やじうまミニレビュー
ナカバヤシ「レスカット NTC-LC1」
~指定した長さでテープが切れるテープカッター
by 伊達 浩二(2013/2/6 00:00)
長さが揃ったテープが必要な場面
ネットの普及で、書類を発送する機会が減り、以前ほどオフィスでセロハンテープを使う機会はだいぶ少なくなった。しかし、紙の書類を大量に郵送する仕事は、まだちゃんとある。
会社の事務作業では、こういう発送作業が、ある時期に集中して発生する。たとえば、弊社のような出版社であれば「支払調書」と呼ばれる、昨年中に支払った原稿料などの金額を証明する書類の発送が良い例だ。会社の規模にもよるが、数百通の封筒を1日で処理しなければならない。
こういうときに封筒を封緘する(閉じる)道具はセロハンテープが一番効率が良い。糊よりも早いし、ホチキスよりも安心感がある。私的な手紙に使うには躊躇してしまうが、事務的な郵送物なら許されるだろう。
しかし、テープで封筒を閉じるという単純作業を繰り返していると、どうしてもテープの長さがまちまちになってしまう。本来は、封筒の幅いっぱいのテープで、きっちりと封をするのが好ましいのだが、つい長すぎたり、短すぎたりするのだ。
世の中には、電動テープカッターという製品もあって、指定した長さでテープをカットしてくれる。しかし、安い製品でも1万円を越えるので、なかなか手がでない。
そういうときに、文具店のカタログで、ナカバヤシの「レスカット」という製品を見つけた。手動のテープカッターだが、テープを指定した長さで切ってくれるという。1年ちょっと前に発売されていたようだ。価格も1,000円台で、電動テープカッターよりは、ずっと手頃だ。
メーカー | ナカバヤシ |
---|---|
製品名 | レスカット NTC-LC1 |
希望小売価格 | 2,100円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 1,527円 |
大きく重く安定した本体
通信販売で購入したので、到着した時の箱の重さにはびっくりした。
箱から取り出した本体も、テープカッターとしては大きめだが、それを考えても重い。本体はABS樹脂だが、重りが入っていて約2kgもある。底面も柔らかいスポンジ系の素材が全面に貼られていて、簡単には動かない。
本体色は、グレー/ブルー/レッドの3色がある。グレーは再生素材を使用しており、グリーン購入法の適合製品なので、これにしてみた。
本体サイズも大きい。数字で言うと、83×213×122mm(幅×奥行き×高さ)ある。小さなテープカッターに比べると1.5倍ぐらいある感じだ。セロハンテープのリールが小さく見える。
使用できるテープは、幅が12~18mm、長さが70mまでのセロハンテープ、メンディングテープ、梱包用PPテープとなっている。粘着力が弱い仮止めテープや、伸びやすいポリ塩化ビニル(PVC)テープは使用できない。
まず、テープの大きさに合わせて、小巻用と大巻用のリールをはめる。通常のテープは大巻がほとんどなので、小巻用のリールと大巻用のリールを組み合わせてはめることになる。
普通のテープカッターなら、ここで引き出したテープをカッター刃に貼り付ければセットが終了する。しかし、レスカットは、ここからもう一手間かかる。
レスカットでは、テープを保持するための、いくつかのローラーが用意されていて、使用するテープを主ローラーを巻く形で、補助ローラーとリセットローラーの下をくぐるようにセットしなければならない。つまり、ローラーとローラーの間の狭い隙間にテープを通す必要があるのだ。
テープがそのままの状態では、主ローラーに貼り付いてしまうので、取扱説明書にもあるように、テープの先頭部分を数cm折り返して、少しずつ送るようにするとテープが通しやすい。テープの端がカッター刃までたどりついたら、折り返した部分をカットする。取り外し式のテンションローラーをはめれば、セットが終了だ。
最近のテープカッターでは、リールも必要なく、セットするテープを溝にはめ、引き出したテープをカッター刃でカットするだけでセットできる製品もある。それに比べるとレスカットのテープのセットは面倒だ。テープを一定の長さに切るという機能のためには仕方のないことだが、数回やらないと慣れなかった。
レスカットは、特定のテープをセットして、それを頻繁に使うべき製品で、複数の種類のテープを交換しながら使い分けるような用途には向いていないと感じた。
指定の長さで、ググッと止まる
レスカットには、2つのモードがあり、本体のスイッチで切り替えできる。スイッチを「F」にするとフリーモードで、普通のテープカッターのように任意の長さでテープがカットできる。スイッチを「S」にするとセットモードで、長さ調整レバーで設定した長さでテープがカットできる。
設定した長さでカットできると言っても、電動テープカッターのように指定した長さのテープが出てくるわけではなく、テープを引っ張ったときに、指定の長さで止まるという方法だ。テープをギュッと引っ張ると、指定の位置でググッと止まる。すかさずカッター刃でひねって、テープをカットする。指定の長さで止まることを除けば、普通のテープカッターと同じ使い方だ。
長さ調整レバーは、3~24cmの間で1cm刻みで設定できる。また、cm単位のほかに「長4/長3/角2」という封筒の規格に合わせた位置が用意されている。
切ったテープの長さは、だいたい1mm以内の範囲できれいに揃っている。レスカットの仕様としては、テープの種類や使い方によってプラスマイナス3mmの差が出るとしているが、普通のセロハンテープを使って、普通に使っている限りでは、誤差は小さい。
他のテープカッターと異なるのは、テープの糊面は主ローラーの跡が少し付くことだ。ただし、封筒などに貼った場合は、ほとんどわからない。また、テープの端の部分は、一般的なギザギザしたものだ。この2つの理由で、このテープカッターの用途は事務用途が主であることがわかる。たとえば、ペーパークラフトや造花などの用途には、別の製品を選んだ方が良いだろう。
セットする長さをいろいろ変えて、テープ1本分を切ってみた。慣れてくると、かなり早いペースで一定の長さのテープが切り出せる。本体が重く安定しているので、片手でテープを切っても、本体が動きにくいのが良い。
郵便物発送が多い部署にオススメ
レスカットは、発表時のニュースリリースでは「オフィスや物流業務など封筒の封かんや簡易梱包など、テープ貼り作業に携わる人に便利」と書かれている。実際に使用してみても、その通りの製品に仕上がっていることが、よくわかった。
最初に書いた伝票の発送のように、ある決まった長さのテープが大量に必要とされる場合には、とても便利な製品だ。とくに、作業に慣れていない初心者であっても、ベテラン同様に一定の長さのテープを利用できるというのは、大きなメリットだろう。
万人向けの製品ではなく、必要とする人は限られると製品とは思うが、想定されている仕事の効率を上げる道具として、とても優れている。郵便物と縁の切れない事務部門に1台備えておきたい製品として推薦する。