家電製品ミニレビュー
ティファール「フリームーブ 9940」
ティファール「フリームーブ 9940」 |
日本製のアイロンでは珍しくない「コードレスアイロン」。コードが邪魔にならず、扱いやすいので人気も高いが、ティファールではこれまでコードレスアイロンは展開していなかった。
その理由は、"強力スチーム"、"熱保持力"、"適度な本体重量"、"かけ面のすべりの良さ"といった同社が掲げる使いやすいアイロンの4つの条件を、コードレスアイロンでは実現できなかったためだ。だからこれまで同社が販売してきたアイロンは、いずれもコード付か、コード付きとコードレスを切り替えて使用でするタイプだった。
しかし、今回発売された「フリームーブ9940」は、上記の4つの条件を全て満たしたという。どれだけ進化しているか、本当に使い勝手がいいのか、レビューしてみたい。
メーカー | ティファール |
製品名 | フリームーブ9940 |
希望小売価格 | 23,000円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 17,800円 |
■温度が上がるほど滑りが良くなるかけ面には76個のスチーム孔!
フリームーブの本体サイズは125×270×155mm(幅×奥行き×高さ)、重量は1,350gで、持ってみるとずっしり重い。消費電力は1,400Wとなっている。
本体にはすっきりとしたカバーが付属する。コードは、スタンドにリール式で収納できるので、邪魔にならない。
カバーが付属 | カバーハンドルがあるので持ち運びもラク | 高級感があり、全体的に落ち着いたデザイン |
スタンド | コードもリール式で収納できる | アイロンの中では比較的大きめで重い |
本体には容量250mlの水タンクを備えている。かけ面にあるスチーム孔は、76個のスチーム孔が設けられており、1分間に最大100mlの大量スチームを噴射できるという。
ただ、すぐにかけ面が冷めてしまうようでは、どんなにスチームを噴射したところでシワは伸びない。従来のコードレスアイロンで特に問題だったのは、この"熱保持力"だろう。コードレスアイロンではスチームも弱々しいものが多いが、フリームーブではかけ面を冷めにくくするために、同社従来比で約1.4倍のアルミニウムの塊を内蔵した。アルミニウムは、熱保持率が高いとされる鉄の約2倍の熱容量があり、一度温度が上がると、冷めにくい特性があるという。
注水口から水を入れる | ドライ/スチーム切替トリガー | 右がワンタッチスプレー、左がジェットスチームボタン |
持ってみるとずっしりと重い | 緑ランプが点灯すれば準備完了 | かけ面を比較。スチーム孔の数が全然違う |
左は我が家のアイロン1999年製。フリームーブのほうが一回り大きい | スチーム孔が76個もある |
■力を入れなくてもシワがスルスルと伸びていく
使うにはまず、タンクを満水にして、スタンドにフリームーブを置き、電源プラグをコンセントに差し込む。アイロンは常にスタンドに置くように設定されており、使用中は立てて置くことはできない。
次にかけ面の温度を設定する。最初にアイロンがけしたのは綿パンツだ。乾燥機にかけてしまい、かなりシワシワ。こうなってしまうと、通常のアイロンがけでは苦労する。
温度設定レバーは「綿」に設定して、温度が上がるのを待つ。加熱中は緑色に点滅し、使用可能になると緑色に点灯する。加熱推奨のときは赤色の点滅となり、自動停止安全機能稼働中はオレンジ点灯となる。
スタンドに置いてから使用可能になるまで、かかった時間は1分25秒。綿は高い温度設定のため、もっと時間がかかるものと思っていたが、予想外に早かった。
綿パンツにアイロンをかけてみた。「ドライ/スチーム」トリガーを引くと、スチームがモワ~ッと大量に出てくる。トリガーを離すとスチームは止まる。トリガーを押したまま当てると、綿パンツのシワがみるみるとれていく。アイロンがけはあっという間に終わった。
シワシワの綿パンツ。うっかりそのまま乾燥機に入れてしまったのが原因 | 「ドライ/スチーム」トリガーを引いてスチームを出しながらアイロンがけ。シワがみるみるとれていく | あっという間に終わった!! |
なお、かけ面の温度が下がるとすべりにくくなり、湯滴漏れの原因になることがあるため、こまめにスタンドに戻して設定温度を保つことがポイントだ。温度が戻るのに必要な時間は数秒なので、スムーズにアイロンがけできた。
小さなシワならワンタッチスプレー霧吹きも便利だ。ワンタッチスプレーボタンを押すとノズルから霧状に水が出る。スチームだけでなくドライの設定でも気軽に使用できる。
頑固なシワがある場合は、羊毛、木綿、麻にセットしたときに使える「ジェットスチーム」を使用する。ジェットスチームボタンを押すと、勢いよくスチームが出てくる。だがジェットスチームボタンは、連続使用できないのが残念だ。少なくとも4秒待たなければ次のスチームが出せないので、広範囲に頑固なシワがあるときは、待ち時間がじれったい。加熱完了後、最初の勢いは強いが、2回目、3回目になるとだんだん弱くなる。ジェットスチームを使わなくても、大抵のシワは伸びたので、ほとんど使用しなかった。
お気に入りの綿ブラウスもついでにアイロンがけ | フリルなどが多いので面倒だが、いつもより短時間で終わった |
■温度が上がるほど滑りがよくなる! 重いので力を入れる必要がない
先端が細いので細かいところも問題ない。ただし、細かいところは何度か持ち上げなければならないため、重く感じることも |
日本製のコンパクトなアイロンに比べると、やはり大きい印象だ。水を満水にすると1.5kgを超えるため、布に押し当てたときに力を入れる必要はない。
かけ面は、温度が上がるほど滑りが良くなる「特殊セラミック加工かけ面」を採用している。熱を保持すると、指1本でもなめらかに動かすことができるという。
かけ面の形は、全てが曲線に囲まれた菱形に近い「ダイヤモンド型」。前後左右どの方向にも自在に動くため、アイロンジワができにくい。子供の幼稚園の制服は意外にシワがとれにくいので苦労していたが、フリームーブでは短時間でアイロンがけが終了した。先端が細めなのでボタンまわりなど細かいところもかけやすい。
■衣類をかけたままでもシワがとれる機能は……腕が疲れる
やってみたけれど、腕が疲れるので断念。このような使い方をするなら、もう少しスチームの量も欲しい |
スチーム機能ではほかに、衣類をハンガーにかけたまましわを取ったり、カーテンのシワを取りたいときに使える「バーチカルスチーム」がある。
たとえば、麻のジャケットについてしまったシワを取りたい時。衣類をハンガーにかけて、シワ取りをしたい部分の布地を片手でピンと引っ張りながら、ジェットスチームボタンを押す。そして、アイロンを上から下へ移動させながらジェットスチームボタン押す作業を繰り返していく。
ただし、ボタンを押す間隔は4秒間開ける必要があるので、時間がかかってしまう。また、重いので持っているのがキツイ。1.5kg前後の重さになるので、長時間使うと腕が痛くなってくる。スチームの勢いについても、連続して強く噴出してくれなければ、なかなかシワはとれない。
一部だけのシワなら問題ないが、このような重いアイロンは、やはり普通にアイロンがけするほうが向いているように思う。麻のジャケットも、一部だけシワを伸ばすことができたが、アイロンの重さに負けて途中でやめてしまった……。
■浴衣などの面積が大きいものもストレスなし
洗濯した浴衣をアイロンがけしてみた。夏や秋はお祭りや花火などで子供が着る機会が増える。
娘は120cmの浴衣を着ているが、子供用といっても浴衣なので布地の面積は大きい。娘が浴衣を着ると言い出すと、その後のアイロンがけが面倒でいつも憂鬱になってしまう。
その点、フリームーブならアイロンの重みで力を必要とせず、軽く動かすだけでシワが伸びる。面積の大きい布地ならラクに、スピーディーにシワを伸ばせて楽しい。
面倒くさい浴衣のアイロンがけ。面積が大きいので時間がかかっていたが、スイスイできた | 浴衣はピシッとしていなければ格好悪いので、アイロンがけは重要! |
浴衣だとアイロンがけする面積が広いので、プレートの熱保持が気になるところだが、布地の向きをかえる際にいったんスタンドにアイロンを戻し、そのたびに加熱されるので、ストレスを感じない。シーツなど大判な布地にも適していると言えるだろう。
■コードレスでも弱々しさを感じない、パワフルなコードレスアイロン
お手入れも簡単だ。カルキ成分の凝固を取り除きスチーム孔の目詰まりを防止する機能を搭載しているので、76個もスチーム孔があっても手間がかからない。
ちょっと重めなので、ぜひ実物を手にとって確認してみてください |
アイロン本体が大きめで重めなので、好みが分かれるアイロンかもしれない。ボタンまわりなど細かい部分は何度もアイロンを持ち上げなければならないので、小回りという点で重いアイロンは不利に感じた。
ただ、コードがないぶん取り回しは楽で、すべりも良く、大きい布地にぴったりだ。アイロンの重さを利用してアイロンがけができるので余計な力は必要としない。グイグイ押す必要がないので、厚手のパンツ、シャツ、浴衣、カーテン、シーツなどのアイロンがけはとてもラクだ。
正直言って、使う前はコードレスアイロンはパワー不足なのではないかと期待していなかったのだが、実際に使ってみると頼もしい。すぐに温度が下がってしまう他社のコードレスアイロンとは違い、熱保持力が高く、ストレスを感じない。滑りが良く失敗も少ないので、アイロンがけが苦手な方や、時間を短縮したい方にもおすすめしたい。
2012年9月10日 00:00