カデーニャ

ボタン押し代行ロボット「マイクロボットプッシュ」のタイマーを徹底的に活用!

IoTというワードが広く普及するのに伴って、新しい機軸の家電を見かけることが多くなってきました。音声で操作ができるスマートスピーカー、外出先から操作できるエアコン、スマートフォンを使って玄関の鍵をロックできるスマートロックなど、IoTを活かして生活を豊かにできる新製品の数々は、その情報を見聞きするだけでも心が躍ります。

その反面、現実問題として既に生活に十分な家電が家にある場合、すべてをこうした新製品に買い替えるのは金銭的に無理があるのではないかと思います。少なくとも私の場合はスマートスピーカーを数種類購入するのが精一杯で、とても高級なエアコンや冷蔵庫などは購入できません。つまりほとんどの家電は次に壊れるまでは既存の物を使い続ける必要があるのです。

こうした既存の家電を少しでもIoT家電のように使ってみようと考えた時に、最大の課題となるのは物理的な操作です。ただ押すだけで操作できるリモコンや、電灯のスイッチは説明書を読まなくてもすぐに誰にでも扱えるシンプルさがある反面、こうした機器をIoT家電のようにインターネットから利用するには、とにかくシンプルに物理的に押すだけの機構が必要になってきます。

そんな需要を満たすために登場したのが、今回紹介する「マイクロボットプッシュ」です。本製品ができることは非常にシンプルで、単に物理的に押してあげるだけ。シンプルなアナログ動作を再現するものだけに、用途は人によって異なりますし、大げさに言えば無限の可能性がそこにあります。

カデーニャの連載コーナー「家じゅうまるごとIoT化計画!」では、@@link| https://kaden.watch.impress.co.jp/docs/kadenya/archive/1127677.html
|マイクロボットプッシュを使ってお風呂を沸かす使い方を紹介|n@@していますが、こちらはマイクロボットプッシュに搭載されたタイマー機能を駆使した使い方を紹介します。

マイクロボットプッシュでSNSにタイマー投稿!

最初に試してみたのは、決められた時間に自動でSNSに投稿アクションです。パソコンのプログラムを自分で組める人であれば簡単に実現できそうな機能ですが、これを使えばプログラミングを勉強しなくても、だれでも手軽に決められた時間にSNSに投稿することができます。用途としては誕生日の0時ちょうどなど日付の変わるタイミングで投稿したり、夜明けの時間に突然投稿してフォロワーの人たちを驚かせるなどが考えられます。とはいえ、ミステリーのアリバイのトリックとして使うにはあまりにチープなのでおすすめはしません。

やり方は非常にシンプルで、PCを起動して投稿したいSNSを開きます。投稿する内容をあらかじめ書いておき、マウスカーソルを投稿ボタンに合わせます。あとはマイクロボットプッシュをマウスボタン上部に配置して、タイマーの時間をセットするだけです。

マウスボタンの真上にマイクロボットプッシュを設置

注意ポイントは本番の投稿前にマイクロボットプッシュの位置を調整しておくこと、またセッティングの際にマウスカーソルをきちんと投稿ボタンに合わせることくらいです。動画でも紹介いたしますが、深夜の12時37分に無事、謎のツイートをさせることができました。

マイクロボットプッシュを使ったTwitterの自動投稿

マイクロボットプッシュを設置する際の最大のポイントは、押したい物との高さをどのように調整するか、また、押した際の反動や、押されるボタンの遊びや反応など、環境に合わせて調整が必要な点です。何しろすべてが物理的な話になるので、位置の調整などは全て手探り、位置が正しくてもボタンが反応するより早く、マイクロボットプッシュが浮いてしまったり、押しが強すぎて、折角ジャストの位置に合わせたマイクロボットプッシュがずれてしまったりと様々な事象が発生し、こればっかりは毎回手探りで調整していくしか方法がありません。

勝利の鍵はフレキシブルアーム型スマートフォン用スタンド

今回はいろんな物をタイマーで動作させてみましたが、前述のポイントの中でも、特にマイクロボットプッシュをどのように固定するかが最大の課題となりました。マイクロボットプッシュの付属品には両面テープやマジックテープなどが用意されていましたが、粘着物を使って固定してしまうと、後で剥がすのが大変になるため、ちょっとした位置の変更などでも、苦労する事になります。また、高さ調整用パーツも付属しているのですが、パーツ数が少ないため高さが全然足りないのが残念でした。

そこで今回目をつけたのが、スマートフォンを固定するのに使用するスタンドです。手元に普通のアーム型とフレキシブルアーム型の2種類があったので、SNS投稿にはフレキシブルアーム型スタンドを使用してみました。フレキシブルアーム型スタンドの利点は、アームを自在に動かせるため、設置時の自由度が高いことです。

その反面、フレキシブルアームその物は1度形を決めれば非常に固いのですが、スマートフォンを掴むクリップ部や、ベース固定用のクリップなど、ちょっとの力で動いてしまう部分が多いため、しっかり固定したつもりが、マイクロボットプッシュの押す力であっさりズレてしまう場合があるのが難点でした。可動部をなるべくしっかり固定したり、マイクロボットプッシュの押す方向に向かって力が向くようにアームの向きを調整することで、反動に耐えて正常に動作させる事ができました。

電灯やエアコンをタイマー操作

続いて、もう少し実用的な使い方を試してみました。1つは電灯のリモコンを操作して、タイマーで電気を点ける使い方、もう1つはエアコンのリモコンを操作して、タイマーでエアコンを稼働させる使い方です。どちらも1人暮らしではあると便利だけど、そのためだけに電灯やエアコンを買い替えるのももったいないと思っている人には有効な使い方です。電気をタイマーで点ける方法は、旅行や出張などで長期の間家を空ける時に、家に誰かいるように見せられる防犯対策としても有効です。

年季の入ったリモコンで申し訳ない

これらの使い方をする上での注意点は、設置場所できちんとリモコンが動作するかを確認することです。最初はPCが置かれてる場所にリモコンを固定して試してみましたが動作せず、何が悪いのかと確認していたら、そもそもPCの置かれた場所では、エアコンや電灯のリモコンが正常に動作していませんでした。ゴチャゴチャした部屋なので遮蔽物が多く、エアコンの信号をさえぎっていたため、エアコンと電灯のリモコンがどちらも正常に動作することが確認できた、ベッドの上にリモコンとマイクロボットプッシュを持っていくことで解決しました。

今回はベッドの上ということで、マイクロボットプッシュだけでなく、リモコンの固定も必要になるため、先ほども使用したフレキシブルアーム型スタンドのほかに、普通のアーム型スタンドも併用して設置しました。

天井に張ってある突っ張り棒にフレキシブルアーム型スタンドを固定してリモコンを設置した

ベッドの柵の部分に普通のアーム型スタンドを使ってリモコンやマイクロボットプッシュを固定し、天井からフレキシブルアーム型スタンドを使って同じように固定させました。

ベッドの柵には普通のアーム型スタンドを使ってマイクロボットプッシュを固定
マイクロボットプッシュを使ったエアコンの自動操作
マイクロボットプッシュを使った電灯のタイマー起動

今回は先ほど試していたこともありスムーズに位置が固定できました。注意点としてはベッドの柵に設置していることから、ベッドの出入りの際に位置がずれる可能性があるため、常用する場合には出かける前に位置の確認が必要になることくらいでしょうか。

電気のリモコンとマイクロボットプッシュがほとんど接触するくらいの距離感

夢のドラクエ11自動レベルアップ! は見事に失敗……

最後に趣味の一環として、国民的ロールプレイングゲーム「ドラゴンクエスト11」(ドラクエ11)」を、マイクロボットプッシュを使ってサクサク99レベルまで上げてみようと思い、試してみることにしました。

なお、ドラクエのようなコマンド選択式ロールプレイングゲームでは、ボタンを押しっぱなしでもコマンドが入力されたことになるガンガン先に進められるものと、1回1回、押したら離さないとコマンドが押された事にならないタイプがあります。ドラクエ11は後者のため、連続でバトルする場合もボタンの押し離しが必要なため、マイクロボットプッシュを試すがありそうです。

今回も設置は非常にシンプルで、ニンテンドー3DSをテーブルに置き、その上にマイクロボットプッシュを置くだけです。1台しかないマイクロボットプッシュをどのボタンに割り当てるかですが、ドラクエ11の場合、フィールド移動時にAボタンを押しても敵が近くにいなければ特に動きに変化はなく、Aボタンを使うのは戦闘中の決定のみのため、今回はAボタンの上に設置しました。そういうわけで、戦闘時に複数のボタンが必要な場合、その分のマイクロボットプッシュが必要になります。

マイクロボットプッシュとニンテンドー3DSとの距離感がちょうどよかったので、布製ガムテープを使用して固定
これまでと同じようにフレキシブルアーム型スタンドを使っても同じように設置できた

事前の動作確認では正常にボタンが押せており、ズレなどもなく連続で押すことができたので、いざタイマーの設定を確認してみました。ところが、タイマーの設定はよく見ると、分単位でしか設定ができないことに気が付きました。ドラクエ11の戦闘では、AIによる自動戦闘が可能なので、敵と遭遇して1回押せば1ターン分の戦闘は1ボタンで済みます。しかし戦闘終了後のメッセージを進める時もボタンを押す必要があるため、1分に1回しかボタンが押せないと、1回の戦闘を終えるのに最小でも2分、最大では10分近くかかってしまうことになります。

それでも一晩分のタイマーをセットすれば解決できるかと思い、タイマー設定をどんどん増やしていきましたが、6個目のタイマー設定を入れようとしたところで、アプリ側から「アプリ上のタイマー設定は最大5個までです」という無情なエラーメッセージが出てしまいました。タイマー設定が5つですと、運が良くても1日2回しか戦闘ができないため自動になりません。挑戦失敗です。ゲームオーバーです……。

タイマーは最大で5つまで。また、1分ごとに動作するように5つのタイマー設定を登録したらどれも動かないという困った事象も発生した

そもそもマイクロボットプッシュのタイマー設定には、曜日の繰り返し設定はあるのですが、何分ごと、何秒ごとなどの細かい設定が用意されていないため、今回のような要件には向いていませんでした。今後のアップデートで何分ごとに動作、のような設定が追加されれば今回のようなチャレンジも可能になりますので、期待したいところです。

ちなみにマイクロボットプッシュアプリのチュートリアルを見ていたら、周辺機器の「プロタ S」を併用することで、インターネット経由で外出先などからの操作以外に、予約設定や自動化設定などの、その他多様な機能が使えるようなので、ひょっとしたら「プロタ S」もセットで使ってみたら、ある程度改善できる部分なのかもしれません。この辺は購入した際に試してみたいところです。

6つ目のタイマー設定を追加しようとしたらエラーが発生。ここにもプロタを使うように指示が出ている
プロタを使う事で利用可能になる機能が一覧になっていた。その他多様な機能が何かは気になるところだが、自動化設定は一度試してみたいところ

なお、オンラインゲームの場合このような自動での動作を「BOT」と呼び、利用規約で禁止している場合が多いです。もしサービスの運営会社からBOTと判断されてしまうと、規約違反でアカウントが削除される場合などがありますので注意してください。

以上、一通りマイクロボットプッシュで遊んでみました。今回は思いついたことを一通りやってみた、と言う感じですが、現実にはスイッチなどの何かを押さないと動作しない機器は世の中にまだまだたくさんあります。こうした機器を手軽にタイマー動作させられるのは厳密なIoTの言葉の意味とは異なりますが、不思議なIoT感が得られて面白いです。

プロタ Sを使う事で正に文字通りのIoT化となり、更に用途が広がるので、この辺も近いうちに試してみたいところです。

この記事は、2018年2月27日に「カデーニャ」で公開され、家電Watchへ移管されたものです。

池紀彦