家電製品ミニレビュー

「スマート全自動コーヒーメーカー」は我が家のコーヒーライフをどう変えたのか

プラススタイルの「スマート全自動コーヒーメーカー」を約1カ月間使ってみて、わかったこととは

そろそろ手で豆を挽くのもおっくうになってきたなあ……。そう思っていたところへいきなり登場したのが、さまざまなIoT家電を展開しているプラススタイルの「スマート全自動コーヒーメーカー」だった。コーヒーミルの機能とドリッパー、そしてコーヒーサーバーの機能が一体になったこの1台、スマートフォンとつながる機能も含めて考えると、9,980円というお値段(発売時のキャンペーン価格。通常価格は13,800円)は驚異的なまでにお買い得。なので、発表された直後に1も2もなく飛びついた。我が家のコーヒーライフがさらに充実することに期待して。

忙しい平日の朝もコーヒーをちゃんと楽しみたい

毎朝のようにコーヒーを豆から挽き、ネルドリップで2人分(自分と妻)のコーヒーを用意している我が家。お湯を沸かし、その間に手でコーヒーミルを一生懸命回して、ドリッパーを消毒してから、ほどよいと思われる熱さのお湯を注ぎ込む……なんて作業は、ものすごく面倒とは言わないまでも、朝のちょっとしたイベントだ。少し寝坊して慌ただしくなると、さすがにそんな余裕はなくなるのでコーヒー抜きにせざるを得ず、なんだか物足りない1日になってしまったりもする。

コーヒーをいれる手順のいくつかを機械に肩代わりしてもらえれば、ちょっとくらい忙しい朝でも、しっかりコーヒーを楽しめるのではないか。そこで全自動コーヒーメーカーを検討し始めたのだけれど、ご存じのとおり有名メーカー製のものはそこそこいいお値段がして、気軽にポチッと注文なんかできやしない。そんななか実売1万円程度のリーズナブルな価格でありながら、スマートフォン連携機能まで付いたプラススタイルの「スマート全自動コーヒーメーカー」が登場したなら、そりゃあソッコーで予約注文するわけだ。

「スマート全自動コーヒーメーカー」はキャンペーン価格で9,980円だった

プラススタイルの「スマート全自動コーヒーメーカー」は、機能としては意外とシンプル。つくりたいカップ数分の水と、コーヒー豆か粉をセットしたうえで、本体のボタン操作でカップ数(1~6杯。粉の場合はカップ数の指定はできない)、濃さ(濃いめ・薄め)、入れたのが豆か粉かを選ぶ。あとはドリップ完了後に保温するかどうかを決めてスタートさせれば、待っているだけでコーヒーができあがる。少なくとも本体側で操作する分には、これ以上でも以下でもなく、実に簡単だ。

最初に水を入れる。タンク部分は簡単に取り外せるので、蛇口から水を注ぐときは外したほうが楽
上部のミル部分のフタを開けて、カッターが見えるフィルター内にコーヒー豆や粉を入れる
付属の計量スプーンで飲む分だけの量を入れよう
最後に本体のボタン操作で設定して「スタート」

もしくは、「スマート」なコーヒーメーカーらしく、スマートフォンの専用アプリを使ってコーヒーをいれることもできる。最初に接続設定は必要だけれど、一度終えてしまえば本体側でできることと同じ操作が可能になる。本体に水とコーヒー豆などをあらかじめセットしておかなければいけないので、その場でコーヒーをいれるのならアプリから操作する意味はあまりないかもしれない。けれど、そこは後述するスケジュール機能などの応用的な使い方をするときに活きてくる部分。むしろ「スマート」なところを意識することなく、普通のコーヒーメーカーとしてもすぐに使えるのがありがたい。

スマートフォンアプリ「+Style」でコーヒーメーカーを追加
画面の指示にしたがって自宅のWi-Fiに接続すればアプリから操作できるようになる
コーヒーメーカーの設定画面
カップ数や濃さなどを決めて画面中央のアイコンをタップすればコーヒーをいれはじめる
ドリップされ、徐々にサーバーにたまっていくコーヒー
できあがりを注ぐ
ほぼ全自動でコーヒーができあがるのは本当に助かる

決まった時刻に、帰宅したときに、もしくは枕元のボタンでもつくれる

そんなわけで、単純にコーヒーをいれるだけなら本体側を操作するだけでいいが、もっとスマートな感じで使いこなしたいなら、スマートフォンアプリが必須だ。「スマートな」と言っても、このコーヒーメーカーの場合は、「ある条件に当てはまったら自動でコーヒーをいれはじめる」、もしくはGoogle HomeやAmazon Echoのようなスマートスピーカーに話しかけてスタートする、という自動化の応用がメインになる。

たとえば、「指定した時刻に自動でコーヒーをいれはじめる」のが、一番簡単で、最も使い勝手のいいスマート化だろう。夜、就寝前に水とコーヒー豆(粉)をセットしておき、翌朝スタートするように設定しておけば、目覚めたときに勝手にコーヒーができあがっているわけだ。時々寝坊してコーヒーをいれている余裕がなかったりする我が家は、この機能のおかげで「コーヒー抜きの朝」を確実に防止できるようになった。

一番簡単な「スマートな」使い方は、スケジュール機能。設定画面右上の時計アイコンをタップする
スタートしたい時刻、曜日などを設定するだけ。決まった時刻になると自動でコーヒーをいれてくれるようになる

他にも、スマートフォンのGPS機能と連動して、「帰宅したとき(自宅に近づいたとき)に自動でコーヒーをいれはじめる」という使い方もできる。または、同じくプラススタイルが販売している「スマートWi-Fiプラグ」があれば、「そのスイッチをオンにしたときにコーヒーをいれはじめる」ことも可能。これだと、枕元の電源コンセントにスマートWi-Fiプラグを差し込んでおいて、目覚めたときに手を伸ばしてポチッとするだけでコーヒーができあがるから、起床タイミングがまちまちな人にとっては都合がいいかもしれない。

アプリの「スマートモード」の「自動設定」画面でいろいろな自動化ができる
ここで実行条件とタスク(実行内容)を設定する
自宅到着時にコーヒーをいれたいときは、実行条件で「ある場所に到着したとき」を選ぶ
地図画面で自宅付近(画像は筆者のオフィスだが)を中心にして「次へ」
タスクにはコーヒーメーカーを指定したうえで、「電源オン」と「スタート」の2つを指定する
最後にこの自動化設定に名前をつけて「保存」。自宅に近づく(一定の範囲内に入る)とコーヒーメーカーが自動でオンになり、コーヒーをいれてくれるようになる
+Styleの「スマートWi-Fiプラグ」のスイッチオンを実行条件にすることもできる
設定としてはこんな感じ。「充電用」に使っているスマートWi-Fiプラグのスイッチオンでコーヒーをつくりはじめる

しかしながら、コーヒーを朝、自動でいれるときに注意しておきたいことが1つ。豆から挽く場合は、起床(するつもりの)時間より前ではなく、起床してから少し時間がたったところでスタートさせるようにしたほうがいい。作動し始めにカッターで豆を挽くとき、20~30秒の間はかなりの音が出る。びっくりして飛び起きる、という意味では寝坊しがちな人向けには“助かる機能”と言えなくもないが、目が覚めて少し心構えができたくらいのタイミングでスタートしたほうが穏やかな朝の時間を過ごせるはずだ。

毎回飲む分だけをつくれるのは大きなメリット、だけど……

「スマート全自動コーヒーメーカー」は、そうやって全自動でコーヒーをいれることができ、スマートフォンとつながっていろいろと制御もできるという機能的な点でももちろん魅力ではあったのだけれど、特に我が家にぴったりだな、と思ったのが、毎回コーヒー豆(または粉)を作りたいカップ数分だけ入れるというところだ。

これは人によってはデメリットと感じるところかもしれない。たとえばストッカーが装備されているコーヒーメーカーだと、最初に大量のコーヒー豆を投入しておけるので、あとは水を補充するだけでコーヒーをいれ始めることができる。が、そうすると投入した豆を消費しきるまでは、別の豆を楽しめないということでもある。いろいろなコーヒー豆を購入し、その日の気分によってどれにするか選んでいる筆者としては、「スマート全自動コーヒーメーカー」のように毎回飲む分だけの豆を入れるシステムの方がありがたいのだ。

いくつかの種類のコーヒー豆を常備している我が家。そのときの気分で豆を変えたい

ただ、購入してから1カ月間使い続けてきて、デメリットというか、ここは弱点だな、と思うところも見えてきた。豆から挽いてコーヒーをいれる場合、当然といえば当然なんだけれど、手で挽いてネルドリップするのと、「スマート全自動コーヒーメーカー」でつくるのとでは、味わいがかなり違う。「スマート全自動コーヒーメーカー」ではどうしても薄味になるように感じるのだ。

豆ではなく、市販の粉からいれたときは特に不満のない、おいしいコーヒーになる。なのでいったん豆を手で挽いて、その後「スマート全自動コーヒーメーカー」でいれてみたところ、若干ながら風味が増した。でもネルドリップほどではない。ここから考えられることは、コーヒーミルによる挽き具合が豆の種類や自分の好みに合っていないか、ドリップ時の湯温がその豆・挽き具合に対して低すぎるか。そのあたりに原因がありそうだが、あくまでも個人の好みとして薄味に感じるというだけなので、それがちょうどいいという人ももちろんいるだろう。

適材適所で使い分けるのが正しい付き合い方?

あとは、準備と片付けをどこまで手間と思うか、が「スマート全自動コーヒーメーカー」を購入するかどうかの決め手になるかもしれない。コーヒーをいれるときの準備は、手作業のときと比べて、明らかに「スマート全自動コーヒーメーカー」の方が楽ではある。水と豆・粉を用意してボタンを押すだけでいいからだ。しかし、片付けは決して楽ちんとは言えない。毎回ミル部分をごっそり取り外して、フタを取り除いてフィルターを取り出し、ゴミ箱にコーヒー豆のかすを叩きつけて排出したら、すべて水洗いしていく必要がある。

使い終わったあとのミル部分。残りかすがわりと飛び散っていたりする

ゴシゴシ洗わなくてもいいので簡単ではあるのだけれど、フィルターについては目詰まりすることがあるので、3日に1度くらいはスポンジや歯ブラシなどで洗った方がいい。そして、飲み終わった後のサーバーももちろん洗う。フタ部分が簡単に取り外せるようにはなっておらず、フタがついたまま洗うしかないのだが、これがけっこう邪魔だ。しかも洗い終わった後、うっかりするとフタを開きすぎて破損しそうになるので、慎重に水切りカゴに置かなければならない。

1つ1つ手で水洗いしていく。こびりついていることはないので水で流すだけでOKだが、このフィルターは目詰まりしていたらブラシなどできれいにしておきたい
少しやっかいなのがこのサーバー。簡単に取り外せないので中を洗いにくい
洗った後、ちゃんと水が切れるようにしようと思うと、やっぱりフタが邪魔。根本で折れたりしないよう気を付けよう

総合的に考えると、手でネルドリップするときと「スマート全自動コーヒーメーカー」を使うときとで、準備・片付けの手間は差し引きゼロで、それほど変わらないなあという印象ではある。毎日捨てるような消耗品が出ないという点では経済的ではあるし、準備と片付け、どちらに手間をかけたくないかと言えば、筆者としては圧倒的に準備に手間をかけたくない派。なので、これからも使い続けるし、コーヒーメーカーとはこういうものだと思うようにしている。

そんなわけで、我が家の「スマート全自動コーヒーメーカー」は、準備にあまり時間をかけたくない平日に稼働させ、手軽に(粉から)コーヒーを楽しむという用途で活躍してもらっている。一方で休日は、時間をかけてでも手でネルドリップしてコーヒーを優雅に味わう、というパターンになった。平日と休日で道具を使い分けることで、カジュアルに、時にはじっくりと、いろいろなスタイルでコーヒーを堪能する。生活にそんな新しい楽しみが加わったのが、素直にうれしく感じているところだ。

日沼 諭史

モバイル、ガジェット、エンタープライズ系サービス、旅行、クルマ、バイク、オーディオ&ビジュアルなどなど、なんでも書くライターみたいなことをやっている人。