家電製品ミニレビュー

精米したてのお米が美味しすぎて、もう精米機が手放せない!

 白米は生鮮食品と同様、とてもデリケート。精米して時間が経てば経つほど酸化が進み、味もどんどん落ちるという。精米したての白米は、香りも良く美味しい。そこで今回は家庭で手軽に精米ができる、アイリスオーヤマの「銘柄純白づき精米機 RCI-A5-B」を紹介しよう。

アイリスオーヤマ「銘柄純白づき精米機 RCI-A5-B」
メーカー名アイリスオーヤマ
製品名銘柄純白づき精米機 RCI-A5-B
実売価格11,272円(Amazon)

 特徴は、31銘柄に合わせた最適な精米が選べる点。栄養価が高く、動脈硬化などの心臓血管疾患を予防する効果が期待できる「亜糊粉層」を残す、絶妙な精米を実現するという。

 精米モードのバリエーションも豊富だ。白米は「白米/純白米/無洗米」の3種類。さらに「胚芽米/3ぶつき/5ぶつき/7ぶつき」の4つの分づきモードに、古くなった精米をよみがえらせる「白米みがき」と、合計8つのモードが好みに応じて選べる。

 精米方式は、温度上昇が少なくお米が劣化しにくい「かくはん・対流式」と言われるタイプだ。玄米をかくはん棒でかき回し、米同士やかごとの摩擦で精米する。

 一度に精米できる量は1合〜5合まで。食べる量に応じて1合刻みでできる。

精米方式は、「かくはん・対流式」だ

出しっぱなしにしておける、スッキリとしたデザイン

 本体の大きさは212×287×223mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は3.4kg。カラーはモノトーンを基調としており、形状は柔らかなカーブで構成され凸凹が少ない。目に触れる場所に出しっぱなしにしても良さそうな、スッキリとしたデザインだ。

 操作面は全て上面に集中しているのでわかりやすい。底面には4つのシリコン製の吸盤があり、設置面への傷を心配せずに安定して置ける。コードの長さは約1m。

凸凹の少ないスッキリとしたデザイン。操作は全て上部に集中。安定性も良い

 パーツは全て簡単に取り外せる。ぬかボックス、精米かご、かくはん棒、ふたは全て丸洗いできるので手入れも簡単だ。玄米専用の計量カップも付属する。

 かごはステンレス製。内側の大きさは、直径150mmで、深さは110mm。精米時にお米の浮き上がりを防ぎ、お米同士の摩擦を促す突起が施されている。

パーツは簡単に取りはずしができる。本体以外は全て水洗いできるので手入れもラク
これまでの精米機にはないという、精米かごの突起。お米の浮き上がりを防ぎ、お米同士の摩擦を促す

操作は簡単。安全面にも配慮されている

 精米するにあたり、今回はコシヒカリとあきたこまちの玄米を2種類用意した。どちらもスーパーで簡単に手に入るものだ。

用意した2種類の玄米。近所のスーパーで買い求めた
玄米の様子。銘柄により微妙に形も色も違うようだ

 使い方は、ふたを開け、ぬかボックス、精米かご、かくはん棒の順でセットして、付属の計量カップで玄米をすり切りで量って、精米かごに入れる。ふたの内側の爪を本体の溝に合わせていれ、時計回りに回してロックする。

 操作パネルから好みの精米モード、量を選択し、スタートボタンを押す。精米が終われば、自動的に停止しブザーが5回鳴って知らせてくれる。

 運転中にスタートボタンを再度押せば、一時停止もできる。 3分以内なら、途中からでも再スタートもできる。一度セットしたコース・モード・量は、コンセントを抜いても記憶している。同じ設定を繰り返すなら、次はスタートボタンを押すだけでOK。精米のたびにイチイチ設定しなくて済むのは便利だ。

付属の計量カップを使って玄米を量る。きっちりすり切りにする

 動作音は、モーターの回転音と米の摩擦音が混じり、それなりにうるさい。とは言うものの、載せているテーブルや棚が揺れる事も無く、普通に会話ができる程度だった。ジューサー・ミキサーとさほど変わらない印象なので、真夜中でなければ問題ないだろう。

 安全面にも配慮されている。ふたがきちんとロックされていないと、電源は入らない。また、玄米が入っていない状態で運転すると、5秒後には停止しブザーが鳴る。

玄米を入れて、精米をスタートする様子。動作音は一般的なジューサーとさほど変わらない
精米終了。精米中に多少温度が上がるのでふたが蒸気で曇る。それでもお米はサラサラ。ぬかがしっかり分離される

8つのモードを使って精米してみた

 ここから全てのモードを試してみよう。ここでは1合ずつ精米している。

●銘柄が選べる「白米」、「純白米」コース

 玄米を、いわゆる白いお米にするなら、「銘柄選択」、「ぶつきコース」、そして「合数」の3つを設定する。設定順はいとわない。「ぶつきコース」ボタンを順に押して「純白米」のランプを点灯させる。ランプが消えている時は「白米」となる。あとは、スタートボタンを押すだけで精米が始まる。

 「31の銘柄に対応」と謳っているが、本体に表記されているのは、「こしひかり」、「あきたこまち」、「つや姫」、「ゆめぴりか」、「ひとめぼれ」、「ヒノヒカリ」の6種類。記載が無いものは、取扱説明書の一覧表を参考にして選ぶ。品種の特性が近いものは一括りになっている。なお、銘柄選択は「純白米」と「白米」の時に限られる。

「白米」「純白米」コースの時、銘柄が選択できる
本体に記載されていない銘柄は、取扱説明書に「銘柄選択表」として記載されている

 コシヒカリ1合の精米にかかった時間は、「白米」は3分20秒、「純白米」は3分45秒だった。25秒の違いは仕上がりに表れた。純白米の方がより白く、米の表面はより滑らかになっていた。どちらも、米に欠けもヒビも入らず仕上がった。量を増やして2合にしても、時間、仕上がりともに変わらなかった。

 純白米モードで精米したてを炊いていただいたが、本当に美味しい! 米粒の一粒一粒が輝き、食感はもっちり&ふっくら。香りもよく、食味が際立つ。炊飯中から甘い香りが鼻をくすぐり、おねばもしっかり引き出された。ぬか臭さは微塵も感じられなかった。

コシヒカリの「白米」と「純白米」仕上げの違い。純白米の方が米が白く滑らかな印象だ。どちらも欠けやヒビは無い
コシヒカリの場合、3号までは同じように仕上がった
コシヒカリの玄米を純白米で仕上げ、炊飯した。とても美味しい! 幸せ!

 次に品種を変えて、あきたこまち2合を「純白米」で精米した。仕上がりまでの時間はコシヒカリよりも40秒長い、4分25秒だった。これだけでも、銘柄に合わせて精米しているのがわかる。仕上がりはコシヒカリ同様に純白で、欠けもヒビも入らなかった。

銘柄を変えると「純白米」仕上げは運転時間が変わる。だが、コシヒカリ(左)もあきたこまち(右)も、どちらも同じ印象に仕上がった

 銘柄純白づき精米機は、食べる量に応じて1合刻み、最大5合まで精米できるので、あきたこまちを最大量の5合を「純白米」モードで精米してみた。

 その様子は、かくはん棒がしっかり回っているものの、1〜3合時と比べて米の回転する勢いがかなり落ちる印象だった。停止するまでの時間は、5分30秒以上かかった。もちろん欠けやヒビは入らなかったが、2合と比較すると少々白さが落ちる。

 5合だと精米に時間がかかる分、米の温度も上昇する。玄米時、温度は27℃だったが、1~3合の仕上がり時は35℃以下だったのに対し、5合は43℃とかなり温度が高くなってしまった。熱いまま洗米すると米が割れる場合があるそうなので、洗米の前に冷ます必要がある。

 とはいうものの、ぬか臭さはなく美味しいごはんが炊き上がった。あきたこまちらしいハリ・ツヤがあって、噛みごたえが良い。おにぎりなどにして冷めても、とても美味しくいただけた。

5合を一度に精米すると撹拌される米の勢いが落ち、2合と並べると白さに差が表れた
5合の精米は時間がかかる分、温度も上昇する(右)
触って少し熱いと感じた時は、炊飯・保存前に冷ます必要がある
5合精米は、米の白さの差、温度上昇はあったものの美味しかった。冷めても美味しくいただけた

 全種類のお米を試したわけではないので一概には言えないが、1度に精米する量は3合以内にとどめて置いたほうが良さそうな印象を受けた。3合以内なら、精米中はお米も効率良く回転し、温度もさほど上昇しない。食べる分だけをこまめに精米するのがいいだろう。

●「分搗き」から「胚芽米」まで、玄米のバリエーションが楽しめる

 健康志向への高まりから、玄米を楽しむ方も多くいるだろう。銘柄純白づき精米機には、胚芽や糠(ぬか)部分を一部残す3種類の「ぶつきコース」のほか、胚芽の部分をしっかり残す「胚芽米」モードがある。

 3ぶつき(分搗き)、5ぶつき、7ぶつきの精米は、「ぶつきコース」と「合数」の2つを設定する。ぶつきの数値が上がるほど精米時間は長くなり、白米に近づく。1合時の精米時間は、「3ぶつき」は45秒、「5ぶつき」は1分、「7ぶつき」は1分40秒だった。ぶつきコースを選択した時点で、銘柄選択ボタンは解除される。

 2合のコシヒカリ玄米を5ぶつきにしていただいてみたが、当然ながら白米とはかなり風味が異なった。甘みは少なく、モッチリ感はあるが、かなりしっかりとした噛みごたえ。白米で感じられた、ねばりとふっくら感は無く、ぬかのニオイもある(白米好きな自分にとってあまり美味しいと思わなかった)。

「ぶつき」を選択すると、銘柄選択のランプは消える。ぶつきは銘柄は選択できない
「3ぶつき」
「5ぶつき」
「7ぶつき」の様子。ハッキリと差がわかる
5ぶつきのこしひかりを、玄米モードで炊飯した。玄米らしいしっかりとした噛みごたえが残っている

 それでも、思わず「これは美味しい!」と嬉しくなったのは、胚芽米だった。「モード選択」で「胚芽米」を選び、合数をセットしてスタート。仕上がった米は、炊飯中から甘い香りが立ち上り、コシヒカリらしい食味、食感、香りがしっかり感じられた。ごはんの色こそ少し茶色っぽいが、ぬか臭さがほとんど感じられず、どんどん箸が進むほど美味しい。

 「胚芽米モード」の仕上がり時間は、1合で1分25秒。「5ぶつき」と「7ぶつき」の中間なのに、5分つき米よりも断然美味しく感じられた。7ぶつきよりも栄養価の高い胚芽が残っているので、これから玄米を試してみようという方にも、白米好きの方にもオススメのモードだ。

胚芽米は「モード選択」で設定する
胚芽米で仕上げた様子
食味も豊かでとても美味しかった胚芽米。白米好きの筆者も思わず感激! 玄米食のきっかけにもなりそうだ

●味が蘇る「白米みがき」、洗米要らずの「無洗米」もモードも便利

 精米してから日数が経った米は「白米みがき」モードで風味が復活するという。ここでは、3カ月前に購入した白米で試してみた。

 運転時間は、2合の白米でたった30秒。前後を比較すると、みがいた方は僅かながら米色がワントーン明るくなった。いただいてみると、香りも食味も、ツヤも復活。買ったばかりの時の味が蘇ったようで、確かな効果を実感できた。

「白米みがき」を3カ月前に購入した精米に施した。白さが復活し、米の表面も滑らかになっている
運転時間は30秒程度だが、薄茶色のぬかが取り除かれた
白米みがきをした精米が炊き上がったところ。香りも良く、粒が立ち、ツヤツヤだ

 無洗米モードは、ぬかをしっかり取り除くモードだ。運転時間はコシヒカリ玄米1合の場合は5分で、「純白米コース」よりも1分15秒長い。

 米は「純白米」コースよりもさらに白くなり、米粒が若干小さくなった印象だ。洗米はラクになるかもしれないが、せっかくの本機の特徴である、栄養価の高い「亜糊粉層を残す」が生かされないようで、ちょっともったいないなぁと感じた。

 消費電力は最大で330Wだが、銘柄の違い、玄米の量、精米の進み具合で変化する。あきたこまち5合の初動は250Wを超えていたが、停止直前は200Wを下回った。コシヒカリ3合は140Wで始まり、100Wで停止した。白米みがき1合の場合は60W以下だった。回転数を一定に保ちつつ、回転力がしっかり制御されている印象だった。

「無洗米」モードは、純白米よりもさらに徹底的に精米される。白くなり、米粒も若干小さく見える

精米したての美味しさを知ったら後戻りできない

 改めて思ったのは、精米したてのごはんは本当に美味しい。炊いている時から新鮮な甘い香りが漂い、食事をする楽しみが倍増し、より豊かな気持ちが味わえる。

 本体の大きさから、炊飯器1台分の場所を取る上、精米する手間も増える。それでも、一度精米したてのごはんを味わってしまうと、この美味しさは手放したくないと思うほど気に入ってしまった。使い方はコツも要らず簡単。価格的にも十分に見合っているだろう。パーツはまるごと洗えるので、メンテナンスもラクにできる。

精米後、精米かごとぬかボックスは毎回キレイにしておくこと
本体には、ぬかはほとんどこぼれなかったので、本体の手入れはラクだ

 玄米は白米に比べて鮮度を保ちやすいので、多めに買っておいてもいいだろう。食べる都度に精米すれば、美味しいごはんが毎食味わえる。精米具合も確実にコントロールできるので、その日の気分やおかずに合わせてバリエーションを楽しめるだけでなく、一般的に高価な胚芽米も美味しく簡単にできる。

 間もなく美味しい新米が出回る季節だ。美味しいごはんが大好きな方にこそ、自宅で精米して、いつでも美味しいごはんを味わって欲しい。

家庭用精米機があれば、一種類の玄米から、7種類のお米が気軽に楽しめる

藤原 大蔵