やじうまミニレビュー

テレビの音をググっと聞きやすくなるテレビ用お手元スピーカー「みみもとの寄り友」

やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです

 帰省して久しぶりに両親に会ったら、なんだかテレビの音量が大きくなっていたなんてことがなかっただろうか? また普段の会話も、少しゆっくりと大きな声でじゃべらないと伝わらないなんて経験をされた方も多いことだろう。

 寄せる歳には勝てるわけもなく、あなた自身もテレビの音が大きくなって、奥さんや子供たちに指摘されたなんてこともあるかもしれない。

 そんなときにお薦めしたいのが、テレビの音を無線で飛ばして、ラジカセのような本体から聞けるようにする、マクセルの「みみもとの寄り友」だ。

マクセルの「みみもとの寄り友」。ラジカセ型の受信機と、小型の送信機のセット
テレビの音を無線で飛ばして、ラジカセのような本体から聞けるようにする。ハッキリ・ゆっくり聞こえる機能付き
メーカー名マクセル
製品名みみもとの寄り友
価格(編集部調べ)8,132円

ただの無線スピーカーではなくゆっくり、はっきり聞こえる

 テレビの音声を手元で鳴らせるスピーカーなら、たくさん見かける。しかしこのマクセルの「みみもとの寄り友」は、耳が少し聞こえづらくなっている人に、声を大にしてお勧めしたいスピーカーだ。

ボックスティッシュとそれほど大きさは変わらない。女性の小さなハンドバッグサイズだ

 大きさはボックスティッシュより一回り小さめ。重さも540gと非常に軽く、スーパーで売っている鶏肉のモモやムネ肉2つのパックと同じ程度。これなら持ち歩いて、テレビの前のソファーからダイニングに移動したり、キッチンに移動して料理番組を見るなんてことも可能だ。

 このスピーカーが他とは違うところは、人の声を浮きたたせる機能と、早口でまくしたてるテレビ番組でもゆっくりしゃべってくれるところにある。

赤い「電源」ボタンに、銀色の「はっきり」ボタン、青の「ゆっくり」ボタンを持つ

 まず人の声を浮き立たせる機能は、声の周波数帯を強調してくれる機能。グラフィックイコライザーをご存じの方は、説明するまでもないが、一般的な音量調節は、ドンドンという振動に近い音から、人の声、楽器の高音から、シャカシャカとい超高音まで、一律に音量を上げてしまう。

 すると声が聞き取りにくいといってボリュームを上げたところで、ほかの音も大きくなってしまうので、声の聴きづらさはさほどからない。これがどんどんボリュームを上げてしまう原因だ。

年を重ねると、声より高い音が聞きづらくなってくる

 しかし本機は、人の声の部分だけ音量を上げるので、ほかの音にかき消されていた会話がよく聞こえるというわけだ。ちょうど、雑踏の中で会話しているときに、耳に手を添えて相手の声を大きくして聞くような感じといっていいだろう。

 これを機械的にやっているのが、みみもとの寄り友だ。

ゆっくりしゃべる機能のサンプル

 もう1つの「ゆっくりしゃべってくれる」機能は、通販番組やバラエティ番組などだ。最近では、テレビでYouTubeを見ている方などにも便利に使えるだろう。

 「ゆっくり」スイッチをONにすると、スロー再生したようなゆっくりした音声になる。でも始終ゆっくりしゃべっていては、テレビの映像と音声のタイミングが合わなくなってしまう。みみもとの寄り友は、音声のしゃべっていない部分を聞き分けて、そこでタイミング調整を図るようにしているので、ズレは最小限になっている。いくら早口のテレビ番組とはいえ、会話の間には必ず「間」があるので、大きく音声と映像がずれることはなかった。

スピーカーは、音楽用のBluetoothスピーカーと変わらないほど高音質のステレオ

 スピーカーはステレオ音声なので、テレビのステレオ感はそのまま、本機自体にもヘッドホンジャックがついているので、映画やドキュメンタリーなどは、ヘッドホンをして番組に集中することもできる。

テレビの音をみみもとの寄り友で受信して、それをヘッドホンで聞くこともできる

 またバッテリーを内蔵しているので、リビングでテレビの料理番組を見ながら、みみもとの寄り友を使ってキッチンで音を聞きつつお料理するなんてこともできる。フル充電してあれば、コンセントがなくても15時間使える。つまり年末なら「紅白歌合戦」の第1部を頭から見て、第2部の最後まで見てから、「行く年来る年」を全部見ても、電池はまだ半分残っているという計算だ。

リビングのテレビを見ながら、音声はキッチンで聞いて料理するなんてことも

 テレビの音が聞こえる範囲はおよそ30m。これならどんなに広い家でもテレビを見られる範囲内だろう。防水仕様ではないのでお風呂に持ち込むことはできないが、脱衣所に置いてテレビの音を聞きながら、ゆっくりお湯につかるなんて楽しみもできるだろう。

リモコン入れになり、ワイドFMも聞けてとにかく便利

 機能的な面も素晴らしいが、本機自体がちょっとしたカゴのようになっているので、テレビとレコーダのリモコンを入れられるようになっている心配りもいい。いつも「みみもとの寄り友」にリモコンを入れておけば、本機と一緒にリモコンを持ち歩けるので、リモコンどこいった! と探すこともないだろう。

リモコンや老眼鏡もあわせて入れておけるポケットも便利

 またFMラジオが聞ける(受信範囲70〜108MHz)のも魅力だ。AMへの切り替えはできないが、ワイドFMという最新のラジオ放送に対応しているため、AM放送の内容を同時にFM放送している放送局を試聴できる(ワイドFM対応の放送局)。

FMの選局もしやすく、ロッドアンテナを伸ばすとハッキリ受信できる

 みみもとの寄り友は、バッテリーを内蔵しているので、災害時などのラジオとしても使える。特に東日本大震災で活躍した「臨時災害放送局」(通常の放送局以外にも、災害情報を放送する免許を与えること)は、FMで放送されるので緊急時に有用だ。充電時間3.5時間で15時間の連続利用ができ、断続的な停電時にも非常に役立つはずだ。

充電式のバッテリーを内蔵しているので、コンセントなしでも15時間使える。乾電池が売切れてしまう災害時(東日本大震災時もそうだった)にも安心だ

 もちろんボタンの操作も簡単。なおかつ、ボタンが色分けされているので見分けやすく、操作もしやすくなっている。また本体には外部入力のステレオミニジャックも付いているので、スマホやタブレットの音をみみもとの寄り友で聞くこともできる。実に至れり尽くせりのスピーカーだ。

マニュアルさえしっかり読めば爺ちゃんでも取り付けできそう

 何千という家電を見て来た筆者が「これはすばらしい!」と驚いたのは、取り扱い説明書の丁寧さだ。通常のマニュアルも文字が大きく読みやすく、各メーカーのテレビへの取り付け方マニュアルが添付されている。

箱1つ1つに何が入っているか明記されている

 さらに驚くべきは、パッケージを開けるとACアダプタなど1個1個を包装している箱に、それぞれの名称が大きく書かれている点。普通なら、マニュアルのイラストと見比べながら何の部品かを調べねばいけないところだが、箱に何の部品かが書いてあるので、一目瞭然。とても丁寧なマニュアルとパッケージに、マクセルのホスピタリティを感じた。

送信機の設置は、テレビの音声出力に接続し、ACアダプタをつなぐだけ
音声用のプラグは、ヘッドホンのようなジャック形式と、ビデオの配線のときに使うピン型のジャックに変えられる。変換ケーブルも同梱

 ここではざっくりと説明をまとめると、テレビに送信機を取り付けるのが一番難しいとして、特に丁寧な説明をしている。基本はテレビ背面にある「音声出力」のピン型コネクタ(赤と白でLRや左右の表記があるもの)と送信機を接続する。

 テレビのスピーカーからの音声は不要という場合は、イヤフォン(ヘッドフォン)ジャックに送信機をつなげるようになっている。

送信機専用とあるUSB ACアダプタを接続する。最近のテレビはUSBコネクタが付いているので、そこから電源を取ってもいい

 あとは送信機用のACアダプタを接続するだけでOK。筆者のように家電に慣れているならマニュアルなしで1分未満、不慣れなお母さんはマニュアル見ながら5分、お爺ちゃんでも10分でうまくつけられるだろう。

送信機の電源は、テレビの電源に連動するようになっている。テレビの音声を検知すると電源ONとなる

 またこの送信機、実に賢く、テレビの電源が入ると自動的に送信機の電源が入り、電源を切ると自動的に電源が切れるようになっている。わずかな消費電力だが、ちゃんと省エネ設計になっている。

父と母が手放せないアイテムに

 筆者の両親もかなり耳が遠くなってきており、いつもテレビを大音量で聞いていた。テレビの前には、リモコンが刺さったみみもとの寄り友が置いてあり、テレビ前の椅子で見るときはヘッドホンをして、ダイニングテーブルで見るときは本体スピーカーで聞いている。

 まだ耳元で会話しないとならないレベルではなく、少し大きめの声で話せば会話は成り立つレベル。それでも、みみもとの寄り友は手放せない存在になっているようだ。

テレビの前には、リモコンが刺さったみみもとの寄り友が置いている
ダイニングテーブルで見るときは本体スピーカーで聞いている

藤山 哲人