長期レビュー

パナソニック「スチームオーブンレンジ 3つ星ビストロ NE-R3200」 その2

~痒いところに手が届くあたため機能に感動
by すずまり

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



パナソニックのスチームオーブンレンジ「3つ星ビストロ NE-R3200」

 2回目となる今回はビストロのあたため機能を中心に、実際に使用した感想をお届けする。1回目はこちらから。

えび天とかき揚げを温める

 試用していた時期がちょうど年末年始を挟んでいたため、大晦日に年越しそば用のえび天とかき揚げを温め直してみた。

 ビストロには網が付属せず、揚げ物のあたためはグリル皿を使用する。グリル皿の中央付近に天ぷら2種を配置し、上段にいれたらダイヤルをクルクル回して「フライあたため」を選択。特に設定は変更せずにスタートボタンを押した。完成までの所要時間は7分程度であった。

年越し用のえび天とかき揚げをグリル皿へ温め前の状態グリル皿はビストロの上段にセット

 かき揚げはやや焦げていたものの、海老天の衣はサクサクになっており、全体的には満足の行く仕上がりだ。ヘルシオのときに感じた凝縮感のようなものもない。油が流れ出ていたので、わずかだがカロリーダウン効果はあったかもしれない。

ダイヤルで「フライあたため」を選択温め完了時の天ぷら。えび天にはあまり変化はないが、かき揚げはやや焦げている天ぷらから流れ出た油

温められた天ぷらの様子やグリル皿の状態など

 使用後にグリル皿を流しに置いたところ、これまた感動。なんと流しに入るサイズだったのだ! この瞬間、テンションが上がった! 過去のオーブンレンジではほとんどレンジ機能しか使用しなかったのだが、その理由の1つが網や角皿が大きすぎて、使用後に洗うのが面倒だったり、乾かす場所に困ったからである。当然普段の保管場所にも悩む。つまりそのサイズを持てあましていたのだ。

食材の下を通る溝にそって流れ出る仕組みサクサクに仕上がったが、やはりかき揚げは焦げやすいようだグリル皿が流しにすっぽり納まり感動

 ビストロのグリル皿は流しにすっぽり納まるほどコンパクトなので、洗うまでの待機場所にも困らない。縦にすればよくある水切りにも入る。些細なことだがこれはかなりありがたいことだ。狭いキッチンならなおさら嬉しいのだ。

中華まんを温める

 次は温め用食材の定番と化しつつある中華まんだ。ビストロの自動メニューには専用の「中華まん」モードが用意されており、最大4個まで温められるのだ。レンジとスチーム加熱を組み合わせているらしい。今回は肉まん1個(86g)、あんまん1個(83g)の合計2個を「中華まん」モードで温めた。加熱レベルは「標準」にしてみた。

左が肉まん、右があんまん。ヘルシオのときと同じ製品である庫内中央に配置あたため関連の中から「中華まん」を選択

 重さや加熱レベルにこだわるのは理由がある。取扱説明書には「中華まんをフワっとしっとり」と題して、中華まんの上手な温め方の説明に約1ページを割いており、個数に応じた置き方や、中華まん、あんまんのサイズに応じた最適なレベルの説明までされているのだ。説明によれば中華まんは70~90g、あんまんは約90g以下なら「弱」がいいらしいのである。すなわち今回購入した中華まんは設定上「弱」にすべきなのだ。しかし「標準」にしたらどの程度になるのか興味が沸いたため、基準を知るためにも設定を変えずに温めてみたのである。

 あたため開始後しばらくすると庫内がスチームで全く見えなくなった。5分後、あつあつに温められた中華まんが完成。「標準」ではやけどせずに食べられるギリギリの熱さだった。このあたりは感じ方に個人差はあると思うので、熱すぎると感じたら「弱」にすればいいだろう。

最大4個まで、個数の指定も可能仕上がりは「標準」加熱完了

加熱開始直後からカウントダウンが始まった。ドアを開けた瞬間もっとスチームが立ち上るかと思ったが、意外に少なかった

 皮のしっとり感という点では、もう少しスチームが強くてもいいような気がした。乾燥しているわけではないのだが、十分水分を含んだとはいえない弾力で、指で押すとやや固く、皮が戻らない。皮に関してはヘルシオで温めた中華まんにはやや及ばない印象だ。

肉まんの中身あんまんの中身

 使用後の庫内は蒸気で水浸しになることもなかった。ドアの内側に水滴がついていたものの、つゆ受けにはほとんど水はなく、メンテナンスは楽である。

ドアの内側についた水滴庫内は割とドライなので、拭き取りなどの手間はほとんどいらない

冷凍焼きおにぎりと、冷蔵保存ハンバーグの2品を同時に温める

 ビストロの機能の中でも便利なのが、温度の全く違う2品を同時に適温に温めてくれるという2品同時あたため機能である。ヘルシオでは謳われていない機能なので興味津々だ。たまたま焼きおにぎりを冷凍保存していたことや、前日にハンバーグを作っていたこともあり、それらを同時に温めてみることにした。

 操作に関しては全く考える必要はなく、それぞれをテーブルの中央に並べて置いただけ。ドアを閉めたら「おまかせ」モードでスタートボタンを押すだけでいいのだ。設定温度が75℃と表示され、しばらくすると現在の温度が現れる。やがて75℃に達すると温め終了だ。

左は冷蔵保存したハンバーグ、右が冷凍保存した焼きおにぎり2品を中央に並べて配置し、おまかせモードであたため開始。途中から現在温度を表示してくれるあたため完了後のハンバーグと焼きおにぎり。生気を取り戻したような色になった

 取り出して触って見ると、どちらもほぼ同じ温度に仕上がった。温度を測ってみたところ、焼きおにぎりの中央付近が49℃、ハンバーグが53℃だった。測るまでに撮影するなど時間が経過しているので、冷めてしまった可能性は高い。どちらも温かくいただける温度で、ともに近い温度になっていることが確認できた。これは嬉しい。

焼きおにぎりの温度は49℃ハンバーグの温度は53℃これにサラダと汁物をプラスして簡単な食事が完成。実はどちらもビストロで作ったもの

 ご飯は冷凍庫、おかずは冷蔵庫の中というのはありがちなパターン。これまでは別々に温めていたがその必要がなくなるというわけだ。しかもボタンを押すだけという簡単さで、心なしか仕上がりスピードも早い。おまかせモードの温度表示も親切なので、すっかりお気に入りの機能になってしまった。これに慣れると手放したときの喪失感は大きそうである。

 ちなみに温めた焼きおにぎりとハンバーグはどもにビストロで作ったもので、第3回で紹介予定である。

飲み物が本当に70℃になっているかチェック!

 ビストロで牛乳、コーヒー、お茶などの飲み物を温める際は、テーブルの中央にカップを置いたら、自動メニューの「飲み物」を選択する。面白いのはそこで温度が表示される点だ。例えば60℃なら「60℃に温めますよ」という意味。仕上がり温度を変えたいときは、「仕上がり」ボタンを押せば35~70℃の範囲で変更できる。つまり飲み物を狙った温度にできるということだ。

 加熱中は現在温度も表示されるのだが、これがなかなか親切であり、待たされている感じを軽減する効果にもつながっていると感じる。しかし同時に本当にその温度に到達しているのだろうか? 設定温度になっているのだろうか? と疑問が生じた。そこでグラスの水を「飲み物」で温めて温度をチェックしてみることにした。

 温める前の水温は約13℃。70℃で温めたところ約1分程度で完了し、全体に気泡が浮かび上がった状態になっていた。温度を測ったところ、表面近くが68℃、底は56℃前後、中央付近は66℃であった。取り出してから撮影している間に多少温度が下がった可能性も考慮すると、加熱直後の表面温度はほぼ70℃に近い状態になっていたのではないかと考えられる。なるほど。ビストロを信じていいようだ。

グラスの水を70℃で温める温め前の水は13℃温めが完了した直後のグラスの中。細かい気泡が生じており、温度が上がったことが伺える
グラスの中央(深さ)は62℃表面付近の温度は68℃グラスの底は54℃

豚肉をスチームで全解凍してみる

 ビストロのレンジ機能は使うほどに魅力を感じる。だったら調理には欠かせない解凍機能も何か気が利いてるんじゃないか、と考えた。そこで凍らせていた豚肉のスライス(183g)を解凍してみることに。

 予感は的中した。ビストロには「スチーム全解凍」と「スチーム半解凍」が用意されているのだが、肉の重さを聞いてこないのである。これも筆者のハートをわしづかみ! これまでの機種では、肉の重さを自己申告しなければいけなかった。しかし実は重さなどほとんど覚えてはいないため適当だ。「そんなの自分で測ってよ」と思ってしまうのだ。ビストロの解凍はまさに痒いところに手が届いた感じ。

冷凍肉の解凍は、調理ではよくあること。だからこそ煩わしさは排除したいカチンコチンの肉皿に載せてテーブルの中央へ

 冷凍された豚肉を「スチーム全解凍」にかけたところ、包丁がさっくり入る程度に解凍された。昔のレンジなら部分的に白く変色することもあったが、ビストロではそんな心配はない。

解凍後の肉の様子。肉同士が簡単にほぐれるのが理想だが……。加熱不足のときは延長もできる

「解凍・ゆで野菜」で「スチーム全解凍」を選択解凍後の肉。残念ながら完全にほぐれる程ではなかった包丁はさっくり入った

親切なあたため機能にホレボレ

 ビストロが到着してからしばらく取扱説明書を見ずに使ってみた。本格的な調理をするにはある程度取扱説明書の確認は必要だろうが、ご飯やおかずを温めるのに説明書を見なければならないようでは困るからだ。すると、ビストロのレンジ機能には不思議な魅力があることに気づいた。

 まず最初に試したのは冷凍ご飯の温めだ。我が家では炊いたご飯を1食分ずつジップロックコンテナーに小分けして冷凍するのが常なので「おまかせ」モードで温めてみたのだ。

 冷凍庫からジップロックコンテナーを取り出したら、テーブルの中央にややフタを開けた状態で置き、ドアを閉じてすかさず「あたため」ボタンを押す。ボタン操作で若干待たされたヘルシオとは違い、ドアを閉じたら即座にボタンが押せたので嬉しかったが、何よりも仕上がりの早さに驚いた。速度を測ってきたわけではないのだが、体感的にちょっと早いのだ。ピーッピーッと完了を知らせるアラームを聞きながら「あれ? もうできた?」と思ったほど。圧倒的に早いわけではないが、確実にちょっと早いような気がする。

 同じことは、ホットミルクを作る際や、冷めたスープを温める際にも感じた。体感的に早いからといって温めが不十分なわけではない。触っても容器は熱くならず、中だけちょうど良い具合に温まっているのである。当初はレンジであたためはできて当然という思いがあったため、あえて言及する必要もなかろうと考えていたのだが、ビストロのレンジ機能は操作でもほとんど迷うことはなく、細かい部分への配慮がいたるところに感じられ、非常に好感が持てた。

 次回は焼き物や揚げ物関連をメインにお届けする予定だ。



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2010年2月19日 00:00