家電製品ミニレビュー
オムロンヘルスケア「オムロン脈拍計 HR-500U」
~心拍数を知って、無理なく効率的な運動を!
by 小林 樹(2013/4/18 00:00)
いきなり暗い話で申し訳ないが、このところ体力がめっきり衰えた。ちょっとした病気をして、医者から安静を言い渡され、大好きだったジム通いができなくなり、筋肉がみるみるうちに落ちてしまったのだ。
久しぶりに運動を再開してみると、ちょっとした動きでも息が上がる。前は楽に走れた距離でも、ヘトヘトになる。以前のように体は思い通りに動かず、トレーニングの強度もつかみにくい。
そこで購入したのが、オムロンヘルスケアの「オムロン脈拍計 HR-500U」。HR-500Uはウォーキング&ジョギング用に設計された時計型の脈拍計で、手首に巻き付けると、運動中の脈拍数をリアルタイムで表示。さらに、適切な運動強度を教えてくれるというものだ。
メーカー | オムロンヘルスケア |
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製品名 | 脈拍計 HR-500U |
希望小売価格 | 14,800円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 13,500円 |
HR-500Uは、運動中にリアルタイムで脈拍を計測できるリストウォッチ型の計測機器だ。要するに、体に負荷をかけすぎてバテるのを防いだり、体を甘やかしすぎてトレーニングになってない、なんてことにならように、適度な運動のポイントを知らせてくれるアイテムなのである。
オムロンの健康機器と言えば、クラウドサービス「わたしムーヴ(旧:ウェルネスリンク)」と連携して、データをパソコンやスマートフォンでグラフ化できる活動量計や体組成計が登場しているが、この製品はそうした連携機能は持たず、機能はこれ単体で完結する。
HR-500Uの本体サイズは42×43×18mm(幅×奥行き×厚さ)で、表面に液晶パネル、背面の手首に当たる部分にセンサーを搭載する。本体は普通の時計と比較すると、2倍ほど厚みがある。
本体にはリストバンドがあらかじめ固定されている。リストバンドのサイズは40×286mm(幅×長さ)で、手首に巻き付けるためのマジックテープが付属する。リストバンドを含む本体重量は約35gだ。
操作ボタンは本体側面の左側1カ所、右側2カ所に搭載する。左側のボタンは脈拍の計測を開始/終了する時に、右側の2つのボタンは、設定や前回値の表示に使う。
電源は100mAhのリチウムイオン電池を内蔵。付属のmicro USBケーブルを使って、パソコンのUSBポートなどから充電できる。充電にかかる時間は約2.5時間で、満充電時には、1日1時間の使用で約8日間使えるという。
設定は簡単で、デジタル時計を合わせる手順と似ている。まず設定画面から地域番号を選び、日付と時刻を入力。次に、体重、身長、性別、年齢といった、個人データを登録する。
さらに、歩く時と走る時のそれぞれの歩幅を入力。歩幅といっても、いちいち自分で測らずとも、身長から算出された標準値が表示されるので、それをそのまま使えばいい。なお自分の歩幅をわかっている人は、自由に数値を入力できる。
ちなみにHR-500Uは、ウォーキングやジョギングといった有酸素運動時の脈拍を測るためのもので、筋力トレーニングのような無酸素運動は用途に含まれていないようだ。
LEDランプで、運動中の運動強度をリアルタイムで知らせる
さっそく使ってみたいところだが、その前に、HR-500Uがどんなメカニズムで働くのか、確認しておきたい。
まず脈拍数とは、1分間のうち、心臓が血液を送り出す際に動脈が拍動する回数のことだ。脈拍計 HR-500Uでは、最も激しく運動した時の脈拍数「最大脈拍数」を、「220-年齢」という一般的な計算式から算出する。私の場合は26歳なので、最大脈拍数は「220-年齢」の公式から194と導き出される。
そしてHR-500Uを運動時の腕に取り付けると、リアルタイムの脈拍数が、最大脈拍数のうち何%に達しているかがわかる。HR-500Uでは、その割合(%)ごとに、運動強度を4段階に分け、液晶画面下部のランプの色で知らせる。
具体的には、最大脈拍数のうち現在の脈拍数の割合が50%未満だとブルー、50~67.5%でグリーン、67.5~85%でイエロー、85%以上でレッドのランプで点滅する。
あとは運動の目的に合わせて、それぞれの運動強度を維持できるようにすれば良い。例えば、50%未満(ブルー)はウォーミングアップやクールダウン時、50~67.5%(グリーン)は脂肪燃焼や持久力の向上、67.5~85%(イエロー)は心肺機能を高めたい時、85%以上(レッド)はパワーやスピードを高めたい時、といった具合になる。
無理のないペース配分が可能に
説明が長くなってしまったが、実際に使ってみよう。手首に巻きつける際は、バンドが骨に当たらないよう、注意する。リストバンドは軽く、手首にフィットしる質感だ。
取り付けが済んだら、運動開始時に、左側のボタンを3秒長押し。画面にゼロの数字が並び、スタンバイ状態になったら、さらに左側のボタンをもう一回押すと、脈拍の測定および表示が始まる。
軽いウォーキングを始めて、だんだんとスピードをアップさせて走った。私の通常時の脈拍数は80前後だが、ウォーキングをするうちに、脈拍数は100を超え、さらにジョギングをはじめると、5分もしないうちに150を超えた。
ランプの色も、歩いているうちはブルーだったが、スピードを上げるとグリーンになり、さらに駆け出すとイエロー、レッドへと変化していった。
個人差があるかもしれないが、「レッド」だとかなり息苦しい。また、運動中に「イエロー」を維持していても、運動直後の、足を止めて膝に手をついて息を切っている間に脈拍があがり、ランプが「レッド」になっていたこともあった。全身にドクドクと血が巡り、さらに苦しい。ただし使っているうちに、運動直後にもイエローで収まるような運動強度のジョギングペースがつかめてきた。
冒頭の話に戻るが、自分の運動の第一目標は、奪われた体力――心肺機能や筋力を奪還することである。これをHR-500Uの示す4段階の運動強度にあてはめてみれば、「イエロー」を維持するくらいがベストだと思っている。運動しながら、リアルタイムで運動強度を示してくれるので、ランプの色を確認しながら走ることができ、無理のないペース配分が可能になった。
HR-500Uは、視認性も十分だ。液晶画面のサイズは20×15mm(横×縦)で、室内、野外ともにハッキリ見える。バックライト搭載で、夜間のジョギング時にも確認できる。リアルタイムの脈拍数のほか、消費カロリー、時刻、タイマー、走行距離、ペース(1kmあたりを進む時間)に表示を切り替えることも可能だ。
メモリーは前回1回分の脈拍平均値、脈拍最高値、消費カロリー、測定時間、距離、ペースの6項目を記憶し、表示できる。
なお、最初に紹介したように、パソコンやスマートフォンと連携して、測定データをクラウドに転送するようなサービスは用意されていない。2回以上前のデータは消えてしまうのは残念だが、そのぶん、操作は簡単で、シンプルに使えると言えるだろう。あくまで、運動時に無理なく目的に合わせた運動強度を確認するためのものだと割り切ってしまえば、困ることはない。
超シンプルな操作と機能自分にベストな運動を“知れば、燃える”
ひと通り使ってみて、画面の見やすさや、ランプ表示のわかりやすさ、シンプルな操作性が気に入った。一方で、運動しているうちにリストバンドが蒸れてくるのが気になった。また、やはり本体が分厚い印象は否めない。見易さとの兼ね合いもあるのだろうが、本体サイズがもう一回り小さければ、腕に馴染むと思う。
使ってみると、気持ち的には、まだまだ走れる! と思っても、脈拍数はかなり高まり、レッドゾーンになっていることが多かった。足腰の疲れや、筋肉痛は、わかりやすい体の意思表示だが、心拍数の過度なオーバーは意外と気づきにくい。これが、病み上がりに無理に体を動かして寝込んでしまった原因なのだと思う。
HR-500Uは、そんな体の声なき声、心拍数に耳を傾けるのに、一役買ってくれた。今では、これまで心拍数をあまり気に留めてこなかったことを猛省している。
ちなみにこの製品のキャッチコピーは、“知れば、燃える。”。目的に合わせた運動強度を知れば、効率的に脂肪を燃やすことができるというわけだ。自分にとっては、自分の体力の限界、運動強度の限界を知ることが、体力向上のモチベーションアップに繋がり、気持ち的にも“燃える”。
HR-500Uがあれば、客観的に自分の体を捉え、適度に負荷をかけて体力づくりができるだろう。健康的に運動する上で、これからも心拍数を気にかけてゆきたい。
運動が好きな方だけでなく、今の自分の体力がどのくらいかを知りたい方、目的に合わせて効率よくウォーキングやジョギングをしたい方、適度な運動レベルを知りたい初心者の方に、ぜひオススメしたい。