家電製品ミニレビュー
アイロンがけもしっかりできる男性向け衣類スチーマー
by 藤原 大蔵(2014/6/3 07:00)
シワの無い、さっぱりと手入れされた衣服は、身につけて気持ちが良いだけでなく、相手にキチンとした印象を与える。今回は、衣類のケアがアイロンよりもより手軽にできる、パナソニックの「衣類スチーマー NI-FS350」を紹介しよう。
メーカー名 | パナソニック |
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製品名 | 衣類スチーマー |
品番 | NI-FS350 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 10,460円 |
この衣類スチーマーの特徴は、アイロンとしてもバッチリ使える「2Way方式」だ。衣類をハンガーにかけたまま、スチームでシワやニオイをサッと除去できれば、スチームアイロンでシャツの襟、ズボンの折り目などをピシっと整えられる。一般的に、アイロンがけは「熱い」「重い」「疲れる」の三重苦と言われるが、本製品は軽くコンパクトで立ち上がりも早い。思い立った時に気軽にササッと使える。
色はブラックを基調としており、アイロンに手が伸びにくい男性を特に意識したデザインになっている。
なお、女性向けの衣類スチーマーとして「NI-FS300」も発売されている。こちらは、かけ面に丸みがあるのが特徴だ。
ペットボトル一本程度の重さで、立ち上がりが素早い
NI-FS350の本体サイズは、約70×150×140mm(幅×長さ×高さ)。コードを含まない本体のみの重量は約540g。一般的なアイロンの半分以下の大きさで、重さは500mlペットボトル一本分強。片手でラクに扱えるコンパクトさと軽さを兼ね備える。電源コードの長さは2.5m。ハンガーに衣服をかけたまま扱うのに十分な長さがある。
準備はあっという間だ。本体の注水口のキャップを外し、付属の専用カップ(50ml)でタンクに水を注ぐ。あとはコンセントにプラグを挿し、本体を専用スタンドに置いて電源ボタンをONにするだけ。予熱が終わると、点滅していたランプが点灯に切り替わって知らせてくれる。立ち上がりはたった40秒前後(室温25度)だ。衣類をハンガーにかけて吊るしている間に使えるようになる。
スチーマーとして使う時は、ハンドルの内側にある「スチームボタン」を押せばスチームが噴射される。生地からアイロン面を少し離し、下向き~垂直で生地に噴射する。スチームボタンを押している間、毎分約9gのスチームが連続して噴射される。スチームはアイロン面を垂直にしても、シュワーシュワーという優しい音ながら、60cmぐらいは届く勢いがある。噴出中は水を吸い上げるのか、「トクントクン」という音が小さく聞こえる。
アイロン面は平らで、スチームはアイロン面の5つの穴から噴射される。アイロンをかけている最中に、スチームを生地に行き渡らせるための「溝」が、穴の周りに刻まれている。平らな面、溝があることが、2013年に発売された「NI-FS300」と異なる点だ。
アイロン面は約150℃の「中温」に固定されており、温度調節はできない。だが、スチームと併用できるので、小回りの利く「ドライ&スチームアイロン」としても使える。
衣類のケアを片手でスーイスイッ!
まずは、スチーマーとしてワイシャツのシワを伸ばしてみた。
ワイシャツはシワになりにくい形状記憶タイプのものだが、洗濯して干しただけではシワが案外目立つ。ハンガーに吊るしたままスチームを当てたが、愉快なほどにシワがどんどん消えていく。給水~仕上げまで、5分もあればワイシャツ1着分のシワがラクラク伸びる手軽さだ。これなら出かける前にサッとできる。
春夏用の綿のジャケットの着ジワもスチームだけで結構取れた。生地の風合いをそのままに、目立つシワや細かなシワが消えるので、スッキリとした印象に仕上げられた。さすがにシャツのように短時間ではできないが、洗濯しにくい上着にスチームを丁寧にかけるだけで、気分的にもさっぱりする。
Tシャツのシワ伸ばしでも、思った以上に重宝した。Tシャツにアイロンはあまりかけないイメージはあるかもしれない。だが、畳んでしまっているうちに結構なシワがつき、そのまま着るのは少々みっともない。これも、ワイシャツ同様にハンガーに吊るし、スチームを軽く当てるだけで、あっという間にシワが消えてしまった。スチームなので、プリントTシャツでも全く問題ナシ! あて布も要らない。
スチームアイロンとしても、しっかり使えた。あて布をし、スチームを噴出させながら軽くかけるだけで、ウールのズボンの膝裏にできやすい座りジワがサッと消え、折り目もピシっとつけられる。膝周りや裾など、ポイントを押さえるだけでもずいぶんキチンとした印象になる。アイロン台を持っていなくても、この程度のアイロンがけならば折り重ねたタオルを床やテーブルに敷くだけで十分対応できるだろう。
アイロン台があれば、形状記憶タイプではないシャツも、ごく当たり前にスイスイッとアイロンがけができた。シャツは、あえてシワが取れにくい綿麻混紡を選んだが、ものの見事にシャキッと仕上がった。生地が重なった襟も、スチームを効かしながら素早く仕上げられた。
一般的なアイロンよりもかけ面は小さいが、シンメトリーの舟形面が動かしやすく、本体も軽くて小回りが効く。アイロンがけに慣れない人でもきっと扱いやすいだろう。準備から仕上げまで、10分もかからなかった。
スチームはニオイ取りにも効果的
スチームは、シワを伸ばすだけでなく、衣類についたニオイも除去する効果がある。スーツは手軽には洗えない上に、繰り返し着る場合が多く、どうしてもニオイが残りやすい。洗えなくても、スーツの表面全体と内側にスチームを当てるだけで、ほとんど気にならないぐらいニオイが消えた。ハンガーに掛けたままできるので、全体に当てても、5分とかからなかった。
ニオイがつきやすいナイロン製のバッグにも効果がある。スチームを入念に当てても、あっという間に蒸発してしまうので、干す手間も要らない。また、冬物のジャンパーなどは、保管する前に首周りや内側にスチームを当てておけば、時間経過による脂が酸化したような嫌なニオイもずいぶん防げるだろう。
同様の事は一般的なスチームアイロンでもできる。だが、本製品は本体を垂直にしたままでも、しっかりスチームが噴出するというメリットがある。軽いので、手首のスナップを軽く効かせて左右に振りながら使えば、効率良くラクにスチームが当てられる。もちろん、振りながら使っても水は全く漏れなかった。
NI-FS350の消費電力は、ワットチェッカーを使った実測で630W(カタログスペックは600W)前後だった。スチームがスタンバイ状態になると一旦は0Wになるが、スチームが噴出し始めると再び電源が入り、同じだけの電力を消費する。
使っていて若干物足りなさを感じた点もあった。タンクには50mlしか水が入らないので、5分ほどの連続噴射でカラになってしまう。片手で持ち上げて使用できる軽さがポイントゆえ、これは致し方ない点かもしれない。また、沸騰するヤカンから勢い良く噴出するような、大量のスチームが出るわけではない。
しかし、軽くて扱いやすく穏やかなスチーマーだからこそ、思い立った時に軽い気持ちでササッと衣類のケアができるのは良い。一度の給水で仕上げられる量ならば、部屋の温度や湿度も一気に上昇しないので、なかなか快適に作業が進められる。しかも、軽くてコンパクトなので、小さい引き出しなどにも収納しやすいのが嬉しい。
本来は、男性をターゲットに開発された衣類スチーマーだが、精悍なブラックボディが、衣類のケア製品としてむしろ新鮮。電源入れたらすぐにスチームが噴出し、仕上がりも上々。ニオイも確実に取れる。気負わずラクに使えるので、アイロンを持たない人はもちろん、アイロンがけがあまり好きではない人にも、是非おすすめしたい衣類スチーマーだ。