家電レビュー
ほったらかしでサンマがふっくら焼けた! アイリスの煙が少ないロースターがズボラに最適
2023年10月25日 08:05
食欲の秋。美味しいものがたくさん味わえて大好きな季節だ。特にサンマは楽しみにしていて、季節の生サンマを食べると「サンマってやっぱり本当に美味しいな!」と毎年毎年再認識するのだ。
今年のサンマは去年に比べて太くて脂が乗っている気がする。夫もサンマが大好きなので、この時期は毎日サンマを出しても飽きずに喜んでくれる。ただ、家で焼くときにガステーブルの魚焼きグリルではつい焼きすぎてパサパサにしてしまいがちだし、何よりも片付けが面倒なのと匂いが付いてしまうので使いたくないのだ。
かと言って魚焼きの網で直接焼くと、換気扇では追いつかないほどの煙が出てしまう。なのでずっと気になっていた、煙が出にくい魚焼きロースターを試したい……! 今回はアイリスオーヤマのマルチロースター「EMT-1103」で、思い切りサンマの季節を堪能してみた。
「EMT-1103」は本体と焼き網、プレートの3点。本体は結構大きい。使用する際は上を30cm以上、左右と後ろは10cm以上空けておく必要があり、設置するとかなり場所を取るので、通常のキッチンに常設するのは結構難しそうだ。我が家のキッチンもちょうど良い収納場所は無さそうなので、通常は収納にしまっておいて、使用時にテーブルなどに持ってきて使うことになる。
ただ、見た目はインテリアにも馴染む落ち着いた色と形なので、我が家のように「毎日サンマでもいいわ!」という人は、コタツのような季節家電感覚で、この時期は出しっぱなしで良いと思う。
ON/OFFのスイッチや温度調節などの機能はなく、シンプルに回転式のタイマーがあるだけ。多機能の家電も良いけれど、用途や使いやすさを考えると、ロースターはこれくらいシンプルでいい。
まずは水受け皿に水を十分に入れてから使用する。そして蓋を閉じてから5分ほど予熱して、予熱が完了したら食材を焼き網に乗せてから焼き始める。5分予熱する際は10以上にタイマーをグイッと回してから5まで戻す。このタイマーの設定のやり方は昔から変わらないのかと少し懐かしい気持ちに。
サンマは4尾を1度に焼ける広々サイズだ。旬のサンマを並べてまずは10分調理。無煙と謳いながらやっぱりまぁまぁ煙が出ちゃうよねという製品も多いので、脂が乗ったサンマを焼くのに少し心配もしたけれど、本当にびっくりするほど全く煙は出ない。
ただ、煙は出ないけれど、匂いはしっかり出るので、気になる人は換気扇下で使う方が良いだろう。
8分くらいすると、サンマが焼ける美味しそうな香りが部屋中に広がって、そして皮のところがグツグツパチパチと動き出す。覗き窓が付いているので、何もしなくて良いのに楽しくてじっと観察してしまう(笑)。
10分では、見た目は焼き魚よりも生魚に近い見た目。更に5分追加で焼くと、おそらくきちんと焼けているだろうという見た目だけれど、もう少し焼き目が欲しい。更に5分で合計20分焼くと、想像通り期待通りの「焼きサンマ」ができあがった。
ただ、焼きムラがかなりあったように思える。特に1番手前のサンマは見るからに他のサンマと比べて焼きが甘い。4尾まとめて焼く場合は、途中で場所を入れ替えて焼くか、2尾焼く場合は真ん中に寄せて焼く方が良いだろう。
焼き上がった後、水受け皿には結構な脂が落ちていた。余計な油はカットしてくれて、そしてこれだけ油が出ているのに煙が出ないロースターって優秀だ!
食べてみて「美味しいのだけれど80点」というのが私の感想。ふっくらジューシーで脂が乗ってとても美味しいけれど、皮がもう少し気合いを入れてパリッ! としている方が好みだ。この皮目のパリッと感がイマイチ甘いというか優しいのだ。その分、蒸し焼きとまではいかないけれど、身は本当にふっくらとして美味しい。
これはむしろサンマよりも、鮭とかブリカマなどの皮よりも身の焼き加減重視の魚の方がうまく焼けるんじゃないかと思い、ブリカマを焼いてみた。
上下どちらの方が火力が強いのだろうかという素朴な疑問から、2つを上下逆にして焼いてみたのだけれど、大きなブリカマは厚さがかなりあり、ヒーターに直接当たってしまい、かなり焦げてしまった。そこを省いて見てみても上からのヒーターの方が近いのでしっかりとした焼き目が付いている気がする。なので、片面に皮がある食材は皮面を上に向けて焼いたほうがおいしく焼き上がるだろう。
厚い食材は無理だと軽く反省し諦めた私だけど、まず説明書を読んでいないことに反省すべきだ。なんと焼き網をセットする際に、食材に合わせて表と裏で高さが調整できるのである。いや、説明書を読まなくても焼き網を見たら分かりそうなものであるが、全然気づいていなかった。
焼き網に付いている突起を下にして敷くと上底になり持ち上がるので、薄い食材に向いているという。一方で厚い食材の場合は、逆面を使う。シンプルながら、なるべくヒーターの近くに食材の面を持っていくための細やかな工夫である。網を逆にして焼いていたら、このブリカマもヒーターで焦げることもなく完璧な仕上がりになっていたであろう。
そして皮が美味しいもの。即座に思いつくものは「鶏皮」である。大好物の大好物! 鶏皮をしっかりと焼きつつ、中はしっとりふっくらの手羽先の塩焼きは「安い」「簡単」「美味しい」の三拍子揃っている素晴らしいおつまみだと思うので、我が家で食べる頻度もそこそこ高い。両面から焼けてジューシーに仕上がるこのロースターを使ったら、絶対に美味しいはずだ。
薄い食材なので網は突起を下に、上面の方が火力が少し強いので皮面を上に、少し焼きむらがあるので、内側に厚い部位を向けて並べる。少しずつ学習していくAIばりに癖をバッチリ学習して家電と仲良くなっていくのだ。
予熱したロースターに並べて18分。焼きむらが少々気にはなる。でも油もしっかり落として仕上がった手羽先は、どこか美味しい居酒屋で出てくるような美しい仕上がり。もちろん私は手羽先に塩胡椒を振って並べただけで、他の時間はせっせとテレビの録画を見ていた(笑)。
もちろん魚や肉だけじゃない。秋茄子の焼きなすは絶品だし、この時期に食べたくなるおやつといえば焼き芋だ。
焼きなすは中までしっかりしっとりジューシーに仕上がって美味しい。黒いロースターにほぼ黒い茄子が、映えないどころか一体化して全然見えない(笑)。でも、流石サンマが4尾同時に焼けるほどの大きさなので、長茄子でさえ丸っと入るし、一度に3本ほど焼ける。
そして焼き芋は、大きな芋は厚過ぎて難しそうだけれど、今は金時芋や安納芋など、小さくて甘くて美味しい品種も普通に多く売っているので、入りそうな太さの芋を選ぶ。いつも焼き芋をするときは、湿らせたキッチンペーパーとホイルで包んでオーブンなどに入れるので、洗ったままの裸の芋と包んだ芋で同時に30分。
私の予想に反して、さっと洗って濡れたままの芋で作った焼き芋が香り・味ともに断然良かった。高温すぎないグリルだからだろうか。皮のところも硬くならず良い焼き色で、まさに石焼き芋のような仕上がり。これは最高に美味しいおやつで毎日でも作りたい。
付属のプレートで料理の幅も広がるのだけれど、「まぁフライパンで十分かな」と初めは正直思っていた(笑)。使ってみると両面から焼くことによる「混ぜなくて良い、返さなくて良い」という快適さが想像以上で、さらにタイマーが付いているので放置でOKというのがまた最高。メニュー次第ではかなり使い勝手が良い。
取扱説明書には「アクアパッツァ」と「パエリア」のレシピが掲載されている。アクアパッツァは「材料を並べる」「タイマーをかける」と2ステップでできあがる簡単ほったらかしレシピのくせに、凄く美味しくてとても良いのだけど、パエリアは「材料入れる」「タイマーかける」「蓋を開けて材料足す」「タイマーかける」を何度も繰り返すので、正直お勧めしない。フライパンで作る方がよっぽど簡単だ。
このマルチロースターのプレートを使いこなす鍵はズバリ「ズボラさ」な気がする。
先日忙しくて、昼食を作る時間もあまりなかった時に革命的な発明をしてしまった。それはお好み焼きである。マルチロースターを予熱している時にキャベツをザクザクっと1人前切り、お好み焼き粉と水と卵を合わせただけの生地と混ぜる。その時間正味1~2分。
そして予熱したプレートの上に豚バラ肉を敷き、その上に生地を流し込む。タイマーを15分かけて放置し、そのままバタバタ忙しくしていた。
ひっくり返す時間すら短縮した両面焼きのお好み焼きは、中までしっかりと火が通っているのはもちろん、全く触ってもいないので、豚肉が芸術的に美味しいカリッとした仕上がりとなったのである。ズボラと両面焼きロースターの素晴らしきタッグは、時に手と時間をかけて作った料理をひょいと超えてくるもんだなと、よく分からない敗北感すら感じる感動だった。もうお好み焼き専用機にしてもいいくらい! と思う美味しさだったのである。
おつまみにもプラス1品にも活躍してくれる。もやしを1袋ドバッとプレートに入れて、その上に牛もつ加工品の「こてっちゃん」を入れて、10分ほどタイマーをかけている間に別のことをやっていると勝手に完成。蓋を開けて味を馴染ませるようにパパッと混ぜて皿に盛り付けると、夫が大好きなご飯も進むおかずが完成である。
忙しい時も、面倒臭い時も、別のものを作っていてキッチンコンロが埋まっている時も、材料入れてタイマーかけるだけでもう1品できあがるのでかなり優秀。ズボラな私と相性バッチリの相棒だ!
料理の仕上がりも満足だけれど、何よりもお手入れのしやすさが1番のお気に入り。この手のヒーターが付いている家電のほとんどが網やプレートは洗えるけれど、本体は一体型でお手入れは中性洗剤をつけた布巾を固く絞って拭くというパターンが多い。そうなると隙間が拭き取りにくかったり、拭くだけではどうしても汚れやベタつきがしっかりと取れなかったりして、汚れだけじゃなくてストレスも溜まり買うのを躊躇したり買ったことを後悔してしまうのだ。
その点、これは水受け皿だけじゃなく、かなりバラバラに簡単に分解できる。本体丸裸(笑)。蓋も本体から簡単に外せるだけじゃなくて、蓋に付いているフィルター部分までさらに外せる。
使っていると油でかなり汚れてしまうフィルター部分、使っているうちにどうしても茶色くなってしまう部分は、どうしてもスッキリ新品のように取るのは難しいし大変なのだけれど、色はキャンプ道具なども一緒で、ある程度仕方がないかなと。
でも、どうしても許せないベタつきとは無縁でいつも綺麗に保てるので、脂の多い魚だろうが肉だろうが躊躇なくいつでも焼けるのが本当に嬉しい。まだまだサンマの美味しい季節、しばらく毎日のようにサンマを食べて過ごしていきたいなぁとお手軽さと美味しさに満足しているのでありました。