家電製品レビュー

シンプルなのにパワフル! ブルーエアの空気清浄機が部屋のニオイもホコリも一掃

 今回はスウェーデン発、洗練されたデザインも好評のブルーエアの空気清浄機「Blue by Blueair ブルー ピュア 221 パーティクル アンド カーボン」を紹介しよう。PM2.5、花粉、0.1μm以上のウィルスを含む微粒子とともに、部屋のニオイも除去してしまうという空気清浄機だ。

ブルーエア「ブルー ピュア 221 パーティクル アンド カーボン」
メーカー名ブルーエア
製品名ブルー ピュア 221 パーティクル アンド カーボン
実売価格63,180円

 最大の特徴として、その洗浄範囲の広さが挙げられる。日本電機工業会JEM1467に基づく適応床面積は、なんと39畳(64m2)。かなり広い部屋もたった1台で賄える余裕のパワーがある。

 空気の汚れをチェックするようなセンサーは搭載されていないが、そのぶん操作は至極簡単。3段階の風量をボタンに触れて選ぶだけだ。同社の製品の中でハイパワー、ハイスペックながらも、求めやすい価格を実現したカジュアルモデルと位置づけている。

シンプルな構造・シンプルな操作

 本体の大きさは330×330×516mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは約8kg。清浄床面積が広いタイプゆえ、本体も大きい。だが、その中にトータル4.4m2という巨大な吸着表面積を持つ、キューブ型のフィルターを搭載している。

 構成はとてもシンプルだ。本体の下半分以上がフィルター部で、メッシュのスチールカバーに覆われている。一方の上部は動力部で樹脂製。内部に約30cmの5枚羽の大型ファンが組み込まれている。

 浄化方法は、ファンが回転するとキューブ型フィルターの360度全方向から空気を吸引する。空気が白い外側のフィルターを通過する時に、チリや微粒子が濾過され、内側の黒い活性炭を通過する時にニオイが吸着され、キレイに浄化された空気が天面から放出される、という仕組みだ。

 放出される空気には、マイナスの電荷を帯びたイオンが含まれる。イオンは空気中の粒子と結合することで、0.1μmの微粒子までフィルターがキャッチするという。電荷させる「イオンチャンバー」は外側からは見えないが、ファンのそばに組み込まれている。

直方体のシンプルなデザインが特徴。本体下部のメッシュの360度全方向から空気を吸引し、天面からキレイな空気が排出される
上左から、動作部、メッシュスチールカバー、フィルター
扇風機並に大きな約30cmの5枚羽の大型ファンが、本体上部に内蔵されている
マイナスの電荷を帯びたイオンも放出して空気中の粒子とイオンを結合させ、フィルターに吸着する仕組み(HPより抜粋)
ハイスピード清浄を可能にする白いフィルター。目の大きさの異なる多数の層から構成されており、目詰まりしにくい。折り込まれたフィルターの吸着表面積は4.4m2と巨大
ニオイを吸着する活性炭が、フィルターの内側にたっぷり1.2kgも含まれている

 フィルターの外側(白色)は、目の大きさの異なる多数の層から構成されており、目詰まりしにくい素材が使用されている。内側(黒色)には、ニオイを吸着する活性炭が含まれているが、その量はなんと約1.2kg! 圧倒的な量だ。

 使い方はあまりにも簡単だ。プラグをコンセントに挿し込んだら、本体の「blue」とロゴのあるスイッチに“触れる”だけで運転がスタートする。

 スイッチに触れるごとに、スピード1(弱)→スピード2(中)→スピード3(強)と3段階のパワーが切り替わる。さらにスイッチに触れると停止する。各スピードに応じて白色のLEDが点灯するので、誰が見てもわかりやすい。スイッチから指を離すと、約8秒でLEDが減光する。就寝中でも邪魔にならない明るさだ。

操作はスイッチは触れるだけ。触れるごとにファンのスピードが3段階に切り替わる。スイッチ上部に点灯するLEDで運転速度が確認できる

 使用方法は、基本的に24時間点けっぱなしにする。消費電力を計測すると、スピード1で20W、スピード2が28W、スピード3は38Wだった。スピード3の時で、39畳を1時間あたり約5回も清浄するという。それよりも狭い部屋なら効率はさらに上がるはずだ。

料理のニオイも部屋のニオイも消え、スッキリとした空気が毎日続く

 ブルー ピュア 221を10畳のダイニングキッチンと8畳のリビングの間に設置した。2部屋は普段から開け放っているため合計18畳。適応床面積の半分弱だ。運転速度はスピード1に設定し、年末から1カ月間、ほぼ毎日24時間点けっぱなしで使用した。

空気が循環しやすいよう、二間の中間にブルー ピュア 221を設置した

 使い始めてすぐに実感したのは、どんなに長時間料理をしても、ニオイが残らずスッキリと消えてしまう点だった。昨年末も例年の如く、大晦日まで数日間かけておせちを仕込んだが、いままでは換気扇を回していても、出汁を飛ばしながら調理する煮しめや椎茸などの強いニオイが、年を越してからもしばらく残っていた。

 ところが今年の新年はまるで違った。元旦早朝に初詣に行き部屋に戻ると、前日までのおせちを仕込んだニオイはもちろん、年越しの晩に囲んだ海鮮鍋の強い潮臭さも、まるでリセットしたかのように消えていた。

 そのおかげで、より新鮮な気持ちでおせち料理が味わえた。その後1カ月間、干物を焼いても、カレーを作っても、かなりニオイの強いチーズフォンデュをしても、それらのニオイは数時間で消えてしまった。

部屋にいつまでも残りやすいニオイの強いものを調理しても、数時間で消えてしまった

 使い続けていると食事のニオイだけでなく、外出から帰宅した時に感じる、部屋特有のニオイも感じられなくなった。使い始めて数日後には、洗濯もなにもしていない部屋のカーテン、カーペットに鼻を近づけても、ほとんどニオイがしなくなったのだ。

 冬は特に窓も開けず締め切っているのに、空気が淀んだ感じにならず、軽くスッキリとした空気がずっと続く印象だった。

良好な体調が続いている

 使っていて気づいた点が他にもある。

 年始は気が緩むのか、毎年風邪を引いて寝込むのが通例だった。だが、今年の年始は元気いっぱいに過ごせた。また風邪やインフルエンザが流行っている時期だというのに、このレビューを書いている現在まで風邪とは無縁の生活を送っている。

 さらに、筆者はハウスダストが原因の鼻水や、蕁麻疹に年間を通じて悩まされているのに、ブルー ピュア 221の導入以降、アレルギーを抑える薬の世話にほとんどなっていないのだ。

 空気を細かく分析、比較、検証もできないので無責任な事は言えない。だが、ブルー ピュア 221を導入した以外、例年と変わらない生活を送っているにもかかわらず、体調の良い日が続いているのは紛れもない事実だ。普段過ごす部屋の空気がキレイになった事が、少なからず影響しているとしか思えないのだ。

 また、ずっと運転しっぱなしにしているせいか、ホコリが溜まりにくい、という印象もあった。冬は空気が乾燥するのでホコリが舞いやすく、掃除して2日もしないうちに床や棚の上に薄っすらとホコリが積もるのが常だった。ところが、掃除の回数を増やしたわけでもないのに、おやっ? と気づくほどさほど目立たなくなり、掃除がラクになったのは嬉しい。

 なお、花粉についての検証はできなかった。使用時期は花粉の飛散量が少ない上、私自身、花粉症ではないから違いは感じられなかった。それでも、喉がいがらっぽくなったりすることも無かったので、花粉症の方にもかなり期待できるのではないだろうか。

運転音は静か。サーキュレーターとしても役立つ

 運転音は、スピード1が37db、スピード2は45db、スピード3は55dbとなっている。スピード1は、わずかにモーターの音がする程度なので、シーンと静まり返った就寝中も特に気にならない。スピード3はファンが強く回るため、運転音も風切り音もうるさく感じられた。実際に使ってみて、スピード1でも十分にパワーが感じられた。

スピード1の運転の様子。運転音は2mも離れるとほとんど気にならないほど静か。この風量でも十分効果が感じられた
スピード2の様子。テレビの音の邪魔にはならない程度。就寝時には気になるだろう
ゆったりと過ごしたい時、スピード3はかなりうるさく感じられる。急いで清浄したい時に良いだろう

 ブルー ピュア 221はセンサーが搭載されていないので、自動で空気やニオイを検知して運転を切り替えてはくれない。花粉情報や天気、過ごし方に応じて、運転を切り替える必要はあるが、センサーによって運転が自動で切り替わり、運転音や風切り音で生活や睡眠を思いがけずに邪魔される事が無いと、肯定的にも捉えられるだろう。

 真上を向いたファンで排出されるきれいな空気は、天井まで到達し、壁に沿って部屋全体を効率良く循環する設計になっているので、暖房のサーキュレーターの代わりにもなる。それまでは扇風機を用いていたが、この冬は1度も点けなかった。

フィルターは高いが、手入れはラク

 手入れはとても簡単だ。まるまる1カ月、一切手入れをせずに使ってみたが、本体表面の樹脂部分に、静電気によるこびりつくような細かな汚れはつかなかった。強いて言えば、メッシュの吸込み口にホコリが引っかかっているのが目視できる程度だった。日常的な手入れは、メッシュ部の汚れが目立つ時に、掃除機で吸引する程度で済む。

1カ月一切手入れしなくても、さほど周りは汚れない。メッシュ部にわずかにホコリが見える程度だった
普段の手入れは、ホコリに気づいた時に掃除機で吸引する程度でOK

 使用中に本体スイッチ周りのLEDが赤色に点灯したら、フィルターの交換が必要だ。フィルターの寿命は、運転する部屋の広さや環境によって変わってくるが、約6カ月となっている。運転部の両側面にある「取り外しボタン」を押して運転部を外せば、フィルターは簡単に交換できる。

運転部の両側面にある「取り外しボタン」を押すと、運転部が簡単に外せる
フィルターはメッシュのスチールカバーに差し込まれているだけなので、交換のための着脱は簡単だ
動作部の裏側にチリが少し付いていた。ここも時々掃除機で吸引するとよいだろう

 ただし、フィルターは高価だ。1.2kgの活性炭入りの「ブルー ピュア 221 パーティクル アンド カーボン フィルター」は12,000円。活性炭非搭載の「ブルー ピュア 221 パーティクル フィルター」でさえも8,000円する。

左:1.2kgの活性炭入りの「パーティクル アンド カーボン フィルター」。右は空気清浄に特化した「パーティクル フィルター」。大きさが同じなので、どちらも取り付けられる

 我が家で1カ月使い続けたフィルターを確認してみると、思ったほど汚れておらず、風量も変わらなかった。あくまでも印象に過ぎないが、我が家の広さ、使い方ならば、半年以上は持ちそうだった。なお、フィルターは掃除機で吸引してもOKなので、フィルターも掃除機で手入れすれば(活性炭の効果は別として)多少寿命が延命できるかもしれない。

1カ月使ったフィルター。しっかりホコリ、チリなどが吸着している
フィルターの汚れが目立つ場合は、掃除機で吸引してもOK。フィルターの寿命が多少は改善するだろう

 24時間点けっぱなしにするタイプの空気清浄機だが、実際の消費電力から試算すると、スピード1の1カ月の電気代は368円(スピード2は515円、スピード3は699円)にすぎない。空気が24時間キレイな状態が続いてニオイも消えるなら、十分に納得の行く電気代ではないだろうか。

穏やかなのにパワフルさを実感

 オールシーズン通して使用したわけではないが、ブルー ピュア 221を導入してからというもの、スピード1の弱運転で体調はすこぶる良好。アレルギー薬にもほとんど世話になっていない。しかも、料理や生活臭が確実に消える効果もハッキリと感じられ、使った満足度が高い。

 交換フィルターが高価というマイナス要素はある。だが、主張し過ぎない落ち着いたデザインで、操作がとにかく簡単。普段は存在を忘れるほど「静かに」生活空間に馴染む。それでいてパワフルだ。

 広いダイニングキッチンやリビングルーム、二間を開け放って暮らしている方にこそ、おおいにオススメしたい空気清浄機だ。

藤原 大蔵