家電レビュー
コーヒーの楽しさ広がった ダイニチ焙煎機は専門知識なしで店レベルの味に
2025年11月20日 09:05
コーヒー豆の値上がりが続き、自宅で毎日コーヒーを飲む身としてはなかなか切実です。いっそ生豆から自分で焙煎したほうが節約になるのではと思い、焙煎機の購入を検討。ただ、焙煎未経験の筆者にうまく扱えるかという不安もあり、なかなか踏み出せずにいました。
そんなとき目にとまったのが、9月17日に発売されたダイニチ工業の熱風式コーヒー豆焙煎機「MR-SVF60B」。直販価格は39,820円。家庭での使いやすさに配慮した設計とのことで、これなら自分でも扱えそうな予感が。
焙煎機を導入するにあたって、最初は「どのくらいで元が取れるかな」とコスパばかり気にしていましたが、実際に使ってみるとランニングコストだけではないメリットがあることに気づきました。今回は実際に使ってみた率直な感想と、焙煎機を導入したことによる生活の変化をお伝えします。
誰でもプロレベルが目指せる、家庭用焙煎機
熱風式コーヒー豆焙煎機「MR-SVF60B」は、日本を代表するバリスタ・小野光さんの監修により、プロが理想とする焙煎を家庭でも再現できるよう開発されたモデルです。2つのセンサーを搭載し、室温や豆の状態に合わせて加熱を自動調整。ばらつきを抑えて、誰でも簡単にプロレベルの焙煎が楽しめるそう。
従来モデルでは5段階だった焙煎度が、7段階(L1・L2=浅め、M1・M2・M3=標準、D1・D2=深め)に細かく調整可能に。加えて、エスプレッソモードも新たに搭載。一度に投入できる生豆は60gで、消費電力は1,300Wです。
転倒自動停止装置、停電安全装置、室温異常自動停止装置、過熱防止装置の4つの安全装置も搭載しています。
デザインについては、焙煎機と聞くとガスコンロの上で回すようなタイプを思い浮かべますが、本機は給湯ポットのような、実用性を重視したすっきりとしたコンパクトフォルムが印象的です。
横幅が抑えられているため場所を取らず、狭いキッチンにも設置しやすいサイズ感。さらに取っ手付きで、持ち運びや収納も手軽に行なえます。
コーヒー器具特有のロマンを掻き立てる造形美といった感じのタイプではないですが、焙煎機は日常的に使うアイテムだけに、こうした使いやすさを考慮したフォルム設計は個人的には好印象でした。
特別な知識は不要で簡単に使える
使うにあたって、自動とはいえ、ある程度コーヒーの知識は必要だろうと思っていましたが、実際は特別な知識は一切不要。自分の好みの焙煎レベルと保存方法を把握しておくだけで十分でした。
生豆を入れ、焙煎度を選び、スタートを押すだけで工程が自動的に進行します。あとは家事などをしながら待つだけ。 詳しい使い方の手順は次の通りです。
- 生豆60g(すりきり1杯分)を投入口に入れる
- チャフコンテナセットを取り付ける
- 電源スイッチを押して、「SELECT」で焙煎レベルを選択し、「START」を押す
- 約16~25分(冷却時間約10分を含む)待つ
- 焙煎が完了したら、チャフコンテナを外して豆を取り出す
基本的なお手入れは、使い終わったあとにチャフコンテナに溜まったチャフ(薄皮)を捨てるだけ。飛び散ったチャフの掃除をする必要もなく、すごくラクでした。ただ、チャフをキレイに取ろうと思うと、付属のブラシで掃除しても微細なカスが残りやすく、完全にキレイに仕上げたい場合は少し面倒に感じるかもしれません。
なお、5回に1回ほどは、チャフコンテナの排気口に付着したコーヒー油を、中性洗剤を付けた歯ブラシなどでこすり落とす必要があります。
ムラのない仕上がりで、店レベルの味わいに
今回使用した生豆は、ダイニチが販売している「マンデリン G-1」。1kgで6,480円と生豆のなかでは高額な部類なのもあり、欠点豆の混入は少なく、粒ぞろいも良好な印象。とくにピッキング(欠点豆を取り除く作業)も行なわず焙煎しました。
このマンデリン G-1を7段階のうちM2(レベル4)で焙煎したところ、薄皮は一切混じっていません。大きな焦げや生焼けは見当たらず、全体的に均一性が高い仕上がり。わずかな色のムラはあるものの、家庭用焙煎機でここまでの仕上がりは上出来といえそうです。各焙煎レベルを試してみましたが、L1〜D2にかけて、深煎りになるほど豆の色が黒さを増していく様子がよくわかりました。
実際、焙煎度の違いによる味わいの変化も体感できました。
D2(もっとも深煎り)は、力強い苦味が感じられ、ダークチョコレートのようなほのかな甘みがあり、口当たりはマイルドで飲みやすい仕上がりです。
L1(もっとも浅煎り)は、青臭さはなく、フルーティーでありながら鮮烈な酸味が際立ち、非常に個性のある味わいです。好みは分かれると思いますが、マンデリンは深煎りで提供されることが一般的ななか、浅煎りを試せること自体が貴重な体験だと感じました。
全体的な印象としては、焙煎による酸味・苦味のバランスにばらつきがなく、生豆特有の青臭さやえぐみも覚えない印象。一般的なコーヒー好きの筆者としては、コーヒー豆専門店で購入する豆に匹敵する仕上がりで、日常的に使いたいと思える1台に仕上がっていると感じました。
飲みたいときに豆がない問題を解消
使う前は、「自家焙煎はランニングコストが安いぶん、手間がかかるもの」と思っていました。ところが実際に使ってみると驚くほど簡単で、むしろ豆を買いに行く手間を考えると、自宅で焙煎するほうが効率的なシーンすらありました。
また、コーヒー専門店だと焙煎待ちの時間が発生することもありますが、自宅なら自由に過ごせて待ち時間が苦になりにくいです。それに、生豆は長期保存が効くのでストックしておけば「飲みたいときに豆がない!」という事態も防げます。
筆者は豆が切れるぎりぎりで買い足す癖があり、雨の日は外に出るのが面倒になって「我慢するか……」と諦めることもありましたが、家でその場で焙煎できて、いつでも新鮮なコーヒーが楽しめる点は大きなメリットに感じました。
なお、市販の豆が100〜200g単位で販売されているのに対し、本機の焙煎量は1回60gと控えめで、大量に焙煎するには不向き。連続焙煎は可能なものの、やはり完成まで時間がかかるため、本当は一度に100gくらい焙煎できたら理想だとは感じました。
また、一般的に焙煎では水分が抜けておよそ20%ほど重量が減り、焙煎が深くなるほどその割合も増えます。本機で試したところ、M2(焙煎レベル4)では60gの生豆が焙煎後に50.7gになりました。1回の焙煎でおおよそ5杯分のコーヒーを淹れられるでしょう。
音と臭いは気になる
総じてとても使いやすいものの、「音」と「臭い」はかなり気になる部分。
まず音については、モーターのブイーンという駆動音や、豆が釜の中を転がる音が、一般的な掃除機と同程度の音量で鳴り続けます。しかもそれが、長い。できあがるまで約10〜20分ほど途切れないため、動画の視聴や、集中して行ないたい作業には支障がでます。住宅環境によっては、夜間の使用は周囲への配慮が必要かもしれません。
次に臭いについて。焙煎の初期段階では、銀杏を思わせる独特の香りが部屋全体に広がります。しばらく臭いが残るので、使用後は換気の必要がありました。ただ焙煎している途中から、豆を焼いたときの香ばしい香りに変化し、こうした香りによって自宅の工房で焙煎しているような気分を味わえるような気もしています。
なお、煙については、ほとんど気にならない程度に抑えられています。目立つ煙は出ませんが、何度も連続で焙煎すると白っぽいモヤが出ることもありました。ただ、日常的に使う分には特段気になる場面は少ないと思います。
ランニングコストが安くなる以上の価値を実感
「MR-SVF60B」の価格は39,820円とやや高めですが、ランニングコストを考えるとむしろお得かもしれません。今回使用した豆は1kgあたり5,000〜6,000円でしたが、ネット通販では1kg2,500円前後のもの(おいしいかは試せていませんが)も多く、毎日コーヒーを飲むなら大きなコストダウンが期待できます。
こうした経済的なメリットは使う前から想定できていましたが、実際に使ってみると操作の手軽さが想像以上で、「買いに行くよりラク」と思えるほどでした。もっとも、選ぶ生豆によっては欠点豆を取り除くハンドピッキングなど、ひと手間かかるケースもありそうですが。
お気に入りの豆を毎日リピートしていると、どうしても冒険しなくなり、知識も更新されにくくなるもの。でも、60gを自分で焙煎するとなると、「この豆を浅煎りにしたらどうなるんだろう」「酸味が強めだから深煎りをブレンドしてみよう」といった気持ちが自然と生まれ、試すたびに体感的な知識が積み重なっていく楽しさがありました。
コーヒーの世界は奥が深く、これまでは日常的に飲むだけでは理解が進まないもどかしさがありましたが、「MR-SVF60B」を継続して使うことで、少しコーヒー通に近づけるような気がしています。


















