やじうまミニレビュー

タカラトミーアーツ「バンクマン まいどおおきに 関西系」

~関西弁のバンクマンに感情移入、途中でお金をよう取り出しまへん

やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです
バンクマン まいどおおきに 関西系

 タカラトミーといえばおもちゃで有名なメーカーだが、その子会社であるタカラトミーアーツは、大人が日常生活で使える、おもちゃのような家電のような、独創的な製品を数多く生んでいる会社だ。

 そんなタカラトミーアーツから、この夏、新たなグッズが誕生した。関西弁をしゃべる貯金箱「バンクマン まいどおおきに 関西系」だ。

メーカータカラトミーアーツ
製品名バンクマン まいどおおきに 500円玉専用 関西系
購入場所Amazon.co.jp
購入価格3,925円

 同社ではこれまで、しゃべって時刻を知らせる時計「クロックマン」や、しゃべって貯金を励ましてくれる貯金箱「バンクマン」を発売しているが、今回はバンクマンのセリフを、関西弁にした点が特徴だ。

500円玉専用、最大5万円まで貯金できる。電池はアルカリで

バンクマン本体とパッケージ

 パッケージから本体を取り出すと、四角形の貯金箱本体の前面に、目と口が付いている。音声が流れると、目と口がシンクロして動くというわけだ。正面から左側には、各種設定を行なう○ボタンと×ボタンがあり、正面から右側には、音声が流れるスピーカーが付いている。

 本体上部にはコインの投入口と、黄色いボタンがある。投入できるコインは500円玉のみで、最大で5万円分(500円硬貨が100枚)入る。その他の硬貨、および紙幣は投入できない。黄色いボタンを押すと、バンクマンがしゃべるなどの反応がある。

 本体サイズは160×130×130mm(幅×奥行き×高さ)と、貯金箱としては標準的なサイズだが、電源が必要な点は、普通の貯金箱とは異なる。電池ケースは本体底部にあり、ネジで止められたフタをドライバーで開けて、別売りの単三形アルカリ乾電池3本を投入する。ニッケル水素電池では動作しなかったので、必ずアルカリを使おう。

本体上部には、硬貨の投入口とボタンがある。ちなみに、ボタンの形はマヨネーズをモチーフにしているとのこと
電源となる乾電池は、本体下部から入れる。フタはネジで止められている
電源は別売りの単三アルカリ乾電池。ニッケル水素電池では動かない

声優は“あの”桂小枝さん! 知らない人は近くの関西人に聞いて

パッケージには声優を務める桂小枝さんの写真が。関西地方では恐らく知らない人がいないほど活躍されている芸人だ

 電池を入れると、バンクマンが「あんた、そこのあんた、頭のボタンを押してや」としゃべり出す。ン? この甲高くて粘着性のある声をどこかで聞いたような……とパッケージを見ると、なんと桂小枝(かつらこえだ)さんが声優を務めているという。やっぱり!

 知らない方のために説明しておくと、桂小枝さんは関西地方で活躍されている落語家、タレントだ。「探偵! ナイトスクープ」(朝日放送)の小枝探偵、桐灰化学のカイロのテレビCMで「きりばいはるはる~」と話すお坊さん、と言えばピンと来る人もいるかもしれない。関西以外の番組にはほとんど出ていないため、知らない方はまわりの関西人に聞いてみるといい。きっと「なんや小枝さん知らんの?」と、余計なことまで教えてくれるはずだ。

 小枝探偵……じゃなくてバンクマンの声に従って、頭のボタンを押すと、日付と時刻、バンクマンが稼動する時間の始まりと終わり、誕生日と声の大きさの設定に移る。この設定はかなり時間が掛かるため、できれば余裕がある時に行ないたい。

電源を入れて、本体上部のボタンを押した後のバンクマン。小枝さんの声はハマっている(36秒)

貯金箱機能はしっかり。その他の遊びの機能も充実

 とりあえずお金を入れてみよう。500円玉を投入すると、「バンク! 500円!」としゃべりながら、目と口を動かす。投入した後は「まいどおおきに。おしまいやったら頭のボタンを押してね~」と話すので、ここでボタンを押すか放置し続けると、「合計金額は****円。たこ焼きでも買いにいきまひょか? 冗談ですやん~」と、調子の良いセリフとともに、合計貯金額を知らせてくれる。

 コインをどんどん入れてみる。セリフの途中で入れても、連続投入しても、しっかり金額をカウントしてくれるのがうれしい。1万円を超えると「大統領!」「すごいやん!」といった合いの手も入れてくれる。

500円玉を1枚だけ入れたところ(26秒)
500円玉を続けて投入した。しっかりカウントしてくれている(1分25秒)

 これが基本機能だが、これ以外にも遊びの要素が多いのがバンクマンの特徴。その1つが、バンクマンのおしゃべり機能だ。頭のボタンを1回だけ押すと、ちょっとした面白コメントをしゃべってくれる。

 具体例を挙げると、「お金はおっかねぇ~ベタやな~」、「ふぅ~貯金の仕事ができた充実感でいっぱいや」、「(夜に押した場合)僕みたいなエエ男には夜が似合うわァ」などなど。そこまで大したことはしゃべっていないが、バリエーションが多いため飽きない。これをすべて桂小枝さんが収録したのかと考えると、ちょっとした感動を覚える。一番のお気に入りコメントは「世の中、金や金や金や~! ……あかん、いま金に取り憑かれてたわ……」だ。

 ただし押しすぎると、機嫌が悪くなってしまい、「ええかげんにせえ! なんべん押すんや!」と怒られてしまう(一定時間放っておくと、元に戻る)。

バンクマンのコメント集(38秒)
ボタンを押しすぎて、期限を悪くしたバンクマン。しばらく放っておくと、機嫌を直して元のコメントに戻る(17秒)

 時計機能も備えている。頭のボタンを3回押すと「今は午前9時26分」としゃべってくれる。これは普通に便利な機能のようだが、時刻に続けて「クロックマンの1億倍働いてんで~」と、余計な一言まで付け加えてくる。関西弁で言うところの「いらんことしい」なヤツのようだ。

 もう1つ、ゲーム機能というものもある。頭を3秒以上押すと、クロックマンが「いち、ご、なな、に、よん」と高速で数字を読み上げるので、頭のボタンを押して、同じ数字を3つ揃えるというもの。言ってみれば“耳押しスロット”だ。しかし、読み上げられる数字はランダムのようで、フツーに押すだけではまったく揃わない。結果、「アンタ筋悪いわ」と言われてしまった。

 このほか、毎正時に「3時になったで!」と時刻を知らせたり、登録した始動時間と運転終了時間に「よっしゃ働くで~」「ほなおやすみ~」と話す自動お知らせ機能も搭載されている。自動でしゃべるのを止める場合は、頭のボタンを5回以上押すと、おしゃべりを黙らせるスリープモードとなる。

ボタンを長押しすると、スロットゲームで遊べる。はっきり言って揃えるのは難しい(44秒)
頭のボタンを5回以上押すと、サイレントモードになる。解除するには、もう一度ボタンを連打する(21秒)

お金を出そうとすると「ホンマに出すん?」、結局貯金を続行するハメに

 ひと通り使ってみて、これは良いと思ったのが、お金が心情的に取り出しにくい点だ。ひととおり撮影が終わったため、背面のフタを開けて500円玉を出そうとすると、「何ですのん! ホンマにお金使うん?」と警告してくる。この警告は、運転が終了した時間帯でも発生する。

 普通の貯金箱なら、貯金の途中でお金を取り出しても、当然ながら何の反応もないが、今まさにお金を取り出そうとしている瞬間にそう言われると、動作が止まってしまう。しかも、普段はくだらないことばかりをしゃべっていたバンクマンにビシッと言われると、なんだか心情的に悪いことをしている気持ちになる。

本体背面のフタを開けてお金を取り出そうとすると、バンクマンが警告してくる(29秒)

 結局、500円硬貨はバンクマンの中にある。撮影用に大量に両替したもので、貯金するつもりではなかったが、いつのまにか貯金に変わってしまった。

 もう1つ良かったのが、声が親しみやすい点だ。バンクマンでは、先ほどの貯金を出す際の警告や、「あんたとはやってられんわ」といったキツめのことを言う時もあるが、ムッとくることはなく、なんとなく許せてしまう。これは関西弁というよりも、桂小枝さんのホンワカとした声によることが影響しているかもしれない。

1人の部屋に置いておき、気が向いた時に頭のボタンを押せば、何となく気分が紛れる。余分な機能があるからこそ、感情移入してしまう

 今では自宅に置いて、サイフで500円玉が余った時に投入している。バンクマンの始動時間を、自分の起床時間に設定しておけば、目覚まし代わりにも使用できた。また、ひとりで部屋にいるとき、バンクマンの頭のボタンを押してしゃべりかけられると、何となくホッとする感覚もある。単なる貯金箱ではあるものの、使い続けるうちに感情移入してしまったようだ。

 逆に、オフィスに置いておくのは難しい。2日ほど会社に置いていたが、毎正時に勝手にしゃべり出すため、同僚はもちろん、置いている本人まで驚いてしまった。

 今回は声優に桂小枝さんを起用した関西弁バージョンだが、せっかくだから日本各地の方言のクロックマンも追加してほしい。たとえば博多華丸・大吉さんによる博多弁バージョン、吉川晃司さんによる広島弁バージョン、U字工事さんによる栃木弁バージョン、あき竹城さんによる山形弁バージョンとか。前述のタレントさんじゃなくても、ご当地出身の声優さんを起用しても面白そうだ。(桂小枝さんの声で)タカラトミーアーツはん、どないでっか!?

正藤 慶一