やじうまミニレビュー

雷ガードタップって何? しっかり解説しちゃうぞ!

やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです

ACアダプタも邪魔にならないL字のプラグ配置テーブルタップ

 怖いものと言えば昔から「地震、雷、火事、オヤジ」。しかしパソコンで怖いのは「キャッシュ、雷、ウィルス、メール」だ。

 ここ家電 Watchをよく訪れる方には、釈迦に説法かもしれないが、一番怖いのはキャッシュ。男子たるものパソコンで、Hなサイトにアクセスするのは常。しかしその履歴はキャッシュに残り、ある日を境にWebには、常時Hな広告ばかり表示されるようになる。怖えー! マジ怖えー!

 次に怖いのはウィルス。まぁ、これは言わずもがなだろう。そしてメールの誤送信。とくにヤバイのは、書きかけの言い訳やお詫びのメールだ。言い訳の筋道をメモしたメールを誤送信した日にゃぁ、さらにその言い訳を考えなければならず、しばらく眠れない夜が続く。

 そして季節がら一番怖いのは、やっぱり「雷」だろう。とくにパソコンやハードディスクレコーター、スマホなど情報を記録する機器は、何が何でも雷から守りたい。さらに高価なAV機器をはじめとした家電などにも、被害が及ばないようにしたいものだ。

 そんなときに便利なのが、「雷ガード付き」テーブルタップと呼ばれるもの。

サンワサプライの「雷ガードタップ」2Pプラグ10個口、3m「TAP-SP2110-3」

 取り上げるのは、パソコンの周辺機器などで超有名なサンワサプライの製品で「雷ガードタップ(2P・10個口)」というもの。電線の長さによって、1m、3m、5mのモデルがあり、それぞれカラーバリエーションに白と黒がある。バリエーション豊富なので、どんなオフィスやご家庭でもピッタリのものがあるだろう。

メーカー名サンワサプライ
製品名雷ガードタップ(2P・10個口)
品番TAP-SP2110-3
実勢価格1,952円(Amazon)

雷サージも多種多様!防げる一般的な雷から防げない直撃まで

 落雷により通常は100Vのコンセント電圧が急激に数千Vまで瞬間的に上がったり、電話線やデータ回線、アンテナを通して高電圧、大電流が流れたりすることを「雷(かみなり)サージ」と呼ぶ。

 雷の進入経路をまとめると、だいたい次の図のようになる。

サンワサプライのWebページより

 この進入経路に雷サージの発生する確率を考慮に入れると、一番高確率で雷被害にあうのは。電源線(オレンジ)からの進入だ。

高確率

(1)電源線(電灯線)

(2)ケーブルテレビ ※図にはなし

(3)電話線(データ線)

(4)アンテナ

(5)大気

低確率

 (1)の電源線は、雷が電柱に直撃した場合、電柱を結ぶ電線に落ちた場合、電柱の近くに落ちた場合などさまざまあり、高確率で雷サージが発生する。しかも電線網でつながっているので、ご町内や近隣一体で発生するトコが怖い。

 (2)も(1)と同程度の確率と思っていいだろう。ただケーブルテレビの電線は、最終的にアンテナに統合されて家の中に引き込まれるので、直撃を受けるのはテレビやビデオなど。しかしこれらの機器は、コンセントにつながっているので、結局家にあるパソコンなども影響を受けることなる。

 (3)の電話線やインターネット回線なども、ケーブルテレビや電源線と同じような確率かと思いきや、雷サージ対策用の「保安器」が家の外壁についていることが多く、被害に合う確率はやや低めだ。そもそも光ファイバー回線(FTTH)の場合は、電気を通さないので雷の影響がない。

 (4)はテレビアンテナの類だが、コレまでのように回線網ではなく1本のアンテナなので、そこに向かってモロに落雷する可能性というのは、グッと減ってくる。ましてや(5)の場合は、外でノートパソコンを使っていたら、落雷が直撃! とか、部屋で使っていたら直撃!なんてことは、まずない。万が一、億が一ならあるかもしれないが……。

 こうして考えると、(2)のケーブルテレビも怖いが加入者の数を考えると、電源線から進入する雷サージを防止できれば、大多数の雷被害が防げることになる。

電源線の誘導雷を抑えればOK! 雷の多い地方ならさらに上も

 「雷サージの進入経路は電源線を押さえれば大丈夫」という話しをしたが、電源線からくるサージには実は3つある。

【誘導雷】

電線や送電設備そのものではなく電柱の近くに落雷し、その影響で、送電している電圧が一瞬上がる現象。自転車の車輪に強力磁石を、車輪を支えるフォークにライトをつけると、自転車が走ると電池もないのにピカピカ光るライトと同じ原理(電磁誘導)。この電磁誘導で直撃より低い電圧が、一瞬電源線網に流れる

【侵入雷】

電源線の送電網につながるあらゆる場所、たとえば電柱の送電装置や送電線、ビルの電気設備などに落雷した雷が、そのまま電源線に進入してしまう。雷の高電圧が流れてくるので、超高電圧が流れる。変電所などが被害を受け停電になる場合も

【直撃雷】

近所の電柱にある送電設備や電源線に落雷し、雷の高電圧がそのまま流れるので、超高電圧が流れる。もう火事とかになるレベル

 この3つの雷サージが考えられるが、一番多い被害は誘導雷。通常は、これに対する雷対策を行なっておけばいい。進入雷は、雷の多い地方(たとえば山間部)で、これに対応できる雷対策を行なってあると、なお安全という感じだ。しかし直撃雷になる可能性も大なので、100%安全策と言えない点がもどかしい。

 最後の直撃雷の雷サージに対応できるものはない。ここまで来ると火事が起きたり、電源線が落雷で切断されたりするレベルなので、サージが来る前に電線が切れ、停電することを祈るしかない。

※イラストはすべてサンワサプライのホームページより

雷ガードタップは誘導雷の雷サージ対策用

 ここまで読んでいただいた方はすでにお分かりの通り。すべての雷サージを防げる電源タップはないが、「雷ガードタップ」を使えば、たいていの落雷から機器を守れる。つまりタップが瞬時に落雷を検知して、大きな電圧が流れないように阻止してくれるからだ。ただし1回落雷から機器を守ったテーブルタップは、内蔵されている素子自らを壊して機器を守るため、テーブルタップを買い換えなければならない。

雷マークの横に緑のランプが点灯している場合は、雷サージから機器を守る素子が健在という意味。消えている場合は、一度落雷を阻止して自らが壊れているので、お礼を言って捨てるといい

 言うなれば身代わり地蔵や、身代わり不動尊なので、落雷を受けたらありがとう! と感謝して、燃えないごみとして処理して欲しい。

 なお山間部で雷の多い地方で利用する場合は、サンワサプライのホームページから、「高性能雷ガード」「アース端子」の表記があるテーブルタップを選んで欲しい。

雷から守るだけでなくたこ足配線の危険からもガード!

 この電源タップが安心できるのは、雷からパソコンなどを守ってくれるだけでない。事務所でこの手のテーブルタップを使うと、最初は2、3人で1個のタップを使っているので問題ないが、新人さんが来るとテーブルタップからさらにテーブルタップをつなげて「とりあえず電源を確保!」なんてことがよくある。が、それを忘れて、レーザープリンタなどの大電力を消費するものまで、つないでしまうとタップの最大電力を超えてしまって、電線が熱くなるなんてことも。

左横のオレンジに光るスイッチ(シーソー型)がブレーカーになっている。問題なければ、写真のようにオレンジに光ってタップの電源ON状態に
容量オーバーするとランプが消えてタップの電源が落ちる。雷サージと違って、容量オーバーの場合はスイッチをONにすると復帰する。ただし容量を超えた機器の電源をOFFにすること

 しかし本製品は、タップ自体にブレーカーが付いているので、たこ足配線で容量をオーバーすると、火事になる前に自動的に電源を強制遮断するようになっている。

 しかも本製品は最大1,500Wまでとなっているが、ある程度設計にマージンを持たせており、1,500Wを一瞬でも越えたらブレーカーが落ちるといことはない。電源を強制遮断するタイミングは、おおよそ以下の通りだ。

容量オーバーの度合いブレーカーが切れるまでの時間
135%オーバー時(2,025W)約1時間
200%オーバー時(3,000W)約4〜50秒
300%オーバー時(4,500W)約0.8〜12秒
500%オーバー時(7,500W)約0.3〜4秒
ブレーカーは切れてもスイッチを操作すると電源を復旧できる

 具体的に言うと、レーザープリンタを3台ほどつなぎ、同時に電源を入れたら、数秒でブレーカーが切れるという感じだろう。

 とはいえブレーカーが付いているからと言って、テーブルタップ任せにするのは本末転倒。しっかり自分で消費電力を把握して欲しい。

Lに設けられた挿し込みはスマホ充電器などで超が付くほど便利

 このテーブルタップは挿し込みが45mm間隔になっているので、USB-ACアダプタ(スマホの充電器)や電池の充電器を挿すのに都合がいい。さらに上向きにコンセントが5つ、横向きにコンセントが5つ配置されているので、充電器と普通のコンセントプラグを互い違いに差し込んでいけば、まるまる10個のコンセントを有効活用できる。

コンセントの間隔は、人差し指の先から第2関節あたりまで。数値で言うと45mm
こんな感じで隣の挿し込みを妨害しないので、10個のコンセントを、これ以上ないぐらに有効活用できる
横から見たところ。ミッちり!だけどぶつかってない!
上から見たところ。まぁ、ここまで窮屈になるのは、かなりレアケースだと思われ(笑い)

 さらにビジネスで使うのにも超便利。背面にはネジでに取り付け穴に加えて、強力磁石が付いていて、デスクサイドにガッチリ磁石で止められる。タップの大きさ自体は、通常の事務用のタップとほぼ同じ30cmを切る(288mm)程度なので、前のタップと交換してスペースがない! なんてことも皆無だ。

磁石が付いているので、金属のデスクの横にガッチリ固定でき、挿し込みも有効活用!
磁石がくっつかないところは、木ネジ2本で固定もできる
刃は180度回転し、根元は樹脂で覆われているので、ホコリによるトラッキング現象(ショート・発火)も起こらない

 さらにコンセントの挿し込みは、羽が180度回転し壁にピッタリくっつけられるタイプ。そして刃の根元は、樹脂でガードされているので、ホコリによるショートの心配もなく安全だ。

雷シーズンは6月末~8月! ぜひこんな方々にオススメ!

 さて雷サージそのものの解説からしたので、長い記事になってしまったが、本製品をオススメしたいのはこんな皆さんだ。


・雷雨でもパソコンで仕事をしなければならない事務所
・大家さんがあまりパソコンなどに詳しくない貸しビルに入っている会社
・中小企業のサーバルームのテーブルタップとして
・個人宅でAV機器の裏のテーブルタップとして
・自室のパソコン用の電源タップとして

雷から大切な機器を守る、身代わり地蔵さんみたいなテーブルタップ
独自のコンセントのレイアウトで、ACアダプタをたくさん挿しても、隣の挿し込みの邪魔をしない

 雷被害にあう確率なんて少ないかも知れない。でも万が一を考えたら、たった数千円の保険料で何年もパソコンを守れると思えば、かなり安い買い物になるだろう。

藤山 哲人