LED電球、どれを買う?
シャープ「ELM 光色切り替えモデル DL-LA51K/51V/42K」
~スイッチON/OFFで光色が2色に切り替えられるLED電球
by 藤原 大蔵(2013/5/15 00:00)
電球だって、生活シーンに合わせて光色を変えたい!
明かりの色が変わると、部屋の見た目の雰囲気だけでなく、光色による心理的効果から気分も大きく変わる。だからこそ、明かりを選ぶ時はそれぞれの空間の過ごし方、目的に合わせた光色を選ぶのが好ましい。
しかし、生活のリズムや過ごし方は、1日の時間の流れと共に変化するだけでなく、部屋によっては複数の過ごし方もある。光色が自由に変えられるLEDシーリングライトならばともかく、電球1灯だけをメイン照明とする空間の場合、時間や目的の変化に合わせて光色を変えるのは現実的でなかった。
ところが、かねてから“LEDらしさ”を込めた製品を意欲的に展開しているシャープから、2色の光色が切り替えられるE26口金のLED電球が登場した。それが「ELM(エルム) 一般電球タイプ光色切り替えモデル」の3タイプだ。それぞれ2色の光色の組み合わせが異なっており、「DL-LA51K」は昼白色/さくら色、「DL-LA51V」は昼白色/電球色、「DL-LA42K」は電球色/さくら色が切り替えられる。
この“光色切り替えモデル”の最大の特徴は2つある。1つは、LED電球で「さくら色」が初めて採用された点だ(DL-LA51K/DL-LA42K)。さくら色は、同社LEDシーリングライトに採用されている八重桜のような紅色で、“癒し”や”快眠をサポート”の効果があると言われている。
もう1つは、光色の切り替えはスイッチのON/OFF操作で簡単にできる点だ。点灯中に壁や照明についているスイッチを1秒以内にOFF→ONにすることで、別の光色に変えられる。消灯後4秒以上経過した状態で再びONにすれば、消灯時の光色で点灯する。
メーカー名 | シャープ |
---|---|
シリーズ名 | ELM (エルム) 一般電球タイプ 光色切り替えモデル |
品番 | DL-LA51K (昼白色/さくら色) DL-LA51V (昼白色/電球色) DL-LA42K (電球色/さくら色) |
全光束 | 昼白色:540lm(40W形白熱電球相当) 電球色:485lm(40W形白熱電球相当) さくら色:300lm(20W形白熱電球相当) |
定格消費電力 | 昼白色 6.3W 電球色 7.1W さくら色 6.3W |
定格寿命 | 40,000時間 |
口金タイプ | E26 |
調光器対応 | - |
密閉器具対応 | ○ |
配光角度 | 全般配光形(180度以上) |
実売価格 | DL-LA51K/DL-LA51V:3,340円 DL-LA42K 3,500円 (yodobashi.com) |
明るさを表す全光束は、昼白色は520lm、電球色は485lm(各モデル共通)で、どちらも「40W形白熱電球相当(485lm以上)」となる。さくら色は300lmで、白熱電球20W形相当(170lm以上)の明るさだ。3タイプとも密閉器具にも対応し、光が広がる”全般配光タイプ”なので、多くのシーンに対応できる。
※※電球形蛍光灯は、2008 年の特集で 総合的に性能の高かったパナソニックの 「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用
サイズ比較
実測したサイズは60×119mm(直径×高さ)。白熱電球より25mm、蛍光灯より5mm大きい。グローブは球体で、放熱部は白色のフィンレスでくびれがあり、電球らしいスッキリとしたデザインにまとまっている。大きめだが、口金付近の直径は31mmで白熱電球よりも1mm細く、器具を選ばないだろう。
重量は実測で116gで、DL-LA42Kのみ118gだった。いずれも軽量化が進むLED電球の中では中間ぐらいの重さだ。撮影中に器具が重さで傾くようなことは起こらなかったが、何個も取り付ける、多灯タイプや華奢な器具に取り付ける場合は、重さを考慮する必要はあるだろう。
なお、グローブとヒートシンクの間には、DL-LA51KとDL-LA42Kはピンク色、DL-LA51Vは黄色いマーキングがある。
器具に取り付けたようす
器具とのバランスは良い。電球形蛍光灯よりも背が高くても、器具内部にちゃんと収まった。大きくても丸いグローブがとても電球らしく、口金付近のヒートシンクはよほど覗き込まないと見えない。
光の広がりかたと配光性
光の拡散性は全般配光形だけに、光源部を中心に横方向や床方向へと広がっている。広がり方は同じ印象だ。配光角度は明記されていないが、床面にも強い光が直接届き、さらに、遠くまで光が届く印象もあった。品番、光色に関わらず、同じような感じだった。
電気スタンド型の器具とも相性は良い。シェードの上下から漏れる明るさは全く同じではないが、下方向にもしっかり光が届いている。影の表情も穏やかで、器具のシェードは全体の2/3以上が明るく輝き、器具の雰囲気を十分に引き出している。このようなスタイルの器具でも問題なく取り替えられるだろう。
明るさ(55cm直下の照度)
光色の全光束値はタイプが違っても同じだが、直下照度はそれぞれ微妙に違った。DL-LA51Kの昼白色は474lx、さくら色は262lx。DL-LA51Vの昼白色は485lx、電球色は433lx。DL-LA42Kの電球色439lx、さくら色265lxだった(いずれも点灯15分後)。
タイプによって数値は多少変わるが、昼白色の直下の明るさは40W形白熱電球を超えている。昼白色よりも照度が若干低い電球色も、暗くなった印象には全くならなかった。40W形白熱電球と取り替えて、暗くなるという事は無いだろう。さくら色は、もともとくつろぎや就寝前を想定しており、昼白色や電球色よりも明るさが抑えられる。
なお点灯中は、電球からジーという雑音がすることもなく、ラジオにノイズが乗ることもなかった。
2色の光色が選べる特殊なLED電球だが、白熱電球と比べ極端に大きくなったり重くなったりせず、電球らしいシルエットに、十分な明るさ、高い拡散性が確認できた。
ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力と使い方を探って行く。なお、密閉器具にも対応しているので、浴室や密閉型のインテリアライトにも使用した。
玄関
玄関は「癒しや快眠のサポート」は必要ないので、「昼白色/電球色」のDL-LA51Vのみを使用した。
昼白色、電球色ともに、玄関にふさわしい。明るさはどちらも40W形白熱電球を上回り、取り替えても全く遜色がない。光は玄関全体にしっかり広がり、光色も演色性も全く不満を感じない。
用法としては、朝や昼間の玄関を昼白色で清々しさを演出し、夜は電球色の暖かな雰囲気で彩るという使い方ができそうだ。電球の色を変えるだけで、時間や季節に応じて印象が変えられるのが楽しい。より一層魅力的な玄関が演出できるだろう。いずれも人を送り出す、迎え入れる空間にふさわしい明かりだ。
洗面所や洗濯場
洗面所や洗濯場の明かりにも、「昼白色/電球色」のDL-LA51Vが活用できる。玄関と同じように、明るさや拡散性、光色や演色性は全く申し分なかった。
洗面所の場合、普段は電球色よりも昼白色の明かりがお勧めだ。なぜなら、昼白色は電球色よりも色の偏りが少なく見えるので、顔色がわかりやすい。洗濯の際も、汚れが見えやすい利点があるからだ。
ならば、昼白色だけでいいじゃないか、と思われるかもしれないが、電球色に変えられる利点がある。女性にお勧めだが、光色によるメークの違いに活用してはいかがだろうか。自然光に近い昼白色は、昼間用、オフィス用のメークに向き、電球色は、夜間のレストランやお出かけに向く。両方の光で同時に確認しながら、オールマイティなメークにも活用できるだろう。
さらに、洗面所や洗濯場は浴室と隣接している場合が多い。特に冬場は寒々しい昼白色よりも、暖かみのある電球色が向いている。
浴室
一般的には「昼白色/電球色」のDL-LA51Vが使いやすいだろう。明るさは40W形白熱電球とほぼ変わらず、密閉器具に取り付けても暗くならず、浴室全体に光が行き渡った。暑苦しさを感じにくい昼白色は、爽快な朝のシャワーや夏のお風呂に向いている。電球色は冬のお風呂や、夜間のゆったりとしたバスタイムにぴったりだ。
疲れを癒すのが目的で、長めのお風呂や半身浴を楽しむなら、さくら色に変えられるDL-LA51K、DL-LA42Kがお勧めだ。さくら色に切り替えると、明るさが抑えられ、まるで夕日に包まれるような癒しの浴室が簡単に演出できる。バスタイムをより充実させるアイテムとして取り入れてみてはいかがだろう。
※浴室で使用する場合は、器具が防滴構造であることが条件となります
トイレ
「昼白色/電球色」のDL-LA51Vはトイレにも活用できる。特に窓があるトイレなら、昼間は昼白色で自然光の光色に合わせ、夜間は落ち着いた電球色と使い分けができる。短時間しか過ごさないトイレだが、時間帯や季節によってあかりを使い分けるのもアリだろう。どちらの光色でも十分に明るく、演色性も良いので居心地が良く、清潔感のある雰囲気が演出できる。
なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。
リビングルーム
リビングルームは過ごし方が多様。就寝前まで長時間過ごすなら、さくら色に切り替えられるものがおすすめだ。電球1個では十分な明るさは得られないが、2灯使いならば、広いリビングルームも十分に明るくなる。
昼白色/さくら色のDL-LA51Kと、電球色/さくら色のDL-LA42Kのどちらかを選ぶ場合、どのような器具を使うのか、活気ある団欒を中心にするのか、暖かみのあるくつろぎを中心にするのかを考慮して選ぶと良いだろう。
透過タイプの器具とは、どの色も相性が良い。昼白色は日中の外光とも馴染み、自然光に近い白色は活気ある団欒に向いている。電球色はしっかりした明るさもあり、暖かみのある自然な色合いがくつろぎを主とするリビングルームにふさわしい。さくら色に切り替えると暗くなるが、部屋全体が柔らかなさくら色に包まれ、くつろぎ感が一層アップする。癒しや快眠を誘う時間を優しく彩ってくれるだろう。
非透過タイプの器具をお使いならば、電球色/さくら色のDL-LA42Kの方が良い印象だ。昼白色は部屋の半分近くが無彩色の影に覆われ、少々重苦しい印象になるようだ。電球色はバランスの取れた光と暖かみのある影が器具の雰囲気をよく引き出しており、天井からの反射光と下方向の明るさのバランスも良い。さくら色に切り替えると、影の深みが一層増し、静かで落ち着いた雰囲気が演出できる。
複数の局所照明を組み合わせた使い方は3色どの光色もお勧めだ。昼白色は清々しさ、電球色は穏やかな空間が演出できるので、好みや過ごし方、季節に合わせて選ぶと良いだろう。
以上、2灯を同じ色に揃えた例を挙げたが、せっかくなので、3タイプを一度に使う例も紹介しよう。3つの器具を立体的に配置した、多灯照明で活用した。天井の電球用シーリングライトに昼白色/電球色のDL-LA51V、デスクライトに昼白色/さくら色のDL-LA51K、スタンドに電球色/さくら色のDL-LA42Kのそれぞれを、1灯ずつ取り付けた。
昼間は仕事用の明かりとして、天井とデスクライトを昼白色で点灯。清々しい昼白色は仕事にも向き、外光とも相性が良い。仕事を終え、暗くなったらデスクライトは消し、天井とスタンドの明かりを電球色で点灯。暖かみのある光色でくつろぎの時間を演出する。就寝1、2時間前ぐらいには天井の器具は消し、今度はデスクライトをアッパーライトのように向きを変え、スタンドと共にさくら色で点灯し、より落ち着いた癒しの時間を演出する。
多灯照明と3タイプの本製品を組み合わせれば、ほぼスイッチの操作だけで、1つの空間を表情豊かに、ドラマチックに変えられる。しかも、スイッチを切り替えるが如く、気分まで小気味良く変えられるのが楽しい。
リビングルーム(インテリア照明)
本製品は密閉型器具にも対応しているので、インテリア照明にも使える。器具はほぼ均等に輝き、白熱電球とまったく遜色ない表情を引き出した。
昼白色と電球色は40W形白熱電球並みの明るさになるので、部屋全体を照らす局所照明の1つとして利用するのがいいだろう。さくら色は目に優しい色合いなので、室内のアクセント照明、さらには廊下や階段付近の常夜灯として活用するのも素敵だろう。
食事の風景
本製品の昼白色と電球色は、どのタイプでも食事のシーンにもバッチリだった。演色評価数こそ記されていないが、食事は全てとてもおいしそうに映えた。くすんだ印象もほとんど無く、朝食から夕食まで、自然な色合いを再現してくれる。さくら色は全体的に赤っぽくなるので、一般的な食事のシーンには向かないかもしれない。だが、くつろぎの時間にグラスを傾ける自宅のバー空間の明かりとして魅力的だ。
40W形白熱電球と交換で、元が取れるのは【1年5~7カ月】
消費電力は、光色によって変わる。カタログ上では昼白色とさくら色が6.3W、電球色は7.1Wだが、実測では昼白色とさくら色が5W、電球色は6Wだった。昼白色または電球色をメインとして40W形白熱電球と取り替えた場合、昼白色点灯時の消費電力は1/7以上、電球色でも1/6以上節約できる。なお、さくら色の消費電力は昼白色と同じだが、明るさは落ちる。
同社の485lm(40W形相当)の単色LED電球は1,780円と低価格化が進んでいるのに対して、本製品の価格はおよそその2倍。初期費用はどうしても高めになるが、それでも40W形白熱電球と交換なら1年5~7カ月で電球代は回収できる。
電球形蛍光灯からの交換も現実的と言えるだろう。試算では、いずれも蛍光灯を2個目に取り替える4年6カ月で逆転した。蛍光灯には真似のできない2色の切り替えができ、演色性は比較にならない程良い。40W形に匹敵する明るさ、点灯回数による寿命への影響も受けず、点灯した瞬間から明るいなど、大きなアドバンテージが揃う。すでに何年か電球形蛍光灯を使っているならば、取り替えて損はないだろう。
光源 | 実測 消費 電力 | 1カ月 | 半年 | 1年 | 1年 5カ月 | 1年 6カ月 | 1年 7カ月 | 2年 | 4年半 | 8年 |
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ELM 昼白色/さくら色 DL-LA51K | 5W | 3,367円 | 3,501円 | 3,661円 | 3,795円 | 3,822円 | 3,849円 | 3,982円 | 4,785円 | 5,910円 |
ELM 昼白色/電球色 DL-LA51V | 6W | 3,372円 | 3,534円 | 3,727円 | 3,888円 | 3,920円 | 3,953円 | 4,114円 | 5,081円 | 6,435円 |
ELM 電球色/さくら色 DL-LA42K | 6W | 3,532円 | 3,694円 | 3,887円 | 4,048円 | 4,080円 | 4,113円 | 4,274円 | 5,241円 | 6,595円 |
40W形白熱電球 | 38W | 250円 | 1,364円 | 2,656円 | 3,817円 | 4,020円 | 4,224円 | 5,313円 | 11,989円 | 21,251円 |
電球型蛍光灯 | 10W | 1,445円 | 1,719円 | 2,047円 | 2,321円 | 2,376円 | 2,430円 | 2,704円 | 5,737円 | 8,036円 |
※ミニクリプトン電球は8カ月ごと、電球型蛍光灯は2年9カ月ごとに 電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算
器具はそのまま。スイッチの操作だけで心地良い光色が使い分けられるのが便利!
シャープの光色切り替えタイプの特筆すべき良さは、スイッチ操作だけで、生活のリズムや目的に即した光色がいとも簡単に変えられる点だ。しかも、昼白色、電球色とも演色性が高く、十分な明るさ、拡散性があり、取り替えによる不満はほとんど感じられないほどだった。さくら色に関しては、就寝前の穏やかで静かな時を過ごす明かりとしてピッタリで、夜はすっかり定番の光色になった。
個人的な話だが、以前、さくら色のLEDシーリングライトをレビューした時に、「電球タイプなら、間接照明やリビングルーム以外にも活用できるのになぁ」と残念に思っていた。というのも、八重桜の濃い紅色の効果が実感できたので、枕元や手近なスタンドでもさくら色を楽しみたいと思ったからだ。それが案外早く登場して驚かされただけでなく、スイッチで2色を切り替えるという、想像もしなかった大きなオマケまでつけてきたところが、なんともシャープらしくユニークだ。しかも電球本来の実力はバッチリ備わっているのだから、脱帽してしまう。
価格は高価だが、使い勝手の良いLED電球を2個買ったと思えば、その価格は納得が行く。しかも切り替えはスイッチ操作だけの簡単操作。使えば使うほど、光色が簡単に切り替えられる良さ、楽しさが味わえるLED電球だ。日常の明かりから快眠までサポートするLED電球で、いつもの空間をより一層便利に、快適に彩ってみてはいかがだろう。
【シャープ「ELM 光色切り替えモデル」はこんなLED電球】
・昼白色、電球色は40W形白熱電球と遜色ない明るさで、演色性が高い
・光の拡散性が高く、密閉器具にも対応
・光色はスイッチ操作で簡単に切り替え
・40W形白熱電球と交換した場合、最大で1年7カ月で電球代が回収できる(1日8時間使用)
おすすめの取り付け場所
・DL-LA51K (昼白色/さくら色)
リビングルーム(多灯)、ワンルームの照明、浴室、階段や廊下(さくら色は常夜灯として)など
・DL-LA51V (昼白色/電球色)
ダイニングテーブルの真上、玄関、洗面所や洗濯場、浴室、トイレなど
・DL-LA42K (電球色/さくら色)
リビングルーム(多灯)、ワンルームの照明、ダイニングルーム、浴室、インテリアライト、ベッドサイドのスタンドなど