長期レビュー

パナソニック「食器洗い乾燥機 NP-TS1」 その2

~ここが困った! こう使ってます!
Reported by 阿部 夏子

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



パナソニック「食器洗い乾燥機 NP-TS1」

 前回では、食器洗い乾燥機の機種選びから導入編までをお伝えした。今回は実際の使い勝手や細かい機能などをお伝えしたい。

 まずは、NP-TS1の洗浄機能から説明しよう。食器洗い洗浄機と聞いて私がまずイメージしたのは、車の洗車システムのようなイメージ。強い水流で食器の汚れを一気に洗い流して、後は高温の温風で殺菌するのかなと思っていた。

 ところが、NP-TS1では、もうちょっと複雑な段階を踏んでいる。まず、洗剤成分を含んだ除菌ミストを庫内に充満させて、汚れを浮かす。ミストは洗剤を少量の水で溶かした溶液から出来ており、ミスト洗剤の成分が汚れにしっかり作用するという。続いて、洗剤の入っているお湯で汚れを洗い落とす。つぎに、洗剤を含まないお湯で洗い、最後に温風で乾燥させる。

 本体には標準、高温パワフルなど6種類の洗浄コースが搭載されているが、どの洗浄コースを選んだ場合でも、「1.除菌ミスト 2.洗い 3.すすぎ、加熱すすぎ 4.乾燥」という工程は変わらない。

 操作は全て、前面のパネルで行なう。操作は、本体のフタがしっかりしまった状態でないと、行なえないようになっている。ちなみに、本体を使用するときは、ガスの温水スイッチをオンにしている方が効率的に運転できるという。設置工事に来てくれた業者さんによると、この時の温度は39℃以下ぐらいがベスト。ガスのスイッチを入れない状態でも運転は可能だが、本体で水の温度を上げることになるので、消費電力が上がることになるという。

本体側面本体正面本体の開閉は正面中央の開閉ボタンで行なう
全面には排水用のホースがセットされている本体の上はちょっとした物置としても使用可能

 次に庫内を見てみよう。上下2段のカゴが設置されており、周辺にはいくつもの穴が開いたノズルが設置されている。ノズルは背面、上、下に設けられており、スチームや洗い、すすぎの際はここから洗浄液や水が放出される。ノズルの中でも一番目に付くのが「ブーメランノズル」という、中間部分と底部に配置されているもの。ブーメランのような歪曲した形で、スプリンクラーのような形で配置されている。このブーメランノズルは、特にすすぎの際に下から強力な水流を出して、食器の汚れを洗い流すという。

庫内の様子。上下2段のカゴが設けられているカゴを取り外した状態の庫内。正面、中間部分、底部にそれぞれノズルが設置されている底部のブーメランノズル。回転式になっている

 NP-TS1の庫内の食器容量は6人分。上下のカゴには、それらの6人分の食器を収納するためにたくさんの数の仕切りが設けられている。コップを収納する場所や、茶碗、平皿を収納する場所など食器の形状に応じて、置く場所がそれぞれ用意されている。6人分という庫内容量にあわせて、食器枚数のセットもそれぞれ6枚以上となっている。付属の説明書では、平皿6枚、小皿8枚、深皿6枚、茶碗6個、お椀6個、コップ6個が一度に収納できるとされている。

上下のカゴは引き出し式になっており、食器をセットするときは手前に引き出して使う下カゴの下には洗剤投入口が用意されている平皿をセットする場所
小皿や大きめの茶碗をセットする場所コップや皿などをセットする場所


なくてはならない家電製品

 さて、ここまで簡単にNP-TS1の特徴を説明してきたが、ここからは実際に使ってどうかというところをお話したい。

 結論から言ってしまうと、もう我が家にはなくてはならない家電製品になっている。人間の慣れとは、怖いモノで、導入後約半年経った今では食器洗い乾燥機がない生活が考えられないくらいだ。明言してもいいが、今使っている食器洗い乾燥機が壊れた場合、必ずもう一台新しいのを購入するだろう――

 手洗いの時に比べると、負担が大きく減った。それは時間的なものや、手肌の事に関する負担ももちろんだが、何より精神的な部分が大きい。精神的などというと、大げさにも感じるかもしれないが、働いている主婦にとって洗い物という毎日の作業が軽減されるのは、生活が変わると言ってもいいくらいの大革命だ。

 朝、出かける前にシンクに溜まった洗い物、帰宅後そのままになっている洗い物、夕食後疲れた身体にムチ打って「さぁ、やるぞ」と取りかかる。それはそのままエンドレスに毎日続くことなのだ。さぼった分はそのまま自分に返ってくる……それが一気に解決された。


庫内の食器セットは“大きいモノから小さいモノへ”

これだけ読めばとりあえず使えるという「簡単ガイド」
 というわけで、現在の使用頻度は必ず毎日の食器洗い乾燥機だが、導入直後は、いくつか戸惑うことがあった。その中でも一番戸惑ったのが、庫内への食器セットについてだ。

 導入した初日の夜、意気揚々と食器をセットしようとすると、食器がうまく入らないのだ。説明書では、6人分の食器が、あんなにきっちりと無駄なく収まっているのに、自分がセットした庫内を見るとスカスカで、夫婦二人の分の食器すら入りきらないという始末……期待が大きかっただけに、泣きそうな気分になりながら何度かチャレンジしたところ、理由が分かった。

 実は、我が家で使っている食器のほとんどは、既製品でなく手作りのもの。お皿のフチがギザギザになっているものがあれば、四方がめくれ上がっているようなものまで、形やサイズがモノによってかなりマチマチなのだ。説明書の写真を今一度よーく見ると、なるほどセットされている食器はお茶碗は全て同じ種類、平皿も、コップも同じ種類のモノがセットされている。形が同じなのでセットしやすく、無駄なく使えるということらしい。

簡単ガイドの中はほとんどが庫内の食器セットに関する説明になっている写真では同じ種類の食器が並べてセットされている

 とはいえ、メーカー側が考えたサイズや大きさの食器を皆が持っているとは限らないので、我が家のような特殊な場合でなくとも、食器のセットに戸惑う人は多いのではないだろうか。私自身、説明書で一番熟読したのが、お皿セットの部分だ。ただし、これに関しては慣れの部分もかなり大きい。

 使い続けるうちに、お皿のセットの仕方も徐々に効率的にできるようになってきた。ポイントとしては、大きめの食器を先にセットして、細々したものはその後からセットするということ。そのほかに、庫内セットで気をつけているのは以下の3点だ。

・大皿は手洗い
・ボールなどの調理器具は、食器をセットした上にかぶせる
・菜箸やお玉は最後に余ったスペースに放り込む

 正直、最初は庫内のセットが上手くいかなくて、「購入したのは失敗だったかも」とすら思ったが、今では、これでもかというくらい、キッチリと庫内に食器を詰め込んで使っている。

使用頻度は夜に1回。五徳やシンク周りの小物まで一度に洗える

 何度も言うようだが、NP-TS1の庫内容量は6人分。夫婦2人暮らしの我が家にとっては、明らかに大きめのサイズだ。が、今のところ、サイズをもてあますというようなことは一度もない。使用パターンとしては、朝は食器をそのままにして、夕食を食べ終わった時点で一度運転させるというのが我が家の定番だ。昼食に持参したお弁当箱までしっかりその一度でカバーできてしまう。

 1日自宅にいるような休日の場合は、朝に一度、夜に一度というのが定番。ただし、その場合は平日に汚れたシンク周りの石けんトレーなども一緒に庫内に入れて洗ってしまう。その結果、我が家のキッチンは導入後の方が明らかに清潔になった。実は我が家ではがガスレンジの五徳や、排水溝のトレーまで食器洗い乾燥機に入れて洗ってしまっている。もちろん事前に大まかな汚れを洗ってからいれているが、高温でしっかり洗浄してくれるので、油のベトつきがしっかり落ちて衛生的に使えるのだ。

ガスレンジ周りの五徳も、大まかな汚れを取って洗うシンク周りの小物も、スペースが余っていたら一緒に洗ってしまう油のベタ付きが気になる五徳も高温でしっかり洗浄するので、衛生的に保てる

 導入前は、核家族が多い現代において、6人分や5人分の容量が主流の食器洗い乾燥機を不思議な存在だと思っていたが、我が家のように1日1回という使用パターンから、6人分の食器を毎回洗いたいという人まで、使用シーンは様々に考えられる。実際使い始めると庫内容量が足りないと感じることはあっても、大きすぎると感じることはほとんどない。

 というわけで今回は、導入直後の所感を中心にお伝えした。次回は、実際の洗浄能力やコースの使い分けについて、お伝えしたい。




2009年5月19日 00:00