e-bike試乗レビュー

ヤバい!! 欲しいかも♪ 完成度の高いライズアンドミューラーのミニベロe-bike「Tinker」

「RIESE & MÜLLER (ライズアンドミューラー)」のミニベロe-bike「Tinker(ティンカー)」

折りたたみミニベロ「Birdy(バーディー)」(日本ではBD-1)でお馴染みのドイツメーカー「RIESE & MÜLLER (ライズアンドミューラー)」ヨーロッパを中心に30車種ものe-bikeを発売していますが、ようやく日本にも上陸しました。その第一弾となるe-bikeがミニベロタイプの「Tinker(ティンカー)」です(※リンク先は欧州仕様版Tinker)。

日本では折りたたみ自転車・ミニベロ専門店の「サイクルハウスしぶや」がTinkerの輸入総代理店を務めており、価格は490,000円の予定
メーカー名ライズアンドミューラー
製品名Tinker
実売価格490,000円

個人的にこのe-bikeに興味津々です。まずミニベロe-bikeが好きだということ。ミニベロe-bikeは乗り降りがラクで、小回りが利いて取り回しやすく、タイヤが小さいぶんコンパクトなので手軽に扱えるからです。

そして、このTinkerは剛性感のありそうなフレーム、フロントサスペンション、高さや前後位置を変えられるハンドル、キャリアやスタンドやライトなど最初から必要な装備がほぼ全部搭載済み。ソソりますね〜♪

現在日本国内には3台しかTinkerが存在していないそうですが、そのうちの1台を「サイクルハウスしぶや」からお借りすることができました。というわけでさっそくジックリと試乗。以下にレビューをお届けします♪

装備は全部入り!!! ゴージャスなミニベロe-bike!!!

Tinkerの実車を借り受け、初見で「ゴージャスだなぁ」と感嘆しました。少々前述しましたが、購入後に後付したくなるような装備がほぼすべて搭載済みです。また、独自機構の洗練度も高い。そんなTinkerですが、実際にどんなe-bikeなのか、写真と説明文で見ていきましょう。

直線を基調としたフレームが印象的なTinker。重量は未公開ですが、25kg程度だと思われます
ドライブユニットは静音性とパワーのバランスに優れたボッシュ製のActive Line Plus。アシストモードはEco/Tour/Sport/Turboの4段階です
バッテリーはボッシュ製のPowerPack 300(36V/8.2Ah)。Tinkerの航続距離は未公開ですが、40〜100km程度だと思われます。Tinkerのダウンチューブやトップチューブは横長の四角柱。横から見るとスリムなフレームに見えますが、実際は幅広で頑丈。フレーム全体の剛性も高いです
ハンドル周り
ディスプレイはボッシュ製のIntuvia。一度に表示される情報量が多く、ディスプレイ自体も大きめで可読性が高いです
ドライブトレイン周辺。外部に露出したカセットスプロケットやディレイラーは見当たりません。Tinkerには変速機構をハブ内部に収めた“内装変速機”が採用されています
変速機は内装11段のシマノ「ALFINE(アルフィーネ)」。チェーンの位置が変わることなく変速機内部で変速されますので、チェーン外れが起きにくく、接触や転倒などによるディレイラー破損も起きません。また、汚れる部分が少ないのでメンテナンスもしやすいことも特徴です
シフトレバーはハンドル右側にあり、現在ギアが何段に入っているかもおおよそ視認できます(画像はハンドル前方から見た様子)
タイヤはSCHWALBE(シュワルベ)の「BIG BEN PLUS(ビッグベンプラス)」。タイヤ外径20インチ×タイヤ幅2.15インチ(20×2.15/ETRTO 55-406)。ミニベロとしてはとても太いタイヤが設定されています。フロントブレーキは油圧式ディスクブレーキで、コンポーネンツはシマノ「DEORE(デオーレ)」です
リアタイヤやリアブレーキもフロントと同じです。キックスタンドも標準装備。また、フロント/リアとも樹脂製の軽量フェンダー(泥除け)を装備しています
フロントサスペンション付き
ボトルケージもオプションで装着可能
このボトルケージはワンタッチで脱着可能
販売開始時には耐荷重25kgのリアキャリアも装備。Yeppなどのチャイルドシート装着にも対応
長さ調節可能なラバー製のバンド付き
十分な明るさがあるヘッドライトも標準装備です
リアのリフレクターには赤色テールランプも内蔵されています。ヘッドライトやテールランプはIntuviaディスプレイでオンオフできます
ABUS(アバス)製のリングロックも標準装備
サドルはSELLE ROYAL(セラロイヤル)の3D SKINGELで、張りとクッション性がありお尻が痛くなりにくい
サドルをいちばん上まで上げると、身長195cmの人にもマッチ
サドルをいちばん下まで下げると、身長150cmの人でも乗れます。シェアしやすいe-bikeです
ハンドルにも独自の機構があり、前後へ角度が変えられたり、高さを変えることが可能
2本のクイックレバーを緩め、赤い線があるロック機構を引きながら、ハンドルの前後方向角度を3段階に変えることができます
ハンドルを前方に倒して調節した様子
ハンドルを手前に引いて調節した様子
ハンドルの高さはも5段階で調節可能。クイックレバーを緩めて調節します
ハンドルをいちばん高くした様子
ハンドルをいちばん低くした様子

必要な装備はほぼ全部入り。多くの装備があるものの、非常にスッキリとまとめられていて、上品さを感じさせるe-bikeです。乗る前から欲しくなってしまいました♪

走りも上質!!! 静かで滑らかで、そしてコンフォート♪

さて、全部入りな感じのミニベロe-bikeことTinkerですが、その走りはどうでしょう? 東京都の多摩湖(たまこ)周辺のサイクリングコースで試走してみました。

走り始めてまず感じたのは、非常に静かであること。内装11段ギアのシマノALFINEは変速時に小さくカチリカチリと音がする程度で、ペダルを回している時も止めている時も至って静か。さらにボッシュ製のActive Line Plusのアシスト音もTurboモード以外は非常に静かです。これらにより、走行時に自転車から騒音がほとんど聞こえてきません。

それと乗り味。とても滑らかです。車体全体の剛性が高いと感じられますが、太めのタイヤとフロントサスペンションとクッション性のあるサドルのおかげで、段差の突き上げ感が非常に少なく、やや荒れた道でも振動が少ない。

乗り味がとても滑らかで、走行時の音も静か。なんというか、クルマでいえば高級車のような、上質な乗り味という印象です。

本格的な内装ギアを扱うのは初めてですが、ALFINEは凄くイイですね♪ 一見太いハブのように見えますが、それでいて激坂もしっかり上れますし、そこそこスピードを出すような走りにも合います。しかも外部に露出したリアディレイラーがなかったり、チェーンが緩んだり暴れたりするようなこともありません。メンテナンス的にもチェーンの汚れを気にすればいい程度なので、非常に実用的だと思います。

ただ内装ギアは重いことと、扱い方を誤ると故障して修理費がけっこうかかることがデメリットです。でもe-bikeなので内装ギアの重さは気になりませんし、正しく扱えばそうそう故障するものでもありません。

ちなみに内装ギアの正しい扱い方は、ギアチェンジ時は基本的にペダルを止めておくことがポイントです。走行中にギアチェンジする時は一瞬ペダルを回すのを止める。それさえ心がければギアチェンジがうまくいかないなどの問題は起きません。逆に、停車中でも自由にギアチェンジができるので、慣れればとても便利ですね。

ややスピードを出して多摩湖の周回サイクリングコースを走ってみましたが、とても安定して走れました。この周回サイクリングコースは、所々道が悪い箇所があり、同時に落ち葉やコケがありつつ、ちょっと急なカーブもあって、衝撃吸収性や直進安定性にやや欠けるミニベロ全般にとっては微妙に走りにくいコースだと思います。

ですが、Tinkerだとフツーに安心して走れる。ひとつはフロントサスペンションの存在。道が悪い箇所でも衝撃をしっかり吸収してくれるので、ミニベロでも怖くない。またドライブユニットやバッテリーや内装ギアにより、かなり重心が低いのでしょう。安定感も感じられます。さらに太めのタイヤということもあり、路面へのグリップも安心感アリ。

そんな安定感と、それから前述の快適性を備えたe-bikeことTinker。かなりイイです、これ。これまで乗ったe-bikeの台数において日本トップクラスのe-bike野郎と思われる本媒体e-bike部・清水氏も「Tinkerサイコーですね〜」と言ってました。

筆者的も“ずっと乗っていたいと思わせる稀有な1台”という印象を受けました。というか、やっぱり欲しい!!! ……んですけど、お値段も高級ですね。この値段でもベルトドライブだったりしたらホントに買っちゃうと思いますし、この値段でもドライブユニットがボッシュ製Performance Line CXでありつつベルトドライブだったりしたら今すぐ買っちゃうと思いますが、しばらく買うかどうか深く悩んでみることにします。

ともあれ、非常に完成度の高いミニベロe-bikeことTinker。「サイクルハウスしぶや」に試乗車があり、「レンタサイクルステーション尾道ベース」ではレンタルできますので、機会があればぜひ乗ってみてください。なお、試乗やレンタルの際は、Tinkerの台数が少ないこともありますので、事前に試乗やレンタルが可能かどうかご確認のうえで、ゼヒ。

スタパ齋藤