やじうまミニレビュー

メガハウス「はじめてマカロン」

~難しいマカロン作りが手軽にできるクッキングトイ
by 石井 和美


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


メガハウス「はじめてマカロン」

 マカロンは、メレンゲにアーモンドプードルと粉砂糖を混ぜて焼きあげ、クリームをサンドした、シンプルな洋菓子だ。フランスではポピュラーな焼き菓子で、数年前には日本でもブームになり、スイーツ好きな女性の間で話題になった。

 マカロンは、口に入れたときはサクッとしているが、サンドしているクリームやジャムと解け合って、しっとりとした食感に変わっていく。この絶妙な組み合わせが、マカロンの魅力だ。また、フォークやお皿は必要なく、一口サイズで食べやすい手軽なお菓子だ。軽くて持ち運びもしやすいため、手みやげとしても重宝する。

 私もマカロンが大好きで、好きが高じてマカロン作りにはまっていた時期があった。マカロンは卵白、粉砂糖、アーモンドプードルというシンプルな材料を使って、基本的に混ぜ合わせて焼くだけである。レシピだけを見れば、簡単にできそうなお菓子だ。

 しかし、初めて作ったときは大失敗だった。マカロンは、ギザギザしたフリル状の「ピエ」ができて初めて成功と言える。このピエが、マカロンの証。ところが、ピエどころか、全く膨らまなかったのである。また、表面にクッキーのような焦げ目がついていたり、ヒビが入って、かなりショックを受けた。混ぜる加減も、焼き加減も本当に難しいお菓子なのだ。

 焼き上がりの結果が悔しくて、それからはマカロンのレシピ本を買いあさり、ネットで調べ、アーモンドプードルや粉砂糖は業務用の巨大サイズを買い、ムキになってマカロン作りを繰り返した。何十個と作り、やっとそれらしくはなったものの、短期間で大量に作りすぎて試食に飽きてしまい、ここ数年はマカロンから遠ざかっていた。

 簡単においしいマカロンを作ることができるなら、また作ってみたい。最近、娘もマカロンが好きになって食べたがるので、気になっていたメガハウスのクッキングトイ「はじめてマカロン」をついに買ってしまった。


メーカーメガハウス
製品名はじめてマカロン
希望小売価格2,310円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格1,822円

 材料は、卵白(Mサイズ)、アーモンドプードル、粉砂糖、小麦粉、バニラエッセンス。スーパーで手に入る安い材料ばかりだ。

 ボウルに卵白と粉砂糖を入れて、グルグルとマカロンボウルのハンドルをまわす。2つの歯車が組み合わさっており、ハンドルの回転を加速する仕組みだ。あまり力のない小さな子供でも作りやすくできている。試しに5歳の娘に手伝ってもらったが、勢いよくハンドルを回すことができた。底は滑り止めもついており、使いやすい。

マカロンボウル。これに卵白と粉砂糖を入れて泡立てるフタはしっかり閉めることができる中の羽根もこんなにラブリー。これでちゃんと卵白を泡立てることができるのか?と不安になったが……
2つの歯車によって、羽根が素早く回転する分解できるので、洗うのも簡単だ。組み立ても難しくはない付属のスケッパーとスプーン。スプーンで粉類を量るときは、すりきり一杯が約8gとして計算できる
絞り袋と絞り口も用意されているマカロンの材料はとてもシンプル。だからこそ難しい

 3分ほど経過すると、卵白が泡だってハンドルがグッと重くなる。ここでさらに2分ほど混ぜ続けると、ツノがピンと立っているメレンゲが完成する。マカロンはしっかりメレンゲを作らなければならないので、ここで様子を見ながら、足りないようだったらさらにフタをしめてハンドルを回す。

マカロンボウルに卵白と粉砂糖を入れる羽根がラブリーなデザインだったので、うまできるか不安だったのだが、ちゃんと角が立ったメレンゲができた!

ハンドルを回すと、羽根が勢いよく回転する。回転速度が速く、効率よく泡立てることができる

 メレンゲが完成した後が一番難しい作業となる。メレンゲと粉類を合わせる「マカロナージュ」だ。そこからは付属のスケッパーを使った手作業となる。

 ふるっておいたアーモンドプードル、薄力粉、粉砂糖を3回に分けて入れる。最初の2回は切るようにさっくりと粉が残る程度に混ぜ、3回目はメレンゲの泡をつぶすようにヘラをボールにこすりつけて混ぜる。最後はしっかりと混ぜ合わせるのだが、メレンゲの気泡を潰しすぎてもいけない。ツヤが出て、もったりすれば完成だ。このあたりは取扱説明書に簡単にしか書かれていないが、ベストな状態を見極めるのはある程度経験が必要かもしれない。10回ほどかき混ぜてもったりしてきたので、そこでやめて付属の絞り袋に入れた。メレンゲを作り始めてからここまでの所要時間は15分程度だ。

 ただし、マカロンボウルの底がボウルのように丸くないので、最後まで隅のほうがきれいにすくえなかったのは残念だ。きちんと全部使い切るなら、ゴムべらが必要だろう。

 また、子供の手にはちょうどいいサイズのスケッパーだが、大人の手には小さすぎて、混ぜる作業で手が疲れてしまった。マカロナージュの作業は素早く、力強くしなければならないため、大人が手伝うのならゴムべらを用意しておいたほうがいいだろう。

ふるった粉類は3回に分けて、スケッパーで混ぜる。このスケッパーが、大人の手では小さすぎてやりづらい。子供にはピッタリのサイズだ3回目の粉を混ぜ合わせ、粉類が見えなくなったので持ち上げた。取扱説明書には「粉のだまが見えなくなったら、スケッパーですくってみよう。なめらかになってボタッと落ちるくらいになったらマカロン生地のできあがり」とある

 付属の絞り袋で絞るのだが、ガイドシートの上にクッキングシートをのせ、その上からなぞるようにする。絞り出す順番もふってあり、とてもわかりやすい。クマ、お花、キノコなどの形もあり、とても楽しく、娘も喜んで手伝っていた。

ガイドシートの上にクッキングシートをのせ、絞り出す作業はとても楽しい!この後、しっかり乾燥させる。30分以上置くほうがいいだろう

 絞り終わったら、30分ほど乾燥させる。指でそっと触ってみて、つかなくなれば焼くことができる。表面が乾燥していない状態で焼くと、ひび割れてしまうのだ。

 200℃で2分、150℃で5分、130℃で3分焼くとあったので、その通りにしたのだが、我が家のオーブンは温度が高いらしく、少々焦げてしまった。

初めて作ったマカロンは、ひび割れたり、焦げたりしてしまった。オーブンの温度が高すぎたのかもしれない右側3個は近所の洋菓子店で購入したマカロンだ。不格好ではあるが、初めてにしては上出来ではないだろうか味は抜群においしい。子供達にも「はじめてマカロン」で作ったマカロンのほうが好評だった

 プロのパティシエさえ失敗することもあるというマカロンは、やはり一筋縄ではいかないようだ。ひび割れが出来たり、焦げてしまったりしてクッキーのようになってしまった。ただ、ピエはしっかりできているのには驚いた。数年前に初めて作ったときは、ピエすらできなかったのだ。マカロナージュのコツをつかんでオーブンの焼き時間も調整できれば、かなり完成度の高いマカロンができるだろう。

 中に挟むクリームは、生クリームを使ったレシピが紹介されている。キャラメルクリーム、小倉クリーム、ガナッシュクリームなど、レシピは豊富だ。好みで色々挟んでみると楽しいだろう。挟んで一晩冷蔵庫に置くと、クリームとマカロンが馴染んで、お店で食べる、外はさっくり、中はしっとりのマカロンの味に近くなる。

 完成したマカロンは形は不格好だが、アーモンドプードルの香りがふわっと口に広がり、風味と甘さのバランスが抜群で、本当においしい。味はまぎれもなくマカロンだ。子供達にも大好評で、出来たとたんにパクパク食べられてしまった。

 しかし、これで終わるのは納得がいなかいので、すぐにリベンジした。同じ味だと飽きるので、抹茶パウダーを入れた抹茶マカロンを作ることにした。一回目の失敗を踏まえ、マカロナージュや焼き加減を変えてみることにした。

 マカロナージュでは、最後の気泡をつぶす作業を増やしてみた。50回ほど、ゴムべらでしっかり混ぜ合わせると、前回よりツヤがあって落ち着いた生地が完成した。ちょっと生地が硬すぎた気もするのだが、これはプレーンマカロンのバニラエッセンスを入れないかわりに抹茶パウダーを使用したので、水分が足りなくなったことも考えられる。エッセンスやオイルを入れないのであれば、卵はLサイズを使用したほうがいいかもしれない。

 1回目で焼き上がったマカロンのひび割れが気になったので、乾燥時間を30分から1時間に延長しておいた。表面がしっかり乾いた状態になったことを確認し、オーブンに入れる。

 オーブンの温度と焼き時間も変更することにした。170℃で1分、その後扉を10秒程度開けて温度を下げ、130℃で15分。すると、1回目よりもはるかにきれいに焼き上がった。油染み、ひび割れが少ない。これでもまだ少々焦げたので、調整する必要があるだろう。

 はじめてマカロンで手軽にできるのは、マカロンボウルで卵白を泡立てるところだけで、粉類を混ぜ合わせるマカロナージュは手作業となる。混ぜ加減は経験してコツをつかむしかないので、初めは失敗してしまうかもしれない。しかし、いったんわかってしまえば、きれいなマカロンをいくらでも作ることができそうだ。

 ふだん、抹茶味のお菓子は食べない子供達だが、奪い合い状態でガツガツ食べていた(上品なお菓子なので、たくさん食べるものではないのだが……)。市販のマカロンも撮影用に用意したのだが、「はじめてマカロン」で作ったマカロンのほうがおいしいようで、あっという間になくなってしまった。

スターバックスで購入したマカロン。以前はなかなか手に入らなかったマカロンも、最近は手軽に食べられるようになった。購入すれば1つ200円以上するが、自宅で作れば1/10の材料費でできる2回目に作った抹茶風味のマカロン。少しコツをつかんで、初めより上手にできたように思う。これがとてもおいしくて、あっという間になくなってしまった

 マカロン作りはシビアで難しいと思いこんでいたが、クッキングトイで作ることができて、嬉しいような、悲しいようなという気分だった。はじめてマカロンのざっくりしたレシピで1回目からきちんとピエができてしまい、過去に気合いを入れて使って大失敗した自分は一体……とへこむほどだった。正直言って全く期待していなかったのだが、それらしくできて驚きである。かわいらしいデザインの道具も、お菓子を作り始めた小さい頃を思い出して、大人でもウキウキした気分になる。

 はじめてマカロンは、マカロンだけでなく、メレンゲクッキーやマシュマロも作ることができる。半信半疑で買ったのだが、子供達が本当に喜んでいるので、我が家での出番は多くなりそうだ。少々高価なマカロンが、コツをつかめば、安く手軽にたくさん作ることができるのでオススメだ。子供と一緒に楽しんでみてはいかがだろうか。




2010年 2月 10日   00:00