家電製品ミニレビュー
レアック・ジャパン「トレイランタン」
~いつもそこにある防災用LEDライト
by 伊達 浩二(2012/12/3 06:00)
使いたいときにそこにある灯り
東日本大震災以来、防災用としてLEDライトやLEDランタンを購入した人は多いと思う。
で、問題は、それをどこに保管しておくかという話だ。
というのは、阪神・淡路大震災のときの体験記を読んでいると、「棚が倒れてしまい、入れておいた懐中電灯が取り出せずに困った」とか、「家具が倒れてガラスが割れ、懐中電灯を置いた玄関にたどり着けなかった」という例がよく出てくるからだ。
そうでなくても、「棚に入れっぱなしにしていたので、使おうと思ったときには乾電池が液漏れしていた」という例はよく耳にする。
「じゃあ、机の上に出しっぱなしにしておけばいいんじゃない」というのが、今回紹介するレアック・ジャパン「トレイランタン」の発想だ。机の上に置いたままにできるデザインのランタンで、シェードを外せばLEDライトしても使えるという。
インテリア指向の製品なので、カラーバリエーションも、ホワイト、ライトブラウン、ダークブラウンの3色が用意されている。今回は、木目調のライトブラウンを選んだ。
メーカー | レアック・ジャパン |
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製品名 | トレイランタン |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 2,940円 |
ランタンとしてもLEDライトしても実用になる
トレイランタンの全長は24cm弱。ポリカーボネートとABS樹脂製なので、とても軽い。
シェードの末端の部分は、直径が約11cmの円形になっていて、裾が折返っている。ちょうどドーナツ型のトレイ(皿)の形になっているので、小物を置けるスペースになっている。
トレイの部分におやつのゼリービーンズを置いてみたが、トレイの幅が狭いので、あまり多くは置けない。実用的なスペースというよりは、アクセサリー的な使い方になるだろう。
この状態で、本体横にある電源スイッチを入れると、ランタンが灯り、ゼリービーンズがきれいに透けて見える。アクセサリーとして使うなら、透明なカラーブロックなどを置くと良いかもしれない。なお、スイッチはON/OFFのみで、明るさの調整はできない。
このままでも、簡易型のランタンとして机の上ぐらいのスペースは十分に照らしており、文庫や新書ぐらいは読める明るさがある。
場所を移動して、暗くした洗面台に置いてみると、洗面台全部が照らせるので、洗顔や手洗いには十分だ。トイレでも同様だった。
さらに、本体の一番上の部分が天吊り用のフックになっているので、高い場所に引っ掛けると、さらに広い部分を照らすことができる。今回はバスルームで試してみたが、洗濯物用のフックにひっかけると、大きめの浴槽全部とその周囲を照らすことができる。
つまり、万が一、家全体が停電して真っ暗な状態でも、机の上から、このトレイランタンを持って歩けば移動先で困ることはないだろう。
なお、懐中電灯というかハンディライトとして使うときは、本体を途中から分割する。本体とランタンのシェードの部分を、左右の手で持って、軽くひねると2つに分かれる。
LEDライトの前のカバーは、レンズというよりは保護用で、ほとんど素通しだ。したがって、LEDの光は集光されず、思っていたよりもずっと広い部分を濃淡なく照らす。ほんの1mほど離れた場所でも、光の輪の直径は2m弱あるので、6畳間の入り口で照らすと、部屋全体がボウっと照らされる。屋外には向かないが、狭い屋内だと、これぐらい広く照らしてくれる方が使いやすい。
光は遠くには届かないが、それでも、LEDが3Wという強力なタイプを使用しているので、10m弱ぐらいの距離は十分に照らしてくれる。屋内では困ることはないだろう。非常用のLEDライトとしては十分な機能だ。
トレイランタンの電源は単四形乾電池3本で、電池寿命は約5時間とされている。手元のアルカリ乾電池で試したところ、6時間強は十分な明るさがあった。ほかに、明るさを半分にして2倍の時間使えるモードがあると、なお良かったと思う。
ライバルは無印良品のLEDポリカーボネートシリーズ
箱から取り出したときは、素材や軽さから少し安っぽさを感じたが、実用性は十分に高く、面白い製品だ。ただし、机の上に出しっぱなしにしておくにしては、デザインでもう一工夫ほしい。
特に、天吊り用のフックが出っぱなしなので、なんだか不思議な物体に見えてしまう。また、トレイも微妙な大きさなので、思い切って、直径をCDと同じぐらいに広げてしまったほうが、デザイン的には面白くなると思う。まぁ、現状ぐらいが邪魔にならない大きさではあるのだけれど、ちょっと中途半端だ。
機能面では、3WのLEDが明るく、基本性能が優れている。LEDライトとしては、広い範囲を明るく照らすので、実用性は高い。ただ、ランタンのシェードを付けた状態でも、そこそこの明るさがあるので、もう少し機能の差別化ができると良かった。たとえば、ちゃんとしたレンズを点けてLEDライトは狭くが明るい光にするという手もあるだろう。
ついでに言えば、ランタンとLEDライトを切り替えるときに、シェードを付けたり外したりするのではなく、レバーかスライドスイッチとかで切り替えできると便利になりそうだ。
ライバルとしては、無印良品の「LEDポリカーボネート懐中電灯」シリーズだろうか。トレイランタンは、トレイを兼ねるデザインが特徴で、無印は機種によって異なるがLEDの白色/電球色切り替え、明るさの切り替え、防沫機能などの特徴がある。
いずれも、普段は目に付くところに置き、いざというときはLEDライトとランタンとして使うというコンセプトは共通なので、デザインと必要な機能で決めて良いだろう。