家電製品ミニレビュー
主婦歴14年の主婦が敗北! 美味しい煮物が簡単に作れる「圧力IHなべ」
by 石井 和美(2014/11/10 07:00)
娘が生まれてすぐに圧力なべを購入した。圧力なべを使うと、野菜がすぐにやわらかくなるので、離乳食作りで活用したものだ。
しかし、10年経った今は、ほとんど使用することはない。煮物などは火加減と加圧時間が難しく、固かったり、やわらかすぎたり、いまひとつ味がしみていなかったりと、うまく使いこなせないのだ。今は時間をかけて厚手のお鍋で煮込んだり、スロークッカーを使用したりしている。
時間があるときはそれでも特に問題はないが、本格的に仕事に復帰した今となっては、「もうちょっと短時間で調理したいなあ」と思うことが多くなってきた。子供達は煮物が大好きなのでもっと作る回数を増やしたいところだが、なかなか時間をかけられない。
そんな私が興味を持ったのが、10月に発売された象印マホービンの「圧力IHなべ EL-MA30」だ。炊飯ジャーの圧力技術を活用した、煮物や煮込み料理を手軽に調理できる製品である。
メーカー名 | 象印マホービン |
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製品名 | 圧力IHなべ |
品番 | EL-MA30 |
希望小売価格 | 50,000円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 35,043円 |
一定圧力、可変圧力、温度設定、自動調理などメニューはいろいろ
圧力IHなべは、最大1.2気圧という、ほどよい圧力が特徴だ。マイコン搭載なので、材料と調味料を入れ、調理方法と調理時間をセットすれば、あとは自動で調理してくれる。
調理の途中での具材のかき混ぜや、火加減を調整する必要はない。ガスコンロやIHクッキングヒーターで調理する場合は、つきっきりで見ておく必要があるが、圧力IHなべなら全ておまかせなので、別の調理をすることも可能だ。
サイズは幅29cm、奥行37.5cm、高さ25cm、重さは約6.5kg。見た目は炊飯ジャーにそっくりだ。付属品は蒸しカゴ、計量カップ、100個のレシピが掲載されているレシピブック。
最大調理容量は1.5Lで、圧力調理は一定圧力と可変圧力から選ぶことができる。温度調理は100℃~40℃まで10℃単位で設定可能。自動調理で白米、玄米、おこわなども炊くことができる。消費電力は1,200W。
煮物はやわらかくなるだけでなく、味もしっかり染み込んでいる
操作は簡単で、炊飯ジャーと同じ要領でできる。まずは、圧力調理で筑前煮を作ってみた。
圧力調理は、一定圧力と可変圧力の2種類が用意されている。一定圧力は調理中に1.2気圧の圧力をかけ続けるもので、筑前煮のように食材を柔らかく仕上げたい料理向き。一方、可変圧力メニューは、1.2気圧から1気圧まで加圧と減圧を繰り返して味を染み込ませるもので、おでんなどに向いている。
筑前煮は材料を入れて一定圧力に設定し、調理時間は20分。つきっきりでいる必要もなく、お任せなのでとてもラクだ。ただ、「設定時間」+「沸かし時間」がかかるので、20分では終わらない。この沸かし時間は表示されず、材料の量によって1分~30分かかる。
筑前煮では沸かし時間に15分ほどかかったので、加圧時間と合わせると35分ほどかかった。ただ、ブザーが鳴ったら、すぐにフタを開けられるので、そこで待つストレスはない。圧力鍋などは圧力弁が下がるまで待たなければならないが、開けてすぐよそって食べられる。調理終了後にフタを開けると蒸気がかなり立ち上がるので、顔は近付けないほうが良い。特に小さなお子さんには十分注意していただきたい。
出来上がった筑前煮は、鶏肉がとてもやわらかい。レシピの味付けは、塩分が控えめだが、蓮根やこんにゃくにも味が芯までしっかり染みているので、ごはんに合う。煮物は火加減が難しく時間がかかるが、これなら簡単にできそうだ。
外食でしか食べられないようなあの料理も簡単にできる!
なかなか家では食べられない、海外の料理も簡単にできる。大好物の「サムゲタン風スープ」と「海南鶏飯」に挑戦した。
本場のサムゲタンは鶏を丸ごと一羽使うが、このサムゲタン風スープは、手羽元で簡単に作るレシピだ。しかし、松の実、クコの実、干しナツメ、甘栗などを入れるため、味は本格的だ。
材料を入れたら一定圧力で20分調理する。沸かし時間を入れても40分ほどで終わった。薬膳の味がする、まさしくサムゲタン風の味! 子供達には不向きかと思ったが、大好評だった。
次に作ったのは海南鶏飯だ。茹で鶏とその茹で汁で炊いた白米を共に皿へ盛り付けた料理で、マレーシアやシンガポールでメジャーな料理だ。個人的にこれも好物で、エスニック料理店に行くと必ず頼む一品。
先にモモ肉を使ってゆで鶏を作る。温度設定100℃で設定時間は25分。残ったゆで汁を使って、自動調理「白米」でごはんを炊く。それを鶏肉の横によそい、パクチー等を添えれば完成だ。
この調理は、なんといっても鶏肉の食感でおいしさが決まる。本場の海南鶏飯は、鶏肉がふっくらやわらかく、弾力がある。圧力IHなべで炊いた鶏肉も、プリプリで絶品。これなら満足だ。
骨までやわらかく、子供でも食べられる秋刀魚の甘露煮
さらに、秋刀魚の甘露煮と副菜のカボチャの煮物を作ってみた。秋刀魚の甘露煮は、材料を入れて設定温度100℃で4時間じっくり煮込む。
出来上がった秋刀魚が、全く煮崩れしていないことに驚いた。骨はやわらかく、子供でも気にしないでパクパク食べていた。
脂が乗った甘露煮はとても美味しく、魚の煮付け等が嫌いな旦那も絶賛していた。普段は私が作った魚の甘露煮は残すのに、圧力IHなべで作った方は完食してしまうなんてショックだ……。
カボチャの煮物は可変圧力で10分。ホクホクした食感と、優しい甘さがちょうどいい。ちょっとした副菜も、短時間でできるのは便利だ。さらに温度を70℃に設定し、10分調理するだけの温泉玉子も作っておいた。
秋刀魚の甘露煮と一緒に出して、ちょっとしたサラダを添えれば、立派な夕食になる。
黒豆も温度設定と圧力でツヤツヤに
微妙な温度調節もできるので、煮豆のようなコツが必要な料理も失敗なくできる。実は黒豆の煮物は大好きでよく作るのだが、いつもいまいち。豆の状態に左右されるので、シワが寄ってしまったり、芯が残ってしまったり、売っているようなきれいな黒豆にはならないのだ。
圧力IHなべで作る場合は、前の晩につけておく必要はない。ただ、温度設定50℃で3時間、一定圧力で1時間、温度設定90℃で1時間半調理しなければならない。
出来上がった黒豆は買ったような出来映えで、見事だ。豆の皮はピーンと張っていて照りがあり、中はふっくら。煮崩れもなく、ほっくりした食感もある。こんなにうまく作れたのは初めてだ。おせち料理としても使えるだろう。
フタが3枚あること、終わる時間が読めないのはちょっと不便
洗い物は、内ぶたや蒸気口など細々と多いが、取り外しや取り付けはそれほど手間がかからず苦にならない。
ただ、3枚に分かれる内ぶたは凹凸が多く、少々洗いづらい。キチンと洗ったつもりでも、特に筑前煮や煮豆などをした後はしばらくニオイが残るのは気になった。安全弁などがついているため、洗った後に水を拭き取るのも大変だ。しっかりお手入れしたつもりでも、ニオイが残ってしまう。
ニオイが気になる場合は、水を入れて白米モードで炊くととれるのだが、毎回はやっていられない。続けて調理したときは、次の料理にニオイが移るか心配だったが、それは大丈夫だった。できることなら、もっと簡単にニオイがとれるようにしてほしい。
もう一つ気になったのは、調理時間は「20分」と表示されても、沸かし時間が1分~30分と幅があって、出来上がり時間が読めないこと。炊飯ジャーのように、残りが正確にわかるようになってほしいところだ。
しかし、そういった点を考慮しても圧力IHなべは使いやすく、あまりにも美味しくできるため、一度使ってしまうとやめられないのだ。
家族がみんな大感激! 使えば欲しくなる圧力IHなべ
煮魚が嫌いな旦那が、秋刀魚の甘露煮を「うまいなあ」と言って何度もリクエストし、子供達はサムゲタンや海南鶏飯、黒豆に感激している。この製品はお借りしたものだが、小1の息子からは「このおなべ、クリスマスプレゼントで買って!」とリクエストされるほどだ。
結婚して14年、工夫をしながらお料理を頑張ってきた主婦としては、圧力IHなべを使っただけで、失敗しがちだった煮豆などが簡単に美味しくできて、家族から大絶賛されるのは、なんとも複雑な気分ではある。実売価格は3万5千円~4万円だが、自分へのクリスマスプレゼントに、思い切って買ってしまおうかと思っている。主婦のプライドは捨てても、これに頼ってラクしてしまったほうが、確実に食卓は豊かになりそうだ。
お年寄りが大好きな煮物などのメニューも簡単にできるので、シニア世帯にもおすすめできる。火の調整をすることなく、時間が終わると自動的に停止するので、調理を忘れてガスコンロで火をつけっぱなしという事故も防げそうだ。
お料理が苦手な方や、これから結婚を迎えるカップルへの結婚祝いのプレゼントにも最適だ。