家電製品レビュー

インテリア性が高いコカ・コーラのカプセル式コーヒーメーカー「&Drip」を使ってみた

 淹れたての美味しいドリップコーヒーは、朝の目覚め、食後、リラックスタイムを豊かに彩る。とはいうものの、その一杯を淹れるためには湯を沸かし、豆を計り、抽出器具を整え、気を遣いながら挽き豆に湯を落とす。もちろん後片付けもしなければならない。家庭で美味しいコーヒーを楽しむには、抽出のテクニックだけでなく、実質的な時間と手間が必要だ。

 そこで今回は、テクも不要で後始末も簡単なのに、美味しいコーヒーが約60秒で楽しめるカプセル式のコーヒーメーカーを紹介しよう。初期生産分400台が1週間で売り切れたという、日本コカ・コーラのカプセル式コーヒーメーカー、「&Drip(アンドドリップ)コーヒー/ティーメーカー DR01」だ。

日本コカ・コーラ「&Drip コーヒー/ティーメーカー DR01」
メーカー名日本コカ・コーラ
製品名&Drip(アンドドリップ)コーヒー/ティーメーカー DR01
実売価格15,180円

「nendo」が手掛けた、コーヒーメーカーとは思えないデザイン

 &Dripはカプセル式コーヒーメーカーでありながら、まず目を奪われるのは器具のデザインだろう。パッと見ではコーヒーメーカーとは思えない、スッキリとした直線的なキューブ型のフォルムが印象的。デザインの監修は、世界的デザイナー・佐藤オオキ氏が率いる「nendo」が手がけている。

 本体サイズは約180×210×285mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約3.6kg。必要な設置面積はA4サイズの2/3程度。水タンクを含め、上面・側面・背面全て直線的でスッキリしている。水タンクの最大量は約600ml(コーヒー約3杯分)。付属のペットボトルアダプターを使えば、500mlのペットボトルを水タンクとして利用できる点も特徴だ。

どの角度から見ても、キューブ型の直線的なスッキリとしたデザインが貫かれている
最大量は約600mlの水タンクもキューブ型のデザイン内に収まっている。取り外しも簡単

美味しいドリップコーヒーを実現する専用のコーヒーカプセル

 一般的なカプセル式のコーヒーメーカーは、インスタントやエスプレッソタイプの物が多い中、&Dripはドリップコーヒーを採用している。

 専用カプセルとして、「レギュラーブラック」と「カフェラテ」の2種類が選べる。どちらのカプセルも、やや深煎り焙煎の極細挽きの豆が充填されている。また新たに紅茶カプセルが発売され、4月にはアイスコーヒーカプセルも発売される。

「レギュラーブラック」は1箱にカプセルが12個入りの12杯分。1箱の実売価格は799円
「カフェラテ」は1箱6杯分。1杯につき、コーヒーカプセルとミルクカプセルの2つを使用する。こちらも799円
ブラックはタンザニア、コロンビア中心のブレンドで、1個のカプセルの内容量は9g。カフェラテはブラジルとコロンビア中心のブレンドで、7.2g
どちらもやや深煎りの焙煎で、極細挽き

 カプセルは単にコーヒー豆を充填しただけのものではない。樹脂製のカプセルには酸素濃度を1%以下に保ち、コーヒー豆の酸化を抑えて最適な状態を維持するバリア素材を使用。また、カプセルの側面には、お湯を豆に均一に行き渡らせて香りと旨味を余すことなく抽出するための溝が施されている。

 たっぷりと湯を含んだ豆は、カプセルの底の厚みのあるフィルターで濾過され、コーヒーが抽出される。カプセル一つとっても、美味しいドリップコーヒーを淹れる工夫が施されたものだ。

“ドリップコーヒー”なので、カプセル底には厚いフィルターが組み込まれている。カプセル側面には湯が均一に行き渡るよう溝の工夫が施されている

たった1分で美味しいコーヒーができあがる

 さっそく「レギュラー・ブラック」のカプセルでコーヒーを淹れてみよう。使い方はとても簡単だ。水タンクに水をセットしておけば、即座にコーヒーが淹れられる。まず、コーヒーカップを本体にセットしよう。付属のトレイはカップの高さに応じて使い分ける。

トレイを使っても高さ10cmを超えるマグカップも入る
トレイを外せば、高さ14cmのタンブラーも難なくセットできた。アイスコーヒーカプセルは今後発売される予定だ

 次に、本体トップにある「OPEN」ボタンを押し下げて抽出ユニットを開く。ユニット内のカプセルホルダーに、底のシールを全て剥がしたカプセルを入れ、抽出ユニットにセットして閉める。ゆっくり開くユニットの動きに、落ち着いた雰囲気が漂う。これで抽出前の準備は完了だ。

「OPEN」ボタンを押すと、抽出ユニットが静かにゆっくりと開く
ユニット内のカプセルホルダーは着脱式
コーヒーカプセルの底のシールを全て剥がす。シールを剥がすまで、豆は空気に触れずに新鮮さを保っている
ホルダーに、底のシールを剥がしたカプセルを入れて、ユニットに戻す
抽出ユニットを押し下げれば準備完了
抽出ユニットの内部に、カプセルに穴を開けてお湯を送り込む針がある。触らないように注意

 電源ボタンをタッチするとギターの弦を弾くようなお知らせ音が鳴り、飲み物に応じたボタンがパネルに一斉に浮かび上がる。その中から、作りたいカプセルの種類に応じたボタンをタッチする。レギュラーブラックなら「レギュラー(180ml)」を選ぶ、といった具合だ。

 ボタンをタッチするやいなや数秒後にはコーヒーが落ちはじめ、1分もかからずに(55秒)1杯のドリップコーヒーができあがってしまった。

電源を入れる前は、電源ボタンがほのかに光っている
電源ボタンをタッチすると、飲み物に応じたボタンが浮かびあがる

 早速ブラックでいただいた。キレのある苦味の中にほのかな酸味を感じられる、とても美味しいコーヒーだ。温度はスッと飲める熱さで、後味もスッキリ。1杯飲み終わった後もう1杯飲みたくなるほど、深煎りのコーヒーが好きな自分にとって好みのコーヒーだった。

 ちなみに抽出が終わるとできあがりのお知らせ音として、数秒間の爽やかなギター音のメロディが奏でられる。このサウンドは、音楽クリエイター集団「MUSIC FOR MUSIC」が手がけたもの。もちろん、ボタン操作でお知らせ音を消すこともできる。

レギュラーブラックなら「レギュラー」ボタンをタッチ。抽出が始まるとタッチしたボタンが点滅する
ボタンに触れてすぐに抽出が始まった。コーヒーの香りが部屋中に広がる
レギュラーは、55秒でできあがった。早い! しかも美味しい

 「カフェラテ」もサッと作れた。カフェラテは、カフェラテ専用の「コーヒーカプセル」と「ミルクカプセル」の2個を使用する。

 作り方はコーヒーカプセルを装着し、「スモール(100ml)」で抽出。コーヒーの抽出が終わったら(35秒)コーヒーカプセルを取り出し、続けて「ミルクカプセル」を装着し、「ミルク(80ml)」ボタンをタップする。2つのカプセルを入れ替えても、できあがりまでの時間は1分3秒ととても早い。

 ミルクカプセルの中身は脱脂粉乳と砂糖。できあがりのミルクは見事に泡立ち、いかにもカフェラテらしい。ほんのり甘く、口当たりがやわらかでとても美味しい。泡立ったクリーミーなミルクが、コーヒーの苦味をよりまろやかに引き立てる印象だ。

 抽出時はブーンという作動音がするが、リラックスタイムの妨げにはならない程度だった。

2つのカプセルを入れ替えて作るカフェラテでも、たった1分3秒でできあがった

ペットボトルも水タンクとして使うことも。「リビング置き」が現実的に

 リビングにも馴染む外見的なデザインの&Dripは、付属のペットボトルアダプターを使えば、500mlのペットボトルを水タンクとして利用できる。推奨は「い・ろ・は・す」の555mlだが、別のペットボトルでも問題なく利用できた。

付属のペットボトルアダプター(左)を使えば、ペットボトルの水もそのまま水タンクとして活用できる。アダプターを取り付ければ逆さにしても水は漏れない(右)

 実を言うと、水道水を使う自分にとっては「ああ、ペットボトルも水タンク代わりになるのね、ふーん……」と、“給水の選択肢が増える”程度にしか考えていなかった。

 ところが使ってみてはじめて「なるほどッ!」 と、思わず膝を打ってしまった。というのも、ペットボトルの水を手元近くに備えておけば、給水のためのキッチンの往復は俄然省ける。しかも周囲を給水などで濡らしにくいと実感できたからだ。これならば、水を嫌う機器が並ぶ生活空間に設置するのも現実的と、使ってみて改めて気付かされた。

ペットボトルの給水なら、リビングルームに設置するのも現実的
ペットボトルの給水なら周囲を水で汚しにくい
ペットボトルを使えば、水を嫌う機器のそばにもより設置しやすい
デスク上にも置ける。仕事の合間に席を立たずに淹れたてのコーヒーが簡単に楽しめる

 また、コーヒー抽出中にコーヒーの飛沫が周囲に飛び散りにくい設計も、リビング置きを現実的にしている。円形にくり抜かれた抽出口は奥行きが110mmあり、正面以外は完全に囲まれている。

 しかもコーヒーは細くまっすぐ抽出されるので、抽出終了間際でもしずくが飛び散りにくかった。何度か試したが、開口部の2~3cm付近に数個の飛沫が飛ぶ程度で済んだ。

コーヒーは細くまっすぐ抽出される。抽出終了直前でもコーヒーは飛び散りにくい
高さ90mmのマグカップを抽出台に載せて抽出した飛沫の汚れはこの程度

 以上のように姿かたちにとどまらず、「リビングに映えるコーヒーメーカー」というコンセプトは「使い勝手」にもしっかり反映されていると実感した。

メンテナンスもラク

 手入れもとても簡単だ。まず、抽出後のコーヒーのカプセルに限っては全く液垂れせず、簡単にポイッと捨てられる。抽出ユニットを開いた時にユニット内の水滴は落ちるが、付属のトレイがほとんど受け止めてくれるので始末が良い。

抽出後のコーヒーカプセルの様子。液垂れは一切なく、カプセル内の豆も湿っている程度

 また、洗浄のタイミングは、5回抽出するたびに、洗浄ボタンが点滅して知らせてくれる。洗浄方法は、お湯を受け止めるカップをトレイの上に置き、カプセル無しの状態で洗浄ボタンを押すだけだ。

 完了音がなったらカップのお湯を捨てるだけで終了だ。汚れが気になる時は繰り返しても良い。もし途中で水がなくなっても知らせてくれる。再開できるまでの時間は最大5分あるので、慌てなくても大丈夫。

 カフェラテのミルク製品を使った後や、紅茶カプセルを使う前には洗浄したほうが良さそうだ。

洗浄水も抽出口の天井から、抽出時と同じ様にまっすぐ落ちてくる
抽出台は簡単に取り外せる。抽出口の庫内は凸凹が少ないので拭き取りやすい

 ただし、カフェラテ抽出後のミルクカプセルの後始末は、ちょっと厄介だった。

 というのも、ミルクの抽出が終わっても、お湯がカプセルいっぱいに残ってしまうからだ。したがって、抽出ユニットからミルクカプセルを取り出す際、そのお湯がどうしても溢れ出やすい。カフェラテをリビング等で作る場合は、後片付け時にかなり注意を払う必要があるだろう。この点は改良の余地があると思わざるを得なかった。

 また、気をつけたいのは消費電力だ。抽出時の1分程度、消費電力は1,000Wを超えるので、リビングに置く時は他の機器の消費電力を前もって確認しておいたほうが良いだろう。

抽出時の消費電力は1,000Wを超える。使っていない時の待機電力は0.3Wだった

 多少気になる点はあったが、とにかく美味しいドリップコーヒーが失敗なく、たった1分程度でできあがるのは嬉しい。これなら朝の最も忙しい出勤前でも、淹れたての美味しいドリップコーヒーを楽しめる。1杯の美味しいコーヒーが、1日の始まりに気持ちの余裕を生み出してくれるだろう。レギュラーコーヒーなら後始末も至極簡単だ。

 ペットボトルを利用すれば、リビングルームやデスク上でコーヒーを淹れるのも現実的。リビングルームでくつろぎながら、映画を楽しみながら、さらに仕事の合間にと、席を立たずに新鮮なコーヒーをササッとワンタッチで淹れられる。&Dripはより気軽に、コーヒー好きの生活をより豊かにしてくれる製品だ。

藤原 大蔵