家電トレンドチェッカー

戸建て住宅や大掃除で活躍する高機能サイクロン式掃除機をチェック!

大掃除や戸建て住宅ではやっぱりキャニスター掃除機が必要!

ダイソンのサイクロン式掃除機「DC63MH」のカットモデル

 スティッククリーナーの台頭により、ちょっと存在が薄れがちなコード付のキャニスター掃除機。とはいっても、2階がある戸建て住宅や、これからの時期気になる大掃除では、やっぱりコード付きのパワフルな掃除機が活躍する。

 キャニスター掃除機を大きく分けると、紙パック式とサイクロン式の2種類。紙パック式は、吸い込んだ空気とゴミをフィルターで濾して、ゴミだけを紙パックの中に集めるというもの。ゴミを捨てる時は、紙パックだけを取り出せばいいので楽だが、その一方、目詰まりしやすく、紙パックの中にゴミが溜まってくると、吸引力が落ちるという欠点もある。

 サイクロン式は英の掃除機メーカー、ダイソンでよく知られているが、遠心分離でゴミと空気を分離して、ゴミだけを取り除くという方式。ダストボックスに溜まったゴミをそのまま捨てるので、紙パックを交換する手間がなく、吸引力も落ちにくいというのが特徴だ。ただ、複雑な機構を搭載しているため、紙パック式より本体が重く、高額だ。

 どちらの方式も利点、欠点があるが、2014年の高機能掃除機はサイクロン式に集中している。というわけで、今回のトレンドチェッカーでは最新のサイクロン掃除機をチェックしてみよう。

紙パック式がない=サイクロン式は間違い

 サイクロン式掃除機と一言で言っても、実はサイクロン風やなんちゃってサイクロンの掃除機も多い。紙パック式がない=サイクロン式だと勘違いしている人、あるいはメーカーもあるが、それは間違いなので注意。サイクロンとは、竜巻のような高速気流を起こし、遠心分離によってゴミと空気を分離する機構のことだ。

 例えばダイソンの最新の掃除機では、円筒形のサイクロン機構を24個搭載している。円筒形の中ではそれぞれ高速気流を起こして、ゴミと空気を細かく分離、サイクロンの数を増やしたことで、従来より小さなゴミも分離できるようになったという。

 最近はさすがに少なくなってきたが、大きなダストボックスにただゴミを吸い込んで、フィルターでゴミと空気を分けるという単純な構造ながら、サイクロン式と謳っている製品もある。この方式だと、当然フィルターにゴミがたまるだけで、1回使うだけですぐに目詰まりして、吸引力が一気に落ちてしまう。

 ここでポイントとなるのは、サイクロン式とは本来フィルターを使わなくても空気とゴミを分離するので、吸引力を維持できるということ。とはいえ、最近の掃除機は排気のきれいさも重要視するため、サイクロンで分離しきれなかったごくごく微細なゴミをキャッチするためのフィルターはどの製品も搭載している。ただし、それを頻繁に掃除する必要があるならば、サイクロン機構の性能を疑った方が良い。

アタッチメントの数や性能もチェック

 高価格製品ならではの特徴が、アタッチメントの多さ。特に最近チェックしたいのが、布団掃除用ブラシの有無。布団掃除専用の掃除機などでにわかに脚光を浴びた、布団掃除だが、個人的には専用機をわざわざ用意する必要はないと思っている。先に述べたように、最新のサイクロン掃除機は、かなり微細なゴミまで取り除くことができるが、布団掃除専用の掃除機ではそこまでの性能はない。つまり、使っているうちに吸引力は落ちてくるし、こまめなお手入れが必要となる。

東芝の「トルネオV VC-SG514」には数多くのアタッチメントが付属する

 とはいえ、床を掃除した掃除機で、布団の上を掃除するのは嫌だ。そこで、活躍するのが布団掃除専用のアタッチメントだ。床を掃除する時とは違う吸い口でしっかり布団掃除ができる。これからの大掃除を考えたら、冷蔵庫の下やエアコンの上も掃除できるようなアタッチメントがあると、さらに嬉しい。

 今回紹介するのは、以下の6機種。アタッチメントの種類や性能については、いずれも各メーカーの製品情報ページで確認できる。

メーカー名製品名本体サイズ
(幅×奥行き×高さ)
重量集じん容量消費電力アタッチメント数実売価格
パナソニックプチサイクロン MC-SR520G238×293×296mm2.7kg(4.6kg)0.25L380~850W2個52,450円(Amazon)
三菱電機風神 TC-ZXD30P216×357×283mm3.7kg(5.3kg)0.9L600~850W2個45,980円(Amazon)
シャーププラズマクラスターサイクロン掃除機 EC-VX600257×308×293mm3.4kg(4.9kg)0.35L270~850W3個56,800円(Amazon)
東芝ライフスタイルTORNEO V VC-SG514220×322×267mm3.2kg(4.6kg)0.4L300~850W6個59,800円(Amazon)
日立アプライアンスパワーブーストサイクロン CV-SA700240×336×290mm3.6kg(5.1kg)0.4L190~950W3個52,448円(Amazon)
ダイソンDC63 モーターヘッドコンプリート193×361×253mm2.75kg(4.97kg)0.5L?~1,150W4個77,576円(Amazon)

使い勝手にこだわる東芝のトルネオV

東芝「トルネオV VC-SG514」

 東芝ライフスタイルのトルネオVは使い勝手にこだわる。使用時の操作性を向上させるために本体はもちろん、ヘッドや延長管の重さまで見直した。ねじれにくホースを採用するなど、使った時の軽さや引き回しのしやすさは群を抜いている。

 また、パナソニックと同様、ゴミの有無を判別する「ゴミ残しまセンサー」や、すき間掃除に便利なLEDライトを搭載。ゴミ残しまセンサーは、手元のランプで、ゴミの有無を確認しながら掃除できるという機能で、家具下や絨毯の掃除に便利だという。

 サイクロン機構には、東芝独自の12気筒遠心分離サイクロン機構「バーティカルトルネードシステム」を搭載する。ミクロのゴミまで99%分離し、吸引力を99%維持することができるという。ダストカップやサイクロン部は水洗い可能。

 アタッチメントは、エアコンの上など高い場所も掃除出来る「付属品用の伸縮ホース」や、家具の間まで掃除できる「ロングブラシ」などを用意し、手が届かない場所の掃除までカバーする。またアタッチメントを収納するための専用袋を用意しているのは東芝だけだ。

東芝ライフスタイル
http://www.toshiba.co.jp/tha/
製品情報
http://www.toshiba.co.jp/living/cleaners/vc_sg514/

分離室と集じん部を別々にした三菱「風神」

三菱電機「風神 TC-ZXD30P」

 三菱電機は、国内メーカーの中ではいち早くサイクロン式掃除機開発に取り組んでいる。最初の方の機種はかなり大型で機構も複雑だったが、最新の「風神 TC-ZXD30P」は、本体サイズもコンパクトで、使い勝手も向上している。

 特に使いやすいのが、ヘッドブラシに絡まった毛を簡単に除去する「毛がらみ除去機能」。毛絡みというのは掃除機を使う上で避けては通れない問題だが、風神ではヘッドからブラシを取り外す際にブラシのフチを使って毛を取り除くという機構を採用。ブラシを側面から引き出すだけで簡単に絡まった毛が取れるというのは、ほかにはない機能だ。

 サイクロン機構は、ゴミの分離を行なう分離室とゴミをためる集じん部を別にした独自の「風神サイクロン・テクノロジー」を搭載。気流を起こす旋回室と、ゴミの集じんスペースを分けることで排気のニオイを抑えることができるという。また、排気部分にはULPAフィルターとHEPAフィルターを搭載。0.3μmのゴミを99.999%まで捕集するとしている。

 また、新モデルでは掃除機をかけた時の消費カロリーや運動量をスマートフォンで確認できる機能を搭載。掃除を楽しくするという新たな提案をしている。
三菱電機
http://www.mitsubishielectric.co.jp/
製品情報
http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/cleaner/product/fujin/zxd30p.html

A4サイズ、本体重量2.7kgの「プチサイクロン」

パナソニック「プチサイクロン MC-SR520G」

 パナソニックの「プチサイクロン MC-SR520G」は、とにかく軽量でコンパクトな掃除機だ。本体重量は今回紹介する6機種の中で最軽量の2.7kg、300mm四方の中に収まってしまう。またメカメカしいデザインが苦手という人にもオススメできる。他社の製品がブルーやレッドなどロボットっぽいデザインなのに対して、プチサイクロンはピンクシャンパンの本体に、ホイールにはチェック模様を採用している。

 サイクロン機構には、ゴミと空気を遠心分離させる外側の風と、ゴミを内部に入りにくくする内側の風を発生させる「パワープレスサイクロン」を採用。ダストボックス内の気圧差で、ゴミを約1/3に圧縮し、舞い上がりを抑えるほか、髪の毛やペットの毛を通しにくいステンレスガードも採用する。

 LEDライトによるナビ機構や、ハウスダストの有無を知らせる「ハウスダスト発見センサー」、イオンを発生するプレートをヘッド部に搭載するなど、細かいギミックが満載なのも特徴だ。
パナソニック
http://panasonic.jp/
製品情報
http://ctlg.panasonic.com/jp/soji/soji-cyclone/MC-SR520G.html

サイクロンの数2倍で、0.5μmのゴミまで取るダイソン「DC63」

ダイソン「DC63」

 ダイソンの掃除機といえば、やっぱり吸引力の強さだ。最新モデルの「DC63」は、製品の要であるサイクロン部分をイチから再設計。サイクロンの数を従来の2倍に当たる24個にしたことで、0.5ミクロン(髪の毛の直径の1/10の大きさ)の微細な粒子まで残さず取るという。

 国内メーカーの製品と異なり、運転モードは強・弱の2段階、センサーやLEDライトなどもついていないごくシンプルな製品だが、その分アタッチメントはかなり充実している。

 最上位機種にはアタッチメントが4つ付属。しかも、いずれも細かいところまでよく考えられており、単なるおまけというわけではないのだ。たとえば、ソファなど布製品の掃除に便利な「タングルフリー タービンツール」には、逆回転する2つのブラシが搭載されている。ブラシが逆回転するので、髪の毛が絡みにくいというのだ。また、ホコリが溜まりやすいブラインドやオーディオ機器周りの掃除には静電気が発生しにくいカーボンファイバーを使用した「カーボンファイバー ソフトブラシツール」など、用途を考えた機能がしっかり用意されている。

 ダイソン=吸引力が強いだけ、というイメージを持っている人はぜひ、そのアタッチメントにも注目して欲しい。

ダイソン
http://www.dyson.co.jp/
製品情報
http://www.dyson.co.jp/dyson-vacuums/cylinder/dc63.aspx

サイクロン部もヘッドも水洗いできるシャープのプラズマクラスター掃除機

シャープのプラズマクラスターサイクロン掃除機「EC-VX600」

 シャープのプラズマクラスターサイクロン掃除機「EC-VX600」は、ヘッドをまるごと水洗いできるという機能を備える。通常、掃除機のヘッドにはブラシを回転させるためのモーターが搭載されているが、EC-VX600では着脱可能のモーターユニットを採用することで、ヘッド内部にたまったハウスダストなどもきれいに落とすことができるという。

 ダストボックスには、ホコリの舞い上がりを抑えて、ゴミ捨てがしやすい機構を搭載。ゴミを約1/15まで圧縮するため、ゴミ捨て時もゴミが舞い上がりにくく、ゴミ捨ては月1回程度で良い。サイクロン部上部には、本体内には0.3~10μmの微細なホコリを99.999%捕集する「フッ素加工ULPAクリーンフィルター」というフィルターを備える。フィルターの汚れをセンサーで検知してクリーンメカが自動で掃除する機能も用意する。

※初出時、一部表現が間違っていたため、記事内容を一部変更しております。お詫びして、訂正いたします。

 ユニークなのは、プラズマクラスターで、ダストカップ内へのゴミの付着を抑えるという機能。サイクロン掃除機のダストカップ壁面に細かいゴミが付着してしまうというのはよくあることなので、これば便利な機能だ。

 ふとんを叩きながら、ホコリやダニの死がいを吸引するという「ふとんパワーヘッド」も付属する。
シャープ
http://www.sharp.co.jp/index.html
製品情報
http://www.sharp.co.jp/souji/products/ecvx600.html

ゴミ捨て頻度月イチでOKな日立の「パワーブーストサイクロン」

日立アプライアンス「パワーブーストサイクロン CV-SA700」

 日立のサイクロン式掃除機「パワーブーストサイクロン CV-SA700」は、ゴミを1カ月ためても大丈夫という新たな機構を搭載した。サイクロン式掃除機は、基本的には毎使用後にゴミを捨てるのがベストだが、日立のパワーブーストサイクロンでは、サイクロン機構で発生する風の流れでゴミを圧縮し、中の筒で押し出してダストケース下に溜めるため、約1カ月ゴミを捨てなくても、吸引力を99%以上持続するという。

 また、ゴミの捨て方もユニーク。「ゴミ捨てボタン」を押すと、ダストケースの中の筒が下方向にゴミを押し出す仕組みで、簡単にゴミ捨てできるという。

日立アプライアンス
http://www.hitachi-ap.co.jp/
製品情報
http://kadenfan.hitachi.co.jp/clean/release/201407/

編集部