藤山哲人のモバイルバッテリー診断
ルックイースト「Power-Pond Fit」
~ケータイとスマホ、2台持ちユーザーにオススメ
by 藤山 哲人(2014/2/5 07:00)
今回紹介する容量4,600mAhのモバイルバッテリーは、普通にスマートフォンを充電できるだけでなく、スマートフォンに入っている内蔵バッテリーを直接充電できる点が特徴だ。このようなモバイルバッテリーは類を見ないので、使い勝手を試してみよう。
メーカー名 | ルックイースト |
---|---|
品名・型番 | Power-Pond Fit |
バッテリー容量 | 4,600mAh |
繰り返し利用回数 | 500回 |
サイズ (幅×奥行き×高さ) | 70×126×16mm |
重量 | 200g |
カラー | ホワイト/ブラック |
実売価格 | 3,000円程度 |
・実験結果は、室温がコントロールされていない環境で行なっています。電池は温度により、その特性が大きく変わる点にご注意ください。 ・実験結果は記事作成に使用した個体に関してのものであり、すべての製品について共通であるとは限りません。 ・実験結果に基づいた実容量やロス率は、その値を保障するものではありません。 ・筆者および家電Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにはお答えできません。 |
見た目は普通のモバイルバッテリーだが、裏ブタをスライドして空けると、キレイにUSBケーブルが収納されている。専用のリールに巻き取って収納するため非常にコンパクトだ。
リールを取り出すと、中に使い方を示す印刷が見える。ここにはスマートフォンの内蔵バッテリーがセットでき、直接充電することが可能になっている。メーカーによれば、ここに納まるスマートフォンや携帯電話のバッテリーならサイズや形、メーカーやキャリアなど依存されることなく、何にでも充電できるという。
なおUSBからの出力は最大1Aとなっているので、iPadやスマートフォンの超急速充電には対応していない。
スマートフォンはUSB経由で、ガラケーなら内蔵バッテリー充電もイケる
まずは内蔵バッテリー容量1,800mAhのスマートフォン「ARROWS X F-10D」を実際に充電してみたところ、1回と80%ほど充電できた。添付のケーブルは、モバイルバッテリー内に収納できる割には35cmと長く便利に使える。
重さは金属部品を使っているためなのか、200gと同容量の一般的なモバイルバッテリーに比べると倍近く重い。スマートフォンと重ねてポケットに入れて充電するには少し不向きだ。
・スマートフォン充電テストの結果
充電回数「1回」と「80%」(3,258mAh相当)
※測定条件は、WiFi:ON、Bluetooth:OFF、GPS:ON、省電力モード:OFF、画面OFFの状態で充電、電池残量約10%から充電開始し90%程度までを繰り返し、アプリBattery Mixにて容量変化を記録
電源ボタンは少し凹んでおり、誤動作防止になっているほか、スマートフォンがつながっていない場合やフル充電になった場合は、自動的に電源が切れるオートパワーオフ機能を備えている。
バッテリー残量計は、電源ボタンを囲むように4つのLEDが配されていて、4段階で表示される。スマートフォンを充電している場合はLEDが右回りに、モバイルバッテリーを充電している場合は左回りにアニメーションするようになっている。
一方スマートフォンの内蔵バッテリーを直接充電する方法は、あくまでもオマケ機能と考えたほうがよさそうだ。
まず内蔵バッテリーの端子に合わせて、モバイルバッテリー側の端子ピンを動かす必要があるが、あまり電気に精通していない人にとっては、いくつかある端子のどれに合わせればいいのか分からないだろう。逆に電気の知識がある人は、プラスマイナスを意識したり、データ端子とプラスをショートさせたらヤバイかも? と色々心配になってしまう。
メーカーの公式発表ではないが、充電前はモバイルバッテリー側のピン端子間に抵抗が入っていて、データとプラス端子をショートさせても問題ないようだ。さらに充電前にプラスマイナスの極性がチェックされ、それに応じて端子側の極も入れ替えるようになっている様子。
1,800mAhのスマートフォン内蔵バッテリーを実際に充電してみたところ、フル充電まで12時間掛かった。また必ず100%まで充電するというわけではなく、実験では94%や71%で充電を打ち切ってしまう場合があった。充電時間の長さや100%まで充電できないのは、どんなバッテリーにも対応するために汎用性を持たせているためだろう。
USBコネクタから充電した場合は1.8回充電できたが、内蔵バッテリーを直接充電した場合は1.9回充電できた。USB経由で充電するより僅かにロスは少なくなるようだ。
内蔵バッテリーの直接充電機能は、1,000mAh以下のガラケーことフィーチャーフォン(従来型携帯電話)なら便利に使えそうだが、スマートフォン用としては使いづらいだろう。
項目 | 詳細 |
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USBコネクタ数 | 1(MiniUSB) |
USB最大電流 | 1A |
充電ケーブル (コネクタ) | Micro USB-USB |
残量インジケータ | 1色4灯式(25%刻み) |
自動電源OFF | 本体電源ON時も有効。40mAでOFFを確認 |
同時充電 | スマートフォン内蔵バッテリーパック |
出力も高く安定していてロスも少ない優秀なモバイルバッテリー
たいていのスマートフォンは約1Aで急速充電するため、独自の測定器を用いて連続して1Aの電流を流し、電圧と電流の変化、そしてスマートフォンに充電できる実容量を測定した。
なお実用量とは、パッケージの「○○mAh」というバッテリー容量のうち、実際にスマートフォンを充電できる容量を示す。実用量率は、表示容量に対する割合で、値が大きいほど高性能バッテリーといえる。
電圧は極めて安定しており満点。電流は若干ブレ幅があるものの、高い出力を維持しているので、モバイルバッテリーとしては高性能だ。
表示容量4,600mAhのうち実際にスマートフォンに充電できる実容量を計算したところ、2,976mAh(65%)となっており、ロスも非常に少ないバッテリーだ。
なお計算を元に出した実用量から、各種スマートフォンやタブレット、携帯ゲーム機をおよそ何回充電できるかは、次のとおりになる。Android系の場合カッコ内が内蔵バッテリー容量を示している。
項目 | 詳細 |
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バッテリー表示容量 | 4,600mAh |
連続利用時の実用量 | 2,976mAh(65%) |
連続実用量1,000mAh あたりの価格 | 1,008円 |
充電回数(理論値) | Android(1,300mAh):2.5回 Android(1,500mAh):2.2回 Android(1,800mAh):1.8回 Android(2,000mAh):1.6回 Android(2,200mAh):1.5回 Android(2,500mAh):1.3回 Android(3,000mAh):1.1回 iPhone 4S(1,432mAh):2.3回 iPhone 5(1,434mAh):2.3回 iPad 2(6,580mAh):0.5回 ソニー PSP(1,200mAh):2.7回 任天堂 3DS(1,300mAh):2.5回 |
充電時間は10時間半と長いので生活スタイルによっては不便
モバイルバッテリー自体の充電時間は、カタログ上では約7時間とあった。そこで実際に充電してみたところ10時間半かかった。これは充電が添付されていなかったので、2.1A出力できるUSB ACアダプタを使った値だ。
さすがに充電に10時間以上かかるとなると、生活のスタイルによっては一晩で充電できないことになり使い勝手が悪くなる恐れがある。せっかく電圧・電流ともに安定し、ロス率も低いモバイルバッテリーなのに、充電性能が足を引っ張る形になり非常にもったいない。
項目 | 詳細 |
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本体充電用コネクタ | Micro USB |
添付充電器(仕様) | なし |
充電時間(カタログ値) | 約7時間 |
充電時間(実測) | 10時間20分 |
繰り返し利用回数 | 500回 |