必ずブザーが鳴り、具材の投入タイミングを知らせてくれる。不要な場合は無視すればよいのだ。付属の「ホーム&バゲットレシピ ブック」には食パン以外にも、豊富なメニューが紹介されている。全粒粉、米粉はもちろんだが、大豆粉、ライ麦にも対応しており、ワインやチーズを使うなど見ているだけで楽しい。

 最終回となる次回は、ホーム&バゲットの最大の特徴であるバゲット作りのレポートをお届けしよう。



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2010年5月17日 00:00