藤山哲人のモバイルバッテリー診断

栄養ドリンクサイズで出張向きのモバイルバッテリー

「モバイルバッテリー診断」は、スマートフォンの外部電源として普及しているモバイルバッテリーをレビューするコーナーです。(編集部)
日本トラストテクノロジー「MB2IN1」

 それほどヘビーユーザーではないが、イザというときに備えてモバイルバッテリーが欲しいという、モバイルバッテリー初心者にオススメしたいのが、日本トラストテクノロジーの「MyBattery 2iN1」。

 栄養ドリンクサイズながら、スマホを1回充電できる容量。しかも超小型USB-ACアダプタが一体型になっていて、出張や旅行でもかさばらず重くないというスグレものなのだ。

メーカー名日本トラストテクノロジー
品名・型番MB2IN1
バッテリー容量3,000mAh
繰り返し利用回数300〜500回
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
30×30×74mm
重量約84g
カラー・モデルブラック、ホワイト、ブルー、
レッド、グリーン、イエローの6色
実売価格3,800円程度

 充電器とバッテリーを合体させたままだと、それがモバイルバッテリーと分からないほどスマートなデザイン。利用時は合体したまま使ってもよし、充電器とバッテリーに分離してもいい。合体・切り離しもスマートで、抜き差しするだけでOKだ。

合体したままでも、モバイルバッテリーとして利用できる
充電器とバッテリーに分離しての利用もOK

 2つに分離した小さいほうは、USB ACアダプタになっている。コンセントを引き出し、再びバッテリーと合体させて、壁コンセントに差し込めば充電が可能だ。

 一方、大きいほうはモバイルバッテリー本体。オスのUSBコネクタは、バッテリーを充電するコネクタで、パソコンや他のUSB-ACアダプタでも充電ができる。スマホを充電するときは、反対側にあるメスのUSBコネクタにケーブルを差し込んで、スマホとつなげるようになっている。

充電器とバッテリーを合体した状態で、コンセントを引き出したところ。この状態でコンセントに差し込めば、モバイルバッテリーの充電ができる。写真はスマホ充電中
底部分がスマホ充電用のUSBコネクタと電源スイッチ、バッテリー残量計になっている
側面は何の突起もなく、非常にシンプルなデザイン
USB ACアダプタ部分。iPhoneの充電器とほぼ同じサイズ
通常のUSB ACアダプタと同様に、ここからスマホを充電することもできる
バッテリーを充電するためのオスのUSBコネクタ(モバイルバッテリー本体部)。一般的なモバイルバッテリーは、メスのmicro USBなので注意が必要

ちょうど1回分充電できる軽量・小型のスマートバッテリー

充電の実測テストに利用した、2012年夏モデルの富士通製ARROWS X F-10D。内蔵バッテリー容量は1,800mAh

 まずは内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン(ARROWS X F-10D)を実際に充電してみたところ、ちょうど1回分の充電ができた。ただ大容量バッテリーを搭載したスマホが多くなってきたので、やや足りなさを感じる場合があるかも知れない。

【スマートフォン充電テストの結果】
充電回数「56%」(1,680mAh相当)
※WiFi:ON、Bluetooth:OFF、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリBattery Mixにて容量変化を記録

 非常に小さくスマホと重ねて持ってもかさばらないので、シャツのポケットに入れておけるほど。添付のケーブルは90cmと長いので、バッテリーはカバンの中、スマホはポケットの中で充電するといった使い方もOKだ。

 カバンに入れておくと電源ボタンを誤操作してしまうのでは? という心配もあるだろう。その辺はしっかり考慮されていて、何かの拍子に電源が入ってしまっても、スマホを接続していないときは数十秒で電源が切れるようになっているのでムダに電気を消費しない。

 スマホをおよそ1回充電できるバッテリーなので、残量計は2段もあれば十分だが、本製品は1色4灯式なので十分すぎるほどだ。

【スマートフォン充電(出力)スペック】
項目詳細
USBコネクター数USB×1
USB最大電流1A
充電ケーブル
(コネクター)
Micro USB(90cm)
残量インジケータ1色4灯式
自動電源OFF本体電源ON時も有効
40mAでOFFを確認

電流が低く急速充電モードに入らない可能性あり

 たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。

 なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。

連続電圧変移
連続電流変移

 スマホを充電しているとき「いつもより充電に時間がかかるなぁ」と感じたのだが、その原因が分かった。電圧はピッタリ5Vで安定しているのだが、電流が800mA以下で安定してしまっている。パッケージを確認すると出力1A(1,000mA)とあり、一般的なモバイルバッテリーと同じ。だが、実際に出力される電流は少し低く、スマホが急速充電モードに入らない場合があるようだ。

 しかしまったく充電できないというわけではなく、充電時間が少し長くなるというだけなので、ヘビーユーザー以外はとくに問題ないだろう。

 表示されている3,000mAhのうち、ロスなどを差し引いた実際にスマホに充電できる容量は、およそ56%(1,680mAh)だった。他のモバイルバッテリーに比べると、ややロスが多い点はいなめない。

実容量ロス率

 なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合( )内が内蔵バッテリー容量を示している。

【実用量と各種スマートフォンの充電回数予測】
項目詳細
バッテリー表示容量3,000mAh
連続利用時の実用量1,693mAh(56%)
連続実用量1,000mAhあたりの価格2,244円
充電回数(理論値)Android(1,300mAh):1.3回
Android(1,500mAh):1.1回
Android(1,800mAh):0.9回
Android(2,000mAh):0.8回
Android(2,200mAh):0.8回
Android(2,500mAh):0.7回
Android(3,000mAh):0.6回
iPhone4/5/S/C(1,500mAh):1.1回

充電時の便利さは快適!バッテリーと併用で2台同時充電OK!

 カタログでは充電時間4〜5時間とあったが、実際に充電してみたところおよそ2時間半だった、使った充電器は、もちろん添付の一体型充電器(5V 1A)だ。

 わざわざケーブルで接続せずに、カチッ! と合体してコンセントに差し込むだけの充電は、これまでに経験したことのない便利さ。テーブルタップによっては、コンセント2個分を占有してしまうこともあるかも知れないが、壁コンセントにバッテリーごとグサ! っと挿せる便利さには驚かされた。小型で接触不良になりやすいmicroUSBコネクタの抜き差しをしないでいいという気軽さも便利さのひとつとなっている。

分離してもう1台のスマホを充電。充電器で1台、バッテリー本体でもう1台の2台同時充電ができる
コンセントに本体ごと差し込めるので邪魔にならず便利

 充電器は、普通のUSB ACアダプタとしても利用できる。バッテリーを差し込むUSBコネクタにケーブルを挿し、スマホと接続すればたいていの機種は充電できる。出力が1Aなので、タブレットや超急速充電の機種には対応できない点に注意して欲しい。

 また充電器でもう1台のスマホを充電できるので、バッテリー本体と合わせて使えば2台同時充電も可能になる。

【本体充電スペック】
項目詳細
本体充電用コネクタUSBオス
充電時間(カタログ値)4~5時間
充電時間(実測)2時間35分
繰り返し利用回数300~500回

初めてのモバイルバッテリーとしてオススメ

 内蔵バッテリー容量2,000mAh程度のスマホでかつ、初めてのモバイルバッテリーを探しているという人にぜひオススメしたい。また旅先などに持っていける小型のモバイルバッテリーとしてもオススメ。

カラーバリエーションが6色あり、シンプルなデザイン。初めてのモバイルバッテリーとしてオススメ

 バッテリー本体と充電器を併用すれば、同時に2台充電できるという点も利便性を感じるポイント。電流が低くロスも多いというデメリットもあるが、それ以上に便利に使えるのがうれしいモバイルバッテリーだ。

【総合評価】
メーカー・品名日本トラストテクノロジー MB2IN1
ロスの少なさ ★★★☆☆(3)
持ち歩きやすさ★★★★★(5)
単位容量の安さ★☆☆☆☆(1)
充電の早さ  ★★★★★(5)
使い勝手のよさ★★★★☆(4)

藤山 哲人