やじうまミニレビュー

ハンドドリップ派におすすめ! 量と時間を同時に計測できるドリップスケール

やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです
ハリオ「V60ドリップスケール/ドリップステーション」

 先日、ひとりで立ち寄った喫茶店で、面白いドリップシーンを見た。ドリップ時にクッキングスケールを使っていたのだ。市販のデジタル式クッキングスケール。スケールの上に、直接コーヒーサーバーを置き、「抽出量」を量りながらドリップしていた。

 カウンター席から身を乗り出して、さっそく取材! 店主の話では、「今、コーヒーの本場のアメリカでは、時間だけでなく、コーヒーの抽出量も“量って”ドリップする」という。それも、正確に。秒単位、g単位で。お店オリジナルのレシピを作り、ときには店同士で交換したりして、コーヒーを楽しむそうなのだ。

 「いいこと聞いた~!」。さっそく、やってみよう!  「コーヒー×スケール」でネット検索したら、スケールとタイマーがセットになったハリオの商品を見つけて購入した。

メーカー名ハリオ
製品名V60ドリップスケール/V60 ドリップステーション
希望小売価格各5,250円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格各3,956円
ハリオ「V60ドリップスケール」。本体サイズは140×190×29mm(幅×奥行き×高さ)
電源は単四形電池2本
デジタル表示で、右側の表示が重さで、計量範囲は2~2,000g。左側はタイマー表示になっている。計測時間は最大99分59秒
今回一緒に購入した「V60 ドリップステーション」。ドリッパーとポット、タイマーを全てセットできるという
製品本体
スケールの上に載せてセット。やはり、スタンドがあると使いやすい!

コーヒーの「サード・ウェーブ」って、知ってる?

 喫茶店の店主から聞いた興味深い話は、まだ続く。コーヒー先進国・欧米のコーヒー業界では、ワインと同様に、コーヒー豆の生産地から、天候、焙煎、器具、ドリップ方法などの違いによってコーヒーの味は大きく変わる――そんな共通認識が高まっているらしい。

 それが、2002年頃から西海岸で生まれた「サード・ウェーブ(第三の波)」というコーヒーのトレンドで、ワインと同様に、産地がキーワードなのだという。

 そんなサード・ウェーブを牽引する海外のバリスタたちが愛用するコーヒーツールが、スケールらしい。日本では、コーヒー豆・粉の量は計量スプーンで、抽出量はカップの目盛り(杯数分)で量るが、欧米では、より正確さを求めて「ドリップ量の重さ」と「時間」で量る。コーヒーの「重さ」と「時間」をデジタル表示のスケールで。

 この話を聞いて、思った。「なんて、ストイックなんだろう!」

手元で管理して静かにドリップ。名付けて「ZEN(禅)ドリップ!」。

V60ドリップスケール/ステーションを使って、ドリップしているところ

 さっそく、「V60ドリップスケール/ステーション」を使ってみよう。大きな画面は、右側の数字が0.1g単位で表示できるデジタルスケール、左側の数字が抽出時間を計測できるタイマーという仕様になっている。色は黒。余計な機能を省いたシンプルなデザイン。加えて、このスケールとタイマーには「ピッ」「ピーッ」「ジーッ」というデジタル音が一切ない。これには驚いた。ドリップに集中しながら、変わるデジタル数字を目で追っていくだけ。この静けさ、このストイックさ。まるで禅の世界みたいだ。

ドリップしながらの計測はこんな感じです

 ドリップコーヒーをおいしく淹れるためのポイントは、豆とお湯の「量」と蒸らしや抽出のための「時間」。この「V60ドリップスケール/ステーション」は、ドリップする時に必要なスケールとタイマーを手元で同時に計測できるように工夫されている。1つの液晶画面の中で蒸らしや抽出の時間をタイマーで計測し、できあがりの抽出量も同時に管理できるから、いつでも安定した抽出ができるようになった。そして、コンパクト設計なので作業台が自然に片付くのもうれしい。

ステーションにスケールと、コーヒーサーバー、ドリッパーをセットして準備完了
ドリップしながらでも見やすいデジタル表示
コーヒーやお湯が落ちるトレイはさっと水洗いができる

 手順は難しそうだけど、実はとてもシンプル。なぜなら、道具は1つだから。気を付けることと言ったら、計量の前にデジタル表示の右側(重さg)を「ゼロ」にすることを忘れないようにするくらい。

 おいしいドリップコーヒーを味わうために、豆や道具、淹れ方にこだわるコーヒーマニアの皆さんにはぜひ、「量る」ことに挑戦してみてほしい。一度、スケールで計るようになると、これまでのカップ1杯、2杯~3杯用……なんていう表記の曖昧さが分かってくる。そして、自分の好みのコーヒーの濃さや風味を正確に知ることができるし、レシピも分かるようになる。正確に、どこまでもストイックに……こだわりのハンドドリップは“量って”お試しあれ!

森 あつこ