家電製品ミニレビュー

頭皮を温めながらマッサージもできる、新発想の遠赤外線搭載ドライヤー

ヤーマン「スカルプドライヤー」とアタッチメント

 年を重ねるごとに、頭皮環境が気になってくるのは、男性も女性も同じこと。その環境を整えるべく、さまざまなケアを心がけている人もいることだろう。

 今回使ってみたのは、そんな頭皮ケアに着目した、ヤーマンの「スカルプドライヤー」だ。

メーカー名ヤーマン
製品名スカルプドライヤー
購入場所ヤーマンダイレクト
購入価格20,088円

 このドライヤー、ただ髪を乾かすためだけのものではない。遠赤外線で頭皮をじんわり温めたり、振動してヘッドマッサージしたり、1台でスカルプケアまでできてしまうというものなのだ。

 いったいどんな機能があるのか、さっそく使ってみた。

遠赤外線が髪を内側から乾かす

 まずは、ドライヤーの基本機能である「ドライモード」からチェック。一般的なドライヤーは、80~90℃近い熱風を吹き出すことで効率よく髪を乾かせるが、頭に近づけすぎたり、長時間使ったりすると頭皮や髪を傷めるといわれている。さらにはこの熱さ、夏などは洗ったばかりの髪を乾かしているうちに、また汗が……なんてこともよくある話だ。

 ところが、このスカルプドライヤーから吹き出すのは、約60℃という低温の風。頭皮に近づけても熱すぎず、むしろ「ぬるい」と言った感覚に近い。これなら頭皮や髪への負担も少なそう……と思うと同時に、ぬるいということは、乾かすのに時間がかかってしまうのでは? という不安がよぎる。

モードは「ドライ」「スカルプH」「スカルプC」の3つ
「ドライ」モードに入れると温風とともに遠赤外線が放出される

 そこで数日間、手持ちの高温ドライヤーとスカルプドライヤーを交互に使い、そのドライ時間を測ってみた。すると意外なことに、高温ドライヤーのドライ時間が平均5分3秒であったのに対し、スカルプドライヤーは平均4分49秒と、むしろこちらのほうが早く乾かすことができたのだ(ドライ時間には個人差があるので参考までに)。

 低温なのに、なぜしっかり乾かせるのか。それは温風と同時に、遠赤外線も放出しているからだという。そもそも遠赤外線は、有機物に吸収されると熱に変わり、ものを温める性質がある。つまりここでは、髪の水分に吸収された遠赤外線が熱に変わり、髪を内側から乾燥させることができたというわけだ。

いつも使っているドライヤーを使用。同じ場所を当て続けると数秒で耐えられなくなる熱さだ
スカルプドライヤーの「ドライ」モード。体感的にもかなり温度の違いが感じられた

心地よい振動がクセになる「スカルプH」モード

 続いてチェックしたのが、このドライヤーの目玉機能でもある「スカルプH(ホット)モード」だ。アタッチメントをスカルプヘッド(大)に付け替え、モードを切り替えると、42℃の遠赤外線温風を吹き出しながら、細かく振動し始める。

 さっそく頭皮に直接当て、少しずつ動かしてみると、心地よい振動がマッサージのように頭皮を刺激。次第に頭全体がじんわり温まり、血行が促進されたような感覚があった。

 最後に、「スカルプC(クール)モード」を使用。こちらは振動とともに涼風が吹き出し、頭皮がすっきりとリフレッシュされた気分が味わえた。

ゴム状の太いブラシのついたスカルプヘッド(大)を装着
頭皮に当てやすいよう、サイドグリップをつかんで使う
スカルプCモードでは、目の細かいスカルプヘッド(小)を使用する

育毛剤を効果的に浸透できる?

 このドライヤーは、スカルプドライヤーというだけあって、「育毛剤や美容液などの浸透を助ける働き」があるといい、以下の使い方を推奨している。

1.スカルプHモードで汚れをもみだしてからシャンプーする
2.ドライモードで乾かす
3.スカルプHモードで頭皮をもみ流し、育毛剤を塗布
4.スカルプCでもみ込む

 この手順で有効成分の浸透力が高まるか否かは、使用している限りは分からない。しかし、少なくとも頭皮を温めて毛穴を開いたところに、有効成分を塗布し、クールモードで叩き込みながら毛穴を引き締める、という工程は理にかなっているように思う。

大きさがネックだが、きめ細やかな配慮も

 ちなみにこのドライヤー、630gと一般的なドライヤーに比べて重量があり、特に頭の高い位置で使うときなどは、慣れるまでは重さを感じる人もいるかもしれない。一方、ヘッドマッサージの際は、サイドグリップをつかんで本体を握るため、安定感があって疲れにくかった。

 また大きくて収納しづらいという点もネックだが、そこはあえて洗面台に置いておけるように、立てて収納できる台座が設置されている。

 さらにドライヤーのコードは、本体に巻き付けるとコードが折れて断線してしまう可能性もあるため、根元から曲がらないようコード留めをつけるなど、きめ細やかな配慮も。ちなみにわが家でも、いつものドライヤー置き場には入らなかったので、洗面台に置くことになりそうだ。

洗面台の隅に置いても存在感はある
本体の吸気口側に、立てられるよう台座がついている
コードを折り曲げないためにコード留めをつけるという気配りも

結論! ドライもスカルプも心地よい

 このドライヤーが目的とする「スカルプケア」の効果について、言及することは難しいが、まずは低温なのにきちんと乾くことに驚かされた。さらにはヘッドマッサージの気持ちよさ! 特にパソコンを使いすぎて疲れたときに使うと、じんわり温めながらマッサージしてくれるので、コリもほぐれていくようだ。

 単に髪を乾かすだけでないという付加機能の魅力に、この値段の価値はあると感じた1台だ。

田中 真紀子