やじうまミニレビュー
タカラトミー「アイスマージェ」
タカラトミー「アイスマージェ」 |
1969年(昭和44年)。人類が初めて月面に降り立った年に、それは発売された。お母さん世代なら誰でも知ってるアノおもちゃ「ママレンジ」である! ガスコンロのミニチュアながら“食べられる”手のひらサイズの小さなホットケーキが焼けるというものだった。コンロにはニクロム線が埋め込まれており、付属のフライパンを乗せると電源がONになるという単純なしくみながら爆発的に売れまくった。クッキングトイのパイオニアといってもいい製品だろう。これを機に、わたあめメーカー、ポップコーンメーカーなどが数々発売されるようになる。
それから40年過ぎた今。再びおもちゃ業界にクッキングトイブームが再燃する。火がつきはじめたのは2年前頃だろうか? 食べられるものが作れるクッキングトイがおもちゃ屋さんを彩るようになり、現在はアイスクリームにお寿司、ケーキにドーナッツ、パンにプリンにクレープといろんなクッキングトイが発売されている。そんな中、先月末にタカラトミーから発売された最新のクッキングトイが「アイスマージェ」だ。
見た目はカキ氷機だが、中に入れるのはアイスクリームとクッキーなどのスナック菓子。上部のグリップを押さえながらハンドルを回すと、アイスとお菓子がうまく、そして美味くミックスされてミキシングアイスができるというおもちゃだ。いや、これはもうおもちゃの領域じゃないかも?
メーカー | タカラトミー |
製品名 | アイスマージェ |
希望小売価格 | 4,725円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 3,657円 |
■ミキシングアイスってどんなもの?
まずは「ミキシングアイスってナンなのさ?」ということを説明しなければならない。なにせオイラも慌てて食べに行ったぐらいだ(笑)。
最も一般的なのは、砕けたクッキーが入っているアイス。小さいクセにエラく高いあのアイスだ。街のアイスクリームショップのミント味のアイスにチョコチップが混じってる、アソコのアレもミキシングアイスの一種だろう。ただ練乳のカキ氷にドライフルーツが乗ってるアレとはちょっとイメージが違うかも。
マーベラスクリームのアイスクリーム |
ミキシングアイスで有名な「マーベラスクリーム」をホンモノのミキシングアイスとすれば、フルーツのグラッセ(砂糖煮)や、クッキーなどの焼き菓子を砕いて潰してアイスクリームにミックスしたのがミキシングアイスだ。店では大きなとりわけ用のスプーンを両手に持ってコネコネしていた。まるでお好み焼きでも作ってんのか、という動きでミックスする。ただ、フツーのまな板の上でミックスするとアイスが溶けてしまうので、マイナス16℃まで冷やされた専用のまな板を使って混ぜるんだとか(店員さん談)。
できあがったアイスは、ふんわり柔らかい。シュークリームのカスタードクリームの固さ、もしくはストローでは飲みづらい入れたてのマックシェイクといったところだ。
店で食べたアイスは、イチゴとメロンのグラッセを潰したものと、マカロン(卵白に砂糖と粉を入れて焼いたカリカリのお菓子)をクラッシュしたものが入っていた。あらかじめ設定された組み合わせのメニューもあれば、フルーツやケーキ、クッキーにマカロンとさまざまトッピングをカスタムメイドできるメニューもあり、組み合わせ後のフレーバーや食感を楽しむのがミキシングアイスの醍醐味らしい。
■マイナス16℃の専用まな板がなくてもミキシングアイス!
本格的にミキシングアイスをやろうと思ったら、パソコンの冷却用で有名なベルチェ素子の巨大なヤツを買ってくればいいが、おそらくパソコン1台は買えるぐらい値が張る。でも数千円のアイスマージェさえあれば、マーベラスクリームとそっくりなミキシングアイスができるのだ。こりゃリーズナブル。店で食べたら1個500円もした(!)ので、ランニングコスト的にも格安だ。
「アイスマージェ」のパッケージを開けると半完成品の状態になっている。取り付けるのは、ハンドルだけなので組み立ては簡単。でもちょっと待った!
バラすと結構パーツ数が多い |
ミキシングアイスを作る前に、ちょっとバラして構造をチェックしておきたい。調理後に洗いやすくするために本体を細かく分解できるようになっていて、イザ洗った後に組み立てようと思ったらアレ? なんてコトがある。パッケージには、対象年齢15歳以上となっていたが、ソレを倍以上ブッチ切ったウチの奥さんは洗った後に組み立てられなかった。
取り扱い説明書には、組み立て方が詳しく図入りで書かれているので、パーツ1個1個を指差し点呼しながら確認するほどではないが、どのパーツがどのあたりについていたかを覚えておきたいところだ。
でも使い方は超カンタン! フタをあけてアイスとトッピングの材料を入れるだけ。後はグリップを押しながら、ハンドルを回すのみ。
■レッツ!ミックス!
おいしそうなモノから、ヤバそうなヤツまで豊富に取り揃えてみました♪ |
ご近所のスーパー買ってきたのは、これらの材料。
まず作ってみたのは、イチゴのショートケーキとバニラアイスのミックス。本当はケーキ1個とアイス1カップの割合だが、いくつものフレーバーを試食しなければならないため、アイスの量を半分で作った。
ふたを開けアイスを投入、その後にケーキを入れる。っつーかブチ込む。
使ったアイスは「爽」。でもこのアイスはちょっと柔らかめなので、「スーパーカップ」や「レディーボーデン」をお勧めする | まずアイスを入れて…… | ケーキをポイッ!っと…… |
絵的には、ヤッちまったぁー…だが、先のアイスクリーム屋さんにもあった組み合わせだ。まずいワケがない!
再びフタを閉じ、フタの上のグリップを押しながらハンドルを回すと、カキ氷と同じ様にケーキとアイスがミックスされたミキシングアイスがムニュッっと出てくる。
ハンドルはそこそこ軽いが、グリップを押す力は結構いる。ちょうど建てつけの悪い居間やトイレのドアを閉めるぐらいの力が必要だ。小学校低学年ぐらいだと、グリップを押しながらハンドルを回すのはかなり難しいので、親が手伝ってやる必要があるだろう。対象年齢15歳以上の由来は、その辺にあるのかも。
できあがったミキシングアイスは、こんな感じだ。
食感・味・柔らかさともに、店で食べたのにソックリでおいしい! 次にケーキをアップルパイに変えてやってみたところ、これまたおいしいアイスクリームになった。味はパイにアイスクリームをトッピングしたのと同じだ。って原材料、一緒だもん……
クラッシュされたイチゴとスポンジがアイスにしっかりミックスされた | アップルパイとバニラアイスをレッツ!ミックス | これまたおいしい。りんごの風味とパイ生地の食感がたまらない! |
■家電Watchのテイスティング・チャレンジャーが挑戦!
家電Watchの中ですっかりヘンテコな組み合わせの試食をするテイスティング・チャレンジャーとなってしまった(単なる人柱か?)だけに、今回もさまざまなミキシングアイスに挑戦してみた。
まずは小手調べにプリンを混ぜ込んでみた。水分が多いとどうなるだろうか。
結果プリンのおかげで、よりコクのあるバニラアイスになった。これなら安いラクトアイスにプリンを混ぜ、さらにクッキーなどを入れると、ワンランク上の高級アイスの味になるぞ!
プリンをボトッ!っと…… | いい感じに混ざって出てきた | ラクトアイスが卵たっぷりの高級アイスに早変わりだ! プリンの食感はない |
次に試すのは、パッケージに例として掲載されていた抹茶アイスに豆腐という組み合わせ。これも豆乳を使ったアイスがあるので、おいしいことは分かっている。
が! 豆腐を入れすぎ! 抹茶アイスじゃなく、豆腐の抹茶味になってしまった! 実験では豆腐半丁に抹茶アイス半分としたが、やはり説明書どおりアイス1カップに豆腐半丁じゃないとダメみたいだ。後から抹茶アイスを追加して見たら、かすかに豆腐のコクが鼻腔を抜けるおいしい和風アイスになった。焼き肉の後のデザートに最適かも?
絹より食感がいいかな?と思い木綿をチョイス。あらかじめ水分を抜いておいた | アイスマージェに入れて、レッツ!ミックス! | ちょっと豆腐を入れすぎたけど、脂っこい食事のデザートに最適 |
伊豆方面に出かけるとドライブインでよく見かけるわさびアイスがカンタンにできるんじゃないかと思い、永谷園のわさび茶漬けをトッピングしてみる。
最初から粉状になっているものは、ちょっとモレ出してきちゃうみたいだ。とはいえ、見事にわさびアイスの完成。ちょっと塩スイーツっぽく、鼻に抜ける辛さが美味。がっ! 40代女性によれば、ノリが上あごにくっ付いて気持ち悪いとか……賛否分かれるところらしい。
ネリわさびより、あられの食感がおいしいかと思いお茶漬けの素を混ぜてみた | 器の底にお茶漬けの素の粉が出てしまった! |
さらにパッケージの例にあったチーズにも挑戦! 説明書には、チーズ味のスナックとあったが、使ったのは一口サイズのクリームチーズ。
ハム風味とオニオン風味を混ぜてみた | 見た目はフツーのアイス。でも食べたらビックリのコク! |
同じ乳製品なのでミックスしてもおいしいと思ったが、70歳代女性によればクドイとのこと。チーズがOKなら、アイスの材料になっている卵をまぜてもおいしいに違いない! という理由から、うずらの卵の水煮をトッピングしてみた。
見た目は非常においしそうだ。で、食べて見ると……あははは……こりゃ失敗。卵の黄身のモソモソ感、白身のプリプリ感がゆで卵そのもので、アイスとマッチしなかった。これは全員一致で失敗と確認。
缶詰のうずらの水煮。コクのあるアイスになること間違いない! | オッ-MYガーッ! こりゃ失敗だー |
宮城県は仙台のお土産で有名なずんだ餅。この材料は枝豆だ。適度な塩味もあるし、枝豆の食感もいいので、塩スイーツっぽいずんだアイスになるはず! 失敗を恐れずチャレンジしてみよう!
豆もいい具合にクラッシュして色もいい感じ。が、いざ食べて見ると枝豆が強い……アイス1カップで枝豆20粒ぐらいが適量なのかも知れない。
ザザーッ!と景気よく枝豆を入れてみる | まめ豆し過ぎた……でもナッツに近い感覚でおいしい |
ずんだアイスは、とってもヘルシーだ。40代女性によれば「これはアリかも」とのご意見。一方、小学生の女の子に言わせると、別々に食べたいと……
次に試してみたのは、フランス料理のデザートとしてたまに見かけるトマト。今回はフレッシュトマトではなく、缶詰のカットトマトを使ってみた。
酸味がさっぱりとしていて肉料理の後の口直しに最適! 40代女性も「これはおいしい」と絶賛したが、70歳と小学生の女性は「なんか違う……」と。う~む。人の味覚は、千差万別のようだ。
缶詰のカットトマトを水切りして投入 | さわやかな酸味がおいしいトマトジェラート! |
■未体験ゾーンに突入!
パッケージにあった例の中で、一番強烈だったのがコレ! バニラアイスと明太子の組み合わせだ。どう考えても生臭そうだが、パッケージに書かれている以上、食べてみないわけにはいかない。ということで、おいしそうなアイスの上に明太子を投入。あーーーっ! やっちまったー!
このままご飯にのせて食べたい明太子だが…… | あー、悲惨なアイス! |
ツブツブがうまい具合にミックスされ出てきた! 恐る恐る食べて見ると……
つぶつぶが上手くミックスされて出てきた | 正真正銘の明太子アイスだ! |
ぐはっ! 激ウマじゃん!
生臭さはまったくなく、口の中でプチッ!とはじける明太子の塩味が、まさに塩スイーツ! 70代女性もこれを絶賛。オイラは明太子アイスを完食! 40代女性は、食わず嫌いのまま口もつけなかった。食べればおいしいのに……おいしいと認知されるまで時間がかかるかも知れないが、ぜひ福岡のお土産として商品化していただきたいっ!
次に目をつけたのは、牛丼のレトルトパウチだ。牛丼の具は、そもそも甘いので、アイスと合うはずという仮定のもとレッツ! ミックス!
グリコのDONBURi亭を加熱せずに使って見た。たまねぎと糸こんにゃくも入っている | チビッ子に人気の牛丼アイス! コンビーフ状のお肉がポイントだ |
牛肉がコンビーフ状にまざり、アイスのバニラ味のあとに牛丼の味に変化するという不思議なアイスになった。気になる味はと言えば……食べられないことはないが、おいしいってわけでもない。ところが! 小学生の女の子の感想を聞いて見ると「超・おいしい!」と。しかも完食しやがった! お子様には牛丼アイスをお勧めしたい。
ラストは焼き鳥缶 with アイス。これも甘いので、アイスに合うはずだ。でも牛丼とちょっとカブってしまうので、こちらには七味をトッピングしてみた。
焼き鳥缶に七味を振って、ちょっぷりアダルトな味にしてみた | こちらもチビッ子に大人気 |
やはり肉はコンビーフ状になり、小学生は大絶賛。一方大人は、皮の部分がブニュ! っとしててアイスの食感に合わないと不評だ。なお説明書にあったその他のレシピを紹介すると、こんな感じになっている。
・クッキー、あずき缶、m&m(チョコ)、ナッツ、きのこの里・ポッキー、ポテトチップ、かりんとう、まんじゅう、甘栗、モモ缶、焼き芋、レモンラムネ(固形)、たまごボーロ
トッピングはまさに無限大。また味のチャレンジャー向けとして、せんべい&バニラアイスというものも掲載されていた。なんでも最後にしょうゆをひとさしするのがポイントということだ。
■アイスマージュのココがポイント!
色々なミキシングアイスを作ってみてわかったポイントを紹介しておこう。
1)アイスは硬いヤツを選ぶこと
実験では市販の「爽」を使ったが、これは柔らかく冷凍庫から取り出したらスグにミックスしないとならない。アイスマージェには、木のスプーンがなかなか刺さらないぐらい固いアイスに向いているようだ。お勧めは「スーパーカップ」や「レディーボーデン」。買って来たら一晩冷凍庫に寝かせてカチカチにしてやるといい。
2)パイやクリームチーズは洗うのが大変
説明書でトッピングに適さないものとして、粘性のある寒天ゼリーやキャラメル、柔らかく弾力のあるお餅やマシュマロ、硬すぎるキャンディや氷が挙げられていた。いずれも目詰まりしたり、刃で削れないという理由だ。
実験で分かったのは、パイやクリームチーズは上手にミックスできるものの、その後のお手入れが大変ということだ。
どうやらパイ生地は詰まってしまうらしい | クリームチーズもアチコチに詰まって洗うのが大変だった |
アイスが出なくなるほど目詰まりすることはないが、パーツにびっしりこびりついて、洗うのが大変。色々とフレーバーを楽しむなら、パイやチーズは最後にするといいだろう。
3)硬いナッツ類と柔らかいクッキーではアイスの入れる向きが違う
硬いナッツ類は、アイスマージェの底に敷いてその上にアイスを乗せないと上手く混ざらないことに注意。クッキーなどの柔らかいお菓子の場合は、アイスを横向きに入れ、その隙間にクッキーを立てて入れると均一にミックスされる。柔らかいお菓子をアイスの下に強いてしまうと、お茶漬けのときのように先にクッキーの粉だけが出てきてしまうので注意しよう。
ナッツ系は底に敷いてその上にアイスを乗せる | クッキー系は、アイスをこんな具合に入れて両サイドにクッキーを入れるといい |
■理系なアナタに送るアイスマージェのしくみ
なんでこんなに上手くミックスできるんだ? と不思議に思うアナタ! そのしくみを最後に紹介しておこう。おもちゃとは思えない、いろんなアイディアが詰め込まれていて、メカ好きもうなる構造だ。
・アイス投入口とハンドル
ハンドルを回すと、その回転は上部のフタを経由して、グリップの軸を回転させる。グリップ下部のアイスを押さえる部分は、投入口の2重になった筒をかみ合うようになっていて、中に入れたアイスとクッキーは回転しながらグリップの圧力で底に押し付けられる。底にはクッキーなどを細かく砕くそぎ刃がついており、適量のアイスをそぎ取りながら、下部のミキシング機構に送られるようになっている。
上部の機構はこんな感じだ。フタを経由してグリップの軸が回る。緑の押さえ部分は内部の筒にかみ合うので筒も回転する。こうして底にあるそぎ刃にアイスとクッキーが送られる | クッキーを砕きながら、適量のアイスを下部のミキシング機構に送るそぎ刃 |
ハンドルの回転は下部ユニットにも伝達され、大きなギア内部のミキシングスペースで攪拌、右側の突起にアイスが引っかかり押し出される |
・ミキシング機構
大きなギアの内側がミキシングスペースだ。ここにそぎ刃で削られたクッキーとアイスが流れ込み、シリコンゴム製のヘラでミックスする。ハンドルの回転は、下部のギアにも伝えられヘラのついた大きなギアを回転させ、少ない力で効率よくミックスするようになっている。
ポイントは、微妙に傾きがつけられたヘラ。ギアの直径に対して斜めについているゴムがミックス兼アイス排出口までの押し出しを担当している。平行についているゴムもミックスを行なうが、アイスの排出口に密着するようになっており、最終的に排出口からアイスを押し出すしくみになっている。
おもちゃとはいえ、素晴らしいメカニズムにビックリ! ぜひスケルトンタイプも発売してほしいところだ。
2009年 4月 23日 00:00
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