家電製品ミニレビュー

ケンコー・トキナー「エクセルライト CL-52B-DC」

~実売1万円台で調色もできるLEDシーリングライトは意外と使える

ケンコー・トキナー 「エクセルライト LEDシーリングライト 調光/調色 CL-52B-DC」 。主に8~10畳用だ

 ほんの少し前までは、LEDシーリングライトはとても高価だった。蛍光灯と比べて、調光・調色ができたり、省エネ効果が高いというメリットはあっても、価格が蛍光灯の器具の何倍もするため、気軽に買えるものではなかった。

 ところが最近は、蛍光灯の器具並みに価格を抑えたものが出揃ってきている。今回は、そんな安価なシーリングライトの中から、ケンコー・トキナーの「エクセルライト LEDシーリングライト 8~10畳用・調光/調色 CL-52B-DC」を紹介しよう。実売価格は14,800円。蛍光灯器具並みの価格で、調光・調色にも対応するLEDシーリングライトだ。

メーカーケンコー・トキナー
製品名エクセルライト LEDシーリングライト 8~10畳用・調光/調色
品番CL-52B-DC
光色暖色系~寒色系
演色性Ra75以上
標準器具光束4,200 lm
定格寿命40,000時間
メーカー保証2年
購入価格14,800円 (yodobashi.com)

 本製品の特徴は、価格が安いのに「LEDらしさ」がしっかり揃っているところにある。明るさを表す器具光束は4,200lmで、10畳程度の部屋のメインの照明として十分に明るい。日本照明器具工業会の基準でも、10畳までの器具光速値は「3,900lm以上~4,900lm未満」とされている。また、3段階(100%・50%・30%)の調光に、暖色系から寒色系の調色にも対応している。自動調光やタイマーなどの機能は付いていないが、その分だけ価格が抑えられている。

 本製品を販売するケンコー・トキナーは、写真用品や光学製品の製造販売をメインとする日本のメーカーだ。家電メーカーの製品でもなく、価格が安いLEDシーリングライトとなると、その実力はいかほどのものなのだろうか。

器具は一体型で軽い。取り付けは簡単

開梱した器具。奥から本体、手前左から、センターカバー、アダプター、リモコン

 本体は円形で、大きさは580×85mm(直径×高さ)。シーリングライトの直径としては一般的で、蛍光灯の器具よりも薄い。重さは2.8 kgとかなり軽く、かつ本体とシェードが一体型しているため部品も少なく、とても扱いやすい。

 取り付けは簡単。詳しくは以下の写真の通りだが、基本的には天井の配線器具「引掛シーリング」にアダプターを取り付け、そこに本体を装着するだけと、あっという間に終わる。一度でもシーリングライトの取り外しをした経験があるならば、1分もかからないだろう。取り付ける向きを気にする必要もなく、部屋にも馴染みやすいデザインだ。アダプターにはロック機構があり、安全面にもちゃんと配慮されている。

取り付け手順を順を追って紹介しよう
【1】天井にある引掛けシーリングに、付属のアダプターをはめ込む
【2】アダプターから出ているコネクターを、本体の中央に通しながら、「カチッ」と音がするまで本体を押し上げて取り付ける。シェードと一体型で軽いので、取り扱いがラク
【3】アダプターの緑色のハンドルを青い印のあるところにスライドさせて、アダプターを固定する
【4】アダプターから出ている電源コネクターを、本体側のコネクターに“カチッ”という音がするまで差し込む
【5】センターカバーを取り付ける。これで終了だ
【6】以上で完成。サイズば580×85mm(直径×高さ)、重さは2.8kg。シンプルで薄い円盤型のデザインは、圧迫感が少ない

 本製品の設計寿命は40,000時間。本体とシェードは一体型で、初めから虫や埃が入りにくい構造だ。ゆえに、メンテナンスは時々埃を掃う程度で済みそうなので、一度取り付けたら当分は取り外しをしないで使い続けられるだろう。

 全ての操作は付属のリモコンで行なう。リモコンのボタンは全部で12個。1つ1つのボタンには、目的を表すピクトグラムがプリントされ、視覚的にわかりやすい。

 点灯に関する「入」「切」「常夜灯」のボタンは、リモコンの右上に並ぶ。その左側には「30%」「50%」「100%」のボタンが並んでおり、3段階の調光がダイレクトにできる。

 調色専用のボタンは、リモコンの中央より下にまとめられている。生活シーンに応じた4つの光色、「昼光色」「電球色」「昼白色」「白色」のボタンが独立しているので、調色は簡単だ。「寒色」「暖色」ボタンを使えば、さらに細かな無段階調色にも対応する。

点灯、消灯、調色、調光など、設定など、明かりのコントロールはすべて付属のリモコンで行なう
ボタンは全部で12個。ボタンは点灯・調光・調色に整理され、わかりやすい

リビングルームにピッタリの明るさと光色。演色性も高い

 準備が済んだら、点灯してみよう。操作は至ってシンプル。「入」ボタンを押して点灯したら、部屋の過ごし方や状況に応じて光色、明るさを選び、「切」ボタンで消灯する、という流れだ。光の特徴については、以下に3つに分けて紹介する。

【特徴その1】明るくて、たっぷり広がる光

 明るさは、リビングルームのメインの灯りとして全く申し分なかった。点灯した状態で、独立した4つの光色のボタンをそれぞれ押すと、各色100%の明るさで点灯する。

 8畳の部屋で、器具から約2mの真下に照度計を据え、それぞれの明るさを計測した。寒色系の「昼光色」は225lx、暖色系の「電球色」は200lxだった。中間色の「昼白色」は362lxで最も明るく、「白色」は353lxだった(以降、照度は全て同じ条件)。

 一般的に、リビングルームでの団らんや軽い読書なら、150~300lxあれば十分と言われているので、光色のどれもが十分に明るい。以前使っていた蛍光灯のシーリングライト(昼白色)が300lx弱(正確には283lx)だったので、交換しても不満は感じないだろう。

こちらはかつて我が家で使っていた、消費電力が97Wの蛍光灯シーリングライト。テーブル面の明るさは300lx弱(光源からの距離は約2m。以降同じ)で、明るさに不満は全くなかった
「昼光色」で点灯した様子。画面のテーブルの直下は225lxだった。寒色100%で、青白い白色が涼しげ
「電球色」で点灯した様子。直下は200lxで、光色は白熱電球に近い
「昼白色」で点灯した様子。この光色がもっとも明るく、直下は362lxで蛍光灯よりも明るい。ニュートラルな白色だ
「白色」で点灯した様子。直下は353lxで、こちらも蛍光灯よりも明るかった。光色は、昼白色よりもやや暖かみがある

 明るさも十分だが、拡散性もとても良い。直進性の強いLED光源だが、シェードを通った光は、天井面も含め、部屋の隅々までたっぷり行き渡り気持ちが良い。構造上、器具の中央部は暗くなってしまうが、粒状感やギラつきも抑えられた輝きは柔らかで、ムラも少ない。

外周に向かって薄くなるデザイン。外周は30mmの厚みでせり出しており、天井面へしっかり光が拡散する
シェードを通したLEDの光は、粒状感やギラつきが抑えられ、蛍光灯の様子に近い。構造上、器具の中央部が暗くなる

【特徴その2】多様なシーンにハマる4つの光色。演色性も良好

 本製品では寒色~暖色の無段階調色機能を備えるが、この機能を使って細かく調整する必要は特になさそうだ。というのも、前述したとおりリモコンには4色をダイレクトに選べるボタンがあり、それぞれが多様な過ごし方を送るリビングルームにピタリとはまるからだ。

 青白い「昼光色」は起床時、「電球色」は就寝前のくつろぎに向いている。ニュートラルな白色の「昼白色」は、仕事や家事全般に、暖かみのある「白色」は食事や団らんに向く。このプリセットされた4色のバランスが良いので、細かな無段階調色の必要性は感じられなかった。

「昼光色」で点灯した器具の様子。青白い光は目覚めを促すと言われ、起床時の灯りに向く。涼しげな光色なので、夏の明かりにも良いだろう
「電球色」で点灯した器具の様子。暖かみがあり、くつろぎや就寝前に向いている
「昼白色」で点灯した器具の様子。ニュートラルな白色でもっとも明るいので、仕事や家事全般、読書にも向いている
「白色」で点灯した器具の様子。昼白色よりも暖かみがある。食事のシーン、活気ある団らんの明かりとして最適だ
「昼光色」で食事を照らした様子。肉眼ではそれほどではないが、青白い光色は食事のシーンにはあまり似合わない
「電球色」の様子。食事はおいしそうに見える。電球色のペンダントライトと相性が良いだろう
「昼白色」の様子。色の再現性が良く、食事がとてもおいしそうに見える
「白色」も色の再現性が良い。料理のシーンにも、にぎやかな食事のシーンにも向いている

 さらに4色それぞれの、演色性も良好だ。スペック上の平均演色評価数は「Ra75以上」だが、どの光色においても色がくすまずに、食べ物を照らしてもとてもおいしそうに映える。リビングルームだけでなく、ダイニングキッチンの灯りにも十分適しているだろう。

【特徴その3】3段階調光は迷わず操作できる

 調光はいたって簡単にできる。光色にかかわらず「100%」、「50%」、「30%」のボタンを押してダイレクトに選べるからだ。

 3段階の調光に物足りなさを感じるかもしれないが、「100%は団らんや食事」、「50%はくつろぎやテレビ視聴」、「30%は日中の補助光」など、潔く割り切りができる。むしろ、迷わずに使いこなせるのではないだろうか。

3段階の調光した器具の様子。左から100%、50%、30%
プリセットされた4色を調色してみた。明るさは最大362lx(昼白色100%)、最小は70lx(電球色30%)で、短時間の読書や手仕事から、くつろぎの明るさまで対応する

 なお、「切」ボタンを押して消灯、または、常夜灯に切り替えた時、直前の明るさと光色が記憶される。次に点灯した時、記憶された組み合わせが呼び出される。

従来の蛍光灯を上回る明るさ。それでいて年間3,500円以上の電気代節約にも

4つの光色を調光した消費電力。最大でも41W(昼白色100%)は、蛍光灯の半分以下の消費電力だ。50%調光するだけで、さらにその半分以下になる。30%はLED電球1個分程度の消費電力にすぎない

 本製品の消費電力は特に低く、電気代が大幅に節約できるのも特筆すべき点だ。

 一番明るい「昼白色」100%は、先ほど述べた通り蛍光灯よりもぐっと明るくなるが、消費電力は41Wと、蛍光灯の97Wに対して半分以下だった。また、「昼光色」は25W、「電球色」は24W、「白色」は40Wだった。つまり、各色最大の明るさでも、蛍光灯の42~25%の電力しか使わないのだから驚きだ。

 各色100%の消費電力から年間の電気代を試算して、蛍光灯と比較してみよう。1年間、毎日8時間点灯した場合、蛍光灯の電気代が約6,231円に対し、さらに明るい「昼白色」でも約2,635円なので、最低でも年間3,500円以上も電気代が節約できる。

各色100%の電気代(1日8時間点灯)
-蛍光灯昼光色電球色昼白色(最大)白色
1日17円4.4円4.2円7.2円7円
1年6,205円1,606円1,533円2,628円2,555円
蛍光灯-各色の電気代-4,599円4,672円3,577円3,650円

 調光しなくてもバッチリ電気代が節約できるが、過ごし方に応じて調色・調光すれば、もっと大きな節約もできる。個人的な明るさの感覚ではあるが、テレビの視聴時やくつろぎの時は、全灯する必要はないので、50%の明るさでも十分快適だった。それだけで消費電力が半分以下になるので、蛍光灯と比べて年間5,000円以上の節約も可能だ。

各色50%調光時の電気代(1日8時間点灯)
-蛍光灯(100%)昼光色電球色昼白色(最大)白色
1日17円2円2円3円3円
1年6,205円730円730円1,095円1,095円
蛍光灯-各色の電気代-5,475円5,475円5,110円5,110円
各色30%の電気代(1日8時間点灯)
-蛍光灯(100%)昼光色電球色昼白色(最大)白色
1日17円1.2円1.2円1.8円1.8円
1年6,205円438円438円657円657円
蛍光灯-各色の電気代-5,767円5,767円5,548円5,548円
昼白色100%の時、約42%の電力で蛍光灯の約1.28倍明るい
白色50%の様子。テレビ視聴など、特に手元を明るくする必要がない場合、50%の明るさで十分だ
50%の電球色はくつろぎの灯りに向いている。消費電力はたったの11Wだ
30%の昼白色は、曇りの日や、陽が翳ってきた時間帯の補助光として適している。消費電力は7W

 もしかすると“調光すれば省エネができるのはわかっていても、部屋が薄暗くなるのはなんだか辛気臭くなるからイヤだ”、と考える方もおられるだろう。そんな方には、多灯照明をお勧めしたい。薄暗く調光したシーリングライトに、手持ちの灯りをプラスして、局所的に明るい場所を設けると、部屋に明暗の変化が付き、雰囲気がぐっと良くなる。節電と雰囲気を両立させる方法として、試してみてはいかがだろうか。

 なお、本製品は消灯している間も、わずかながらも電力を消費する。待機時の消費電力は1Wで、1年間ずっと通電したままにしておくと、何もしなくても193円かかる。長期に使用しない時は、元の壁面スイッチを切っておきたい。

30%に調光した電球色の本製品に、9WのLED電球のスタンドを組み合わせた様子。天井からの1灯の照明よりも、多灯照明にするとより一層くつろいだ雰囲気が演出できる。他社の電球とも光色の相性が良い(写真は東芝)
30%に調光した昼光色の本製品に、6WのLED電球のタスクライトを組み合わせた様子。部屋全体の明るさを押さえ、必要な場所を明るくすると、集中しやすい環境が演出できる。白色のLED電球とも相性が良い

気になるのは常夜灯の操作くらい。LEDの良さが詰まったシーリングライトを手頃な価格で

 大手家電メーカーの製品でもなく、価格も安い製品だったが、シーリングライトに求められる灯りとしての実力はしっかり備わっている。普段の生活を営む上で、明るさは十分。調色・調光がとても簡単にできるので、シーン毎の使い分けもラク。しかも演色性も良い。さらに、少なくとも電気代は蛍光灯の半分以下になるので、大幅な節電もできる。もちろん、点灯中に器具から雑音もなければ、AMラジオへのノイズの影響もなかった。

 使っていて唯一不満に感じたのは、常夜灯の点灯方法だ。常夜灯を点灯したい場合、「入」ボタンを押してシーリングライトを一旦点灯させてから、「常夜灯」ボタンを押して切り替えなければならず、煩わしい。たとえば、夜中に目が覚めてほんの少しの灯りが欲しい時、ダイレクトに常夜灯が点灯できないのは、案外不便だった。

常夜灯を点灯した様子。センターカバーのフチに沿うように、常夜灯専用のLEDが4つある
常夜灯を点灯した部屋の様子。明るさは0.6lxだった

 それでも、面倒な設定も無く、概ね簡単な操作でLEDの良さが堪能できるのは大きなメリット。多様な過ごし方をするリビングルームはもちろん、ダイニングルームや、プライベート空間のメインの灯りとしてまったく問題ないだろう。価格から購入を躊躇していた方はもちろん、実力十分なエントリーモデルとして、是非お勧めしたいLEDシーリングライトだ。

藤原 大蔵