家電製品ミニレビュー
三洋「マルチマッサージャー HER-MC7」
■機械ならではの良さ
三洋「マルチマッサージャー HER-MC7」 |
マッサージしてもらうなら、やっぱり手もみ。そう考えている人も少なくないだろう。
筆者も今まではそんな一人だった。リビングには数年前に思い切って購入したマッサージチェアもあるのだが、外出先で時間があるときなど真っ先に探すのはマッサージの看板だし、旅行や出張などでホテルに滞在する場合もマッサージをお願いすることが少なくない。
ただ、手もみの場合、どうしても人による押し方の違いが気になってしまう。自分のツボを的確に捉えてくれる人もいれば、「んー、なんだか違うんだよなぁ」と感じる人に当たることもよくある。かといって、「なんだか違う」と注文するわけにもいかないので、「もう少し強く」、「もう少し内側」とかそれとなく要望してはみるものの、これまたその意図を察知してくれる人と、そうでない人がいて困ってしまう。
そこで、最近ではマッサージチェアやマッサージャーなど、機械の良さをあらためて考え直すようになってきた。
というのも、機械の場合、こちらのワガママをいくらでも聞いてくれるからだ。もちろん、場所の要望に関しては、もみ玉の位置を調整したり、こちらが体を動かしてやるなど、ある程度の工夫は必要になるが、一度ポイントが決まってしまえば、強さやもみ方を自由に変えられるうえ、望むならいつまでも同じ場所をマッサージし続けてもらうことができる。
技術的には人にかなわない部分がまだあるものの、こちらのワガママをいくらでも聞いてくれるというのは、人にはない機械ならではの良さだ。
というわけで、最近は我が家のリビングにあるマッサージチェアーを使う機会が多かったのだが、もっと手軽に使えるマッサージ器が欲しくなってきた。そこで手に入れたのが、三洋の「マルチマッサージャー HER-MC7」だ。
メーカー | 三洋 |
製品名 | マルチマッサージャー HER-MC7 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 18,800円 |
■サイズも使い方もお手軽
本体は、フットマッサージャーのようにも見えるコンパクトな製品で、サイズは314×305×187mm(幅×奥行き×高さ)ほど。枕といおうか、小さめのクッションとでもいおうか、ちょっと表現しにくいサイズだが、設置式のマッサージャーとしてはコンパクトで床に置いておいてもまったく邪魔にならない。
正面 | 背面 | 側面 |
床において首のマッサージに利用 |
このサイズは実に絶妙で、床だけでなく、テーブルの上や椅子の上など、いろいろな場所に設置するのにとても都合が良い。
というのも、本製品は「マルチ」マッサージャーと名付けられている通り、いろいろなところに設置して、いろいろな使い方ができるようになっているからだ。
一般的に床に設置すれば、フットマッサージャーとして足の裏やふくらはぎを置いて使えるうえ、枕のように頭を乗せれば首や肩をマッサージすることができる。首や肩なら布団やベッドの上でも良いだろう。
普通のフットマッサージャー設置できないテーブルの上で使うこともできる。腕を置いてマッサージを開始すれば、PC利用者に多い腕の疲れを解消するのにちょうど良い。
椅子に座りっぱなしで腰の疲れが気になるというのなら、椅子の背もたれに沿うように設置すれば良い。もみ玉がちょうど腰のあたりにあたって、これもなかなか具合が良い。重量が4kgほどあるのでバランスに注意する必要はあるが、椅子をうまくリクライニングさせれば背中のマッサージにも使えそうだ。
足のマッサージもOK | テーブルやサイドデスクなどに設置して腕のマッサージにも使える | 腰のマッサージなら椅子への設定が便利 |
■高さ+方向調整でも十分な満足感
正直なところあまり期待していなかったのだが、実際に使ってみると、結構気持ちが良い。なかなか良い仕事をするのだ。特に気に入ったのは首のマッサージだ。本体をまくらのように使って、もみ玉の間に首を挟み込むようにすると、ちょうどいい加減で首を下から上へともみ上げてくれる。
電源を入れ標準モードでマッサージを開始した場合、自動コースとなり、もみ玉の移動速度がゆっくりから徐々に高速へと切り替わるうえ、一定時間おきにもみ玉の移動方向がもみ上げから、逆方向のもみ下げに切り替わってくれる。なかなか多彩な動きで飽きが来ない印象だ。
速度を段階的に変化させ、最後に方向をもみ上げからもみ下げに変更している様子 |
筆者の場合、長時間PCを使っていると、目や頭が痛くなることがあるのだが、そういったとき、ちょうど首と頭の付け根にあたる部分を押すと痛みが和らぐことがある。
このような場合は、自動モードではなく、速度や方向を固定するのがオススメだ。側面のダイヤルを使ってもみ玉の高さを調節し、ちょうど良い場所にもみ玉があたるようにする。たとえば、首で使う場合、「高」に回転されると頭側に、「低」に回転させると肩側にもみ玉を移動させることができる。そして、ここぞという場所を見つけたら、お気に入りの速度と方向にセットすることで、後は文句を言わず、ひたすらピンポイントのマッサージを続けることができる。
たまに体の方を動かして場所を変えたり、場合によっては横向きに寝て片側ずつマッサージすれば、気になる場所を集中的にマッサージ可能だ。
ただし、調節できるのは、高さ、速度、方向で、もみ玉の間隔は変更できない。このため、マッサージャーから受ける強さは、人間の体のサイズ、つまり首の太さや腕の太さ、足の大きさなどに左右される。筆者のように、あらゆる部分のサイズが肥大化しつつある体の場合、相対的に強めのマッサージに感じられるが、細身の人にとっては弱く感じられる可能性もありそうだ。
側面にあるダイヤルでもみ玉の位置を調節可能。写真はいちばん下にしているところ | 強さは体のサイズに依存。太ければ相対的に押し方が強く感じられる。体が細い人は弱めに感じるかもしれない |
実際、筆者の場合、首はまさにジャストフィットで、ふくらはぎもなかなか心地よい強さに感じられたが、首に比べると細い腕、足の土踏まずなどは弱めで、少し物足りない印象だった。
■2万円以下で手に入るお手軽マッサージ環境
このように、三洋のマルチマッサージャー「HER-MC7」は、足だけでなく、首や腕、腰など、いろいろな部分をマッサージできる製品が欲しい人におすすめできる製品だ。コンパクトなマッサージャーで、いろいろな部位に対応できる製品はあまり種類が多くないだけに、貴重な存在ともいえる。
ただし、調整がシンプルなだけに、集中的にマッサージしたい場所を探すのは容易なものの、高機能なマッサージチェアなどのように、微妙な調整はできない点には注意が必要だ。最終的にもみ方をどう感じるかは、強さの好みと体のサイズ次第と言えるので、店頭などで試すチャンスがあれば、一度、体験してから購入すると良いだろう。
とはいえ、2万円以下で手にいるマッサージ器としては、なかなかの実力を備えた製品であることは間違いない。個人的には首のマッサージだけでも、十分に満足できる製品だ。
2009年7月23日 00:00