カデーニャ

製品の安定性を追求するために重要な「エイジング」

エイジング

 時を経る、経年という意味を持つ「ageing」。美容や飲食といった分野でも用いられることがあるが、ハードウェア業界においては製品を一定時間動作してその間は不具合無く動作するかを確認することを指す。

 ソフトウェアであれば、プログラムが正しく組まれていれば、基本的には正しく動作するはず。もちろんハードウェアも、仕様書通りに正しく製造されれば問題は起きない、はずなのだが、実際にはさまざまな要因で不良品が発生するのが実情だ。

 ソフトウェアと同様にヒューマンエラー的なミスが原因の場合もあれば、そもそもの部品に不良品が混入している場合もある。こうした問題であれば、製品出荷前のテストで該当の製品を見つけることもできるが、問題は「長時間に渡って連続で動作したときに発生しうる不具合」だった時だ。

 可動部の多いパーツであれば、何度も繰り返し稼働することで摩耗する可能性もある。また、データを書き込む場合は、一定の確率で書き込み時にエラーが発生してしまい、製品が破損する可能性もある。このように長期間使わなければ発生しない不具合を確認するために重要なのがエイジング、というわけだ。

 エイジングといっても特段の難しい作業を行なっているわけではなく、製品に対して最大負荷状態での利用方法を一定時間継続している。また、ユーザーの使用状態をシミュレートするための専用のソフトを起動したり、外部PCからのコントロールやステータスを監視することで不具合がある場合は短時間で判断できるような工夫も行なっています。

 とはいえエイジングはどこまで行なうのかは非常に難しい。3日間に渡ってエイジングして問題がなくとも、1週間続ければ発生するのかもしれないし、もしかすると1カ月かけると発生するのかもしれない。とはいえ、エイジングに時間をかければかけるだけ製品は出荷できず利益も上がらない。どのタイミングでエイジングを終了して良品とするかは、メーカーとして非常に重要な判断といえる。

 せっかく購入してもらった製品をできるだけ長く使って欲しいが、部品の寿命も永遠ではなく、いつか、故障するタイミングはどうしてもやってくる。メーカーとしては少なくとも自社で定める保証期間内に故障が発生しないよう常に気を配っているのだ。

この記事は、2017年12月26日に「カデーニャ」で公開され、家電Watchへ移管されたものです。

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