やじうまミニレビュー
無印良品「USBデスクファン(低騒音ファン)」
無印良品「USBデスクファン(低騒音ファン)」 |
無印良品は、以前から扇風機に熱心なブランドで、一般的なリビング扇のほかに、デスクで使う卓上扇もラインナップしている。今回、それに小型のUSB扇風機が加わった。
しかも、ただの扇風機ではなく、低騒音でしっかり風が出せる“二重反転羽根”を採用しているという。メカ的にも興味をひかれる存在ではないか。さっそく使ってみた。
メーカー | 無印良品 |
製品名 | USBデスクファン (低騒音ファン) |
希望小売価格 | 1,900円 |
購入場所 | MUJI.netストア |
購入価格 | 1,710円 (7月2日までのセール価格) |
■コンパクトな本体
この製品は、無印良品の製品情報ページの写真では、ちょっとしたサーキュレーターぐらいの大きさに見える。しかし、実物はかなり小さい。羽の口径は実測で8cmほどなので、机の上で必要なスペースは、ちょっとしたマウスぐらいの面積だ。数字で言うと、100×70×130mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約170gだ。
本体正面 | 右側面 | 二重反転羽根が見える |
左背面 | 本体の幅は10cmもない。羽根の口径は約8cm | 右に置いた大きめのマウスぐらいしか場所を取らない |
同じ無印の「コンパクト扇風機 R-17MT」(右)と比べるとずっと小さい | 取扱説明書に書かれている主な仕様 |
パッケージは無印定番のシンプルな紙箱 | パッケージに書かれた製品名と型番 |
電源スイッチは台座の部分にある。回転式で、電源「切」のほか、風量を「1/2」の2段階で切り替えられる。
本体と台座の角度は、かなり大きく調節できるので、ちょっと離れた場所に置けば、顔に風を当てることもできる。首振りの機能はない。
電源スイッチはファンの下。風量は2段階切替 | 羽根は水平位置より、下方向には向かない | 上方向には角度がつけられるので、顔に風を当てやすい。この状態でも安定している |
電源はUSBで、ケーブルは直付で、長さは約1m。対応するUSBコネクタはUSB 2.0/3.0で、DC 5V/500mAを使用する。これはUSB 2.0の定格値なので、ごく普通のUSB端子であれば、特に問題なく使用できるはずだ。ACをUSBに変換するアダプタは付属していないので、パソコンのUSB端子や、iPhoneなどのACアダプタにつなぐ必要がある。
USBケーブルは本体に直付けだ | USBケーブルは約1mある | パソコン以外にUSB用のACアダプタでも使用できる。つないでいるのはiPhone用のACアダプタ |
モーターの寿命は約1,400時間とされているから、1日8時間だと175日、1日12時間だと116日だから、1~2シーズンの寿命と思えば良いだろう。モーターの寿命について取扱説明書に「使用しないときは電源を切っておくこと」、「パソコンなどの空冷用に使用しない」という注意事項が書かれており、気を使っていることがわかる。丸一日つけっぱなしにする製品ではないということだろう。
USBケーブルには注意事項が書かれて大きなタグが付いている | 取り扱いの説明 | 裏は英語版になっている |
■前後の羽が同軸で逆方向に回る
さて、この製品の注目点である「二重反転羽根」だ。この製品では、本体の防護カバーが外せるようになっているので、羽根の構造がよくわかる。なお、カバーを外した状態で電源を入れないように注意されている。かなり鋭角な羽根なので、本当に危険なのだ。
二重反転羽根は、もともとは飛行機や船舶などで使われているものだ。同じエンジンであれば、同じ口径の通常の羽根にくらべて、力を風に変える効率が良く、大きな推力を得ることができる。
羽根は前後に2つあり、逆方向に回転する。これは、羽の回転に対するトルク(回転力)をお互いに打ち消し合わせるためだ。
二重反転羽根の欠点は、構造が複雑になることだ。1つのエンジンで2つの羽根を回すために、複雑な軸や歯車が必要となるからだ。また、2つの羽根の軸がずれると、共振が起こってしまう。
背面カバーは簡単に外せるが、このままの状態で動作させることは禁止されている | 前の羽根は7枚、後ろは5枚 | 別の角度から |
前後の羽根はそれぞれ独立していて、連結されていない | 羽根を後方から見た状態 | 後ろの羽根を外した状態 |
この扇風機の場合、1つの羽根に1つのモーターが用意されている。だから、構造は比較的簡単だ。2つのモーターは連結されていないので、電源を切ると、片方の羽根が止まっているのに、もう片方がまだ回っていたりする。
羽の枚数と形は、前後で変えてある。前の羽根は7枚、後ろの羽根は5枚だ。羽根のひねり具合も異なっている。また、横から見ると、特に後ろの羽根の断面がきちんとした翼断面になっていることがわかる。かなりまともに計算して作られていることがよくわかる部分だ。
2つの羽根の軸が独立しているので、ずれて共振しないか心配だったが、長時間使っていても、そういうことは1度もなかった。
羽の動きを見るため、カバーを外した状態で動作させた 【注意】今回は実験のため行なっていますが、説明書ではこのような動作は禁止されています。決して真似をしないようにしてください |
■思っていたよりも強い風が送れる
さて、肝心の風力だが、羽根の口径が10cmもない、小さな扇風機とは思えないぐらい風が来る。風量が「1」でも十分に風が当たるし、風量が「2」ならば外出から帰ってきたときでも不足を感じないだろう。
動作音を見る。1ではかなり静かな状態。2にすると風切り音が大きくなる |
これが二重反転羽根の効果なのかを確かめるために、ちょっと細工をして後ろ側の羽根を止めると、とたんに風量ががっくりと落ちる。ちゃんと効果があるのだ。
スペック表では、1の風量と風速が5立方m/分と90m/分、2だと6.5立方m/分と110m/分となっている。風量で言えば、30cm羽根のリビング扇の微風モードぐらいだが、風速があるので顔などに風をあてれば不足は感じない。
製品名にもある「低騒音」だが、1では本当に静かだ。静かなオフィスでも同僚に遠慮することなく使えるだろう。2にすると、2は「フォーン」という感じの風切り音が大きくなるのでオフィスによっては使いにくいかもしれない。スペック表では26dBと34dBの差があるが、その差以上に風切り音が耳についてしまう。常時使うなら「1」、すぐに冷やしたくて短時間使うなら「2」と思えばよいだろう。
ちなみに、こういう凝った製品を委託されているメーカーはどこなのだろう。取扱説明書によれば、輸入元はリズム時計工業となっていた。なるほど精密工業の会社なら、この手の製品もきちんと作れるはずだ。
■確かな風を送るデスク用扇風機としてお勧め
二重反転羽根というところに惹かれてテストしてみたが、その点を除いても、よくできたUSB扇風機だった。本体はとても小さいし、その割にしっかりと風が来る。スポンジ素材の羽根を使った、図体だけ大きい製品に比べると、ずっとまともに扇風機として使える。
あえて言えば、電源スイッチが小さいため、指の太い人間には操作しにくいこと、風量が2のときにもう一息静かであった欲しいとは思うが、現状でも大きな欠点はない。
モバイルバッテリーでも問題なく使用できた |
また、USB電源ということで、パソコンやACアダプタ以外にも、モバイルバッテリーなどで試してみたが、特に問題なく使用できた。夏の電力消費ピーク時には、モバイルバッテリーと併用してピークシフトすることも簡単だ。
飛行機などのメカ好きの人には、机の上に二重反転羽根を搭載した凝った製品があるというだけで、楽しく感じられると思う。
まだ程度はわからないが、今年の夏も節電が必要なことは間違いないだろう。それに応じて、家庭やオフィスの温度設定も高めになるのは避けられない。机の上に1つ、小さな扇風機を用意したいという人に、有力な選択肢としてお勧めしたい。
2012年 5月 15日 00:00
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