家電製品ミニレビュー
東芝「SuiPanDa ABP-R100X」 後編
~ベーシックな食パンや人気の米粉パンのお味は?
by 戸井田 園子(2013/3/15 00:00)
生米から作る独自の「炊パン」が作れる東芝のホームベーカリー「SuiPanDa ABP-R100X」をご紹介しています。前編では、SuiPanDaならではの炊パン、のこったご飯を使った小麦ごはんパンなどを作りました。
とはいえ、ホームベーカリーの基本と言えば、やはり小麦パン。ということで、後編ではスタンダードに、小麦粉を使った食パンと、最近人気の米粉パンを作った様子をご報告したいと思います。
前編は→コチラ
メーカー名 | 東芝ホームアプライアンス |
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製品名 | SuiPanDa ABP-R100X |
販売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 25,816円 |
ベーシックな「小麦パン」~所要時間3時間25分
まずは、スタンダードな小麦パンコースから。水を入れたパンケースに、強力粉・ドライイースト・砂糖・塩・スキムミルク・バターなどをレシピの分量に従い入れてセット。投入ケースは使用しませんが、底ブタを閉じてセットしておきます。コース1を選んで、スタート。所要時間は3時間25分と、ごく平均的な時間です。
焼き上がりは、「炊パン」に比べると膨らみは大きくてしっかり高さもあり、見た目はイイ感じです。カットしてみると、生地のキメは粗めで、しっとり感はあまり感じられません。食べてみるとふっくら感はあり、焼き立てらしい香りと風味は楽しめます。定番の小麦パンなので、コレと言った特徴はありませんが、平均点といったところでしょう。
最近の高性能タイプのホームベーカリーの場合、焼き上がりの色はもちろん、食感まで選べるものや、天然酵母や国産小麦コースなど、ちょっと凝ったコースも搭載されていますが、SuiPanDaで、選べるのは焼き色のみ。最新の高性能タイプに慣れていると、やや機能が少ないと感じるかもしれません。
具材を自動で入れて作れる「レーズンパン」~所要時間3時間25分
SuiPanDaでは、具の自動投入できる「投入ケース」が付属しています。自動投入できる具材は、レーズンやナッツなど乾燥している食材で、チーズやハムなど粘りが多くケースにくっついてしまうものは手動投入となります。そこで今回は、自動投入できるレーズンを使ってみました。具は最大100gまで投入可能ですが、レシピに目安と書かれていた50gでセットします。
具を入れる場合、レシピによっては、その分量だけ水を減らしたりすることもありますが、この場合、具を入れても入れなくても基本の材料は同じ分量でOKとのこと。実は、レシピブックや取り説を読んでも、材料の分量を調整する必要があるのか否か、ちょっと分かりにくく少々迷いました。このあたり、もう少し分かりやすく明記されていると助かります。
スタートしてから15分後くらいに、投入ケースの底が空く音が、パシッバシッとしました。覗きに行くと、レーズンがこねられた生地の上に全て落下しています。しばらくすると、そのままレーズンを生地に混ぜるこねが開始。均一に混ざらないと、具が偏ることになるで大事な工程です。
粘りがある具の場合、この投入ケースの底が開いた音を目安に、手入れで具を投入します。自動で具が投入されないのなら、投入ケースの底ブタが開く必要はないじゃないか!と思いましたが、具が入っていてもいなくても、パシッバシッという音がすれば、投入の合図にはなるのは、ある意味分かりやすいと理解しました。
その後、発酵→焼き→焼きの工程を経て完成! パンケースからはみ出すほどしっかり膨らみ、高さも十分ある姿は、市販のレーズンパンに見劣りしないできばえです。カットしてみると、レーズンがムラ無く均一で、どこを食べてもレーズンがちゃんと口に入る程良いバランスです。今回は(目安50g)を守りましたが、Maxの100gまで入れた方が、もっと満足感が得られると思います。しかし具材を多く入れるほどパンのふくらみが弱くなるとのことなので、何度かトライして好みの分量を導き出して下さい。
ちなみに「炊パン」では、具を自動投入できません。これは、強力粉とドライイーストを途中投入するのに投入ケースを使ってしまうため、物理的にできないという理由から。「炊パン」でも具を混ぜることは可能ですが、その場合は手動となります。SuiPanDaは「炊パン」が売りなのに、これはちょっと残念! 次回に期待したいところです。
もちもち食感が人気の「米粉パン(グルテン入り)」~所要時間2時間35分
続きましては、もちもち感が人気の米粉を使ったパン。米粒から作る「炊パン」や、ご飯を加えて作る「ごはんパン」と何が違うのかと言うと、これらは小麦粉が結構な分量で使用されているのに対し、「米粉パン」はメインとなる材料が“米”であることが大きな違いです。しかし、米粉は膨らみにくいため、グルテン入りまたは小麦グルテンを足して作ります。今回は、グルテンなしの米粉を購入したので、小麦グルテンを足すレシピで作ってみました。
焼き上がりは、パンケースの高さ3/4くらいまでの大きさ。「炊パン」よりは高さがありましたが、「小麦パン」よりは小ぶりといったサイズで、持つとやや重さが感じられます。生地のキメは細かく、しっとりとした印象です。食べてみると、米粉特有のもちもち感がしっかり出ていました。本当にしっとりしていておいしく、甘みが強く感じられます。
当日に1斤食べきれなかったので、翌日に持ち越したのですが、炊パンや小麦パンがやや固くなったり乾燥してしまったのに比べると、水分がしっかり残って翌日までおいしさがキープされていたと感じます。一度に1斤は食べられない…というご家庭には、米粉パンが一番おすすめかもしれません。
小麦アレルギーでもOK「小麦ゼロパン=米粉(グルテンなし)」~所要時間2時間50分
最後に、小麦アレルギーの人でも食べられる「小麦ゼロパン」を試すことに。材料は、グルテン無しの米粉に、グルテンの代わりに片栗粉を使うことで、小麦ゼロにしています。また、バターの代わりにサラダ油を使うのも今までのレシピとは違う点です。
レシピに「生地がドロッとしていますが異常ではありません」とのただし書きがあったので、こねている途中に中を確認してみると、確かにかなりドロッとしている状態です。米粉も片栗粉も小麦に比べると粒子が細かいので、やはり水に馴染みやすくてとろみが多くなるのでしょう。そのためか、パンケースの回りに材料が少し残ってしまい、うまく混ぜられていない感じもあり心配がつのります。
さてさて、いよいよ焼き上がりました。パンケースを覗くと……うーーん、かなり小さい。これは失敗か? しかし、レシピにも「高さは低く、上面が白く、平らに焼きあがります」とあり、さらにレシピブックの写真と比べて見る限り、見た目はほぼ似た印象です。
ならばこれでOKなのか? とカットしてみたところ、刃の感触にウェット感が……案の定、中は水分を含んでダマになった部分が残ってしまっていた。回りの生地は、パリパリを通り越してバリバリのせんべいの用な部分もあるに、中がウエッティで仕上がりとしてはイマイチ。全く食べられない訳ではありませんが、正直、ふわふわのパンという感じではありませんでした。
小麦ゼロは膨らみにくいのがネックなので、今回はもろ手を挙げて大成功といえる焼きあがりではありませんでしたが、もう少し上手に焼ければ小麦が食べられない人もパンが楽しめるのが最大のメリット。できれば、もう少し成功率の高いレシピを期待したいと思います。
米粉が手に入らなくても「米」のパンが楽しめるのがメリット
炊パンの他、小麦パン・米粉パンと基本的な材料で作るレシピを試してみましたが、総じて問題なくおいしくできました。最近の多機能タイプに比べると、天然酵母・国産小麦専用コース・ケーキなどが無くメニュー数は少なめですが、もち・ピザ生地・うどん生地などの一般的なメニューは網羅されていますし、運転音も静かで、操作や手入れも簡単と、完成度としては申し分の無い一台です。
また「炊パン」という新提案も、普通は小麦パンを作るというご家庭にとっては、わざわざ米粉を買わなくても、自宅にある白米を足すことで、米独自のもちもちしたパンが楽しめるのはうれしい機能といえるでしょう。しかし「炊パン」には、まだまだ開発の余地がありそうです。例えば、「炊パン」で小麦ゼロにはできないことはやはり残念。「米」を前面に打ち出すなら、米100%の小麦を全く使わないレシピをぜひ用意して欲しいのが本音です。さらなる進化に期待します!
前編/ 後編