LED電球、どれを買う?
東芝「E-CORE 一般電球形12.4W LDA12L-G 1,160lm」
~オレンジ色のグローブが、100W形白熱電球に匹敵する明るさのポイント
by 藤原 大蔵(2013/6/21 00:00)
オレンジ色のグローブに面食らうが、これが明るさのポイント
LEDは熱に弱いのに、明るくするほど高温になるという矛盾を抱えている。そのため、LED電球の明るさと寿命を両立させるには、発生する熱をいかに効率良く電球の外へ放出するかが鍵となる。しかも、LED“電球”である以上、常識的な白熱電球サイズに収めなければならないため、明るいLED電球ほど、高い放熱技術が求められる。
今回は、東芝ライテックのLED電球「E-CORE(イー・コア) 80W形相当で明るく、光が広がるLED電球 LDA12L-G 1,160lm」を紹介しよう。
本製品は2012年夏に掲載したお勧めランキング「LED電球はこれを買うべし!」において、好成績を残した明るさ60W形相当の「LDA11L-G」の後継機種に当たる。新たな放熱技術を加えることで、従来モデルと同サイズのまま、明るさを30%以上も向上させたLED電球だ。
メーカー名 | 東芝ライテック |
---|---|
シリーズ名 | E-CORE (イー・コア) |
品番 | LDA12L-G |
全光束 | 1,160lm |
定格消費電力 | 12.4W |
口金タイプ | E26 |
光色 | 電球色相当(2,700K) |
白熱電球と比較した光量 | 80W形相当(ランプ単体) |
定格寿命 | 40,000時間 |
調光器対応 | - |
密閉器具対応 | ○(防湿・防湿・防雨形器具に対応) |
配光角度 | 約230度 |
平均演色評価数 | Ra80 |
希望小売価格 | 7,850円 |
実売価格 | 4,480円(yodobashi.com) |
その新たな放熱技術とは「ヒート・セパレート方式」という、電球の光源部を覆うオレンジ色のグローブだ。一般的なLED電球は、LEDと蛍光体が一体化されたモジュールを使用しているが、点灯時はLEDと蛍光体のどちらからも熱が発生して高温になるため、発光効率、寿命に影響を与える問題があった。そこで、電球のグローブに蛍光体を混ぜ、LEDと蛍光体を完全に分離することで、LED自体の熱を低減する狙いがあるのだ。
これに加えて、従来の「LDA11L-G」にも採用されている放熱技術「トリプルアーチ放熱板」も組み合わせることで、80W形白熱電球相当の全光束1,160lm(日本照明工業会基準)を達成した。しかも、拡散性は約230度の”光が広がるタイプ”で、密閉器具にも対応している。寿命も従来品と同様に40,000時間のままだ。
とはいえ、初めて本製品を目の当たりにした時は、さすがに面食らってしまった。まるで鮮やかなオレンジ色のカラー電球のようにしか見えなかったが、実際にオレンジ色の電球を取り付けてどのようになるのか。いつものようにいろいろな場所で使ってみよう。
なお本製品の明るさは、60W形白熱電球を軽く超えて100W形に近いため、比較対象は白熱電球、電球型蛍光灯ともに100W形を使用する。
※※※100W形電球形蛍光灯は、パナソニックの 「パルックボールプレミア A25形」(1,780円で購入)を使用
サイズ比較
実測したサイズは119×60mm(高さ×直径)。100W形白熱電球より10mm背が高いが、100W形蛍光灯よりも18mm低い。グローブはオレンジ色で、放熱板は白色で薄い。フィンレスのヒートシンク部は、白色で電球らしいくびれがある。口金付近は30mmで、白熱電球よりも1mm太い程度。全体的なシルエットは電球にとても近く、多くの器具に難なく取り付けられるだろう。ただし、電球が丸見えになる器具には、オレンジ色のグローブ、放熱板が気になるかもしれない。
重量は実測で182gと、軽量化が進むLED電球の中ではかなり重い。撮影中、電球の自重で器具が傾く事は起こらなかったが、多灯タイプや華奢な器具に取り付ける場合は、重さを考慮する必要がありそうだ。
器具に取り付けたようす
電球の大きさに伴う器具とのバランスは「良い」と言える。だが、目線に近いペンダントで、電球が見えやすい場合はオレンジ色のグローブがかなり目立つ。点灯すれば電球色になるものの、初めのうちは“慣れ”が必要かもしれない。口金付近のヒートシンクはよほど覗き込まない限り見えなかった。
光の広がりかたと配光性
光は全般配光形だけに、光源部を中心に横方向や床方向へもしっかり広がる。口金付近へも蛍光灯と同じぐらい光が届いた。グローブに挟み込まれている放熱板の影響は無く、床や壁に影や光のムラができることはなかった。全体的に均一に、しかも遠くまで光が拡散する印象だ。
シェードの上下から光が漏れる電気スタンド型の器具に取り付けると、下方向へも光が届いているのがわかる。細かく見ると、下方向の光は上方向よりも弱く、電球色が濃くなる印象だ。だが、シェード(笠)は、全体の2/3近く明るく輝き、器具の雰囲気はしっかり引き出している。LEDと蛍光体が分離しているためか、上下で若干の色ムラが起きるが、勉強や手作業用の明かりでなければ、このようなスタイルの器具と相性は良好と言えるだろう。
明るさ(55cm直下の照度)
直下照度は1,026lxだった。直下では100W形白熱電球の1,250lxには及ばないが、壁面はむしろ白熱電球よりも明るく、光がたっぷり広がる印象だ。100W形白熱電球からの取り替えも考えられる明るさを感じた。100W形電球形蛍光灯よりも確実に明るい。
なお、点灯中は電球からジーという雑音も無ければ、ラジオにノイズが乗ることもなかった。
オレンジ色のグローブが目立ち、口金付近に若干の色ムラが起こるのは気になった。だが、100W形の電球形蛍光灯よりも小さくて明るく、100W形白熱電球の取り替えも考えられるほどの明るさに、高い拡散性を実感した。
ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。なお、密閉器具にも対応しているので、浴室や密閉型のインテリアライトにも使用した。
玄関
拡散性、光色共に、玄関にふさわしい。100W形白熱電球に近い明るさになった。我が家の場合は天井も低く狭い空間なので、実際には60W形でも十分明るい。だが、玄関をより明るくしたい、または高い天井なら、本製品は1灯で期待に応えられるだろう。光色は白熱電球と異なるが、電球らしい暖かみがあり、影も柔らかい。たっぷり明るい親しみのある玄関が演出できるだろう。
なお、天井付けの器具の場合、光色のムラは全く気にならなかった。
浴室
浴室にもふさわしいだろう。電球が器具に覆われる分、100W形白熱電球よりも若干明るさは落ちるが、浴室の隅々まで光が行き渡り気持ちが良い。オレンジ色が若干強調されるが、肌色も血色良く映り、ゆったりと疲れを癒す空間にふさわしい光色だろう。明るいと、汚れもよく見えるので掃除もしやすい。
※浴室で使用する場合は、器具が防滴構造であることが条件となります
トイレ
よほど広いトイレならともかく、狭い空間のトイレにはさすがに明るすぎた。短時間しか過ごさない場所なので、一般型LED電球よりも高価な本製品を使うのはもったいない。煌々とした明るさはあまり要らない場所なので、低価格化が進んだ配光角度の狭いLED電球で十分だろう。
なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。
リビングルーム
リビングルームで使用したようすは、これまでのレビューは光源を2灯用いていたが、今回は1灯のみとした。100Wタイプを2灯だと、私のリビングルームでは明るすぎで、1灯でも十分だからだ。器具は2灯タイプを継続して使用している。
透過タイプの器具との相性は良い。落ち着きやゆったりとしたくつろぎを目的とするならば、本製品1灯でも十分だと感じた。1灯だけで、60W形相当の電球形蛍光灯2灯分とほぼ同じ明るさになる。非透過タイプの器具の場合も、器具らしい雰囲気を引き出すならば、1灯だ。
お勧めは窓際や部屋のコーナーに置くフロアスタンドとの組み合わせだ。器具の上方からは100W形白熱電球クラスの光が天井面を照らし、柔らかな間接光を生み出す。若干光色は変わるものの、下方からのは柔らかな光が床面に広がり、目に触れてもさほど眩しさを感じない。光の表情が豊かな、落ち着きのあるリビングが演出できるだろう。電球形蛍光灯と比べても、印象はずっと良い。
リビングルーム(インテリア照明)
直径が25cm程度の密閉型のインテリア用照明器具に、本製品は明る過ぎた。器具から数m以上離れない限り、相当眩しい。ただし、明るさ、光色のムラはほとんど浮かばず、器具はほぼ均等に輝くので、広いリビングルームの局所照明としてなら向いているだろう。
食事の風景
食事のシーンにも十分に活用できる。色温度は2,700Kと、白熱電球の2,850Kよりも低めなため、全体的にオレンジ色が強調される。だが、食事全体はおいしそうに映え、ハムや目玉焼きの白味もくすんだ印象にならない。食器の材質による違い、ランチョンマットの本来の色合いも自然な見え方だった。より一層明るく、華やかな食卓が演出できるだろう。
100W形白熱電球と交換で、元が取れるのは【11カ月】
カタログ上の消費電力は12.4Wで、実測でも12W(測定に使用するワットチェッカーは小数点以下が表示されない)だった。実使用で、100W形白熱電球の明るさに匹敵する印象で、消費電力は軽く1/7以上節約できる。60W形白熱電球との交換なら、明るさが比較にならない程大幅にアップし、それでも1/5近くも節約できる。
初期費用となる電球代は、低価格化が進むLED電球の中ではかなり高価だ。だが、100W形白熱電球なら、たったの11カ月、60W形でも1年6カ月で電球代が回収できる試算となった。電球代を回収してから軽く10年以上も長い間使えるので、決して悪い選択ではないだろう。
さらに、100W形の電球形蛍光灯との取り替えも現実的だ。蛍光灯を2個目に取り替える3年6カ月で、蛍光灯代と電気代を足したランニングコストが逆転する試算となるからだ。消費電力は1/2に満たないので、急いで交換する必要はないだろう。だが、点灯した瞬間から明るく、高い演色性、点滅回数に因る影響がない本製品は、蛍光灯よりも優れた点が多い。2個目に取り替える際に選ぶと良いだろう。
光源 | 実測 消費 電力 | 1カ月 | 3カ月 | 半年 | 11カ月 | 1年 | 1年半 | 2年 | 3年半 |
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E-CORE LDA12L-G | 12W | 4,544円 | 4,673円 | 4,865円 | 5,186円 | 5,250円 | 5,635円 | 6,020円 | 7,176円 |
白熱電球60W | 58W | 377円 | 987円 | 1,974円 | 3,570円 | 3,876円 | 5,849円 | 7,751円 | 13,600円 |
白熱電球100W | 89W | 581円 | 1,534円 | 3,068円 | 5,555円 | 6,031円 | 9,099円 | 12,062円 | 21,161円 |
電球形蛍光灯100W | 20W | 1,887円 | 2,101円 | 2,422円 | 2,958円 | 3,065円 | 3,707円 | 4,350円 | 8,057円 |
※白熱電球には4カ月ごと、電球型蛍光灯は3年6カ月ごとに 電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算
100W形白熱電球との交換もアリ! 従来品と変わらない大きさで、明るさが大幅にアップ
東芝の「LDA12L-G」を一言で表すなら、「器具を変えずに普段の生活を一層明るくするLED電球」だ。実使用で100W形白熱電球に迫る明るさ、十分な拡散性と高い演色性が揃う、汎用性の高いLED電球だ。
使い初めはヒートセパレート方式のオレンジ色のグローブと、組み込まれたトリプルアーチ放熱板に戸惑いを覚えたが、それは最初だけだった。消灯時の電球もデザインの一部を担う器具で無い限り、電球の光色のムラも含め、実際に使い始めてしまうとほとんど気にならない。電球が隠れる器具ならばなおさらだ。60W形を軽く超える明るい電球として、普段どおりの使い方ができる。
大きな不満点は価格だろう。60W形が1,000円台でも買えるほど低価格化が進んだ中で、実売価格がほぼ4,500円の本製品は、購入へのハードルはかなり高い。しかし、従来品と変わらない大きさで、100W形白熱電球と明るさが張り合えるものはまだまだ少ない。電球代は1年以内に回収できるので、価格に見合った価値は十分に感じられるだろう。
使い方として、高い天井の玄関、広めの浴室でも1灯だけで十分な明るさが得られるだろう。拡散性、演色性も申し分ないので、リビングルームのメインの照明、ダイニングテーブルから80cm以上離れたペンダントにも大変向いている。明るく華やかな光色の本製品で、生活空間をより明るく、快適に彩ってはいかがだろう。
・従来モデルと同じ大きさのまま、80W形相当の明るさ。実際には100W形白熱電球に迫る
・約230度の高い光の拡散性で、華やかな色合いの電球色は食事のシーンにもOK
・明るいのに、密閉器具にも対応。浴室でもバッチリ使える
・100W形白熱電球と交換した場合、11カ月で電球代が回収できる(1日8時間使用)