家電製品レビュー

育てるのも食べるのも楽しい! インテリアになるLEDライト付き水耕栽培器「プラントゥイ」

 「Plantui(プラントゥイ)」は、日照時間が少ないフィンランドで生まれたインドアハーブガーデンだ。コンピューター制御による光と水のコントロールで、種が入ったカプセルをセットするだけでハーブや葉物野菜、食用花が育てられる。LEDによる水耕栽培器はここ2~3年、いくつか登場してきているが、レッド・ドット・デザインアワードを受賞しており、デザインがとても美しい。

 3月、広尾に移転した家電アトリエの玄関が白一色であまりに素っ気ないため、インテリアにもなるこのLEDライト搭載水耕栽培器を導入してみることにした。まずは3~5週間で生長し、食べられるようになる葉物野菜から。その使い方と生育していく様子を紹介しよう。

プラントゥイのパッケージ
メーカー名プラントゥイ
製品名Plantui 6
販売価格48,000円(税抜)

用意するのは本体と専用の種子キット2箱のみ

 黒いパッケージを開けると、ふたの部分に小さなスプーンがセットされている。これは、水耕栽培のための養液を作る際に、栄養剤の分量を計るためのものだ。続いて本体を取り出してみる。

 プラントゥイは、写真などを見る限りでは、直径20cmくらいの可愛らしいサイズをイメージしてしまうが、実際は直径30cmほどある。持ち手のところも含めると、ロボット掃除機と同じくらいの直径といえばわかりやすいかもしれない。本体はマットな質感が上質さを感じさせ、やわらかな曲線を描く丸い形が愛らしい。

箱を開けると、ふたの裏には栄養剤を計るための小さなスプーンがセットされている
マットな質感と緩やかな曲線が美しい本体。直径は約30cmと当初イメージしていたものよりは大きい
本体上部のライトユニットを外してひっくり返すと、青、赤、緑の3色のLEDが6セット埋め込まれているのがわかる
生長段階に応じて足していくハイトブロック(支柱)が2つ同梱されている
今回、選んだ種はGarden Rocket(ルッコラ)と、Tatsoi(ターツァイ)の2種類。生長の度合いが同じものを組み合わせるのがポイントだ
種子キットのはこの中にはプラントカプセルが3つと栄養剤が入っている

 今回、本体と共に準備したのはGarden Rocket(ルッコラ)と、Tatsoi(ターツァイ)の種子キット。1箱に3カプセル入っていて、日本ではハーブなどの24種類がラインアップされている。本体には6カプセルセットできるので、1回に2箱分が必要になる。生長の度合いが同じものを選ぶと見た目にも美しいので、「3-5weeks」と書かれたものをセレクトした。種子キットの中には、先に説明した栄養剤も1袋入っている。

 では、種まき(=種子カプセルをセット)をすることにしよう。3Lの水とスプーン3杯分の栄養剤を本体のウォーターボウルに入れてよくかき混ぜ、プラントトレイをセットし、プラントカプセルをくぼみに入れていく。カプセルのシールをはがして、もしもシールの裏に種子がついている場合は、そっとつまんでカプセルのくぼみに戻さないと、発芽の確立が減るので要注意。

ウォーターボウルに水を3L入れ
栄養剤は水1Lに対して専用のスプーンに1杯。ここでは3杯入れて、よくかき混ぜる
ウォータートレイをセットする
ウォータートレイの上にプラントトレイをセットし、プラントカプセルをくぼみに入れていく
プラントカプセルの上蓋(シール)をはがす。シール部に種子が付着している場合があるので、その時にはそっとつまんでカプセルの中央部に戻す
ルッコラの種はとても小さい。5〜6粒入っているのが見える
ターツァイの種は比較的に大きめ
プラントトレイの中央部の差し込み口に電源コードを差し込み、ACアダプタをコンセントに差し込めば準備完了

 本体上部のライトユニットをはめ込む前に、ひっくり返して見てみると青、赤、緑の3色のLEDが6セット埋め込まれているのが確認できる。青、赤、緑の3色のLEDを生長段階に応じて照らし分け、最適なタイミングと頻度で自動給水する仕組みだ。

 ライトユニットを取り付けるとLEDライトが紫がかったピンク色に点灯した。プラントトレイとライトユニットの間はわずか1.5cm程度だが、ピンクのライトが玄関を幻想的に彩り美しい。まだ植物を感じさせる要素は何もないが、これなら夜には間接照明の役割も果たしそうだ。

 太陽の下で育つ植物と同じように、1日8時間は消灯し「夜」をつくる仕組みも備えており、自分たちの暮らしのリズムに合わせて設定できる。たとえば毎夜10時消灯というサイクルにする場合、その時間になったら本体天面に3秒ほど手をかざせばOK。一度設定すればタイマー機能が働いて、翌日からは毎夜10時におやすみ状態になる。変更も、再び手をかざすだけと簡単だ。

ライトユニットを取り付けると、LEDライトがピンクに点灯した。プラントトレイとライトユニットの間はわずか1.5cm程度だが、ピンクのライトが玄関を幻想的に彩る
スリープタイマーをセットするときには、ライトユニットの中央部に手をかざして3秒待てばOK。LEDライトが3度点滅して消灯する

 さて、どれくらいで発芽するのか。そもそもちゃんと発芽してくれるのか、単なるLED照明で終わりませんようにと願うのみ。発芽が待ち遠しい!

1週間で子葉が出てきた! 後は生長に応じて2本の支柱を追加していく

 毎日、アトリエのドアを開けるたびにプラントゥイをのぞく日々。ブラボー! 5日目には発芽し、1週間後には可愛らしい子葉も生えてきた。どのカプセルからも均等に子葉が出てきていて、バランスもいい。かなり気分が上がる。

1週間後の様子。すっかり発芽して子葉も生えてきた

 ここで一度、ライトユニットを外して、真ん中に支柱(ハイトブロック)を1本追加した。ハイトブロックには端子がついており、このブロックが1本追加されたことで植物の生長具合を判断してLEDの色を変えていく仕組みらしい。

 再びライトユニットをセットすると、今までピンク色だったLEDがグリーンぽい色に変わり、今までとは全く違った玄関になる。思わず「わぁ! 色が変わった」と声を出してしまったくらいの劇的な変化だった。

ハイトブロックの1本目を追加する
ハイトブロックの底には端子がついている
プラントトレイの端子と合うようにハイトブロックを差し込んだところ
ライトユニットを取り付けると、これまでのピンク色から一転してグリーンがかった色の照明に変化した
LEDランプ部分
これまではライトユニットが近くて葉の様子などが見えなかったが、ハイトブロックを取り付けて高さが出たので、生長具合がよく見えて俄然楽しい!

 ちなみに、このプラントゥイは日本の環境に適応する種が選ばれているため通年使えるが、室温は15〜25℃が望ましく、直射日光やエアコンの風が当たるところは苦手だとのこと。真夏に空調を使用しない環境だと少々、厳しいかもしれない。

種をセットしてから13日目の様子
毎日の生長のちょっとした変化がうれしい

 支柱を追加してからは、植物の様子が見えやすくなったので、ルッコラやターツァイの生長具合を確認するのがより楽しいものになった。ホワイトの本体にグリーンの植物、そしてLEDの明かり。これまで寂しかった玄関が一気に生き生きとし、来客の誰もが「これはきれいですね!」と感激してくれるのもうれしい。

種をセットしてから19日目の様子。ライトユニットに葉が接触しそうになっているところもある

 2週間を過ぎたころにはだいぶ大きくなり、19日目くらいにはLEDライトに葉がくっつきそうになってきた。葉がLEDライトに当たってしまうと、焼けて色が変わってしまう。そろそろ次のハイトブロックを追加する時期だ。

20日目。ほとんどの葉がライトユニットにくっつきそうだ
電源をオフにしてから、中をのぞき込んだところ。葉がLEDライトに当ると、焼けて色が変わってしまう
2本目のハイトブロックを足すことに
ライトユニットを外して、ハイトブロックを追加すると、急にルッコラたちが小さくなったように見える

 1本目の時と同様に、ライトユニットを外して2本目の支柱をセットする。ウォーターボウルを持ち上げると、ずいぶん水が少なくなって軽くなっていたため、プラントトレイを持ち上げてみると、根がかなり伸びている。

 中の水も少し濁っているようだったので一度ボウルの水を捨て、新しい養液を作ってセットした。実はLEDが青く点滅したら、水と栄養剤を追加するタイミングなのだが、仕事の兼ね合いでアトリエを留守にすることもあるので、点滅を待たずに早めに水を変える(追加する)ことにしたのだ。

ウォーターボウルを持ち上げると、ずいぶん水が少なくなって軽くなっていたため、プラントトレイを持ち上げてみると、根がこんなに伸びてる
ボウルの水は半量以下になり、なんとなく汚れた感じ
新しい水に栄養剤を投入して養液を作る
ボウル内に残っていた水は捨て、新しい養液を投入した

 再びライトユニットをセットするとLEDライトがつき、ルッコラやターツァイのグリーンが鮮やかに浮かび上がった。支柱が伸びたせいでルッコラたちが小さくなったように見えるのが不思議だ。

再びライトユニットをセットすると、LEDライトがつき、ルッコラやターツァイのグリーンが鮮やかに浮かび上がった
ハイトブロックが2本目になった時のLEDライトの様子

1カ月目から約2週間、毎日のように収穫できる

 ここからはさらに生長が著しく、グリーンのインテリアとして玄関を彩ってくれるようになった。27日目には葉の先がLEDライトに当たるほどに大きくなったので、外側の葉から順次摘み取っていくようにした。

 ルッコラはパスタにのせたり、サラダにしたりと大活躍。ターツァイも炒め物やスープなど様々な料理に使って楽しんだ。ハーブなどは一度にたくさん使わないものも多く、買ってきてもムダにしてしまうこともある。こうして育てながら、使う分だけ常に新鮮なものを摘み取って食べられるのは、本当にうれしく贅沢な気分になる。

24日目。だいぶ育ってきて、グリーンがインテリアとしても美しい
27日目。すっかり大きくなってLEDにくっついてしまいそうなので、外側の葉から収穫していくことに
その後もさらに3週間毎日のように収穫を続け、最後の日には残りをすべて切り取ったところ、こんなにたくさんに
ルッコラはパスタにのせたり、サラダにしたりと大活躍。ターツァイも炒め物やスープなど様々な料理で楽しんだ

 生長するにつれて、水の減り方も早くなったので、途中で水と栄養剤を足しながら、さらに3週間ほど目と口でルッコラたちを楽しんだ。種まきから約2カ月、思ったより長く栽培できたと思う。今回は次に育てる予定で一緒に購入してあった食用花のビオラを早く育ててみたくて、最後に一気に摘み取ってしまったが、まだしばらくは育てられたのかもしれない。

今度は生長まで8~12週間の食用花「ビオラ」に挑戦!

心がなごむ新しいガーデニングツール

 種子キットは1箱1,400円(税抜)と決して安くはないが、種類によって3〜12週間で収穫できるまでに生長し、その後も長く楽しめるのがいい。大好きなコリアンダー(パクチー)の種子キットもあるので、ビオラの後にぜひ育ててみようと思っている。アトリエの玄関に置いているが、キッチンカウンターや寝室などに置くのもいいのではないだろうか。

 もしも長時間留守にする場合には、水の使用量を減らして生長スピードをゆっくりとさせる「ホリデーモード」を活用するとよさそうだ。これもスリープタイマー同様、ライトユニットの中央部に10秒ほど手をかざし、LEDライトが紫色になれば設定完了と簡単。旅先や出張から帰ったら、再び手をかざすと元に戻る。長期の出張の際にはこのモードを利用してみたいと思う。

 ハーブの栽培は虫がつきやすいなど、案外ベランダで育てるのが難しいもの。室内で簡単に育てられ、美しいインテリアになるプラントゥイは、新しいガーデニングツールとしてぜひおすすめしたい。

再び、種子をセットして第2章が開幕中

神原サリー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」べく、家電分野を中心に執筆やコンサルティングの仕事をしています。モノから入り、コトへとつなげる提案が得意。生活家電・美容家電分野の記者発表会にはほぼすべて出席。企画・開発担当者や技術担当者への取材も積極的に行い、メーカーさんの現場の声を聞くことを大切にしています。