家電製品ミニレビュー

CCP「BONABONAホームベーカリー BK-B25」

~5千円で買った激安ホームベーカリーでおいしいパンは作れるのか?
by 藤山 哲人
CCPの「BONABONA ホームベーカリー BK-B25」

 ある日、Web通販のサイトを見ていると、5千円で売っているホームベーカリーを見つけた。CCP(シー・シー・ピー)の「BONABONAホームベーカリー BK-B25」だ。

 ホームベーカリーは実売で3万円以上する製品もある中、5千円はとても安く感じられる。でも、これって本当にちゃんと作れるんだろうか? パン屋で働いてパンを焼いている奥さんに聞いてみると、「こんな5千円程度のホームベーカリーでおいしいパンが焼けるわけないよ!」と怒られた。

 筆者が「売りモノなんだし、そんなにマズイってころないだろ? しかも話題の米粉パンとか、パスタも作れるって書いてあるぜ」と反論すると「パン作りをナメんなよ!」と軽いイザコザに(笑)。そこまで言うなら、コレを買ってちゃんと作れるか作れないかを試してみようじゃないか!

 ということで今回は、プロのパン屋である奥さんをオブザーバとして迎え、この5千円で買ったホームベーカリーをレビューしようじゃないのっ!


メーカーCCP(シー・シー・ピー)
製品名BONABONA ホームベーカリー
購入店舗Amazon.co.jp
購入価格5,580円
 

さっそく調理開始。奥さんは辛口評価だが、子どもたちには好評

 BONABONAホームベーカリーは、最大で1.2斤まで焼けるホームベーカリー。本体サイズは253×340×277mm(幅×奥行き×高さ)で、GOPANほど大きくはないが、よくあるホームベーカリーといったところだ。

 まずは説明書どおりに、普通の食パンを作ってみる。プロの手を借りずに、ド素人の筆者が、このホームベーカリーでどれだけおいしいパンを作れるのだろうか?

 調理手順は、普通のホームベーカリーと同様、材料を入れることから始まる。詳しくは、以下の写真を見ていただきたい。

パンの材料は。強力粉とスキムミルク、ドライイーストにバター。あと塩と砂糖と水。恥ずかしながら、パンって卵を入れないでも作れることに驚いてしまった。へー!ホームベーカリーの中から容器を取り出して、水、砂糖、塩、バターを入れていく
強力粉250gで1斤のパンが作れる。このホームベーカリーでは最大1.2斤が焼けるということだ最後にドライイーストを投入

 ここで奥さんの辛口批評が。「説明書には0.1g単位の量りを使って正確に材料を測るなんて書いてあるけど、普通の家庭にはない! ドライイーストを測れる計量スプーンをつけるべきだ!」と言っていた。製品には計量スプーンと計量カップが付いてくるのだが、計量スプーンは単なる大さじと小さじを量るためのもの、計量カップもフツーのヤツなので、ほとんど役に立たないのだ。準備段階からこう言われると心配になる。これから作るパンは、はたして上手く焼きあがるだろうか?

 材料を入れた容器をホームベーカリーに戻し、本体のスタートボタンを押すと、容器の底についている羽が回り出し、材料を捏ねはじめる。焼き上がりまでには4時間かかる。

容器をホームベーカリーに戻して、さっそく焼いてみようボタンはシンプルで分かりやすい。メニューボタンで印刷されているメニューの中から、どれを作るかを番号で指定。焼き色の濃さと、パンの大きさを設定して、スタートするだけ。タイマーを使うと、指定した時刻に焼き上げることもできる

パンのできる過程を撮影した映像。4時間も掛かるので、10秒に1回撮影したものを再生している(つまり、200倍速再生)
おお! 食パンができた! 0.1g単位でドライイーストを測らなかったが、上手く膨らんでいる!

 できあがりはご覧の通り。焼き目は濃い目にしたので、外はパリパリ、中はモフモフの食パンが焼けた。0.1g単位でドライイーストを測らなかったが、上手く膨らんでいる。

 食べてみると、ほんのり甘くフワフワ、モチモチ感が印象的。子どもたちにも人気で、白い部分をくり貫いて食べまくっていた。つーわけで、フツーにおいしいパンがつくれましたよ!

 が! パン屋で働く奥さんに言わせると、こんな点がマイナスらしい。

・お店のパンより弾力がない
 焦げ目を濃くつけたためかもしれないが、お店のパンは押すと凹み、ふたたび元に戻る弾力性があるが、このホームベーカリーで作ったパンは凹んだまま。

・中身の白い部分が硬め
 お店のパンは、白い部分を掴んで持ち上げるとちぎれるほど柔らかいが、ホームベーカリーで焼いたものはちぎれず持ち上げられる。

・キメが荒い
 まったくダメではないが、舌触りがイマイチ。

奥さんはキメが荒いと言うが、筆者はまったく気にならない。奥さん辛口過ぎないか? プロとしての意地!?

 本職のプライドもあって辛口の意見となった。こうなった原因は、奥さん曰く「お店で焼くパンは2回の発酵過程があるが、このホームベーカリーは1回の発酵のみで焼き工程に入るため、弾力が少なく、キメも荒いのではないか?」とのことだ。


話題の米粉パンやライ麦パン、ごはんを使ったパンもできる!

 さて、取扱説明書には全部で13のパンのレシピも掲載されている。今回はそこから3つのパンを選び、実際に作ってみた。

(1)噛むほど甘くなるライ麦パン

 普通のパンに使う粉は真っ白な強力粉を使うが、その代わりにライ麦粉を使ったのがライ麦パンだ。ライ麦は、小麦の皮や胚芽も併せて挽いた粉なので、できあがりの色は茶色になるが、普通のパンに比べ栄養価が高く、麦の風味もよいとされている。健康食品ブームで一般にも普及しており、街のパン屋にもならぶ定番商品となっている。

 このホームベーカリーでも、ライ麦パンは調理可能。作り方は、強力粉の半分をライ麦に替えるだけで、あとはまったく同じだ。

ライ麦パンの材料。これ以外に砂糖と塩、水が必要ライ麦粉は皮も粉にしているので、水を混ぜると茶色になる

 できたてを食べてみると、食パンより少し硬いが小麦のいい香りがして、噛んでいると甘さが口の中いっぱいに広がる。ただ、好みが分かれるようで、小学生の娘は半斤を丸ごとおやつ代わりに食らうほど気に入っていた。ただ、高校生と中学生のお姉ちゃんたちは、普通のパンの方が好きとのことだった。

できあがりはこんな感じ。普通のパンのよりも膨らまない中を見てみると、売っているものと遜色のないできあがり

(2)米粉パンはしっとりモッチリ

 話題の米粉パンも作れるということで試してみたが、説明書を読むと、利用する粉の銘柄まで指定されていた。また米粉によっては、グルテン入りとなしのものがあり、それぞれ材料配分や本体のメニューも切り替える必要がある。

 ここでは説明書にあったグルテン入りの「福盛シトギミックス20A」という米粉を使ってみた。この粉は、一般のスーパーなどではなかなか目にすることがないが、粉の専門店や通販などで購入できる。

 焼き上がりの見た目はスコーンのようだが、香りはパンそのもの。一口かじってみると、外側のミミはパリパリでソフトせんべいのような食感だ。中の白い部分は、食べた瞬間はパンだが、噛んでいるとモチモチとして、まるでモチのような食感だった。しかし味はお米ではなくパンそのものなので、不思議な感じがする。さらに普通のパンに比べると、かなりボリューム感があり、お腹いっぱいになりやすいのが特徴だ。

説明書にあった、グルテン入りの「福盛シトギミックス20A」という米粉を使ってみた。1kg入りが600~700円程度。1袋で4斤の米粉パンが作れる焼き上がりはパンというより、巨大なスコーン(ケンタッキー・フライドチキンのビスケットみたいなやつ)に近いライ麦パン同様に、普通のパンほど膨らまない。中を見てみると、パンっぽいところと、モチのようになっている部分がムラになっていた

(3)冷やご飯パン

 説明書には、米粉がなくても「冷やごはん」を使ってパンが作れるとあった。ものは試し、作ってみよう。材料は冷やごはん100g。あとは水、強力粉、バター、スキムミルク、ドライイーストと、普通のパンと同じ材料だ。

材料は、冷やごはん以外は通常のパンづくりとあまり変わらない。冷ごはんは100g、水は150cc強力粉200gとパター、スキムミルク、ドライイーストなどを容器に入れる

 コネの工程では、冷やごはんの粒がアチコチに残っていたので、これはヤバそうと感じられた。しかし、焼き上がったパンは、ふくらみ具合はかなりよく、見た目もバッチリ! これは良さそう!

コネの工程を見ていたところ、ごはん粒が残ったまんましかし焼き上がりはしっかりパンだ。これはおいしそうかも!切ってみるとそれほどごはん粒は目立たない

 イヤな予感は払拭されたと思い、ガブリ!と食いついてみると……。う~ん、あんま、おいしくネェ! レーズンパンのレーズンの代わりにごはん粒が入っただけのパンだ! 味はパンなのだが、時折、歯に挟まるごはん粒がねっとりして、食感が悪い。家族全員「おいしくない!」でファイナルアンサーとなった。

うどんやケーキ、ジャムまで作れちゃう。我が家ではパスタづくりに挑戦

パスタ作りの材料は意外とシンプル。強力粉にデュラム・セモリナ粉、卵にオリーブオイル。下味の塩はお好みで

 さらにこのホームベーカリーでは、パスタやうどん、ケーキにジャムなども作れる。筆者は以前から生パスタを食べてみたかったので、パスタ作りに挑戦だ!

 材料は強力粉と、パスタ用の粉であるデュラム・セモリナ粉。あとは、卵とオリーブオイルだ。材料を容器に投入して15分ほど混ぜ、できあがったものを冷蔵庫で寝かせた後で切る。


材料を容器に投入して、15分ほど混ぜるだけなんかソレっぽいものができた! これを冷蔵庫で1時間寝かせてから切る

 何度か作ってみたが、卵の大きさによっては、生地が硬くなってしまうようで、モーターが唸りを上げて、捏ね作業を停止してしまうこともあった。捏ねている15分間を常に見張っている必要はないが、最初の5分だけは、生地の硬さを見張っている必要がありそうだ。

 できあがった生地は、冷蔵庫で1時間ほど寝かせる。冷蔵庫から取り出した生地は、打ち粉をして麺捧で1mm位まで薄くしたら、小さいまな板などを添えて麺状に切っていく。1回で大体3~4人前の生パスタが作れる。

小学生の娘にやらせてみたところ、生地が固く薄くするのはできなかった。このままだとうどんみたいなパスタになるので、ここは筆者が手伝ったゆでると水を含んで膨らむので、できあがりより細く切っていくのがポイント。この工程は、子どもも喜んで手伝ってくれるので、とてもラクだった。きしめん状のフェットチーネやリボン型のパスタができた湯で時間は3分。乾麺と一緒で塩を入れたたっぷりのお湯で湯がく
完成! とてもおいしかった。左は細麺に切ったペペロンチーノ、上はリボン状パスタのチーズとミルクのソース、右はフェットチーネのミートソース

 家族で試食してみたところ、大好評! 乾燥パスタとはモチモチさがまったく違い、讃岐うどんのようなコシとモチモチ感を持ち合わせたパスタになった。ちなみに写真には写っていないが、比較用に乾麺のパスタもテーブルに並べたのだが、生パスタはあっという間に完食してしまったのに、乾麺がほとんど残るという事態に! 生パスタはモチモチ感が強く、見た目の1.5倍ほどのボリュームがあると思っていいだろう。すぐにお腹いっぱいになってしまった。


エントリーモデルとしてなら価値アリ

 パン屋で働く奥さんの辛口批評を踏まえ、いろいろなパンを調理してきたこのホームベーカリーだが、魅力はやはり、5千円台というその安さだ。

 市販品にはさまざまなホームベーカリーがあり、大手メーカーのものになると3~4万円するものもあれば、1万円そこそこで買えるモノもある。高価なものになるほどメニュー数も増え、それなりにおいしいパンも焼ける。

 本製品は、メニュー数は少ないものの、「ホームペーカリーってどんなもの?」と、はじめて購入する人にはうってつけの製品だろう。満足がいけばそのまま使えばいいし、もし満足できない場合でも、買い替えて惜しくはない金額だ。またパン焼き器としてではなく、パスタやうどんを作る調理機器としても使えるので、買い換えても利用価値は残る。ホームベーカリー初心者の第一歩として、お勧めしたい。






2012年2月24日 00:00