家電製品ミニレビュー

ムラなく涼しい! 子どもがいっぱい遊びにくる我が家が選んだエアコンは「ノクリア X」前編

 我が家には小学生の子どもが2人いるが、とにかく友達が多く、毎日のようにたくさんの友達が遊びに来る。最大で22人遊びに来たときがあり、さすがにそのときは外で遊ぶように言ったが、平均すると6~8人といったところ。とにかく毎日にぎやかだ。

 子どもがたくさん来ると、一気に室温が急上昇する。リビングダイニングは15畳で、隣の和室5畳のドアを外し1部屋にしてエアコンを稼働していたが、2つの部屋を通しで冷やすには、古いモデルではパワー不足だった。

 そこで選んだのが、前々から気になっていた富士通ゼネラル「nocria(ノクリア) X」だ。

すごいパワー! 「ノクリア X」AS-X71F2W
メーカー名富士通ゼネラル
製品名nocria X
品番AS-X71F2W
適用畳数23畳モデル
実売価格31万1,020円(ヨドバシ.com)

部屋全体をムラなく冷やせるタイプにしたワケ

 上位モデルのエアコンは、大きく2つのタイプに分かれている。カメラやセンサーなどで、人の動きを見ながら、人に合わせて気流を変えるタイプ。そして、今回購入した「nocria X」のように、どこにいても心地良さを感じられる、部屋全体をムラなく冷やすタイプだ。

 以前のエアコンを使っていた頃は、エアコンの正面に座っていた子どもは「寒い」と言い、隣の部屋で勉強している子どもは「暑い」と言っていた。扉を外して2部屋をつなげ、L字型になっているので、場所によって冷えムラがあり、気になっていた。また、子供は1カ所にいることがなく、常にウロウロしている。背も低いので、部屋全体が底冷えすることなく、まんべんなく優しく冷えるタイプを探していたのだ。

 nocria Xの最大の特徴は、本体の両サイドにある2つのサイドファン「デュアルブラスター」だ。サーキュレーターの役割を果たしており、冷気や暖気の気流とは別に、独立した気流を作り出す。例えば、冷房の場合、部屋をすばやく冷やすため強風は中央の吹き出し口から送り出され、身体に当てずに冷気だけが天井方向に向かって吹く。人の居る場所には、サイドのデュアルブラスターからおだやかな気流が届く仕組みだ。

運転停止の状態だとすっきりしたデザイン
運転を開始すると両サイドのサイドファンの風向板も開く
室外機のサイズは、前に使っていたモデルと比較すると大きめ
稼働中。主張しすぎないデザインがお気に入り

 また、今回購入した新モデルには、3つの温度センサーを組み合わせた3D温度センサーを搭載しているという。エアコン本体のセンサーで部屋の温度を、リモコンのセンサーで人がいる場所の温度、さらに床温度センサーで足元の温度も測っている。これにより、部屋の状況をエアコンが判断して運転を自動制御し、天井と足もとに温度ムラが出ないように涼しくする。

 センサーでは温度を0.5℃刻みで検知しており、きめ細かく室温を設定できる。「ちょっと高め」「ちょっと低め」といったデリケートな調整も可能だ。

リモコンにセンサーが付いており、人がいる場所あたりの温度を検知できる

こんな小さく見えるサイドファン……でも効果がスゴイ!

 昨年あたりから「エアコンは、こまめにON/OFFすると電気代が高くなる」と話題になった。エアコンは起動時に大きな電力が必要となり、安定すれば少ない消費電力になるので、こまめな電源のON/OFFはかえって電力を消費してしまうからだ。

 最初に驚いたのは、立ち上げ時から安定するまでの時間が短いこと。部屋の温度が設定温度まで到達し、安定するまでの時間は、前に使っていたエアコンの半分以下だ。最初はサイドファンが強めの風を出して稼働するのだが、一気に部屋の空気を攪拌し、あっという間に静かになり、安定モードに入る。

スイングするサイドファン。これは一番上向きの状態
一番下向きの状態。好みで変えることができる

 気流を幅広くコントロールする左右のフラップは設定できるので、人がいる方向に変えておいた。すると、自動的に外側に大きく広がって、ふわっと風が届く。冷房風の苦手な人も、心地良い涼感が得られるのだ。

 今までは、特に足元がひやっとしていて、顔から上が暑いといった状態だったが、足元が寒いという感覚はなく、底冷えするような感じがないのには驚いた。窓を閉めているのに気流が動く感覚は、今までに経験したことがない。

左右のフラップを変える。この状態では向かって左側に風が出る
向かって右側に風が出る

 心地良さだけではない。両脇にあるサイドファンの風向口を見ると、確かに風は届いて、部屋の空気がガラリと変わる印象がある。

 しかし、こんなに小さな風向口で、どの程度の風量が出ているのだろうか、気になるところだ。そこで、風速計を使って計測してみた。

サイドファンの直径は約19cm。小さいけれど、パワーはあるのだろうか?

 我が家の扇風機(強)の風速は4.2m/sで、サーキュレーターは5.2m/sだった。いつもエアコンの効率を上げるために併用していたのは、サーキュレーターのほうだ。

 一方サイドファンの風向口の風速は、ハイパワーが7.1m/s、強が6.6m/s、弱が5.6m/s、微風が4.4m/s。こんなに小さくても、しっかりとした風量を実現している。しかも、可動域は大きく、冷房や暖房によって両側の2カ所から、冷気や暖気が効率よく広がるように風が出るので、きちんと部屋中の温度を攪拌できている。

 実際、nocria Xに変えてからは、学校から帰ってきて汗だくの子供達も冷えすぎることがなく、それでいて心地よい冷房が効いているので、「寒い」「暑い」という文句が激減した。

なんと7.1m/s。ふだん使っているサーキュレーターよりもはるかに強い。これが両サイドにあるのだ

重いドライアイスの霧も横に流れる気流

 部屋の気流がどのようになっているのか、実際にドライアイスを使って確認することにした。

 ドライアイスの霧は空気より重いので、持つと下にどんどん霧が落ちていく。しかし、ハイパワーにすると、対面の壁に掛けてあるカレンダーがめくれるほど強風で、重いドライアイスの霧も横に流れた。

 ハイパワーでは少々強すぎたので、風量を「強」にして実験。「強」は、体感的には全身をサーッと風が吹き抜けるような感じだ。エアコンの吹き出し口前で反応があるのは当たり前なので、横や後ろ側など、ずらした場所でドライアイスの霧をチェックした。

 エアコンの前ではなく、斜め前のリビングテーブルの位置でも、しっかり横にドライアイスの霧が動いているのが確認できた。

風を止めている状態では、このようにしてドライアイスの霧が下に落ちる
エアコンから離れた場所で、風量を「強」にして実験。ドライアイスの霧が動いているのがわかる

 また、裏側の部屋でも、ドライアイスの霧は真横に動いており、部屋にまんべんなく気流が届いているのことがわかった。体感的にも「涼しくなったな」という印象だったが、これだけ部屋の空気が動いているのであれば、それも当然だろう。

エアコンの裏側、こんな位置でも気流が動いている
さらに裏側に入っても、ドライアイスの霧は動いている

窓を開けて送風運転すれば、部屋のよどみも気にならず

 冒頭でも紹介したように、我が家には子供達がたくさん遊びに来る。市販のセンサー計で空気の質は常に計測しているのだが、子供が5人以上集まると、二酸化炭素の量が一気に増える。また、男子が多いので、外の暑さで汗だくになった男子たちがバタバタと入ってくると、なんとなくニオイが気になったり、空気のよどみが気になることがある。いったん窓を開けていたが、風が弱い日は空気を入れ換えたつもりでも、いまひとつだった。

 そんなときは、窓を開けて送風運転すると、部屋の空気がガラリと変わる。サイドファンの風で気流を作り、攪拌するので、ソヨソヨと風を感じて本当に気持ちいい。

窓を開けて送風運転すると部屋の空気が一気に入れ替わる
小6男子が本気で遊んでいると室温が急に上がるのだが、nocria Xにしてからは「暑い」といわれることはなくなった

 ふだんも冷房をつけるほど暑くないときは、窓を開けて送風運転をするという使い方も定番となっている。焼肉などをして煙が気になるときも便利だ。送風運転だけなら、1時間運転しても電気代は1円未満だ。

 窓を開けられない日でも、花粉やウィルス、ハウスダストなどの空気の汚れを静電気で集めて抑制する、プラズマクリーン機能が搭載されているので安心だ。

フィルター掃除は5年に1度! 節電機能も満載

 手入れ面にも配慮されている。付着したホコリを自動で除去する「フィルター自動おそうじ機能」があり、フィルターのお手入れは約5年に1度でOK。その際も、ダストボックスにたまったホコリを捨てるだけだ。

 フィルターが自動で掃除されるため、目詰まりが抑えられ、ムダな電力消費を削減できるという。動作時間は約13分で、電気代は約0.02円/回。フィルターの掃除は電気代に直結するので、何もしなくてもキレイにしてもらえるのは嬉しい。

 また、運転停止時に使用しない回路の電源を自動的にカットしてムダを省くため、待機時消費電力はほぼゼロとのこと。使わないときにコンセントを抜く節電テクニックがあるが、そういったことをしなくても安心だ。

 人の不在が約1時間または約3時間続くと、自動で運転を停止するオートオフ機能を備えており、お出かけ前の消し忘れも防止できる。さらに便利なのは、オートオン機能。人が戻ったタイミングで自動的に運転を再開するため、リモコンのスイッチを押す手間を省くことができる。特に暑い夏は一刻も早く冷房をつけたいので、リモコンを取って運転する手間がなく、とても快適だ。

 ほかにもエアコンがお部屋の温度と湿度を見張り、運転停止中にお部屋が高温になると音声で知らせるか、自動的に冷房運転を開始させる「みまもり機能」もあって、特に高齢者にはぜひ使っていただきたい機能だ。

リモコンがシンプルで使いやすい

メニュー画面。イラストがあるのでイメージしやすい

 高級モデルの家電はエアコンに限らず、どれも同じような傾向だが、とかく多機能になりがちで、操作に迷うことがある。しかしnocria Xは、リモコンも使いやすい。液晶はバックライトで光るので、薄暗いところでもよく見える。ボタンは「冷房」「暖房」「除湿」「停止」が色分けされており、大きなボタンなのですぐわかる。

 また、運転中の画面によく行う操作(上位3つ)のショートカットボタンが表示されるのも親切だ。使う機能は大抵決まっているので、ここから選ぶことが多い。

大きくて見やすいバックライト液晶付きリモコン
裏側。持つ部分が細いので持ちやすい
よく使う操作(上位3つ)のショートカットボタンが表示されており、すぐに選ぶことができる
風向を変えるのも、イラストで簡単だ

子供がいる家庭にぜひおすすめしたい「nocria X」

 他のエアコンと一番違うところは、やはりサイドファンの効果だ。冷気だけで部屋を冷やすのではなく、両サイドのファンから出る風との組み合わせにより、部屋全体に撹拌する気流を作るので、快適な温度になるのが早い。

 安定した後は、窓を閉めているのに部屋のあちらこちらで優しい風を感じる。噂には聞いていたが、その心地良さに感動した。風が直接体に当たるのは好きではないので、“ソヨソヨ”という気流の流れが気持ちよい。これなら冷房が苦手な女性や高齢者でも快適に過ごせるだろう。

 子供がいても足元が冷えるということはなく、安心して使えるのも嬉しい。今まではサーキュレーターを別途使用していたが、それを置かなくてすむのも助かる。床に置くと子供がぶつかることもあり、邪魔だったのだ。特に小さなお子さんがいるご家庭に、ぜひnocria Xをおすすめしたい。

 次回は、スマートフォン連携の便利さについてご紹介する。

協力:富士通ゼネラル

石井 和美