長期レビュー

パナソニック「スチームオーブンレンジ 3つ星ビストロ」 その1

~今度のレンジは、水と光でこんがり焼いちゃうそうです!
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



パナソニックのスチームオーブンレンジ「3つ星ビストロ NE-R3200」

 自前のウォーターオーブン ヘルシオ AX-X2(以下、ヘルシオ)でうはうはとヘルシーライフを送っていたところ、家電Watch編集部のA嬢から「ヘルシオ使ったなら、これもお使いなさい! 水と光で食材の両面がこんがり焼けるのです!」とばかりにチャレンジ指令が届いた。

 パナソニックの「スチームオーブンレンジ 3つ星ビストロ NE-R3200」(以下、ビストロ)である。「水と光! しかし庶民の台所には大きなスチームオーブンレンジを2台も置く場所ありません!」というと「ではヘルシオは編集部で預かります!!」と言って、ヘルシオは人質に……もとい、編集部預かりとなり、1カ月の期間限定であったがビストロユーザーとなったのである。


メーカーパナソニック
製品名スチームオーブンレンジ 3つ星ビストロ NE-R3200
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格89,447円


 ようやくヘルシオの操作に慣れ、生活に浸透したというタイミングで、突然のオーブンレンジ変更である。この予期せぬ出来事に戸惑いまくり。しかしこれは使用感を知る上で、ある意味非常にユニークな体験だ。

 そんなわけで突然うちにやってきたビストロだが、どんな特徴があるのだろうか。ヘルシオは「水で調理する」「揚げない揚げ物ができるのでカロリーを抑えられる」「脂や塩分を落とすのでヘルシー調理が可能」「プリセットされたメニューが豊富」など健康効果や手軽さを前面に押し出した製品だ。筆者もその点を選択基準としていたため、それができなくなるのはチョット困るなと心配になったのだ。

「光と水」で油で揚げないヘルシー調理が可能なスチームオーブンレンジ

 ビストロにできることと具体的にあげると、以下のようになる。

800~150Wのレンジ加熱
300Wのスチーム加熱(電波とスチームで加熱。スチームは開始40秒後から発生。いちご大福など)
レンジ+ヒーター+スチーム加熱(最初に電波とヒーターで加熱して庫内をあたため、スチームヒーターで発生させたスチームと電波で食品を加熱。蒸しケーキなど)
両面グリル(レンジ+上からヒーター加熱。ハンバーグ、焼き魚、スペアリブなど)
上段グリル(上からヒーターのみで加熱。グラタンなど)
オーブン1段(上ヒーターと循環ファンヒーターで加熱。スポンジケーキ、山形パンなど)
・オーブン2段(循環ファンヒーターで加熱。シュー、クッキー、バターロールなど)
発酵(スチーム)

 なにやらかなりややこしいことになっているが、ビストロは光(赤外線)と水(過熱水蒸気)でヘルシー調理が可能なスチームオーブンレンジらしい。もちろん揚げないとんかつや鶏のから揚げも作れる。さらに上段で焼き物や揚げ物、下段で煮物や汁物を同時に作るという「合わせ技セット」というコースも用意されている。これはヘルシオで油を使わない酢豚を作ったときと同じだ。あのときも上段で豚肉のから揚げを作り、下では野菜を煮込んだが、同様の調理はビストロでも可能なのだ。

 加えて、2本の遠赤外線ヒーターと1本近赤外線ヒーター、裏面の発熱量がアップした「新・大火力ビストログリル皿」、マイクロ波の放出口自体を回転させるという「3Dアンテナ」による新「光ヒーターシステム」搭載により、ひっくり返さなくても両面こんがり上手に焼ける「両面グリル機能」を実現しているという。また、冷凍ご飯と常温のおかずといった温度の違う2品を同時にムラなく温める「2品同時あたため機能」も搭載されるなど、スタンダードな機能もかなり充実しているようなのだ。これは困るどころか、かなりのツワモノでは? と感じた。

高級感のあるデザインで、ボタン構成もシンプル

 改めてビストロ本体の仕様を見てみよう。届いたビストロはホワイトだ。外形は509×468×414mm(幅×奥行き×高さ)、庫内は394×309×225mm(同)、重さは約22.4kg。非常にすっきりとしたフォルムで、高級感・清潔感のあるデザインに好感が持てた。設置の際、背面は壁にぴったりくっつけられるのも嬉しい。ただし上部は20cm、左右はそれぞれ5cm以上の隙間が必要だ。付属品はミトン2枚、セラミックカバー1枚、かんたんガイド、角皿2枚、グリル皿1枚となっている。

天板部と排気口左側面の様子背面の様子
右側面の様子操作部と給水タンク音声ボタン、仕上がりボタン、取消ボタン
角皿は2枚付属するビストロの自動調理で大活躍するグリル皿グリル皿の表面
グリル皿の裏側付属のミトンとセラミックカバーミトンはかなり丈夫で分厚い
キッチンに置いておける「かんたんガイド」と、半分がクッキングガイドになっている取扱説明書クッキングガイドの様子

 ドアは開閉時の衝撃を抑えるソフトダンパー仕様。全面に鏡のような仕上げが施されており、自分や周辺が写り込んでしまうので撮影に難儀するほどピカピカだ。上にドアノブ、下に操作部、ドアの下には水滴や食品カスの受け皿となる「クリーントレー」とスチーム加熱に使う「給水タンク」がセットされている。

給水タンク給水タンクの給水口クリーントレーと給水タンク
給水タンクはふた全体が外れる給水タンクのカセット

 操作部には上から「自動メニューグループ」、「表示部」のほか、「音声」「仕上がり」「取消」「ダイヤル/あたため・スタート・確定」の4つのボタンが並んでいる。

 「自動メニューグループ」とはダイヤルを回すことで選択できる「あたため」から「お手入れ」までの11種類の自動調理メニューやお手入れメニューのことだ。それぞれのグループはにはさらに細かいメニューが登録されており、ダイヤル操作で選択されたグループのメニューが「表示部」に現れる仕組みとなっている。

 「表示部」はモノクロ液晶で、最初はダイヤルの回転方向を示すガイドが表示されているが、操作によって自動や手動メニュー、使用する付属品や設置位置、操作案内、レンジ出力、仕上がり調節、温度、時間などを都度表示してくれる。このとき「音声ボタン」を押すと操作の音声案内も可能だ。

 「仕上がり」ボタンは、温める際に好きな温度に合わせたいときや、自動メニューの仕上がりを変えたいときに用いる。こだわり派向けのボタンといったところだろうか。給水タンクから給水経路にたまる水を抜きたいときにも使用する。

 庫内のフラットテーブルには3つの円が描かれている。これは1品または2品調理時の置き場所を示したもののようだ。それぞれの円の中央に配置することを心がければ効果的というわけである。庫内左奥にはスチーム発生口があるので、付属のセラミックカバーは使用前に忘れずにここに被せよう。

フラットテーブルには3つの円が描かれている庫内奥には循環ファンヒーターが内蔵されている
庫内右庫内左
庫内天井部。上ヒーターが見える角皿をセットした様子グリル皿をセットした様子

 なお、拙宅のレンジ台(高さ約116cm)に乗せてドアを開けてみたところ、フラットテーブルの位置が若干高いような気がした。筆者の身長は160cmだが、少々伸び上がって覗き込む感じになるのだ。小柄な方は若干低めのレンジ台の使用をお勧めしたい。

 また、特にビストロに限った話ではないが、この手の製品を女性が設置するにはやはり重たい。しかも側面には指をかけられる箇所がない。ぜひ設置サービスなどを利用したいところだ。

基本操作は「ダイヤルを回して、押す」。ただしメニュー総なめ

 操作方法だが、基本的には「ダイヤル/あたため・スタート・確定」ボタンを回すか押すかのいずれかで完了するというわかりやすさが特徴だ。

加熱中は現在の温度が表示される初期状態の表示部メニュー選択時の表示部

 主なモードは4種類。ドアの開閉で電源が入るので、食品を入れたら「あたため」ボタンを押すだけの最も簡単な「おまかせ」モード、ダイヤルを右回転させ「自動メニューグループ」から作りたいメニューを選ぶ「自動調理」モード、ダイヤルを左回転させて「レンジ」「グリル」「スチーム」「オーブン」を選択し、それぞれで細かい設定を行なう「手動調理」モード、さらに温度を指定して温める「お好み温度」の4種類が用意されている。

 「おまかせ」モードは主にご飯やおかずを素早くパパっと温めたいときに便利なモードだ。「温度変更できます」表示中(約14秒以内)にダイヤルを回すと、温度を45~90℃までの間で変更できる。55~75℃内で選択した温度は、メモリー機能により記憶され、次回の温め時に表示される。調理中も残り時間だけでなく、食品の温度も表示されるようになっているのも面白い。

 「自動調理」モードは付属のレシピ集のメニューを調理するのに用いる。「手動調理」モードはレシピ集にはないオリジナルメニューの調理などで活躍する。


ダイヤルを右に回し、自動調理メニューを表示する。顔が映り込んでしまう造りのため、筆者の顔をモザイクで隠しているダイヤルを左に回し、手動調理メニューを表示する

 手動メニュー操作で設定可能な時間は、レンジ800Wの場合、5分までは10秒単位、6分までは30秒単位。レンジ600~300W、300Wスチーム、スチーム、グリルの場合、5分までは10秒単位、5~10分は30秒単位、10分以降は1分単位。レンジ150W、オーブン、発酵は10分までは30秒単位、10~30分までは1分単位、30~120分までは5分単位、120分以降は10分単位。

 「お好み温度」は「仕上がり」ボタンでマイナス10~90℃の間で温度を指定して温める方法だ。ご飯やカレーなどの温めはもとより、固く凍ったアイスクリームを食べやすくする、クリームチーズを室温に戻す、ベビーフードを温めるといった使い方が可能なのだ。

 調理中でもドアをあけて中を確認できる。ドアを閉め、スタートボタンを押すと調理が再開されるので安心だ。加熱終了後、追加加熱の表示中ならダイヤルを回してさらに時間を延長できる。自動メニューなら最大10分まで。仕上がりをみながら調整しよう。

 このようにメニューの選択はダイヤルの回転に頼るため、どのボタンを押せばいいか迷わない。その代わり、目的のメニューにたどり着くまでは総なめ状態となる。「自動調理」モードでも「手動調理」モードでも、離れた場所に位置するものほど選択に時間を要することになるのだ。その分ダイヤルの回転は非常に軽く、反応も早い。あまり勢いよく回すと通り過ぎてしまうほどだ。利用頻度の高いメニューほど先に配置されているような配慮も感じられる。


「仕上がり」ボタンでお好み温度を選択する

 なお、操作を取消したいとき、調理を中止したいときには「取消」ボタンを押すだけでよい。操作しないと1分後に表示部が暗くなり、ダイヤルが消灯する「自動電源オフ機能」も用意されている。

気になる自動調理メニューの中身

 気になる自動調理メニューだが、スチームを使ったあたためや、油で揚げない揚げ物、焼き魚、炒め物など盛りだくさんのメニューがそろっている。

 機能全体を確認すると、製品のキャラクタとして尖った部分はないが、全体的にそつなくまとめている印象である。次回からはあたため、解凍をはじめとした実際の使用例をご紹介したいと思う。




その1 / その2  / その3  / その4



2010年2月12日 00:00