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家電製品レビュー
東芝「DWS-600A」

~大きな鍋が洗いやすい食洗機
Reported by 本誌:伊藤 大地

DWS-600A
 食器洗い乾燥機(食洗機)は、なかなかブレイクしきれずにいる生活家電だ。高価な生活家電が市場を賑わす最近にあっても、市場全体で前年割れが続いている。

 約60%のシェアを持つナショナルが「子育て家電」のキャッチフレーズのもと、市場を牽引している一方、ほかのメーカーはというと、新製品のリリースが2年近くなかったり、あるいは食洗機事業から撤退していたりと、寂しい状況が続いていた。

 そんな中、2006年夏、東芝が送り出した新機種が「DWS-600A」だ。DWS-600Aは、スチームで汚れをはがす機能や、業界最速という59分の洗浄/乾燥運転がウリになっている。

 今回は、初めて食洗機を購入するという視点で、本機をレビューしたい。


設置場所。もともとここには食器カゴがあった
分岐水栓を取り付け。TOTOの湯水混合栓タイプだ
設置完了。若干、シンクの枠をはみ出しているが、きちんと水平に設置できた

レイアウトの自由度が高い庫内

 まず庫内をみてみよう。水を噴射するノズルは、底面の左右にブーメラン状のノズルが2本と、奥の壁沿いに十字の1本、合計3本。ここから水を噴射し、食器の汚れを落としたり、すすいだりする。

 一方、食器を乗せる棚は、向かって左側に2つ、右側に1つ付いている。左右上段の棚は「湯飲みルーム」、左下の棚は「コップルーム」となっている。壁際の十字ノズルは、湯飲みおよびコップの口に向けて水を発射するように、ノズルの角度が調整されている。


購入直後の庫内。左に2つ、右に1つ棚が付いている
棚は取り外し可能。すべて取り外すと、空間を広く使える
残滓フィルター。食器に付いていた食べ物のかすなどがここに集まる

 次に大きな食器を収納するメインルームを見ていこう。メインルームは向かって右側が径の大きな皿類など、左側が茶碗やお椀など深みのある食器を洗うスペースだ。カゴには食器を立てかけるピンが設置されているが、DWS-600Aではこのピンの一部が可動式になっている。実はこの可動式のピンこそ、DWS-600Aの最大の特徴と言ってもいい。

 通常、食器を立てかけるピンはカゴに固定されており、その間隔を変えることはできない。そのため、ご飯茶碗は立てかけられるけど、丼は径が大きすぎて立てかけられない、というようなことが頻繁に起こる。立てかけられない丼はどうするかというと、口を下にして寝かせることになる。そうすると、庫内のスペースを取り、ほかの食器が入らなくなる可能性がある。また、洗い上がりや乾燥の効率から考えても、食器は立てかけて収納したほうが望ましい。

 そこでDWS-600Aでは、左側のカゴに可動式のピンを設けてピン同士の間隔を、「標準」「ラーメン鉢用」「どんぶり用」の3種類から選べるようにしている。一方、右側は皿を立てかけるピン自体が寝かせられるようになっている。これにより、ある時は皿を立て、またあるときは左側に入りきらなかった丼を置く、というような、柔軟な使い方ができるわけだ。

 DWS-600Aを3カ月間、実際に使用して一番気に入っているのは、可動式ピンをはじめとした庫内のレイアウトの自由度だ。左2つ、右1つの棚や小物入れは取り外しが可能なため、すべての棚を取り払ってしまえば、柄の付いたフライパンとおでん鍋を同時に洗うことも不可能ではない。


間隔を広くした状態。丼などもこれなら立てかけられる。青い大きな部品がノズル。右側の小さな部品がスチーム発生ユニット
間隔を狭くした状態

皿立てピンを立てたところ
ピンを寝かせたところ

 実際、我が家では食後にまず、棚を外した状態で、炊飯器の内釜と、おかずの調理に使った鍋やフライパン、グリルの下皿など大物を一度に洗ってしまう。その後で棚を追加し、食後に飲んだお茶の湯飲みやコーヒーカップ、茶碗など小物を洗うようにしている。

 なお、スペック値では洗浄できる食器点数を最大61点としているが、これはあくまでも同じ形の茶碗や皿、湯飲みなどをキレイに並べて洗った場合の話だ。現実には、調理器具やら不揃いの食器やらを洗うことになるため、61点入ることはないといっていい。

 我が家でも、2人分の夕食後の片付けになると、前述のように鍋や内釜も洗うため、2回に分けて洗っている。もしこれから、食器洗い洗浄機の購入を検討しているのならば、家族の人数にかかわらず、大きなサイズのものを選ぶことを強くお勧めする。


食後すぐに洗うなら「標準」で十分

操作パネル。ほとんどの場合、電源を入れて「スタート」を押すだけで、難しい操作はない
 さて、次は洗浄機能について解説しよう。

 基本的な洗浄モードは「標準」「少量」「低温」「スピーディ」「がんこ汚れ」「おやすみ」の6種類。大まかな行程は、スチーム噴射(3~5分)→高濃度洗浄(2分)→洗浄(5~25分)→すすぎ(13~36分)→乾燥(0~60分)という流れになる。

 スタートから終了までにかかる時間は、給水温度20℃の場合、標準が約59分、少量が約56分、低温が約106分、がんこ汚れは約88分、おやすみが約74分。このうち、「スピーディ」は、スチーム噴射と高濃度洗浄の行程を省き、いきなり洗浄に入ることにより、運転時間が最短で約16分と、大幅に短縮されている。

 この機種の特徴となっているのは冒頭の「スチーム噴射」だ。洗浄前に高温のスチームを食器に当てて、汚れを浮かす仕組みだ。運転前にまずスチームを当て、その後、通常の2倍の濃さの洗剤溶液で洗浄する「高濃度洗浄」を行なうことで、大まかな汚れを落とす。次に時間をかけて通常の洗浄を行ない、細かい部分を洗うイメージだ。

 DWS-600Aではスチームの発生量を従来機種の1.3倍としたことにより、全体の運転時間を短縮。61点の食器の洗浄/乾燥にかかる時間が約59分と、現在のところ業界最速となっている。

 洗浄終了までの時間は、操作パネルにあるインジケータに「残り~分」という形で表示される。この機能は、連続して洗浄を行なう場合に便利だ。標準モードを使用した場合、乾燥時間にもよるが、だいたい1時間程度なので、イメージとしてはテレビ番組を1本観るとちょうど終わるといった感じだ。


食器をセット。鍋を入れるため、左側の棚を取り外した 洗剤はフタのくぼみに入れる 食洗機で使える洗剤は食器洗い機専用のもののみだ

 初めのうちは、いろいろなモードを試しながら使っていたのだが、1カ月くらい経った頃から、ほとんど「標準」で済ませてしまうようになった。というのも、ほとんどのケースが、「標準」で事足りてしまうからだ。もちろん、来客があってグラスを多く消費したときに「スピーディ」を使ったり、ごく少ない量のときに「少量」を使うことなど、例外はある。

 しかし、今日は油ものを食べたから「がんこ汚れ」にしよう、というケースは皆無と言っていい。逆に言えば、油ものやカレー、魚焼きグリルのトレイなどでも「標準」で普通に洗えてしまう。

 その理由は、大きく分けて2つある。まず第一に、高温のスチームや温水で洗浄するという、食洗機そのものの能力によるところ。

 もう1つは、使い手側の変化、つまり、使い終わった食器を放置することなく、すぐに食洗機で洗うようになったということだ。多くの人に経験があるだろうが、手洗いの時はどうしても面倒で、食休みをしてから、とか、このテレビが終わってから、などと洗う作業を先延ばしにしがちだった。しかし、洗う作業が自動化されたことにより、「面倒でないのですぐに食洗機にセットする」→「すぐに洗う」→「汚れが固まっていないうちに洗うので落ちやすい」→「標準モードで十分」となるわけだ。


棚をすべて外して大きな物を洗える
小物立てを外せば、鍋も楽に入る
きれいに洗えた

 というわけで我が家では、前述のような例外的なケースでのみ「スピーディ」や「少量」を使うほかは、8割方「標準」で洗っている。

 余談だが、一度、シチューを煮込みすぎて焦がしてしまったことがある。そのとき「がんこ汚れ」で洗ってみたが、こびりついた焦げはさすがに水とスチームの力だけでは落ちず、結局、金属のヘラと金属のたわしでこそぎ落とした。食器洗い機で洗える範囲は、食器洗い用のスポンジよりは広いが、限界もあるということだろう。


洗浄力は問題なし

写真ではわかりにくいが、庫内でスチームが発生し、窓が曇っている
 我が家では食洗機の節水効果を最大限、享受するため、あらかじめ食器に水を通したりせず、食べ終わったままの状態でDWS-600Aに放り込んでいるが、洗い上がりについて、大きな不満はない。脂ものやカレー、ミートソース、納豆を混ぜた容器、炊飯器の内釜など、手で洗うのが大変なものもきちんと洗浄されている。

 3カ月間で2度、茶碗の端にこびりついた米粒のかけらが取り切れずに残っていることがあった。

 だが、これにはそれなりの理由がある。1度目は、まだ食器の配置に慣れておらず、茶碗の上に、ボウルを被せて配置したことがまずかったようだ。きちんと水がかかっていなかったのだろう。

 2度目は茶碗をピンに立てるとき、雑に作業をしたため、洗浄の際の水圧でひっくり返ってしまっていた。いくら洗浄力が強くても、洗う面が上を向いてしまっていては、効果がない。これら2度の失敗を経験した後は、気をつけて配置するようになり、同じ現象は起きていない。

 洗い残しが心配で、食洗機の導入を戸惑っている人は多いと思う。しかし、3カ月使い込んだ今、少なくともその日に使った食器をその日に洗う限りにおいて、洗浄力を心配する必要はない、とはっきり言える。家人も「結局、手で洗い直さなきゃいけないんじゃないの」と性能を疑っていた1人だったが今は、「これがない生活は考えられない」と言っている。

 参考までに触れておくと、手洗いと違う点として、ガラス製品を洗った際、微少な白いシミが見られることがある。これはDWS-600Aに限らず、食洗機全般について起こる現象で、すすぎに使った水に含まれる成分が乾燥の際に結晶化し、グラスの表面に付着したものだ。指でこすったり、水で流せばすぐ落ちるシミだ。見た目上の問題だけで、実害は全くない。

 もし、来客用のグラスなど見た目にも配慮したい場合は乾燥機能をOFFにして、自然乾燥させてやると手洗いのとき同様、シミがなくきれいに仕上がる。


動作音が気になる場合はタイマーを

【動画】洗浄時の音。間欠的に「ジョーッ……ジョーッ」と鳴る(WMV形式, 1,3MB)
 食洗機を導入して、もっとも気になったのは洗浄時の動作音だった。これまでにない音が増えたため、慣れるのに時間がかかったのだ。

 DWS-600Aの動作音は、連続的に「ウィーン」や「シャー」という音が鳴るタイプではない。水を吹き出すタイミングにあわせて間欠的に「ジョーッ……ジョーッ」という感じの音がする。洗濯機にしろ、掃除機にしろ、たいていの生活家電は、動作音が連続的なので、慣れやすいのだが、間欠的な音は、静寂と騒音が交互にくるので、音が耳に付く。

 特に我が家の場合、LDKになっており、設置場所とくつろぐスペースの距離が3mほどと近い。食後にDVD鑑賞などをしていると、画面に集中できなくなるので、タイマー運転で鑑賞時間を回避するように設定している。

 タイマー機能は何時間後に運転を開始するか設定するタイプで、1時間から最大9時間まで、1時間刻みで設定できる。

 ちなみにこのタイマー機能、人によって大きく受け取り方が違うようだ。私の場合は、前述のように音が気になるので、たとえば夕食の分を、朝起きる時間にあわせて9時間後に設定すればいい、と思っているのだが、どうも家人はそうではないらしい。手洗いの時同様、汚れが乾かないうちに洗いたい、汚れた食器を一晩寝かすのは気持ち悪いという。

 また、洗浄モードについて触れた際、「すぐに洗うから標準でも十分」と書いた。では、すぐに洗わなかったら、「標準」では落ちないのか。時間が経過した食器を洗ったときと、すぐ洗ったときで洗い上がりに差が出るかどうか、試してみることにした。

 スパゲッティ・ミートソースを食べた際、1人分は食事終了直後に、もう1人分はタイマー設定で翌朝に予約して、標準モードで洗浄してみた。食器は揃えてあるので、両方とも条件は同じだ。タイマー洗浄する方は、9時間後の指定なので、完全にソースが固まっている。手洗いだと、しばらく水につけておかなければ苦労する汚れだ。

 このほか比較用に、使用直後のしゃもじと9時間放置したしゃもじ、お茶を飲んだ直後の湯飲みと、お茶の成分が底にたまった湯飲みなどで試した。

 結果は、しゃもじは9時間放置した方に、3粒ほど固まったご飯粒が残っていたものの、ミートソースの皿と湯飲みに関しては、洗い上がりに差を感じることはできなかった。


ミートソースを9時間放置した皿。これを「標準」で洗ってみる
洗い上がりに問題はなかった

 このテスト結果からすると、洗い上がりだけを追求すれば、すぐに洗った方がいいことは確かだ。しかし、両者の差はごくわずかで、決定的な差というほどのことではない。複数回同じ条件でテストしたら、結果が違う可能性もあるくらいの微妙な差だ。

 音をストレスに感じる人ならば、タイマーを使うメリットの方がはるかに上回るだろう。もし、タイマーの利便性と洗浄力の双方を得たいのならば、タイマーと「がんこ汚れ」モードを併用するというのもアリだ。

 このあたりは、「汚れたものを置いておくのはイヤ」「音がうるさいのが気になる」など、人によって受け取り方が異なる。実際に使っていく中で、自分の感覚や生活スタイルにあった運用方法を編み出していけばいいだろう。


食洗機がきてから確実に幸せになった

 以前、本誌で掲載した但見裕子氏のレビューにもあるが、食洗機を導入してから確実に我が家の食後の過ごし方が変わった。

 改めて気づかされたのは、食後の皿洗いは自分がやるにしろ、家人がやるにしろ、心理的な重荷であったということだ。これまで自分で皿を洗う機会は少なかったが、かといって、皿を洗う家人を横目に、寝っ転がってビールを飲んだり、ゲームをしていたわけではない。なんとなく落ち着かない気持ちのまま、テレビを見るともなく眺めたり、ウロウロしていたわけだ。

 それが今は洗いものは食洗機に任せて、家人と一緒になってテレビを観られるようになった。この差は非常に大きい。かつて洗濯機や冷蔵庫がそうであったように、食洗機が家庭生活を大きく変化させる可能性を持った機械であることがよくわかった。

 特に家庭を持つ人にぜひ、一度試していただきたいと思う。





URL
  東芝コンシューママーケティング株式会社
  http://www.toshiba.co.jp/tcm/
  ニュースリリース
  http://www.toshiba.co.jp/tcm/pressrelease/060615_j.htm
  製品情報
  http://www.toshiba.co.jp/living/dishwashers/dws_600a/index_j.htm

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ナショナル 食器洗い乾燥機「NP-BM1」(2006/10/02)



2007/04/16 00:04

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