家電製品ミニレビュー
無印良品「スチームファン式アロマ加湿器」
無印良品の「スチームファン式アロマ加湿器」。今回はダークブラウンを購入したが、ホワイトも用意されている |
我が家では一応リビングルームに加湿器があるのだが、寝室にも専用の加湿器が欲しくなった。そこで、新しい加湿器として、無印良品の「スチームファン式アロマ加湿器」を購入した。
製品名 | スチームファン式アロマ加湿器 |
品番 | STH-MJ401 |
メーカー | 無印良品 |
購入価格 | 8,899円 |
購入店舗 | 無印良品ネットストア |
●蒸気が吹き出るスチーム式。オイルタンクに似た面白いデザイン
購入のポイントは、まず「スチーム式」である点。厳密に言えば、水を沸騰させ、その蒸気をファンで放出する「スチームファン式」だが、熱処理された蒸気は清潔で衛生的なのが特徴だ。
もう1つのポイントが「デザイン」。直方体の本体は取っ手と蒸気の吹出口がついているだけというシンプルなもので、まるでオイルタンクをデフォルメしたようにも見える。余計な装飾を一切削ぎ落とした潔いデザインがとても気に入った。
本体は280×130×276mm(幅×奥行き×高さ)と、加湿器としては並みの大きさ。蒸気の吹出口は360度回転可能なので、本体を動かさなくても蒸気の向きが調整できるのはうれしい。
本体上部の取っ手を引っ張ると、水タンクが顔を出す。直立しないので水を入れる際に押さえておかなければならないのが面倒だが、容量は実測で3Lとかなりのもの。水を入れたタンクを本体に戻し、同梱されているマグネットプラグの電源コードを本体とコンセントに繋げば、使用準備が完了だ。
表面はツヤのあるプラスチックでとてもシンプルな佇まい | その裏側は警告と注意を促すシールが張られている。側面には空気の吸気口と、電源コードのプラグ受けが付いている | 上から見たところ。写真中央の取っ手は、本体を移動する為のものではなく水タンクの持ち運び用 |
水タンクは取っ手を持ち上げるだけで取り外せる | タンクの容量は実測で約3L。写真では直立しているが、水を入れると安定性はイマイチ。給水中は常に支えていなければならない |
運転をスタートする前に、本製品がどうやって加湿するのかという仕組みを説明しておこう。全てのパーツを外すと、本製品の心臓部である「蒸発槽」と「送風口」が見えてくる。蒸発槽に溜まった水が沸騰しスチームが発生、そのスチームが送風口から出て来る風と混ざり、吹出口から押し出されて出てくる、というのが基本構造だ。
プラグ差込口の上には吸気口があるが、ここにはアレル物質を分解し、脱臭、除菌、抗ウィルス効果が期待できるフィルターが用意されている。つまり本製品は、熱処理されたキレイな蒸気が、フィルターを通したキレイな空気とともに吹き出される、ということになる。
ちなみに取扱説明書を見たところ、三洋電機製と書いてあった。
●やはり温かいスチーム式。“煙”で加湿も実感
シンプルな操作パネル。右から、電源ボタン、加湿切替ボタン、加湿切替表示ランプ、給水ランプ。加湿切替ランプは、異常がある時には警告音と共に点滅する |
電源を入れて3分を過ぎた頃、コポコポという小さな沸騰音が聞こえてきて、スチームが1m近い高さまで勢い良く吹き上がる。説明書によれば、適用床面積は木造和室なら7畳、プレハブ洋室は11畳)とのことだ。
やはり、この温かいスチームはとても良い。既に持っていたハイブリッド式の加湿器からはヒヤッとした風しか出てこなかったので、特に寒い日は温かなスチームにほっとする。しかもスチームがハッキリと見えるので、「加湿している」という実感が湧いてくる。もちろん、吹出口付近のスチームの温度は50℃を超えるので、スチームの向き設置場所などは注意が必要ではある。
連続加湿で6時間ほど放っておくと、「給水」ランプが点滅、自動的に運転が停止した。オフタイマーのないシンプルな加湿器であるが、自動停止するならばその必要はあまりないかもしれない。
運転中は温かなスチームがハッキリと確認できる。吹出口は360度回転可能 |
●1時間で湿度は50%台をキープ。ドアは閉めて使うべし
使い方がとても簡単なのは分かったが、肝心の加湿力はいかほどのものだろう。そこで、実際の部屋での湿度と温度の変化を調べてみた。
まず最初は部屋を閉めきり、暖房器具を点けない状態でスタート。設置した仕事部屋は6畳。運転前の湿度は31%、室温は21℃だった。
「自動」モードで運転スタート。10分を過ぎたあたりでぐんぐんと湿度が上昇し始め、30分後には45%に到達。室温もじわりじわりと上昇して行く。窓も薄っすらと曇り始め、湿度が上がっているのが実感できる。1時間を過ぎたあたりで、湿度は50%付近に到達。室温は2℃も上昇し、23℃となった。
その後、1時間半を過ぎると、湿度は50%前後で安定。室温は24℃だった。湿度が60%を超えて、本体が断続運転するようすが見てみたかったが、50%台でも加湿効果は十分。乾燥していた肌がしっとりとし、鼻の中のヒリヒリ感も消えた。暖房無しでも部屋が暖かくなり、その効果がはっきりと実感できた。加湿のしすぎは結露やカビの発生にも繋がるので、このくらいでちょうど良いだろう。
加湿器を運転してから30分で、湿度は31%から45%に上昇(上が使用前、下が30分後の写真 | 部屋を締め切った状態での湿度、温度の変化。意外と温度も上昇している |
今度は同じ部屋で扉を開けっ放しにしたまま運転してみた。運転前の湿度は27%で、室温は19℃。隣の部屋は台所なので、火も使えば換気扇も回す。寒くなれば、ガスファンヒーターも点けるが、どうだろうか。
部屋を開放して使うと、締め切った場合よりも効果は薄い。温度は意外と安定している |
湿度はちょっとした環境の変化に影響を受けやすい。当たり前の話かもしれないが、加湿効果を高めたい場合は、扉を開け放したりせず、こまめに締めた方が良いだろう。
●倒れにくいし、たとえ倒れても熱湯がこぼれにくい
さて、スチーム式加湿器で怖いのが「熱湯」。水を蒸発させて加湿しているので、本体が倒れたりしたら、熱湯が溢れ出てしまう恐れもある。そこで、運転中に危険を承知のうえで倒してみた。
タンクの水が半分の状態で、加湿中にあえて本体を倒してみたが、蒸発槽の熱湯は出てこなかった |
しかし出てきたものは、吹出口付近に溜まっていたほんの少しのお湯と、タンク下に溜まっていた水のみ。アツアツの熱湯が周囲にまき散ることはなかった。蒸発槽には120ccぐらいの熱湯が入っているはずだが……。
熱湯が飛び出さなかったのにはワケがある。熱湯が入っている蒸発槽は、複数のパーツで覆われているからだ。蒸発槽にピッタリ密着して取り付けられているスチームカバー、その周りを覆う風胴、その風胴を本体に固定するフックレバー……加湿器が倒れても、熱湯のほとんどはスチームカバー内にとどまり、そう簡単に熱湯が出ないようになっているのだ。
熱湯が入っている蒸発槽は複数のカバーで覆われている |
そもそも、本製品は元から倒れにくい構造となっている。底部は本体と同じ材質(プラスチック)のため、衝撃を受けても加湿器が倒れる前に横にスライドするのだ。つまり、もともと倒れにくい上に、倒れても熱湯がこぼれない、という二重のガードが用意されていることになる。確かに熱湯が入っている以上、設置場所は考慮すべきだが、心配しすぎることはないだろう。
●手入れは思ってたよりも簡単
3回運転した後の蒸発槽(写真左)。結構な量の水アカがこびり付いているが、柔らかい布で水拭きするだけで簡単に落ちてしまった(写真右) |
しかし、カピカピにこびりついていると思いきや、柔らかい布で力を入れてキュッキュッと水拭きするだけで、簡単に取れてしまった。蒸発槽には常に水が溜まっているため、水アカが浮き出たのかもしれない。取り外したパーツも水ですすぐ程度できれいになった。手入れは拍子抜けするほどラクにできた。
もちろん、手入れを放置して何十回と使った場合には、話は違ってくるだろう。快適かつ安全に使うためにも、手入れは早めにしておきたい。
●電気代は高い点に注意
消費電力は355W。1日6時間使用した場合、電気代は46円を超える。気化式やハイブリッド式の方が省エネではある |
ワットチェッカーで電力を計測すると、その消費電力は355W。毎日約6時間使用した場合、1日の電気代は46.8円。それを1カ月(31日間)で試算すると、その電気代は1,450円を超えてしまう。既に持っているハイブリッド式は最大でも160Wなので、1カ月同じように使用しても、電気代は654円。つまり、2.2倍も電気代が高いという事になる。ランニングコストを抑えたい場合には、ハイブリッド式や気化式の方が優れている。
とはいっても、気化式やハイブリッド式のような透明で温かくない加湿よりも、スチームによる白い蒸気がハッキリと目に見えて加湿できるのはやはり魅力。さらに加熱処理された不純物を含まないキレイな蒸気のみが排出されるという安心感が得られる点も替え難い。
まとめれば、インテリアに馴染みやすいシンプルなデザインに、転倒対策や意外に簡単な手入れなど、スチーム式加湿器として十分な機能を備えた製品といえそうだ。予算1万円以内の手軽な加湿器として、寝室や仕事部屋など、プライベート空間での活用をお薦めしたい。
シンプルなデザインでインテリアにも合う | 文中では触れなかったが、製品名にある通りアロマにも対応している |
2010年1月21日 00:00