家電製品ミニレビュー
極上の眠りに、仕事中にも! 包み込まれるような暖かさの「SmartHeater2」
by 神原サリー(2014/11/26 07:00)
初代モデルから愛用しているSmartHeater
自宅での仕事部屋兼寝室では長年、オイルヒーターを愛用していた。輻射熱による包みこまれるような暖かさや乾燥しないところなど利点が多かったが、スイッチを入れてから暖まるまでに時間がかかることや、若干の電気代の心配など、弱点もあった。
2013年秋にバルミューダから、こうした弱点を克服し、デザイン性にも優れた「SmartHeater」が発売されたときには、「これはぜひ使ってみたい!」と思ってすぐに購入したのだった。
惚れ込んで今年の春まで愛用し、今年もそろそろ出して使う季節かなと思っていたところに、編集部から「新モデル『SmartHeater2』が発売されたので、こちらもぜひ使ってみませんか」との連絡が。「初代モデルで十分満足しているし、新しいモデルでなくても……」と渋っていたら「初代モデルをひと冬使ってみた感想もふまえて、レビューを書いてもらえればいいんですよ」とのこと。
それなら、書きたいことは山ほどあるのでお安いご用と返答したところ、翌日には我が家に「SmartHeater2」が到着! 眠るときに最適な「ロイヤルスリープモード」をはじめ、気に入っている機能を中心に、ご紹介したい。
メーカー名 | バルミューダ |
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製品名 | SmartHeater2 Wi-Fiモデル |
品番 | ESH-1100UA |
購入場所 | 公式オンラインストア |
購入価格 | 77,760円 |
届いたその時からうれしくなる仕掛けがいっぱい!
家電はいつも開梱するのがひと仕事。カッターやハサミを使ってけがをしないように気をつけながら開けた後も、たくさんの発泡スチロールに包まれた部品を取り出し、組み立てる作業にやれやれと思うことが多い。無事に組み立て終わって、段ボール箱を片づけたころには疲れてしまって、購入した喜びはどこへやら。今時の家電は高価なものが多いのにひたすら残念なことである。
さて、今回の「SmartHeater2」はどうか。初代モデルの「SmartHeater」は、化粧箱と外箱の二重のパッケージなっていたが、今モデルはシンプルな一重構造のようだ。さすがに去年のものは過剰包装気味だったのでコスト削減をしたのだろうか。
天面を見ると、開梱の仕方が図入りで示されており、どうやら下部に4個付いているストッパーを外せば、そのまま開けられるようだ。さっそくストッパーを外して段ボール上部を引き抜くと、まるでパズルみたいに段ボール製のパーツで包まれたヒーターが姿を現した。
天面の段ボールパーツには「この度はお買い上げいただき、ありがとうございます。SmartHeaterは世界で最も先進的なヒーター。音もなく、クリーンに、優しく部屋を暖めます。バルミューダ SmartHeater開発チーム」というメッセージが書いてある。購入の御礼に加え、「これがいい製品なのですよ」という自負を込めた一言。さすがだ。
上部、左右の段ボールパーツを外し、最後に本体を持ち上げて下の箱を取り除けば開梱完了。カッターもハサミもいらず、爪を傷めたりすることもなく、とにかくスマート。ゴミも一切出ない。すべての段ボールパーツを、元の箱に収めてしまっておけば、今度修理などで送る必要が出てきたときにもスムーズだ。しかも再び梱包する際の手順を書いた説明書まで同梱されているのだから恐れ入る。
実際に使用する部屋に持ち込む前に、まずは電源コードを差し、主電源スイッチを入れてみる。続いて本体側面にあるスタートボタンを押してみた。すると! 「この度はバルミューダのスマートヒーターをお買い上げいただき、ありがとうございます。取扱説明書をお読みになり、正しく(快適にだったかもしれない)お使いください」という音声が流れるではないか。
感激屋の私は、ここで不覚にもうるうるしてしまったのだった。今回は10日ほど貸与されただけだが、「買ってよかった!」と思わせる仕掛けが存分に施されていて、素晴らしい。そして取扱説明書へとスムーズに繋げるあたりも心憎い。
デジタル制御だけれどアナログ感を残した仕様
初代モデルの発表時から気に入っているところの1つに、本体側面のクリックホイールの仕様がある。本体右下の有機ELディスプレイに表示される内容を確認しながら、クリックホイールを左右に回して選択、クリックして決定という仕組みなのだが、左右に回すとカチカチとスピーカーから音が鳴り、まるでアナログのダイヤルを回しているような安心感で操作できるのだ。
有機ELディスプレイには設定温度やヒーターの消費電力、設定したモードなどの運転状態が常に表示されているので、とてもわかりやすい。グリーンのLEDはラジエーターの表面温度を表現、本体の暖まり具合も一目瞭然だ。温度設定も0.5℃刻みで細かく設定できる。
初回は、現在時刻や、万が一、消し忘れたときに自動でオフになる「オートパワーオフ」の時間(24/48/72時間)や、ラジエーターの表面温度を低・中・高から選ぶなどの設定をしておくとより快適だ。
表面温度を中に設定したが、小さい子供のいる家庭では低にしておけば、より安心して使うことができるだろう。ちなみに、低=55℃。中=70℃、高=85℃が目安の温度となっている。
暖まるのがスピーディで消費電力も低めは本当だった
さあ、いよいよ仕事部屋に運んで実際に使ってみることにしよう。暖房は20℃くらいに設定する人が多く、この「SmartHeater2」もデフォルトでは20℃となっているが、高めの温度帯だとボーッとなってしまい苦手なので、設定温度はいつも18℃だ。今季初めての暖房となったが、最初は室内の温度が低めだからか、740Wと表示された。
この部屋はだいたい9畳程度。しばらくするとラジエーター表面の温度が少しずつ上がってきて、10分ほどで室内もかなり暖まった感じがする。消費電力も370Wに下がっているのが確認できて少しほっとする。30分を経過したころにはもう十分に室内全体が暖まって、表示される消費電力も190Wまで下がった。あとは、たまに370Wと表示されることがある程度だ。
このSmartHeaterは独自の構造を持ったアルミラジエーター方式を採用しており、熱源となるシートヒーターが、二重絶縁用マイカシートとアルミ中空構造のラジエーターでサンドイッチされている。熱伝導性に優れたアルミニウム素材によって、シートヒーターの熱が素早く伝わり、全体を暖める仕組みだ。そのため、立ち上がりが速く、輻射熱によって家具や壁などを直接暖めるため、部屋全体が包み込まれるように暖かくなるのだ。
SmartHeater2から2.5メートルほど離れたベッドの上のデジタル時計で温度を確認してみると、18.2℃の表示。ヒーター近辺だけではなく、部屋の隅々まで設定温度になっている。能書きに偽りなし。やっぱりねと今更ながらうれしくなった。
また、温度センサーの情報に基づいて、2分ごとに出力を更新して190Wから1,300Wまでの7段階の細かい出力制御を行ない、最小限のエネルギーで運転するところにも特徴がある。実際の消費電力を常にワット数で表示してくれているのもわかりやすくてよいなと思う。
夜中に目覚めても安心。極上のねむりに導くロイヤルスリープモード
SmartHeaterをひと冬使ってみて、一番気に入っているのがロイヤルスリープモードだ。これは睡眠のための自動運転モードで、このモードに設定すると、指定した低温運転に移行し、設定起床時間の1時間前から徐々に室温を上げる運転をするというもの。よくエアコンなどにも快眠モード的なものが用意されているが、設定が面倒だったり、室温が高すぎて快眠になりにくかったりと、実用にはあまり向くものがないように感じている。
だが「SmartHeater2」のロイヤルスリープモードは、とにかく設定が簡単なのだ。しかも“低め安定”の温度制御が得意なので、夜中に目覚めてもほんのり暖かいという絶妙な暖かさを保ち、起きるときにはベッドをすぐに飛び出せるほどちょうどよく暖まっているのだから、魅力的。
就寝時間が一定である必要はなく、「今から寝る!」というその時に、ロイヤルスリープモードを選び、翌朝の起床時間をセットするだけでOK。睡眠時の設定温度は初期設定では15℃となっているが、これも自在に変えることができる。まだそんなに冷え込みが厳しくないので、室温が下がらないのではと考えて、あえて16℃設定にしてみた。
いつもは3時くらいに一度目覚めてしまうのに、目覚めると5時。なんだかよく寝たぞと思い、ヒーターを見たら、まだロイヤルスリープモードの表示のままで190Wの表示。ベッド近くの温度は17.9℃を示している。気密性が高いこともあり、一度暖まった部屋の室温はなかなか冷えないのかも。思ったよりも高め安定で保っていたようだ。
翌日からは15℃設定にすることにして、再びベッドへ。起床時間になって目覚めると部屋はさらに暖かく、スムーズに起き出せる。やっぱりロイヤルスリープモードは素晴らしい。
オプションのタオルハンガーを使えば加湿もバッチリ
ここで1つ、便利なオプションを紹介しよう。それは昨年から愛用しているタオルハンガーだ。専用サイトで4,200円と決して安価ではないのだが、ぜひとも一緒に購入することをおすすめする。
裏側に強力な磁石が付いているこのハンガーは、取り付けもとても簡単。タオルを本体の前面に掛けることも、背面に掛けられるように取り付けることもできる。使わないときには本体上部に収納できるので、デザインを損なうこともない。
このタオルハンガーに水でぬらして絞ったタオルを掛けておくと、就寝中に空気の乾燥を気にすることなく、さらに快適に眠れるのだ。温風を吹き出さないので乾燥しにくいのが特徴とはいえ、乾燥した季節に湿り気を補いたいという人も多いことだろう。あえて加湿器を併用しなくとも、濡れタオルを掛けておくだけでよいのだからとても便利だ。
日中33%にまで湿度が下がった夜に、このタオルハンガー+濡れタオル+ロイヤルスリープモードで眠りについたところ、翌朝の部屋の湿度は60%と、まさに理想的な湿度になっていた。
誰にでも使いやすく、赤ちゃんのいる家庭や高齢者にもおすすめのヒーター
この「SmartHeater2」には、温度設定をして使う通常のマニュアルモードのほかにも、使う人の好みの温度設定を学んで理解し、室温に応じたきめ細やかな温度設定を自動で行なうオートラーンモードがある。使うほどに自分好みの室温制御をしてくれるという賢いモードだ。
また、今回は自宅のWi-Fiルーターが不調だったこともあり設定しなかったが、スマートフォンにバルミューダの「UniAuto」アプリをインストールすると、遠隔操作で運転の開始や停止ができたり、運転状況をスマホで確認できたり、24時間のタイマー設定が簡単にできたりする機能も備えている。暖まるのが速いので、遠隔操作は必要ないようにも思うが、消し忘れの場合にオフできるのは便利だろう。
また、付属の取扱説明書がとてもわかりやすいので(しかもケース入り!)、高齢者でも使いやすいのではないかと思う。私自身、睡眠改善インストラクターの資格をもっていることもあり、睡眠時の環境が気にかかってしまうのだが、このロイヤルスリープモードは、眠りが浅くなり、夜中に何度も目が覚めてしまうというような高齢者や赤ちゃんのいる家庭にも本当におすすめできると思う。
というのも、夜中に目覚めた際に、室温があまりに低すぎると覚醒しすぎてしまい、トイレから戻ってもなかなか眠れないということになりかねないからだ。授乳中のママがいる部屋や、布団をはいでしまうことの多い小さい子供のいる家庭でも、「低め安定」のこのモードに設定しておけば、電気代の心配をすることもなく、本当に快適に眠ることができるだろう。
ゆるやかに曲線を描くトップフレームが美しく、艶消しのホワイトのカラーや質感に清潔さと温かみを感じるこのヒーター。もちろん、部屋でのんびり過ごすときにも、私のように書き仕事をする場合にもいい。