家電製品ミニレビュー

NEC「LIFELED'S LEDシーリングライト クリアパネル HLDC90802」

~シンプルな機能と省エネが魅力のLEDシーリング
by 藤原 大蔵
NECライティング「LIFELED'S LEDシーリングライト クリアパネル HLDC9080」(~10畳用)

 この夏も昨年に引き続き節電が叫ばれている。そろそろ電球だけでなく、部屋全体を明るく照らすシーリングライトも、LEDに取り替えようとお考えの方も多いのではないだろうか。しかし、各メーカーのラインナップは充実しており、どれを選んだらよいのか一苦労だろう。

 今回はその中から、実売価格が2万円台で“明るくて、簡単な操作性”が特徴のLEDシーリングライトを紹介しよう。NECライティングの「LIFELED'S(ライフレッズ) LEDシーリングライトWパネル/クリアパネルHLDC90802」だ。

 



メーカーNECライティング
製品名LIFELED'S(ライフレッズ) LEDシーリングライト
Wパネル/クリアパネル ~10畳用
品番HLDC90802
光色アクティブ(昼光色)、ナチュラル(中間色)、リラックス(電球色)
器具光束4,500 lm (ナチュラル設定時)
希望小売価格94,500円
購入価格28,500円 (yodobashi.com)

 HLDC90802の特徴は、「操作がラク。明るいのに節電効果が大きい」だ。

 LEDシーリングライトの特徴として、“自由な調色”というのが挙げられる。多くの製品が昼白色から電球色まで、10~20段階以上と細かく設定できるものが多い。しかし、見方を変えれば、それだけ面倒な操作が増えるとも言える。蛍光灯のようにシンプルに使いたいユーザーにとっては、微妙に変化する調色は面倒なこともあるだろう。

 だが、HLDC90802の調色はとても簡単だ。光色は「アクティブ(昼光色)、ナチュラル(中間色)、リラックス(電球色)」の3色だけ。外光に近い光色の「アクティブ」は日中の明かり、暖かみのある白色の「ナチュラル」は賑やかな団欒を彩る明かり、明るさを抑えた電球色の「リラックス」は就寝前の穏やかな明かりと、光色の使い分けがシンプルだ。リモコンには3色の専用ボタンがあり、迷いなく選択できる。調光は各色で10段階できる。

 今回はこのシンプルなLEDシーリングライトの実力を探っていこう。

「アクティブ」は青みのある昼光色。外光に近い光色なので、起床時から昼間の補助光として最適だ「ナチュラル」は暖かみのある中間色。家族や友人とにぎやかに過ごす団欒に向いている「リラックス」は電球色。明るさを抑えたくつろぎのシーンや、他の照明とも相性が良い


取り付けは従来のシーリングライトと全く同じ

 最初に、器具の取り付けから話を始めよう。

 器具を開梱した時、「蛍光灯のシーリングライトみたい!」というのが第一印象だった。サイズは640×87mm(外径×高さ)で、重さは約3.6kg。大きさも重さもこれまでの蛍光灯のライトとほぼ変わらない。カバー、本体、アダプターと、構成も同じだ。蛍光灯シーリングライトを一度でも取り付けた事があるなら、迷わずに取り付けられるだろう。

 ただし、説明書によると、高さが10mm以下の埋込ローゼットは取り付けできないという。実は我が家は10mm以下だが、問題なく取り付けられた。確かに他社のシーリングライトよりも入りにくいなとは思ったが、器具をちょっと持ち上げれば大丈夫だった。器具が薄いので、アダプターの爪に噛まない時があるかもしれない。もちろんこれは説明書に書かれた以外の設置方法なので、10mm未満の器具に取り付ける場合は自己責任になる点をご注意いただきたい。

 取り付けはとても簡単だ。蛍光灯シーリングライトが問題なく取り付けてあるなら、特に注意するところは見当たらない。唯一、カバーの飾りビスの位置を気にするぐらいだろうか。天井に引掛シーリング(天井用配線器具)があれば電気工事無しで、数分で設置できる。

開梱した器具。左奥から本体、カバー。手前左より、リモコン、リモコンホルダー、アダプター取り付け手順を順を追って紹介しよう
【1】天井にある引掛けシーリング用に、付属のアダプターをはめ込む
【2】アダプターから出ているコネクターを、本体の中央に通しながら、「カチッ」と音がするまで本体を押し上げて取り付ける
【3】アダプターから出ているコネクターを、本体のソケットに“カチッ”という音がするまで差し込む【4】カバーを取り付ける。本体にカバーをあわせ、時計回りにカバーを回すと"カチッ"と音がして固定される【5】以上で完成。サイズは640×87mm(外径×高さ)で、重さは約3.6kg。大きさや印象は今までの蛍光灯と変わらないが、カバーがフラットでスッキリしている

 サークル形の器具の表面はフラットで、清涼感のある2枚の透明なパネルがすっきりとした印象を醸し出す。リビングルームやダイニングルームなど洋室にあわせやすいデザインだ。LEDを覆うカバーは、蛍光灯シーリングライトのカバーのように軽く、回せば簡単に取り外せる。掃除は簡単にできそうだ。

 灯りのコントロールは、全てスマートフォンのようなデザインのリモコンで行なう。光の色は、リモコン上部に横に並んでいる「アクティブ、ナチュラル、リラックス」で好みの色を選ぶ。光色は前述の通り3色のみだが、10段階の調光ができる。消灯は、中央の「ON/OFF」ボタンを押せば消え、再び「ON/OFF」ボタンを押せば、消灯前の光色と明るさで点灯する。頻繁に使うボタンはT字型に配置されており、手元を見ずに簡単に操作ができる。しかも、裏面は丸く、手に馴染みやすい。

点灯、消灯、調色、調光など、明かりのコントロールはすべて付属のリモコンで行なう。中央の「ON/OFF」ボタンの周りは暗闇でも光る蓄光が施されているスマホをイメージしたリモコンは手に馴染みやすい。普段はほとんど使わないボタンは側面に収まっている

 なお本製品には、30分または60分後に自動で消灯または常夜灯を点灯する「おやすみタイマー」や、1分単位で自動点灯・自動消灯が設定できる「留守タイマー」という機能もある。これもリモコンで設定できる。

「おやすみタイマー」の様子。30分または1時間後、LEDが自動で消灯する。常夜灯を点灯させるか消灯かも選択できるタイマーの様子はディスプレイにハッキリと表示されわかりやすい

蛍光灯よりも明るく演色性も高い。蛍光灯との交換で違和感なし

こちらは我が家でこれまで使っていた、消費電力が95Wの蛍光灯シーリングライト。テーブル面の明るさは300lx弱だった(光源からの距離は約2m。以降同じ)

 取り付けが済んだところで、この3色それぞれを点灯してみよう。

 リモコンの3色それぞれの光色を押すと、各色最大の明るさで点灯する。光源から約2mの真下の明るさを計測すると、直下の明るさは「アクティブ」が414lx、「ナチュラル」は507lxだった(以降、照度は全て同じ条件)。以前使っていた蛍光灯のシーリングライトは最大で300lx弱だったので、部屋全体が大幅に明るくなった印象だ。光は部屋全体、隅々まで行き渡り、気持ちが良い。

 一方、「リラックス」は最大でも94lxと暗め。他の2色に比べると明るさをかなり抑えた印象になる。電球色で煌々と照らすことは望めないが、明るさを抑えた就寝前のくつろぎに適している。

 各色でここまで最大の明るさがまちまちになるのは、LED素子の構成に因る。カバーをはずしてLEDの構成を見ると、「アクティブ」は青みのある白色LEDが48粒点灯する。「ナチュラル」はそれに16粒の電球色のLEDが加わり、暖かみが加わった自然な白色光でさらに明るくなる。「リラックス」は、白色のLEDは点灯せず、電球色のLEDのみが点灯する。

「アクティブ」をダイレクトに選んだ部屋の様子。画面のテーブル上の明るさは414lxあり、部屋全体が隅々まで明るい「ナチュラル」ボタンを押した時の様子。部屋はさらに明るく507lxになった「リラックス」ボタンを押した時の様子。最大の明るさでも94lx。ゆったりとくつろぐには落ち着いた明るさだ

 

3色のそれぞれのモードで点灯したLEDの様子。アクティブは48粒、ナチュラル64粒、リラックスは16粒のLEDで構成される。点灯するLEDの数が違うので明るさも変わる

 この配置方法は、光を広げるためのNEC独自の配光技術「マルチアングルシステム」となる。リング状に配置されたLEDの光は、カバーを通して下方へダイレクトに届くだけでなく、器具内部で反射し、中心部から外周部まで光が届く。

 そのため実使用環境では、LEDシーリングライトにありがちな器具の中央部が真っ暗になることはなく、交換して違和感は無かった。また、外周の光は天井面にも光がしっかり届いている。


中央は真っ暗にならず、粒状感はほとんど気にならないLEDは器具内部で反射を繰り返し、カバーを通して天井へも光が届く
左からアクティブ、ナチュラル、リラックスで点灯した様子。光色は3色しか選べないが色は適切で、生活シーンに応じた光色が迷いなく選べるだろう

 また、演色性も良い。「ナチュラル」と「リラックス」の自然な色合いは、色がくすまずに、食べ物がおいしそうに見え、食卓を鮮やかに彩る。リビングダイニングやキッチンの全体照明にも大変適している。

演色性はいずれの光色でも良好だ。色がくすまないので、色味が重要な食事のシーンにも適している。写真は「アクティブ」「ナチュラル」は食事の自然光に近く、色合いが美しい「リラックス」は暗めになるが、暖かみのある自然な電球色だ
3つの光色はそれぞれ、100~10%の調光が10段階でできる。組み合わせは30パターン。それぞれの明るさを3段階ずつスキップしたシーンを撮影した。アクティブ(左端)、ナチュラル(中央)、リラックス(右端)
 次に調光を試してみよう。前述のとおり、各色の明るさは10段階で調光でき、合計30通りの光が選べる。調整中はリモコンの液晶ディスプレイ上に、1~10の数値が大きく表示され、選んだ光色のボタン上に印が表示されるので、わかりやすい。

 

 明るさの調節は、リモコンの「暗く」を押せば暗く、「明るく」を押せば明るくなる。「1」が最も暗く、「10」が最も明るい。ボタンは間欠的に押せば一段階ずつ、長押しすればスムーズな無段階調光ができる。常夜灯も好みに合わせて7段階の調光ができる。

 なお、点灯中に器具から「ジー」という雑音もなければ、AMラジオなどへのノイズの影響もなかった。


本体内部に、常夜灯専用のLEDが一灯ある各色を独立したボタンで点灯後、リモコン中央の「明るい/暗い」ボタンで調光する。明るさを示す数字がディスプレイ上に10~1まで表示され、大きくわかりやすい(画像は「アクティブ」「明るさ10」を示す)

従来の蛍光灯と変わらない明るさで、電気代は年間4,000円以上もお得に!

「ナチュラル」、「明るさ10」は507lx。蛍光灯よりもずっと明るい。

 本製品で忘れてならない大きな特徴のひとつに、消費電力の低さがある。

 蛍光灯よりも大幅に明るいのは既に説明したとおりだが、明るさ最大時の消費電力をワットチェッカーで計測すると、蛍光灯が97Wだったのに対して、「アクティブ」は50W、さらに明るい「ナチュラル」でも69Wだった。つまり、蛍光灯の71~51%の電力で、大幅に明るいのだ。


【調光無しの電気代(1日8時間点灯)】
点灯期間蛍光灯アクティブナチュラルリラックス(最大)
1日17.07円8.8円12.14円2.99円
1年6,231円3,212円4,431円1,091円
 蛍光灯-各色の電気代 -3,019円1,799円5,139円

 しかし、リビングルームの団欒なら、明るさは200~300lxもあれば十分。そこで、「アクティブ」は“明るさ8”、 「ナチュラル」は“明るさ7”に調節して、蛍光灯とほぼ同じ明るさで消費電力を計測すると「アクティブ」は30W、 「ナチュラル」は34Wと、1/3以上も大幅に消費電力が抑えられることになった。

 消費電力から年間の電気代を試算して比較してみよう。97Wの蛍光灯を毎日8時間、1年間点灯した電気代は約6,231円なのに対して、「アクティブ・明るさ8」は約1,927円、「ナチュラル・明るさ7」は約2,183円。適切に調光すれば、年間で4,000円以上も節約できる。

 また、「リラックス」の消費電力は最大でも17W。年間の電気代は約1,091円となる。明るさはかなり抑えられてしまうが、ほとんどの時間をリラックスで点灯すれば、5,000円以上も節約できる試算となる。

【蛍光灯とほぼ同じ明るさに調光した電気代】
(1日8時間点灯)
点灯期間蛍光灯アクティブナチュラル
1日17.07円5.28円5.98円
1年6,231円1,927円2,183円
 蛍光灯- 各色の電気代 -4,303円4,048円

光色、明るさに応じて69~2Wの範囲で電力を消費する。最大に明るくした「アクティブ」と「ナチュラル」は97Wの蛍光灯の70%程度の電力で ずっと明るい。なお、明るさが7段階調光できる常夜灯0Wと、計測不能なほど低かった

 ここで30通りの光色と明るさの組み合わせを全て測定した結果を表そう。そこから見えてくるのは、1段階明るさを落とすだけで、消費電力が2割ずつ節約できることだ。最大の明るさのままでも省エネになるが、必要に応じて明るさを抑えれば、大きな節電ができるのだ。

 加えて、7段階の調光ができる常夜灯の消費電力は、いずれも測定不能の0Wだった。電気代を気にしないで、一晩中点けっぱなせるだろう。



光色 アクティブ 
(寒色)
 ナチュラル 
(中間色)
 リラックス 
(電球色)
常夜灯
10(明るい)414 lx507 lx94 lx-
50 W69 W17 W-
9333 lx426 lx80 lx-
39 W53 W14 W-
8274 lx338 lx66 lx-
30 W41 W10 W-
7238 lx294 lx57 lx0.55 lx
25 W34 W9 W0 W (測定不能)
6183 lx227 lx44 lx0.40 lx
18 W25 W6 W0 W (測定不能)
5148 lx183 lx36 lx0.29 lx
15 W20 W5 W0 W (測定不能)
4114 lx142 lx28 lx0.20 lx
11 W15 W4 W0 W (測定不能)
390 lx112 lx22 lx0.12 lx
8 W12 W3 W0 W (測定不能)
265 lx82 lx16 lx0.06 lx
6 W8 W3 W0 W (測定不能)
1(暗い)45 lx57 lx12 lx0.03 lx
4 W6 W2 W0 W (測定不能)


省エネでシンプルなLEDシーリングライトは、“無駄な機能はいらない”という方に

  HLDC90802を使って“これはイイ”と感じるのは、そのシンプルな操作性だ。時間帯や過ごし方に応じて、光色を直接選んで点灯できる。

 3色に限定された光色は、細かな調色を希望する人には物足りないかもしれない。しかし個人的には、3色で物足りないと感じることはまったくなかった。起床から就寝までのリビングルームの過ごし方に適した光色が、ボタン1つで選べる。むしろ割り切り感が気持ち良いほどだ。

 また、細かな手作業にも十分な明るさが得られるのに、消費電力は大幅に抑えられる。付け加えて、明かりの重要な要素である演色性も良く、10段階の調光もスムーズ。個人的には、手に馴染み、暗闇でも指先の感覚だけで操作しやすいリモコンの操作性がとても気に入った。

 基本的な明かりとしては不満がないが、他社製のLEDシーリングライトに搭載されている、自動調光機能が無い点は残念。だが逆に、時刻設定以外の設定は一切不要。このシンプルさはむしろアリだろう。

 光色がボタン1つで選べ、しかも十分に明るく、省エネ性能が高い。今までの蛍光灯シーリングライトのような、簡単な操作性を求めている方には特にお勧めしたいLEDシーリングライトだ。






2012年6月25日 00:00