家電製品ミニレビュー
気軽に血圧を計れて、iPhoneにデータ転送できる手首式血圧計を試す
by 河原塚 英信(2015/12/9 07:00)
30代をなんとかやり過ごしたカラダも、40歳になれば、あちこちガタが来ているのを自覚せざるをえない。筆者は、タバコは吸うけどお酒は飲まない(飲めない)。それでも、明らかにカラダがポンコツになってきているのを感じる。
そんな中年オヤジの頭をよぎるのが、メタボリックシンドロームや高血圧症になった自分だ。前者は、風呂あがりに鏡を見て、たるんだカラダや、首とアゴが合体し始めているのを見れば一目瞭然。少しは気をつけよう、という気にもなる。一方の後者については……さっぱり分からない。高血圧症に近づいているのか、まだまだ大丈夫なのか、本当は濃くてジャンキーな食べ物が好きだけど、控えた方がよいのかどうか? など、生活習慣病なのに(だから?)、普段の生活の中では、体重ほどに自覚できないのだ。
そんなこともあり、試しに血圧計で毎日、血圧を計ってみることにした。使ったのは、できるだけ簡単に測定できる“手首式”で、“コンパクト&軽量”なうえ、Bluetooth搭載で“iPhoneに対応”する、オムロンの「HEM-6321T」。
メーカー名 | OMRON(オムロン) |
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製品名 | 手首式血圧計「HEM-6321T」 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 15,984円 |
巻いてから30秒前後で計れる簡単さに脱帽
つい最近まで血圧計と言えば、上腕部に布を巻いてグイグイ締め付けられる上腕式が当たり前だと思っていた。さらに家庭用としては、腕を締め付ける布(カフ)と、数値を表示するボディが離れている、別体形が一般的なのかと思っていた。
だが「HEM-6321T」は、手首式血圧計。計器とカフが一体で、手首にしっかりと巻けば準備完了。あとは「測定/停止」ボタンを押せば、グググググゥと手首が締め付けられていき、プシュゥゥゥと空気が抜けていく。直後に最高血圧と最低血圧、それに脈拍数がモニターに表示される。
一連の計測は、30秒前後で終わる。血圧など年に一度の健康診断でしか測らない筆者にとっては、びっくりすぐほど簡単だ。
様々な工夫で、初心者でも正確な計測ができる
筆者は、過去に自分で血圧を測ったことがほとんどない。それでも「HEM-6321T」の使い方はすぐに分かった。
まず筆者の場合、どれだけキツく、カフを腕に締めれば良いのかすら、分からなかった。そんな初心者は、画面の右よりに表示される、渦巻きのようなマークを確認すればよい。この渦巻きマークの中に「OK」と表示されたら、カフの締め付け具合が問題ないことがわかる。この「OK」がなく、単なる渦巻きマークが表示されたら、もう一度、カフを強く締め付ける。
さらに筆者は、血圧計は心臓の近くで計る方が良い、ということすら知らなかった。手首式血圧計の場合は、心臓の高さで固定しなくてはいけないらしいのだが、これについてもガイド表示に従えば良い。
計測がスタートする前に、画面右側に3段階のインジケーターが表示される。これが「青色」に点灯したら、適切な高さにある。逆にもし「赤色」が点灯した場合は、高さを調整する。その赤ランプが下に点灯したら、位置が「低すぎ」で、上に点灯したら位置が「高すぎ」ということ。
計測後に表示される数値も、実は何を意味しているのか、さっぱり分からなかった。例えば最低血圧が「92」で、最高血圧が「133」というのが、正常なのか異常なのかも。まぁ知っている人が多いと思うが、本機では「85/135」のあたりが、だいたい正常でしょうということで、数値の右隣に記載されている。同時に計測した血圧が、インジケーターで表示されるので、正常なのか、少し高いのかなどが一目瞭然で分かるのだ。
iPhoneでデータ管理できるのが便利
なぜかiPhoneなどのiOS端末にしか対応していないが、計測結果をスマートフォンで確認できるのは嬉しい。もちろん本体内にも最大90日分のデータが蓄積され、閲覧することも可能だ。だが、スマートフォンでグラフ化されたデータを見る方が、格段に見やすい。また、もし血圧が高い日が続いた場合には、グラフで確認した方が、より「ヤバい」と警戒するはず。
データのアップ方法は、それほど難しくはない。連携設定時に会員IDが必要になるので、まずはスマートフォンやPCで、オムロンが用意している健康管理サービス「わたしムーヴ」の会員登録をしておくといい。次にiPhoneに専用アプリ「からだグラフ」をインストール。血圧計とのBluetoothでの接続は、アプリの指示に従っていけば簡単に行なえる。
グラフ化されると、より血圧を実感できて良いし、測ろうというモチベーションもアップする。欲を言えば、グラフの大きさを変えたり、ひと月単位だけでなく週単位などで表示できたりするといいのにと思った。このグラフ表示の小ささだと、当該製品を一番必要としていそうな、中高年ユーザーが見づらいのでは……と。
ただし、やはり記録がスマートフォンに残せるのは嬉しい。めったに会わない看護師の親戚に見せるのにも便利だった。
また、先述した健康管理サービス「わたしムーヴ」のWebサイトでも、同様のデータが見られる。「HEM-6321T」からスマートフォンに転送されたデータが、自動でWebにもアップされていくので、ユーザーはWebサイトを開くだけで確認できるのだ。
プレゼントとして父母や祖父母に贈るのにも良い
使用感としては、とても良かった。計測は簡単で早いし、コンパクトだから収納に困ることもない。iPhoneでグラフ化されて、血圧の推移が分かりやすいのもいい。
不満点を挙げるとすれば、Android端末に非対応ということ。NFC搭載のAndroid対応モデル「HEM-6310F」は別にあるのだが、夫婦で利用する際に、一方がAndroid端末の場合は、記録をスマートフォンに転送できない(もちろん計測は可能)。
とはいえ、やはり初心者でも使いやすいのは大きなメリットだ。これまで血圧なんて測ってこなかった筆者でも、慣れるまでには大した時間は必要なかっった。
16,000円前後という価格も気になるが、高血圧気味の親や祖父母に贈るのには良いな、と思った。特に、まだ現役で働いている義理の父母は、自営業ということもあって体を酷使しがち。当該製品を贈り、「とりあえず毎日計測しといて」と渡せば、実家に戻ったときにデータを吸い上げてチェックできる。
筆者は? と言えば、今回約3週間(うち5日くらいは測定しなかった)集中して計測した結果、看護師にも「まったく問題ない」と太鼓判をもらったので、しばらく使わないと思う。とりあえずは両親に贈り、実家に帰った時に、そのつど計測していこうと思う。