家電製品ミニレビュー

パナソニック「USBモバイル電源 QE-QL301」

~もう1万mAh未満のモバイルバッテリーは持ち歩けない!
by 正藤 慶一
USBモバイル電源 QE-QL301

 スマートフォン、タブレット、携帯ゲーム機、音楽プレーヤーなど、気がつけば移動中でも身のまわりはモバイル機器でいっぱい。しかし、いつでも便利に使える一方で、常に“電池切れ”という危険も孕んでいる。バッテリーが保証されてこそ、初めて道具として成り立つのだが、使いすぎて肝心なときに残量ゼロ、なんてことはよくある。

 そんなこともあって、最近はモバイル機器のバッテリーを充電する「モバイルバッテリー」が各社から多数出ている。今回はその製品群の中で特に異彩を放っている、パナソニックの「USBモバイル電源 QE-QL301」を紹介しよう。


メーカーパナソニック
製品名USBモバイル電源 QE-QL301
希望小売価格オープンプライス
購入場所Amazon.co.jp
購入価格6,776円
本体裏面のスペック欄には、電池容量「10,260mAh」と記されている。これまでにはない大容量のモバイルバッテリーだ

 このQE-QL301の特徴は、何と言っても電池容量だ。内蔵リチウムイオン電池の容量は10,260mAh(3.7V)。これまでパナソニックをはじめとするモバイルバッテリーメーカーからは、多くても5,000mAhクラスのものがほとんどで、1万mAhオーバーの製品というのはあまり見られない。

 大容量ということもあって、スマートフォンは4回も充電できるらしい(容量1,400mAhの場合)。以前レビューした、容量2,700mAhのモバイルバッテリー「QE-PL102」は、スマホ1回の充電でほとんど残量が残っていなかったことを考えると、頼りになりそうだ。

 でも、本当に普段の生活で、10,260mAhもの電池容量は必要なのか。それを検証すべく、約2カ月ほど使ってみたが、「もうこれまで使っていたモバイルバッテリーはいらない。コレだけでいい」という結論に至った。以下、その根拠として、本製品の特徴やメリットをお伝えしよう。


まるでiPadのようなデザイン。デカイけど薄い

パッケージ内容は、モバイルバッテリー本体と、専用ACアダプター(右)、長さ50cmの専用USBコード(左)

 QE-QL301を最初に見た感想は「デカい」。本体サイズは約221×153×11mm(幅×奥行き×高さ)のA5サイズで、平べったいタブレット端末のようなデザインとなっている。電池容量が大きいということは、それだけ電池が本体内に入っているということなので、このサイズになるのは仕方がないことだが、実際に目にすると驚きを隠せない。

 また、重量も490gと、従来モデルよりも重めで、片手で持てるものの、手首にズシッと重さを感じる感覚がある。同社の2,700mAhクラスの「QE-PL102」は85g、5,400mAhクラスの「QE-QL201」は142gだった。

 ただし、厚さ11mmという薄いデザインは、バッグに入れるのにはとても便利。ノートパソコンや書類に沿うようにスッと入り、バッグが厚くならない。その分、従来製品のようにポケットに入れることは不可能。従来のモバイルバッテリーとは別モノと考えた方が良いかもしれない。

本体はA5サイズの平べったい形状。写真右上の5,400mAhモデル、写真右下の2,700mAhモデルと比べると、どう考えてもデカ過ぎる厚さは11mmと非常に薄い。従来モデルと比べてもかなりスリム

 ちなみに、本体カラーは「ホワイト QE-QL301-W」と「ブラック QE-QL301-B」の2色があり、今回は表面が銀色、側面が白のホワイトを選んだ。iPadと並べると、サイズといい裏側の質感といい、非常に似ている。

写真右のiPad(第三世代)とほぼ同じ大きさだiPadを裏返したところ。銀色のややザラッとした感触も似ている薄さもほぼ同じ

 外見を確認したところで、本体の機能を見ていこう。構造は極めてシンプルで、モバイル機器を充電する際は、本体側面にある2つの出力用USB端子(USB A)にUSBケーブルを繋ぎ、同じく側面のボタンを押せば、給電がスタート。本体内の内蔵電池の充電には、これまた側面の入力用USB端子(micro USB)にUSBケーブルをつなぎ、家庭用コンセントまたはパソコンなどのUSB端子と繋ぐことで、内蔵電池が充電できる。

 出力については、USB端子1口当たり1.5Aで、2カ所同時で出力する場合は1A。一般的なUSBポートの出力は0.5Aなので、どちらにしても早く充電できることになる。一方の入力については、付属のACアダプターを使った場合で約9時間、USBの場合はさらに長い24時間、つまり1日となる。容量も大きいだけあって、充電時間も相当な長さだ。

 本体にはもう1つ機能があって、それは電池残量を示すインジケーター。ボタン部の脇には、全部で5つの緑色のLEDランプが備えられており、ボタンを押すとランプが点灯。これが多いほど満充電に近いことを表し、5つすべて点灯すると「80%以上」を示し、逆に1つだけだと約20%未満ということになる。

中央2つの穴が、給電用のUSBポート。電池残量を示すインジケーター。右側のボタンを押すと点灯する。機器と繋いている際にボタンを押すと、給電がスタートする

スマートフォンを充電しても残量全然問題なし。2台同時でもスピード充電

まずは私物のスマートフォン「ARROWS Z」を、残量ゼロの状態から充電。なお、写真では片手で持っているが、重くてツルツルしているので、この状態を維持するのは困難。実際には置いて充電した

 それでは、モバイル機器を充電する。まずは私物のスマートフォンであるauの「ARROWS Z」からスタート。購入時に付属するバッテリーの容量は1,460mAh(3.7V)となっている。

 バッテリーがゼロで電源がまったく入らない状態から充電すると、約10分で10%、約1時間ほどで50%あたりまで回復。そして、約2時間半でほぼ100%になった。

 ここで驚くのが、モバイルバッテリーの電池残量だ。ボタンを押して電池残量を確かめると、インジケーターのランプ全てが点灯。つまり残量が80%以上ということになる。スマートフォン1つ充電しても、満充電時と同じ表情を見せるのだ。過去にレビューした、容量2,700mAhの「QE-PL102」は、スマホ充電後は電池残量が残り少ないことを示す赤ランプを点灯したのだが、この大容量っぷりはとても頼もしい。

 その後、こちらも電源が完全に切れた携帯用ゲーム機「ニンテンドー3DS」を充電。さすがにスマホ1台を充電した後なので、インジケーターはすぐ4灯(残量60~80%)に切り替わったが、それでも3灯(残量40~60%)で充電が完了した。PC Watchの分解記事によれば、ニンテンドー3DS電池容量はスマホ並みの1,300mAh(3.6V)のようだが、このクラスであればまったく充電に問題はないようだ。

 もちろん、2台同時での充電も可能。その場合、1台当たりの出力は1Aに減ることになるが、実感ではそこまで遅いとは感じられない。というか、2台同時でもUSB充電の0.5Aよりも早いことになる。

ARROWS Zを満充電にした後も、インジケーターは残量80~100%を示していた。何という大容量!ニンテンドー3DSの充電も可能。写真のような2機同時充電もまったく問題なくできる
第三世代のiPadは、大容量ということもあって、53%の充電で終わった

 それならば、大容量の機器はどうか。電池がゼロの状態の第三世代iPadで試してみた。第三世代iPadのバッテリー容量は42.5Whで、換算すると約12Ah(約12,000mAh)ほどの大容量となるが、果たしてどうだろうか。

 結果的には、53%で給電がストップ。しかし、大容量機器に対してここまで充電できれば十分だろう。急場は十分にしのげるはずだ。


QE-QL301で充電するのが日常に。1泊の旅行も余裕でこなす

 最初はその大きさに面食らったが、今では毎日の外出に欠かさず持っていくほど、私の生活に欠かせないものとなった。

旅行や出張には毎回持ち歩いている。1泊程度なら、ACアダプターなしでも十分に使用できる。写真は出張先の喫茶店で撮影

 その1番の理由は、やはりその大容量だ。これまでのモバイルバッテリーは、スマートフォンを充電した後に、モバイルバッテリー本体の充電をしなければいけなかった。充電し忘れて、ゲーム機などの充電に使ってしまうと、もうスマートフォンを満充電にするのは難しい。

 しかし本製品なら、大容量なのでまったく問題なし。スマホもゲーム機も、余裕で満充電してくれる。しかも出力が大きいので、自宅のUSBポートやコンセントで充電するよりも、素早く充電できる。これまでは寝る前に必ずスマートフォンをコンセントに接続していたが、今では通勤バッグの中で、QE-QL301を使って充電するのが日々のスタイルになっている。

 また、旅行にもピッタリだ。これまでは泊まりの旅行の際には、モバイルバッテリーとモバイルバッテリーを充電するためのコンセントなどを必ず持参していたが、QE-QL301なら本体だけで十分。結果的に荷物もかさばらなくなった。我が旅の必需品となっている。

QE-QL301本体の充電し忘れは気をつけて

 とても満足しているのだが、欠点を指摘すると、QE-QL301自体の充電を忘れるとシャレにならない点か。何しろ満充電にするには、付属のACアダプターでも9時間、USBなら24時間も時間が掛かってしまう。私は自宅のデスクに、目立つようにACアダプターを置くことで、忘れるのを防ぐようにしている。なお、ワイヤレス充電の世界規格「Qi(チー)」には対応していない。

 本体サイズが大きく重めな点については、もうほとんど気にならなくなった。さすがにQE-QL301を手にしながらスマホを使うのは難しいが、バッグに入れて長めのケーブルでスマホと繋げば問題ない。

 また、これは欠点というわけではなく単なる希望だが、ここまで大容量となれば、ノートパソコンやデジカメの充電にも対応して欲しいところだ。

 実売で6千円台と、6月の発売当初よりもだいぶ購入しやすい価格になってきた。スマートフォンにゲーム機など、外出先で複数のモバイル機器を頻繁に使う方には、ぜひ一度使ってほしい。きっと大容量ならではの安心感を感じていただけることだろう。

パソコンなどUSB経由での充電はとても時間がかかる残量が少なくなったら、付属のACアダプターを使って充電しよう





2012年8月23日 00:00