家電製品ミニレビュー
ブラウン「ハンドブレンダー マルチクイック 7」
「コードレスハンドプロセッサ マルチクイック7 MR730cc」 |
■歯列矯正中でも負担なく食べやすい食事が作りたい
実はごく最近、歯列矯正を始めた。経験された方ならご存じの通り、固形物が非常に食べにくい。かみ砕いた食べ物が、ことごとくワイヤーに引っかかるため、従来通りの食事が難しくなってしまったのだ。噛めないので強引に丸呑みすると、その後激しい胃痛に悩まれることに。噛めるということがどれだけ偉大なことか、身にしみて感じているこの頃だ。
かといって、食べられるものだけ食べていると、栄養バランスが偏ってしまう。生野菜は食べたいが、サラダの状態は難しい。となると、うまく噛めなくても食べられるよう、ジューサーで絞るか、負担にならないレベルまで細かく砕いて、液状にするか、刻んでよく煮込んでスープで食べるかしかない。肉はもちろんミンチが食べやすい(焼き肉など夢のまた夢である)。
そこで非常に重宝するのが、ハンディブレンダー、ハンディプロセッサーなどと呼ばれる製品だ。今回は、ブラウンのコードレス・ハンディブレンダー「コードレスハンドプロセッサ マルチクイック7 MR730cc」を使ってみた。
メーカー | ブラウン |
製品名 | コードレスハンドプロセッサ マルチクイック7 MR730cc |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 10,726円 |
■コードレスでも「混ぜる」「潰す」「刻む」「泡立てる」がパワフルに
「コードレスハンドプロセッサ マルチクイック 7 MR730cc」(以下、マルチクイック 7)は、本体(モーター部分)、充電スタンド、ブレンダーシャフト部、専用計量カップ、チョッパー、取扱説明書がセットになった調理器具。本体(モーター部分)にブレンダーシャフト部を接続すると、ジュースやスープ、ドレッシング、マヨネーズなどが作れるブレンダーになる。
【お詫びと訂正】
泡立て器が本体に付属しているように記載しておりますが、実際には限定品のみに付属するもので、現在市販されている「マルチクイック7 MR730cc」には泡立て器は付属しておりません。ここにお詫びして訂正いたします。
セット内容。左から充電スタンド、本体、ブレンダーシャフト部、専用計量カップ、チョッパー | パッケージ外観 |
ブレンダーの側面 | 本体の電源スイッチ側 |
また、本体にチョッパーを繋ぐと、みじん切りやペーストが作れるフードプロセッサーになる。あるいは、泡立て器と接続すると電動ミキサーに変化する。
チョッパーのパーツ。左からチョッパー接続部、チョッパーボール(底面にフタを兼ねたすべり止め底)、カッター | 組み立てた様子 | チョッパーに本体を取り付けた状態 |
ブレンダーシャフト部のメタル部分は最高100℃耐熱性なので、加熱した鍋の中に直接入れて使える。チョッパーは氷、ナツメグ、コーヒー豆、穀物等の大変固い食品のみじん切りには向かないが、肉、チーズ、玉ねぎ、ハーブ、ニンニク、にんじん、ナッツ類といった食材を、少量からでも調理することもできる。つまり、本体を付け替えるだけで、混ぜる、潰す刻む、泡立てるといった作業ができるのだ。
ブレンダーシャフト部の先端 | 本体の接続部 |
本体と各パーツの切り離しは、リリースボタンで行なう | ブレンダーシャフト部を取り付けたままでも充電できる |
マルチクイック7の最大の特徴は、これらの機能がすべてコードレスで使えることだろう。キッチンは家電製品がひしめき合う場所。コンセントが足りず、たこ足でしのいでいる場合も少なくない。そんな環境で、電源ケーブルをのばして使うというのは結構面倒だ。その点充電式の「マルチクイック 7」なら、どこででも好きな場所で本体を充電しておけば、必要なときに本体だけキッチンで使える。
充電スタンド | 上部の突起に本体を引っかけるようにしてセットする |
本体の充電端子側 | 本体充電中のスタイル |
使うにはあらかじめ、本体を充電しておく。フル充電には2時間かかるが、1度のフル充電で合計約20分間使用できる。1回の使用時間はブレンダーが約60秒、チョッパーが約90秒となっているが、大抵の調理は数秒から十数秒で終わってしまうことが多いため、十分過ぎるといえるだろう。
充電が終わったら、本体に必要なパーツを接続する。次に、グリップしながら親指でスイッチ解除ボタンを押しつつ、人差し指で電源スイッチを同時に押す。動作を始めるまでに2つのボタンを使うのは、誤動作防止のため。最初は押すタイミングなどに戸惑うかもしれないが、慣れれば簡単に操作できるようになる。
電源スイッチ | スイッチ解除ボタン。これを押しながら電源スイッチを押さない限り作動しない仕組み | 泡立て器を取り付けた状態 |
作動させるときのグリップ例 | 専用計量カップ。メモリの最大は600ml | 専用計量カップにブレンダーを差し込んだサイズ感 |
ここからは実際の使用例をご紹介しよう。
■まずは定番のカボチャのスープから
ハンディプロセッサーの特徴といえば、鍋の中で食材を直接潰せるという点。
今回はカボチャのスープで試してみた。鍋に、カットしたカボチャと、小ぶりの玉葱を1つ、ひたひたの水とコンソメスープを2個投入する。10分ほど煮たら、「マルチクイック 7」の出番だ。ブレンダーを中に入れること約1分。あっという間になめらかになってしまった。あとは、バターと牛乳を適量入れ、塩胡椒で味を調えたら、ぽってりしたカボチャのスープのできあがり。
他の容器に移し替える必要はない。中には裏ごしして……という方もいらっしゃるかもしれないが、そこまでこだわらなければ、1分でトロトロスープが味わえる。手間なく栄養をまるごと取れるうえに、歯に負担がかからないのがありがたい。
材料をすべて煮込む。カボチャは丸ごと派なので皮は剥いていない | 作業開始 |
1分程度でこの通り。ブレードが大きい分、BOSCHよりもパワフルだ | 味を整えたら完成 |
カボチャのスープができるまで。音はかなりするが、これは仕方ないだろう |
■にんじん、りんご、バナナのミックスジュース
次は、付属の計量カップを使って、ジュースを作ってみる。計量カップに、カットしたにんじん、りんご、バナナ、ヨーグルト適量、牛乳を1カップを入れたら、ブレンダーを挿入してスイッチを入れるだけだ。上下させながら十数秒でとろりとしたミックスジュースができあがる。ビタミン不足だなと感じたときや、小腹が空いているときなどにありがたい。生のにんじんはかなり固いが、「マルチクイック 7」があれば簡単に細かくできる。ただし、煮込んでいないせいか、にんじんは直径0.5mm弱の小さな粒になる。
計量カップに材料を入れる | 完成したジュースがこちら |
腹持ちがよく、自然な甘さがおいしい。お腹のコンディションを整えたいときや、食べ過ぎた翌日などにおすすめ |
■チョッパーで、大根おろし、玉ねぎのみじん切り、挽肉を作ってみる
料理の手間を少しでも省きたい人にとって、「おろし」と「みじん切り」はかなり面倒な作業。ここは「チョッパー」の出番だ。使うときは、チョッパーボールにカッターをセットし、刻んだ材料を入れたら、本体をセットしたチョッパー接続部でフタをする。あとはブレンダーを使う要領で、スイッチ解除ボタンを押しながら電源スイッチを押す。フードプロセッサー専用機と比べたら実にシンプルで軽いのだが、これさえあれば、日常の調理にはなんの不自由もない、と思うほど便利なアイテムなのだ。そんなわけで、定番の大根おろし、玉ねぎのみじん切り、豚肉を使った挽肉にトライ。これがなかなかいい仕事をしてくれた。
左から、調理前の大根、玉ねぎ、豚バラ肉 | チョッパー使用後の大根、玉ねぎ、豚バラ肉。なかなかのできばえ! |
できあがった大根おろし。わりと時間をかけたので、かなり細かくなめらか。もっと粗めがいいという方はこまめに様子をみながらスイッチを入れよう |
・大根おろし
まず大根だが、1cm角程度にカットした大根を入れて、なめらかな大根おろしになるまで、約40秒作動させる。水分が出てくるほどに回転しやすくなるよ うだ。これなら大量の大根おろしも苦労せず用意できそうである。おろし金特有の粒状感が欲しい場合は、状態を見ながら短めに調整してみよう。長くやればや るほど口当たりはなめらかになる。チョッパーボールの壁に貼り付いてしまった破片はなかなか戻らないので、適宜ヘラやスプーンで整えよう。
・玉ねぎのみじん切り
次に玉ねぎのみじん切りだ。こちらもあらかじめ小口にカットしておく。みじん切りが目的なので、ペースト状にならぬよう、2度スイッチを入れたが、ここでもう粗みじん切り状態になってしまった。あと1度スイッチを入れるかどうか迷ったが、カッターに近い部分の玉ねぎはだいぶ細かくなっていたため、ここでとりやめに。時間にして、わずか2秒程度だろうか。
仕上がりをチェックしてみると、均一とはいかないようだった。ブレードに近いほど細かく、壁の上に貼り付いたものは大きめで、包丁で切るみじん切りとは違い、形も鋭角的になるという特徴はあるが、全体としてはまあまあではないだろうか。サイズを均一にしたいときは、ほんの一瞬スイッチを入れては混ぜ、また一瞬スイッチを入れてを数回繰り返すと解消される可能性はあるが、量によっては難しいかもしれない。
意外と注意したいのは刺激である。目が痛くなるのがイヤで、こういう調理器具を使いたいという方もいるかもしれないが、こちらはフタを開けた瞬間にまとめてやって来る。のんびり眺めていると、あっという間に涙目になるので要注意。すぐ使うか、しばらくおきたいときは必ず別の容器に移し替えて、ラップなどでフタをしておこう。
2度スイッチを入れたところでこの状態 | 鋭角的な破片が多いことがわかる | 大きさにだいぶバラつきがあるようだが、全体としてはみじん切り~粗みじん切りまでといったところだろうか。この玉ねぎと後述の挽肉でハンバーグを作ってみたが、バラつきに対する違和感は感じられなかった |
玉ねぎのみじん切りが出来るまで。かなり短い |
・豚バラ肉の挽肉
自家製挽肉のできあがり |
最後は豚バラ肉で挽肉作りである。こちらも肉を入れて作動させたところ、バラ肉がわずか数秒でバラバラに。薄切り肉が余ったとか、1人分の挽肉が欲しいが、わざわざ買いに行くのはどうかというときは、ざく切りにしてチョッパーに入れると活用の幅が広がるに違いない。
スイッチを入れてから挽肉になるまで |
以上の材料を使って、1人分のハンバーグを作ってみた。最後に大根おろしを乗せて、上からポン酢をかければ和風ハンバーグである。玉ねぎには粗い破片も含まれるが、先によく炒めておけば問題ない。肉の食感が市販の挽肉と異なるが、家庭料理なら材料を工夫することでカバーできるレベルだ。ちょっと必要というニーズを叶えてくれるという意味でおすすめである。
今回試した3品でハンバーグを作ってみた | なかなかおいしい! |
肉や野菜をほんの数秒でみじん切りにしてしまうチョッパーは、意外と出番の多いアイテムになりそうだ。大根おろしや玉ねぎのみじん切りのように単品で調理してもいいが、やはりその時短力が発揮されるのは、まとめて調理できる場面だろう。たとえば、ほんの少しずつ残った肉やネギ、片栗粉や調味料をまとめてチョッパーの中に入れ、スイッチオン。数秒でシュウマイやワンタンなどの具ができあがる。実際これで何度かおかずを作ってしまった。これからの季節なら、鍋用の団子作りに威力を発揮してくれそうだ。
余った材料と調味料を適当に入れて作動 | ほんの数秒で具ができた | 皮に包んであっという間にわんたんのできあがり |
歯を矯正中の今、特に出番が多いのは、サラダ代わりの野菜ジュースである。とにかく生の葉物野菜が食べにくい。そこで、生野菜の必要性を感じたときは、サラダ用の野菜をすべてチョッパーに入れて、野菜ジュースにして飲んでいるのだ。痛みがピークのときは、リンゴですら辛かった。そんなときはもちろんすり下ろしリンゴである。あっという間に食べやすい状態にしてくれるチョッパーは、歯列矯正中の救世主なのだ。
なお、調理できる最大量や作動時間は食材によって異なる。取扱説明書をよく確認しておこう。
サラダ用の野菜にキウイをプラス | ドロドロで見た目は悪いが栄養は満点 | 生野菜と繊維質不足の解消のためと思えば辛くない。蜂蜜等で甘く味付けするのもあり |
リンゴも咀嚼しているとワイヤーに挟まりがち | すりおろしリンゴにしてしまえば安心。りんごジャムの材料にしてもOK |
■泡立て器で「カルボナーラソース」を作ってみる
最後に、付属の泡立て器を見てみよう。チョッパーやブレンダーのパワフルさに比べ、「マルチクイック 7」に付属してきた泡立て器はちょっと違う。パワーの切替ができないことや、根元から揺れるあたり、おまけ的な要素を感じてしまった。専用の電動泡立て器を使っている方からすれば、かなり頼りなげに見えるかもしれない。とはいえ、非力ではないし、電動なので手を疲れさせずに泡立てられることに変わりはない。
泡立て器といえば生クリームや卵白をイメージするが、今回は全卵、パルメザンチーズ、牛乳少々でカルボナーラソースを作ってみた。計量カップに材料を全部入れ、泡立て器で混ぜること数秒。飛び散りもなく、楽に混ぜることができた。
パワーは手動と電動の専用泡立て器の中間くらいといえばいいだろうか。いわゆるガーッ!という感じとはまた違うが、力強すぎないところがいいといえなくもない。
カルボナーラソースの材料、パルメザンチーズ、適量の塩胡椒、卵1個(1人分)、牛乳少々 | 材料を全て計量カップへ |
泡立て器でよく混ぜればできあがり | 人生初の手作りカルボナーラ。チラと奥に写るハンバーグ含め、すべて「マルチクイック 7」によるもの |
ブレンダーやチョッパーのパワーと比べればだいぶ見劣りするが、非力ではない |
実際に使用してみたところ、想像以上にパワフルで、効率的に調理できたのが驚きだった。コードレスは、コード付きの製品に比べてパワーが弱いという印象があったが、「マルチクイック 7」はブレンダーシャフト部のヘッドも大きめで、食材をしっかりとらえ、素早く潰す手応えが感じられた。ちなみに、本体の重さは558g。ブレンダーシャフト部を接続すると、64×64×398mm(幅×奥行き×高さ)、重さ約796gである。決して軽いとは言えないが、その分安定感がある。
また、調理中のキッチンは材料や器具で溢れている場合も多く、使用中、ちょっと置きたいというときに一苦労するのだが、「マルチクイック 7」なら、コードレスで好きなところに好きなスタイルで置ける。この自由さはかなりポイントが高い。
■BOSCHとの違いを写真で見てみよう
せっかくなので、筆者宅にある、以前レビューしたBOSCHのコードレスハンディブレンダーとの違いを見てみよう。ブレンダーシャフト部含め、全体的に「マルチクイック 7」のほうが大きめにできているのが分かる。
ブレンダー状態の場合、「マルチクイック 7」は約796g、BOSCHは648g。計量カップのメモリは「マルチクイック 7」が600ml、BOSCHは700ml(調理できる総量ではない)。チョッパーは、「マルチクイック 7」が500ml、BOSCHは330ml。
ブレンダー状態。左が「マルチクイック 7」、左の「マルチクイック 7」は約796g、BOSCHは648g | ブレンダーシャフト部の形状とサイズの違い | ブレードの違い。左が「マルチクイック 7」 |
充電する際、BOSCHは本体を直接充電スタンドに“乗せる”が、「マルチクイック 7」は充電スタンドのフックに本体を“引っかける”スタイル。ブレンダーの状態でも充電できる。
充電スタイルの違い。左が「マルチクイック 7」 | チョッパーのサイズ比較。左が「マルチクイック 7」 |
チョッパーに本体を取り付けた状態 | 双方の全体の雰囲気をブレンダーと計量カップで比較 |
■やはりコードレスは使いやすい!
「マルチクイック 7」が活躍したある日のメニュー。柔らかいフレンチトーストに、チョッパーで作ったすり下ろしリンゴを使ったリンゴジャム(象印のパンくらぶで製造)をトッピング。さらにサラダ代わりの野菜ジュースに、カボチャのスープ。食事は不自由だが、作ることを楽しめている |
このように、「マルチクイック 7」なら、ミキサー、フードプロセッサー、泡立て器の機能が1台でまかなえるため、赤ちゃんの離乳食から、調理の下ごしらえ、胃腸に優しい料理や食べやすい料理、お菓子作りまで、幅広く活用できる。手間なく対応できるので、どんと来いという気持ちにしてくれるはずである。
コードレスの便利さ、楽さはBOSCHで経験済みだが、やはり調理台が狭いキッチンでは取り回しが非常に楽で、ありがたいと改めて感じた。さらにパワフルなのだから言うことなしである。本体とチョッパー接続部以外は食器洗い機も利用できるなど、手入れも非常に楽なので、1台あると重宝すること間違いなしだ。
なお、手が小さめの筆者でも操作に支障はなかったが、重さやグリップ感、ボタンの押しやすさが気になる場合も考えられる。もし購入する際は、必ずブレンダー状態でグリップして、馴染み具合を確認してみることをおすすめしたい。
2012年11月12日 00:00