家電製品ミニレビュー

山善「センサー付LEDミニシーリングライト MLC-S11N」

~人感センサーで自動点灯するLEDミニシーリングライト

引掛シーリングに簡単に付けられるセンサーライト

山善「センサー付LEDミニシーリングライト MLC-S11N」

 人が来ると自動的に点灯し、人がいなくなると自動的に消灯する、そういう便利な灯りをセンサーライトという。センサーライトは、以前は珍しい存在だったが、人感センサー付きのLED電球を始めとして、ここ数年で一気に普及した。

 人感センサー付きLED電球のほかにも、電球と組み合わせる人感センサーアダプターや、コンセントに挿して使う人感センサー付LEDライトがある。乾電池で動く補助光的なものまで含めれば、かなり多くの製品が登場している。

 しかし、まだ欠けていたのが、天井に設置された引掛シーリング器具に直接設置できる、人感センサーを備えたLEDシーリングライトだ。

 人通りの少ない小さな部屋や、物置、廊下などで、天井に引掛シーリングが設置されている場所は意外と多い。そういう場所に、引掛シーリングに簡単に設置できるセンサー付きの製品が望まれていたのだ。少し以前には、蛍光灯を使った同種の製品がNECから販売されていたように、一定の需要がある分野なのだ。

 もちろん、引掛シーリングからE26口金への変換アダプタを利用して人感センサー付きLED電球を使うという手もあるのだが、美観の面からは難がある。天井から裸電球がぶら下がっている光景が許せない人もいるだろう。

 5月の末に、山善から、センサー付きのLEDミニシーリングライトが登場した。もちろん、アダプタなど必要なく、引掛シーリングに直接設置するタイプだ。製品写真で見る限りは、裸電球よりは格好良さそうだ。さっそく試してみた。

メーカー名山善
製品名センサー付LEDミニシーリングライト MLC-S11N
希望小売価格5,980円
購入場所Amazon.co.jp
購入価格5,454円
ブリスター型のパッケージ。製品の特徴が書かれている
製品の厚みがあるので、立てても置ける
パッケージの背面。取扱説明書が折りたたんで入っている
取扱説明書は、紙1枚だけ


円盤型の本体

 今回発売されたミニシーリングライト「MLC-S11」には、光色が昼白色の「N」と電球色の「L」がある。Nは明るさが830lm(ルーメン)で、消費電力が11W。Lは810lmで10Wだ。今回は昼光色のNにした。60W型相当LED電球の明るさが810lmなので、だいたい同じぐらいの明るさだ。

本体正面。下の丸い部分が人感センサー
本体裏面。シーリング用の金具は本体と一体になっている
本体側面

 本体は直径が16cmの円盤型、厚さは約7.7cmある。本体以外には、紙1枚の取扱説明書が付いているだけのシンプルなパッケージだ。本体が420gしかないので、パッケージは手提げで持って帰れる。

 シーリングライトという言葉から想像していた以上に、本体は小さい。あえて“ミニ”と名乗るだけのことはある。

30cmg定規と比べると小ささが分かる
一般的なシーリングライトとの大きさ比較

 一般的なシーリングライトでは、引掛シーリングに接続するための金具と本体が分かれていることが多いが、本機では一体となっている。おかげで、天井に設置するときは、引掛シーリングと、本機の金具の位置を合わせるのが難しい。設置するときは、できるだけ天井に近い位置で作業できるように、高い踏み台を用意した方が良い。

今回設置した引掛シーリング器具
設置した状態。操作パネルの部分から、シーリング器具が見えている。それぐらい本体が小さい
天井にうっすらと残っているのが、通常のシーリングライトの跡。大きさの違いがよく分かる

 金具の位置を合わせ、90度ほど右に回せば、設置は完了だ。部屋の壁のスイッチを入れれば点灯する。

側面の操作パネル。2つのボリュームが見える
ボリュームは、点灯照度と点灯時間が調整できる
取扱説明書のセンサー調整の解説

 本機では2つのボリュームが備えられており、「点灯照度」と「点灯時間」を調整することができる。「点灯照度」から説明しよう。

 点灯照度とは、点灯するときの周囲の明るさのことだ。本機は、周囲が暗く、センサーの範囲に人が居るときに点灯する照明器具だ。しかし、点灯してほしい明るさというのは設置場所によって異なる。かなり暗い状態のときだけ点灯してくれれば良いという場合もあれば、周囲の明るさに関わらず人が居れば常に点灯してほしいという場合もある。

 本機では、かなり暗い5lx(ルクス)でないと点灯しない状態から、かなり明るい50lxまで調整できる。ボリュームには「切」の位置もあり、明るさに関わらず点灯する設定になる。

 もう1つの「点灯時間」だが、これは人を感知して点灯したときに、本機がどれぐらい長く点灯しているかが決められる。例えば、人が通過するだけの廊下であれば点灯時間は短くて良いし、トイレのようにある程度の時間居る場合は、少し長めになっている方が都合が良い。

 本機では、約5秒から約3分の間で調整できる。

 この2つの調整機能は、人感センサー付LED電球にはない機能であり、本機の特徴と言って良いだろう。

 ただ、ボリュームの位置が、本機が天井に設置された状態では見えにくく、操作しにくい場所にあるのが残念。繰り返しになるが、天井に近い位置で作業できるように高い踏み台を用意した方が良い。

 高い踏み台が用意できないときは、本機の取り外し方を少し練習し、何度か着脱を繰り返しながら調整すると良い。取り外しのときに押すボタンは、手探りで押しやすいように設計されているので、慣れれば着脱は難しくない。

このボタンを押しながら回さないと本体が外れない
取り外しのボタンが押しやすいように、本体の天面が切り欠きになっているのが分かる
実際に取り外すときは、切り欠きに沿って指を進めればボタンが押しやすい

2~3畳ほどの空間に合う光り方

 さて、無事に点灯したLEDの灯りだが、光り方にかなり特徴がある。

点灯した状態
点灯した状態を真下から見る。センサーの部分は黒く見える。また、中央部が明るく、周囲は暗いのが分かる
斜めから見た状態

 まず、人感センサーの部分は、光が遮られるので黒く見える。また、最近のLED製品には珍しいほど、まぶしく感じる。コンパクトデジカメで光を撮ると、フレアが出てしまうぐらいだ。

 830lmという明るさは、60W型LED電球の規格とほぼ同等だが、光り方がだいぶ異なる印象だ。最近のLED電球は、広い角度に分散した柔らかい感じの光が多いが、本機はLEDが裸に近い状態で光っているように感じる。光が硬いというか真っ直ぐというか、LEDを使った懐中電灯の光り方に似ている。

側面からコンパクトデジカメで撮影すると、フレアが出てしまうほど中央部は明るい
このカメラの位置から、肉眼で見てもまぶしさを感じる
真下では文庫本が楽に読める明るさがある
センサーの検知範囲

 試しに6畳間に取り付けてみた。真下の明るさは十分だが、周囲への光の散り方が足りない感じだ。2~3畳間ほどの広さの空間に合っている光り方だ。なお、真下であれば、文庫本が楽に読めるほどの明るさがある。

 センサーの感度やカバーする角度は、満足できるものだ。本機を天井に設置した状態で6畳間に入ると、すぐにLEDが点灯した。2.5mの天井に設置した状態で、直径が4mの範囲で感知するので、6畳間でもなんとかカバーできる。

 なお、最近のLEDシーリングライトは、器具の保護のために、わざとゆっくり点灯する製品もあるが、本機の反応は速い。反応を見るために手を振ると、パッと反応して、ためらいなく点灯する。センサーライトとしては望ましい反応で好感が持てる。

常時点灯モードもある

取扱説明書の「連続点灯モード」の解説

 よく考えられているなと思ったのは、「連続点灯モード」があることだ。

 センサーライトが主照明の空間で、何か作業をしているときに、ずっと灯りが点いていてほしいことがある。しかし、それができない製品が多く、ほとんどの場合は、照明時間が切れて暗くなる→手などを振る→再点灯するの繰り返しになる。

 本機では、「壁スイッチをいったんオフにし、2秒以内にオンにする」という操作で、連続点灯モードになり8時間点灯し続ける。通常の「センサーモード」に戻す時は、「壁スイッチをオフにして、約5秒以上経ってからオンにする」で戻る。つまり、スイッチをいったん切って、少し間を置けば通常のモードに戻ってくれる。

 この機能は、作業中に暗くなって、イラっとしたことがある人ほどありがたみが分かる機能だ。

消し忘れの多い空間に最適

 本機は、最初の設置と調整のところで、ちょっと手間がかかるが、いったん調整できれば、ちゃんと動くし、とても便利だ。用途に応じて調整範囲が広いことや、連続点灯モードなど、よく考えられていると思う。

 センサーライト付LED電球と比べると、デザインと調整範囲が広いことでは本機の方が有利だ。あえて言えば、もう少しLEDのカバーのスモークを濃くするとか、光を散らすなどして、まぶしくない光り方になれば、用途が広がると思う。現状でも、光量は十分だが、灯りとして使うにはまぶしい感じだ。適合する広さは2~3畳ぐらいだが、もう少し光が柔らかくなれば、4畳半ぐらいまで使えそうだ。

 本機は、天井に引掛シーリング器具があり、人が居る時間が短く、明かりを消し忘れがちな空間には、向いている製品だ。廊下、トイレ、洗面所、ウォーキングクローゼットなどでセンサーライトの導入を考えている人は、天井の器具に合わせて、候補に入れて良い製品だ。

伊達 浩二