LED電球、どれを買う?

ノジマ「ELSONIC(エルソニック) E-FLA5L1」

~980円の激安LED電球の実力を探る
by 藤原 大蔵

家電量販店「ノジマ」による、980円のプライベートブランドLED電球

ノジマ「ELSONIC(エルソニック) E-FLA5L1(電球色)」。全光束は300lm。通常の定価は1,480円だが、8月31日までは980円だ

 ついに1,000円を割るLED電球が出現した。

 これまで、白熱電球からLED電球へ取替える時のネックは、高価な電球代だった。白熱電球なら100円程度で買えるのが、LED電球なら数千円になるわけだから、買い替えに抵抗を覚えるのは当然だろう。それがたとえ、省電力で長持ち、という長所を理解していてもだ。

 しかし、今回紹介するLED電球「ELSONIC(エルソニック)」は、1個数千円というLED電球の相場を大きく覆す、「980円」というお値打ち価格が特徴だ。初期購入費である電球代が下がれば、LED電球購入へのハードルもグンと下がるというものだろう。

 家電量販店のノジマのPB(プライベートブランド)商品となるが、搭載されているLEDチップは、大手家電メーカーのシャープ製。シャープは電球の業界団体「日本電球工業会」の会員となっている。明るさは、全光束300lm(ルーメン)。日本電球工業会の基準で言えば、「白熱電球20W相当」となる。今回はこの、980円のLED電球の実力を探っていくことにしよう。

 ところで、980円という価格は、8月31日までの期間限定価格とのこと。希望小売価格は1,480円だが、節電の呼びかけに応じ、通常よりも500円安くなっているらしい。


メーカー名ノジマ
製品名ELSONIC(エルソニック)
品番E-FLA5L1
全光束300lm
定格消費電力5.2W
口金E26
光色電球色
白熱電球と比較した明るさ
(JELMA基準・ランプ単体)
20W形相当
定格寿命40,000時間
調光器対応-
密閉器具対応-
サイズ(高さ×直径)116×60mm
重量78g
購入価格
(直販サイトで購入)
980円
※60W形白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V57W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用 
※※40W形白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V38W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用
※※※20形白熱電球は東芝ライテックの「LW100V18W」(1個パック126円で購入)
※※電球形蛍光灯は、2008 年の特集で 総合的に性能の高かった 
パナソニックの 「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用

 



【基本スペック編】

サイズ比較

 実測したサイズは116×60mm(高さ×直径)で、全体的なフォルムは、口金へ向かって細くなっており、電球らしいくびれもある。LEDチップを覆うグローブはガラス製で、放熱部はヒートシンクのない、ツルリとした仕上げだ。白熱電球よりは大きめだが、口金付近の太さは白熱電球と同じ32mmなので、多くの器具に問題なく取り付けられるだろう。

 重量は実測で74gと、軽量化が進むLED電球の中でも特に軽いグループに入る。電球形蛍光灯(87g)よりも軽いので、取り付ける器具への負担を気にする必要はまったくないレベルだろう。

高さは116mm(中央)と、60W形白熱電球(左)より18mm背が高い。電球らしいくびれもあり、放熱部はツルリとしている。口金付近の直径は32mmと、白熱電球と全く同じで、重量は74gと軽いので、多くの取り付ける器具にとりつけやすいだろう直径は60mm(中央)だ。ガラス製のグローブ、先端にはロゴもありとても電球らしい雰囲気だ。内部のLEDチップが少し透けるがほとんど気にならない

器具に取り付けたようす

 器具とのバランスはとても良い。ガラス製のグローブの印象が良く、先端のロゴも電球らしい。LED電球に取り替えたという違和感が無いのだ。白熱電球よりも背は高いが、グローブが少し放熱部よりせり出しているので、多少覗き込んでも放熱部が見えにくい。

 というわけで、多くの器具に問題なく取り付けられるだろう。

【白熱電球:60・40W形】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した
【電球形蛍光灯】
電球の直径は白熱電球と同じだが、背が高いため、内側のらせん状の蛍光管が透けて見える
【エルソニック】
ガラス製のグローブがとても電球らしい。背が高くても全く気にならない。かなり覗き込まない限り放熱部は見えてこなかった

光の広がりかたと配光性

 白熱電球と比べれば、やや直線的な光を放つ特徴があるようだ。光は光源部を中心にほぼ球形に拡散しているものの、ソケット方向や横方向へは、あまり光が届かない。それでも、グローブの形状が放熱部からせり出しているため、スタンダードタイプのLED電球の中では、口金付近へそれなりに光が広がっている。

【白熱電球:60・40W形】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と同じようにソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは光が届かない印象だ
【エルソニック】
白熱電球と比べれば直線的な光を放つが、光はほぼ球形に拡散している。ソケット付近へもある程度光が届いている。光は遠くまで届く印象だ

 電気スタンド型の器具に取り付けると、どうしてもシェード(傘)の上方に偏り、シェードから漏れる上下の明るさに差が出てしまっている。白熱電球と同じ光り方は期待できない。

 とは言っても、器具のシェードは半分ぐらい明るく輝いており、さらに、先に述べたように、ソケット方向へもそれなりに光が届く。横方向へも光が強めに広がるので、インテリアライトとしてなら、まだまだ使える印象だった。

【白熱電球:60W形】
シェードは中心からまんべんなく光り、シェードの上下からほぼ同じ明るさの光が漏れている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と遜色なく、シェードのほぼ中心からまんべんなく光る。シェードの上下からもほぼ同じ明るさの光が漏れる
【エルソニック】
器具のシェードが半分は明るくなる。直下に強いタイプながら、横方向へ強い光も届き、下方向にもある程度光が広がっている。インテリアライトとしても使えるだろう

明るさ(55cm直下の照度)

 直下照度は355lxだった。もともと20W形白熱電球相当のLED電球なので、60W形白熱電球、電球形蛍光灯よりはどうしても暗くなってしまう。

 それでも、20W形白熱電球の139lxよりは断然明るい。40W形白熱電球からの取替えも、器具の相性が良ければ十分使える印象だった。

【白熱電球:60W形 800lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【白熱電球:40W形 467lx】【電球形蛍光灯: 475lx】
【白熱電球:20W形 139lx】【エルソニック: 355lx】
日本電球工業会の基準では「20W形白熱電球相当」に当たるが、それよりも大幅に明るい。どちらかというと、40W形白熱電球や60W形電球形蛍光灯に近い印象だ(ただし、多少は暗い印象になる)


 必ずしも明るいLED電球ではないのだが、日本電球工業会の基準で比較対象となる「白熱電球20W相当」よりは、間違いなく明るかった。LED電球全体では中ぐらいのグループに入る明るさで、また一般的なLED電球よりも拡散性が良いので、実際の生活空間にも取り入れやすそうだ。



【実使用編】

 ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探っていく。なお、密閉器具には対応していないので、浴室や密閉型のインテリアライトには使用していない。

玄関

 少し暗めだが、玄関にも使えそうだった。60W形白熱電球・電球形蛍光灯よりは暗くなってしまうが、40W形白熱電球と比較して遜色ない印象だった。もし40W形白熱電球をお使いならば、取り替えても問題ないだろう。暖かみのある光色で、LED特有の強い影もさほど目立たないので、やさしい印象の玄関が演出できるだろう。

【白熱電球:60W形】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【白熱電球:40W形】
玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか
【電球形蛍光灯】
比較すると色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる
【エルソニック】
60W形白熱電球と並べて比較すれば暗くなるが、40W形白熱電球とさほど印象が変わらなかった。光色も電球らしい自然な印象だ

トイレ

 こちらも多少暗くなってしまうものの、印象は悪くなかった。清潔感もあり影の落ち方も穏やかなので、十分に快適に過ごせるだろう。

 なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。

【白熱電球:60W形】
明るく気持ちよく過ごせる
【白熱電球:40W形】
少し暗いが、狭い空間なのでまだまだ十分に明るく感じる
【エルソニック】
40W形白熱電球よりも若干暗くなってしまうが、比較しなければ気にならない程度。狭い空間なので実用的な明るさは十分確保できていた

リビングルーム

 透過タイプと合わせた場合、白熱電球からの取り替えだと、明るさはあまり期待できない。部屋全体の明るさは落ち、テーブル面の明るさも物足りない。電球形蛍光灯との交換なら、テーブル面の明るさは同じぐらいの印象は得られる。また、意図的に部屋全体の明るさを抑え、別の器具と組み合わせる使い方も良いだろう。

【白熱電球:60W形×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り、十分な明るさがある
【電球形蛍光灯×2 透過タイプのシェード】
白熱電球のように上方向・側面へも光が広がる。しかし、テーブルはLED電球よりも暗い印象で、色被り(余計な色が加わること)によりくすんで見える
【エルソニック×2 透過タイプのシェード】
部屋全体、テーブル面の明るさ共に物足りない。テーブル面の明るさの印象は電球形蛍光灯とさほど変わらない。ただし、別の照明器具と組み合わせるならアリかもしれない

 非透過タイプの雰囲気は良かった。多少暗くても、部屋全体の明るさのコントラストなどバランスが良い。テーブル面は蛍光灯よりも明るい印象が得られ、光色も自然で暖かみのある落ち着いた雰囲気が演出できるだろう。もちろん、アクセント照明などの局部照明と組み合わせもお勧めできる。

【白熱電球:60W形×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【電球形蛍光灯×2 非透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部へも光が広がるが、透過タイプと同様、色がいまひとつ
【エルソニック×2 非透過タイプのシェード】
雰囲気は良い。多少暗くても部屋全体の明るさのバランスが良く、テーブル面は蛍光灯よりも明るい印象が得られた。落ち着いた雰囲気が演出できるだろう。

食事の風景

 食事のシーンにも十分に活用できる。全体的にオレンジ色の色被りが若干起こりはするのだが、食べ物は全体的においしそうに見え、微妙な色合いも問題なく識別できる。器具が食卓に近ければ、1灯でも食卓全体が照らせるだけの明るさも十分にある。暖かく、落ち着いた雰囲気の食卓が演出できるだろう。

【白熱電球:60W形】
食事は全体的においしそうに見える。ただし赤みが強いため、モスグリーンのランチョンマットが茶色に見える
【電球形蛍光灯】
色味のバランスが崩れてしまい、食卓全体がくすんだ印象になってしまう。特に、ハムの色が気になる
【エルソニック】
食事のシーンにも十分に活用できる。若干の色被りがあるが、食べ物は全体的においしそうに見え、微妙な色合いも再現されている


初期購入費はあっという間に回収できる!

 980円という安さなので、従来光源と取り替えてもすぐに元が取れる点が特徴だ。

 エルソニックの消費電力は4W(実測値)。40W形白熱電球と交換すれば、1/9以上の節電ができ、しかもたった5カ月で元が取れてしまう。これは、LED電球全体の中でもかなり早い部類に入る。

 60W形白熱電球と交換すれば、4カ月で元が取れてしまう。試算上では、白熱電球1個の寿命と、同じ時期にとれてしまうのだ。消費電力では1/14の節電だが、電球の価格が安いということがこの試算結果に繋がっているといえるだろう。ただ、60Wと交換の場合は、明るさを我慢することになるので気をつけたい。

 さらに驚くべきは、60W形の電球形蛍光灯と取り替えた場合、1カ月以内で元が取れてしまう。これはLED電球の中では最速。そもそも電球代からして、電球形蛍光灯よりも安いうえ、消費電力も半分以下なので、ランニングコストも安く済む。明るさはやや落ちてしまうが、演色性は良く、しかも点滅に因る劣化の心配も無く、長寿命、そして点灯した瞬間から明るい……と、メリットは数々挙げられる。蛍光灯をすでに数年使っているのなら、すぐに取替えても損は無いだろう。

【ノジマ「ELSONIC(エルソニック) E-FLA5L1」】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
光源実測
消費
電力
1カ月3カ月4カ月5カ月9カ月1年2年4年
エルソニック
E-FLA5L1
4W1,001円1,044円1,065円1,087円1,172円1,236円1,491円2,002円
白熱電球
60W形
54W370円966円1,264円1,633円2,897円3,792円7,583円15,166円
白熱電球
40W形
37W269円665円862円1,132円1,994円2,587円5,174円10,348円
白熱電球
20W形
17W217円399円490円707円1,197円1,469円2,939円5,877円
電球型
蛍光灯
60W形
10W1,445円1,554円1,609円1,664円1,883円2,047円2,704円4,018円
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごと、電球形蛍光灯は2年9カ月ごと電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算
【白熱電球:60W形】
消費電力は56W。消費電力1Wあたりの発光効率は14.46lm/Wになる
【白熱電球:40W形】
消費電力37W。発光効率は13.1lm/W
【電球形蛍光灯】
消費電力10W。発光効率は75lm/W
【エルソニック】
消費電力4Wで、発光効率は75lm/Wだ。電球代が安いうえに消費電力も少ないので、すぐに電球代の元がとれる


まだLED電球を買っていない人向けのエントリーモデルとして、節電のきっかけに

 980円という破格の安さばかりが先行するが、60W形電球形蛍光灯、40W形白熱電球からの取り替えなら現実的だ。さすがに60W形白熱電球と交換するとなると暗さが目立つものの、少なくとも「安かろう・悪かろう」は当てはまらないとキッパリ言える。ある程度の光の拡散性もあり、光色も自然な電球色だ。

 なんと言っても、あっという間に電球代の元が取れてしまうのは、大いに魅力的だ。この夏は一般家庭でも節電が望まれている状況。家庭で2番目に消費する照明の電力を少しでも下げることは、電力の需要逼迫を回避することに、少なからず役に立つだろう。「塵も積もれば山」である。

 最後になるが、本製品の点灯中にAMラジオを近づけても雑音は入らなかった。ノイズの心配も特になさそうだ。また、正常な使用状態で使えなくなった場合は交換できる「3年保証」も付いている。

 “LED電球は高い”という点で購入を諦めている方でも、これを選んでおけば、電気代は安くなるし、交換の手間も省けるはず。「ウチはまだ白熱電球を使ってる」という方にも、是非とも前向きに検討して欲しいLED電球である。


ノジマ「ELSONIC(エルソニック) E-FLA5L1」こんなLED電球

・40W形白熱電球、60W形電球形蛍光灯との交換に

・光色は自然な電球色。食事のシーンにもOK

・40W形白熱電球と交換した場合、わずか5カ月で元が取れる(1日8時間使用)

 ・とにかく安いので、まだLED電球を使っていない人の導入タイプに









2011年7月20日 00:00