藤山哲人のモバイルバッテリー診断
15分の急速蓄電でiPhoneをほぼ満充電できるモバイルバッテリー
by 藤山 哲人(2014/9/11 07:00)
今回紹介するのは、本体を15分充電するだけでiPhoneを1回充電できるモバイルバッテリー、バッファロー「Voltissimo(ヴォルティッシモ) 8,000mAhタイプ BSMPB0180」だ。
容量が半分の4,000mAhタイプも同時発売されている。
メーカー名 | バッファロー |
---|---|
品名・型番 | BSMPB0180 |
バッテリー容量 | 8,000mAh |
繰り返し利用回数 | 500回 |
サイズ (幅×奥行き×高さ) | 62×147×22mm |
重量 | 293g |
カラー・モデル | ブラックとホワイトの2色 |
実売価格 | 10,000円程度 |
ACアダプタのサイズは、ノートPCのものとほぼ同じ大きさだ。出力は12V/4.9Aとかなり大電力で、100V~240Vのコンセントで使えるワールドワイド仕様になっている。急速充電には、高い電圧と高い電流が必要なので、この大きさはしかたない。
価格は高いがそれでも魅力的な急速充電の便利さ
サイズはほぼスマホと同じだが、厚みが3倍ほどある。重量もポケットに入れるには重すぎなので、カバンなどにスマホと重ねて入れておく使い方がメインになるだろう。
付属のMicro USBケーブルはおよそ10cmで、スマホと重ねて充電するにはピッタリ。しかし、容量が8,000mAhということを考えると、バッテリーをバッグに入れて使う場合などもあるので、長短2本のケーブルを添付して欲しかった。
電源スイッチは、スライドスイッチだが、スマートフォンの充電が完了したり、何も接続されていない場合は自動的に電源が切れるオートパワーオフ機能を備えている。
本体には、スマホをつなぐUSBコネクタが2つある。出力は2ポート合計で3Aとなっていて、タブレットとスマートフォンの2台同時充電が可能。また、1ポートの最大出力は2.4Aとなっており、大型タブレットも充電できる。
実験結果は後述するが、15分でスマートフォンをほぼ1回充電できる急速充電機能は、外回りの多い職種の人に便利だ。ちょっと会社に帰って書類をまとめている間に、通常なら2~3時間かかる充電が、15分で終わるというアドバンテージは大きい。
容量的には、スマートフォン向けだが、ミニタブレット2台持ちにも是非オススメしたい。
スマートフォンをほぼ3回充電可能! 安定性とロスの少なさは平均以上
まずは、内蔵バッテリー容量1,800mAhの、2012年夏モデルの富士通製ARROWS X F-10Dを実際に充電してみた。結果は、ほぼ3回の充電が可能だった。
【スマートフォン充電テストの結果】
充電回数「3回と10%」(5,616mAh相当)
※Wi-Fi:ON、Bluetooth:OFF、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリBattery Mixにて容量変化を記録
項目 | 詳細 |
USBコネクタ数 | 2 |
USB最大電流 | 3A(2ポート合計)/各ポート最大値2.4A |
充電ケーブル (コネクタ) | Micro-USB |
残量インジケータ | 1色4灯式 |
自動電源OFF | 本体電源ON時も有効 40mAでOFFを確認 |
同時充電 | スマートフォン2台:○ スマートフォン+タブレット(2A):○ |
次に独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。
なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる(モバイルバッテリーとスマートフォン内部でのロスを差し引いた)容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。
電圧は、5.1Vからブレることなく非常に安定している。電流もほぼ900mA以上を出力できパワーも安定。出力性能は文句なしだ。
この結果を元に表示容量8,000mAhのうち、実際にどれだけスマートフォンに充電できるかを計算したところ、65%(5,165mAh)となった。ロスの少なさは、標準より少し上といった感じだ。
計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレットをおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合()内が内蔵バッテリー容量を示している。
項目 | 詳細 |
バッテリー表示容量 | 8,000mAh |
連続利用時の実用量 | 5,165mAh(65%) |
連続実用量1,000mAhあたりの価格 | 1,936円 |
充電回数(理論値) | Android(1,800mAh):2.9回 |
Android(2,000mAh):2.6回 | |
Android(2,200mAh):2.3回 | |
Android(2,500mAh):3.7回 | |
Android(3,000mAh):1.7回 | |
iPhone4s/5/5s/5c(1,500mAh):3.4回 | |
小容量タブレット(6,000mAh):0.9回 | |
大容量タブレット(12,000mAh):0.4回 | |
iPad mini(6,471mAh):0.8回 | |
iPad(11,560mAh):0.4回 |
15分の充電でAndroidもほぼ1回充電OK! フルチャージは1時間半を切る速さ!
充電性能は、モバイルバッテリー中でナンバーワンと言ってもいい。専用ACアダプタが大きいというデメリットはあるが、フル充電にかかる時間は、カタログスペックで94分、実験値だと72分だ。この急速っぷりはハンパない。一般的な8,000mAhのモバイルバッテリーだと、8時間あたりが標準的なのだ。
ここまでの超急速充電機能は、2万mAhオーバーのものにしかなかったが、8,000mAhを1時間半で充電できるというのは、新たな便利さをもたらすだろう。
また、メーカーでは「15分充電するとiPhoneを1回充電可能」としている。この充電性能についても、ARROWS X(F-10D)で試したところ、6%→77%(71%)まで充電できた。3,000mAh以上のバッテリーを内蔵するAndroidは別として、一般的なAndroidでも15分の充電で1回充電可能としてもいい。
なおiPhoneは、1,500mAhのバッテリーを内蔵しているので、バッテリー残量10%から充電すれば95%ぐらいまで増える計算だ。
急速充電用のACアダプタは、100V~240Vまで対応しているのでワールドワイドで使える。もし、重くて持ち歩くのが面倒な場合は、小型のUSB-ACアダプタ(出力1A以上)を使って充電できる。この場合、充電時間はおよそ10時間となるが、8,000mAhの大容量なら仕方ないだろう。
さらに、USB-ACアダプタでなくパソコンのUSBポートからも充電できるが、超低速充電(出力500mA)なので、充電時間は20時間近くなり、あまり実用的ではない。
項目 | 詳細 |
本体充電用コネクタ | 専用コネクタ |
付属充電器(仕様) | 12V/4.9A |
充電時間(カタログ値) | 1時間34分 |
充電時間(実測) | 1時間12分 |
繰り返し利用回数 | 500回 |
忙しい営業系もしくは就活中の学生にオススメ!
ほとんど外回りで、あまり会社にいない営業関係の人や、就職活動などでスマートフォンのマップ&ナビ機能を活用し、外出中心の生活を送っている人に、超急速充電のVoltissimo 8,000mAhタイプはオススメだ。
また、ミニタブレットとスマートフォンを併用する人にも8,000mAhの容量が便利だ。スマートフォンが1回充電できれば十分という人には、姉妹品の4,000mAhをオススメしたい。
市場価格はおよそ1万円と、モバイルバッテリーとしては高い。だが、専用の急速充電器を使うことで、8,000mAhを1時間半以内にフルチャージし、約1,500mAhを15分でチャージできるのは、価格に変えられない便利さをもたらすだろう。
メーカー・品名 | バッファロー Voltissimo 8,000mAhタイプ |
ロスの少なさ | ★★★★☆(4) |
持ち歩きやすさ | ★★☆☆☆(2) |
単位容量の安さ | ★★☆☆☆(2) |
充電の早さ | ★★★★★(5) |
使い勝手のよさ | ★★★★★(5) |