家電製品ミニレビュー

スマホと連携するオムロンとパナソニックの血圧計を比べてみた【前編】

~PCとスマホでグラフを確認できるオムロン「自動血圧計 HEM-6310F」

左がオムロンヘルスケア「自動血圧計 HEM-6310F」、右がパナソニックの「手首式血圧計 EW-BW53」。いずれもスマートフォンとの連携機能を搭載している

 季節の変わり目は体調を崩しやすい。そこで、体のコンディションをチェックするために便利なのが血圧計だ。

 家庭用の血圧計というと、昔は大きくて重たく、測定に時間がかかるイメージがあったが、最近は、手軽に手首に巻いて使えるコンパクトな手首式血圧計が普及している。しかもただ血圧を測るだけではなく、スマートフォンで測定データをグラフ化して管理できるものまで出ている。

 しかし、実際、スマートフォンと連携してどんな意味があるのか? スマートフォンとの連携はただの流行で終わるのか、それともユーザーに真のメリットがあるものなのか。そんな疑問に端を発し、今回はスマートフォンと連携する数少ない血圧計のうち、オムロンとパナソニックの製品を使い比べてみた。同じ小型機種だが、どのような違いがあるのだろうか。まず本日はオムロンヘルスケアの手首式血圧計「自動血圧計 HEM-6310F」をレポートしたい。

メーカーオムロンヘルスケアパナソニック
製品名自動血圧計 HEM-6310F手首式血圧計 EW-BW53
購入場所Amazon.co.jpAmazon.co.jp
購入価格7,430円6,405円

柔らかいカフが手首にフィットする小型血圧計

 オムロンの血圧計「自動血圧計 HEM-6310F」は、薄型、軽量、コンパクトの3拍子が揃った手首式血圧計だ。本体サイズは89×13×61mm(幅×奥行き×高さ)で、本体重量は約80g。電源には付属の単四形アルカリ電池2本を利用する。

 本体には約45×42mm(縦×横)の大型液晶を搭載。手首に巻くカフはとても薄くて、柔らかい。布のように、折りたたんで付属のボックス型ケースに収納できる。

本体には約45×42mm(縦×横)の大型液晶を搭載する。バックライトはついていない
手首に巻く「カフ」は、布のように薄く柔らかい
マジックテープで腕の太さに合わせて留める
本体にはボックス型のケースが付属する
ケース内部には、測定方法が記されているのでわかりやすい
畳んで収納できる

 HEM-6310Fの特徴は、NFC通信(おサイフケータイ)機能を搭載している点。Androidスマートフォンの専用アプリ上で、測定データをグラフ化して確認できるのだ。測定したデータは、スマートフォンでタッチするとクラウドサーバー上に転送され、アプリのグラフに随時反映される。また、同社の提供している健康管理サービス「ウェルネスリンク」にも同期されるため、パソコンからも確認できる仕組みだ。これについては後ほど詳しく述べたい。

右側面には、「通信エリアマーク」が付いている、ここにスマートフォンをタッチする
本体上部には、ユーザー切替スイッチが付属。2人までユーザー登録して使えるので、測定の際にボタンをスライドさせてユーザーを選択する
本体下部の時刻設定スイッチ。初期設定で使用する

測定時間は正味20秒強! とってもスピーディ

 それではまず、血圧を測ってみよう。付属の電池を入れ、時刻を合わせたら、カフに手首を通し、マジックテープで固定する。手首の骨にかからないように、だいたい手首と手のひらの境目から人差し指1本分下に取り付ける。カフは柔らかく、マジックテープ式なので、手首の太さに合わせてフィットする。

電源は付属の単四形アルカリ電池2本
カフに手首を通す
カフは薄く柔らかく、手首にフィットする

 用意ができたら、計測開始ボタンを押してスタート。正確に測るためには、手首の高さが心臓と同じになっていなければならない。だが、HEM-6310Fは手首が心臓より高かったり低かったりすると、測定開始時にオレンジのランプを点灯させて知らせてくれるので安心だ。高さがちょうど良ければ、青いランプが点灯してそのまま測定を進める。

手首の位置が心臓より高すぎたり低すぎると正確に測れない。オレンジのランプで知らせる
手首の高さが正しければ、青いランプで知らせる
カフがうまく巻けない場合や、測定中に体を動かしてしまった場合にも画面表示で知らせる。自宅で一人で簡単に測れるよう、配慮されている

 しばらくするとカフがギュッと絞まってくる。音はほとんどしない。耳をすませば、「ジジジ……」という機械音がかすかに聞こえる。とても静かだ。

測定の様子。カフが絞まってから緩むまでの時間は正味24秒で、素早い
測定が終わると、最高血圧と最低血圧、脈拍数が表示される

 測定が終わると、カフの圧力が急に抜ける。そして液晶画面には、最高血圧と最低血圧、脈拍数の3つの結果が表示され、青いランプが点滅。測定完了を告げるアラーム音などは鳴らない。

 カフが絞まり始めてから測定が終わるまでの時間は、約24秒。かなりスピーディーだ。じっとしている時間が最小限で済む。

 本体機能としてはほかに、2人分の血圧と脈拍のメモリーを備えている。ユーザー1人につき、最大90回分の測定記録を表示できる。また、朝晩それぞれ過去7週間分の週平均値を表示する「血圧値トレンド表示」機能も搭載している。要するに、スマートフォンやパソコンと連携させなくてもある程度過去を遡ってデータを確認できるのだ。

 本体だけで、使い勝手はとても良かった。特に良かったのがカフが柔らかい点で、私だけでなく祖母や母の手首にもピッタリと巻きつけられる。強いて気になった点を挙げるならば、液晶にバックライトが点いていないことだ。早朝や深夜、暗い部屋では測りにくい。

 このほか使ってみて良かった点としては、本体が軽量で、頑丈なボックス型ケースが付きのため、週末の旅に出る際も持ち歩きやすいこと。測定できない日が続くとどうしてもモチベーションが下がるが、HEM-6310Fは素早く測定が終わるし、毎日時間を見つけて計るのが億劫にならなかった。

最高血圧と最低血圧をスマホアプリでグラフ化

スマートフォンへデータを転送してみよう

 さて、HEM-6310Fの醍醐味であるスマートフォンとの連携機能を使ってみよう。あらかじめ、スマートフォンにオムロンヘルスケアが提供する「WellnessLINK からだグラフ(以下、からだグラフ)」という無料アプリをインストールする。

 対応機種は、おサイフケータイなどNFC(近距離無線通信)機能を搭載したAndroidスマートフォンで、Androidのバージョンは2.2以上。iPhoneには非対応だ。

 「からだグラフ」は、血圧計だけでなく、体組成計や活動量計、睡眠計など、オムロンヘルスケアが発売しているウェルネスリンク対応機器を全てグラフ化して一括管理できるアプリ。家電Watchでは以前、同社の体組成計「カラダスキャンHBF-215F」をレビューした際にも触れているので、そちらもご参考にしていただければ幸いだ。

 そんなわけで、私は既にスマートフォンに「からだグラフ」をインストールしていたので、次にすることは機器の登録。つまり、アプリにHEM-6310Fを認識させることだ。

 手順は簡単で、アプリを立ち上げて「対応機器の追加」を選び、画面の指示に従いスマートフォンの「Felicaマーク」を血圧計の通信エリアマークにタッチするだけで、認識完了。自動でこれまでの測定データが転送される。

アプリを起動させ、通信をスタンバイ状態にする
本体右側の通信エリアマークに、スマートフォンの「Felicaマーク」をタッチ
通信が無事に完了すると、画面に表示して知らせる

 アプリでは、最高血圧と最低血圧の2項目を、グラフ表示とメモ表示の2通りで確認できる。グラフ表示は、最高血圧と最低血圧が一目でわかる棒グラフで、自分の血圧値の変動が一目でわかる。

最高血圧と最低血圧が一目でわかる棒グラフ。朝の測定記録は白い棒線、晩の記録は青い棒線で表示。自分の血圧値の動きがわかる。なお脈拍は表示されない
血圧。メモも記録できる。なお当日の測定回数の上限は無く、全て表示される

 なおデータは、ウェルネスリンクというオムロンヘルスケアが提供するウェブの健康管理サービスのクラウドサーバー上に転送され、「からだグラフ」アプリに同期される。ウェルネスリンク自体はウェブサイトなので、パソコンからログインして閲覧できる。パソコンはWindowsだけでなく、Macintoshにも対応する。

ウェルネスリンクのトップページ

 ウェルネスリンクでは、血圧の最高値と最低値を棒グラフで、脈拍を折れ線グラフで表示する「マイグラフ」機能を搭載している。スマートフォン用アプリ「からだグラフ」では脈拍は表示されないが、マイグラフでは確認できるのだ。

 測定記録は過去6カ月分を保存する。なお月額315円の「プレミアムコース」に入れば、保管期限は無期限に延長される。

ウェルネスリンクの「マイグラフ」。血圧の最高値と最低値を棒グラフで、脈拍を折れ線グラフで一覧できる

 ほかにウェルネスリンクでは、測定記録のメモ表示や、最近1週間の朝の血圧値を算出してユーザーの血圧の傾向からアドバイスをしてくれる「データナビ」機能も無料で用意されている。データナビが更新されると、メールでお知らせが届く。

 ちなみにウェルネスリンクは、iPhoneなどの端末からもアクセスできる。ただしデータをグラフ化して表示する「マイグラフ」ページがFlashを使っているため、iPhoneは実用的ではない。

iPhoneからウェルネスリンクにログインすることも可能。測定データの履歴も確認できる
ウェルネスリンクのトップページを閲覧した様子
「マイグラフ」はFlashを利用するので閲覧不可

パソコンからもスマホからも記録が確認できる

 こうして「からだグラフ」およびウェルネスリンクを使ってみて便利だと思ったのは、パソコンからもスマートフォンからも測定データを確認できる点。パソコンではよりきめ細かくデータを確認できる。アプリではほかのウェルネスリンク対応の機器のデータも確認できるので、オムロンの体重計「カラダスキャンHBF-215F」も使用している我が家では、データ管理が1つのアプリで済んでしまうのもメリットだ。

 またスマートフォンへ通信する際に、2人分の測定データを、1台のスマートフォンでまとめて転送できる点も気に入った。我が家では私と母がそれぞれスマートフォンと連携させてHEM-6310Fを使っているのだが、例えば私がスマートフォンへHEM-6310Fのデータを転送すると、一緒に母の測定記録も転送してくれるのだ。転送したデータは、それぞれのウェルネスリンクおよび「からだグラフ」に同期されるため、データが混ざる心配はない。転送の手間は極力かからないようになっている。

明日はパナソニックの「手首式血圧計 EW-BW53」を使い、各機能を比較

 明日は、同じくスマートフォンとの通信機能を採用したパナソニックの「手首式血圧計 EW-BW53」を紹介したい。合わせて、スマートフォンとの連携の使い心地の比較や、血圧をグラフ化してわかったこともお伝えする予定だ。

小林 樹